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はじめに・INDEX
かみくだし「日本の法律」シリーズ
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3.持分会社 8.清算

第3編 合名会社、合資会社、合同会社について

第三編 持分会社

第8章 持分会社を清算してすっきりと

第八章 清算

第4章 第1章 この章全体で言えること

第3編 第7章 持分会社を解散するには
第1節 清算を始めるには

第一節 清算の開始

清算を始めなければならないとき
第644条

持分会社が次の状況を迎えたら、清算の手続きをしなければなりません。

清算の方法について詳しいことは、この章で規定されています。

解散したとき。

吸収合併をした場合は清算の手続きをする必要はありません。

裁判所から破産手続開始の決定を受けたものの破産手続が終わっていない場合は清算の手続きが始められなくてもやむを得ません。

裁判所が「設立無効の訴え」を大筋で認る判決が確定した場合。

裁判所が「設立取消の訴え」を大筋で認める判決が確定した場合。
原文
700
清算の手続きが終わるまでは
第645条

清算の手続きが終わるまでの間、手続きのための業務を行うことに限り、持分会社として存続が認められます。
原文
701
第2節 精算人について

第二節 清算人

清算するには清算人を
第646条

持分会社を清算することになったら、少なくとも1人以上の清算人をつけてください。
原文
702
清算人の資格
第647条

次に該当する人は清算持分会社の清算人を務めてください。

持分会社の経営を執り仕切る社員。

定款の規定で清算人を務めることになっている人。

清算人になることに社員の過半数の同意を得た人。

この場合の社員は定款の規定で同意を得る対象を経営を執り仕切る社員に限定することが認められます。
2

第1項で規定する人では清算人を任せられない場合、利害関係者からの申し立てにより裁判所が清算人を決めることになります。
3

社員の全員が辞めてしまったために持分会社が解散したケースや裁判所に解散を命じられたために持分会社が解散したケースでは、利害関係者や法務大臣の申し立てにより裁判所が清算人を決めることになります。
4

裁判所に設立無効や設立取消の訴えが認められて持分会社が生産を始めることになったケースでは、利害関係者からの申し立てにより裁判所が清算人を決めることになります。
原文
703
清算人を解任するには
第648条

裁判所で決められた清算人は自由に解任することは認められません。

そうではない清算人はどのようなタイミングであっても解任することが認められます。
2

裁判所で決められた以外の清算人を解任するには、社員の過半数を得る必要があります。
3

重要度の高い理由があれば、社員や利害関係者からの申し立てにより裁判所に清算人を解任してもらうことが認められます。
原文
704
清算人のシゴト
第649条

清算人のシゴトは次の通りです。

有限会社が解散した時点で仕掛中のシゴトを片付けること。

売上金を回収し、支払いを済ますこと。

有限会社に残された財産"を、受け取る権利のある人に分配すること。
原文
705
請け負った持分会社の清算を
第650条

清算人は、請け負った持分会社の清算のシゴトを行います。
2

複数の清算人がいる場合、多数決によりシゴトの進め方を決めます。

定款に規定をしておけば、多数決以外の方法でシゴトの進め方を決めてもかまいません。
3

清算持分会社の事業譲渡をどうするかについて、社員が二人以上いる場合は社員の過半数により決めてください。
原文
706
清算のシゴトを始めるにあたり
第651条

清算持分会社は清算人に清算のシゴトを任せるにあたり詳しいことは委任の規定に従ってください。
2

清算人になったら、法令と定款を遵守し、持分会社のために忠実にシゴトをする必要があります。

清算人が持分会社と競合する事業を行ったり、ライバル会社の取締役や執行役を務めためには、予め定款に規定しておくか、社員全員の承認を受ける必要があります。

清算人が持分会社からシゴトをもらったり、商品の仕入れさせたり、債務保証をさせるためには、予め定款に規定しておくか、社員の過半数の承認を受ける必要があります。
原文
707
清算人がちゃんとシゴトをしなかったら
第652条

清算人がちゃんとシゴトをしないせいで持分会社に損害を追わせたら、清算人にはその損害を賠償しなければならない責任があります。
原文
708
清算人が損害を与えたら
第653条

清算人が問題があると知りつつ人に迷惑をかけるシゴトをしたり、いい加減なシゴトをしたせいで人に損害を与えてしまったら、清算人にはその損害を賠償しなければならない責任があります。
原文
709
法人が清算人になるには人物を
第654条

持分会社の清算人は法人であってもかまいませんが、実際に清算のシゴトを行う人物を法人から差し向ける必要があります。

この場合は、他の社員たちに差し向ける人物の住所氏名を通知してください。
2

持分会社の清算人となった法人から差差し向けられた人物は、、委任の規定に従い、法令と定款を遵守し、持分会社のために忠実に清算のシゴトをしてください。

法人から差し向けられた人が持分会社と競合する事業を行ったり、ライバル会社の取締役や執行役を務めためには、予め定款に規定しておくか、社員全員の承認を受ける必要があります。

法人から差し向けられた人が持分会社からシゴトをもらったり、商品の仕入れさせたり、債務保証をさせるためには、予め定款に規定しておくか、社員の過半数の承認を受ける必要があります。

法人から差し向けられた人がちゃんとシゴトをしないせいで持分会社に損害を追わせたら、清算人にはその損害を賠償しなければならない責任があります。

法人から差し向けられた人が問題があると知りつつ人に迷惑をかけるシゴトをしたり、いい加減なシゴトをしたせいで人に損害を与えてしまったら、清算人にはその損害を賠償しなければならない責任があります。
原文
710
清算をしている持分会社の代表は
第655条

清算をしている持分会社では清算人が株式会社の代表者となります。

清算人の中から代表清算人を定めたり、清算人以外の人が代表者となることも認められます。
2

清算人が複数いる場合、清算人の一人ひとりが持分会社の代表者となります。
3

清算人同士の中から清算人同士によって選ばれた人を代表清算人にとします。

代表清算人を選ぶことができる清算人については、定款に規定しておくか、定款にその資格がある人を規定しておくことが必要です。

裁判所が代表清算人を指定したすることになったら、会社側で清算人を決めることはできません。
4

持分会社の経営を執り仕切る社員が清算人を務めるケースで持分会社の代表をしている社員が清算人になると、その人が代表清算人を務めることになります。
5

裁判所によって決まった清算人についても、代表清算人を務めることが認められます。
6

代表清算人は、持分会社の清算業務に関わる全ての事項についての権限を有します。

裁判や契約、取引に関わる代表清算人の権限を社内で制限していても、そのような制限があることを知らない相手と代表清算人が取引や契約を交わした場合、代表清算人の交わした取引や契約は有効なものとして認められることになります。

裁判所の決定により代表清算人の職務執行停止の処分を受けた持分会社において、裁判所の仮処分として代表清算人の代行を務める人は、基本的に裁判所の許可を得た行為のみを行ってください。

許可を得るまでもなく行えることとして事前に指定された行為についてはわざわざ裁判所の許可を得る必要はありません。
原文
711
清算によって負債の方が多いと判明したら
第656条

清算をしていて持分会社の財産よりも負債の方が多いことが判明したら、清算人は直ちに破産手続開始の手続きをしなければなりません。
2

破産手続開始の決定を受けて、持分会社のことを破産管財人に引き継いだら、清算人のシゴトはそこで完了となります。
3

破産手続開始の決定を受けた持分会社において、清算の際に負債の支払いを済ませていたり、株主への配当を行っていた場合、破産管財人は支払ったお金の返還を請求することが認められます。
原文
712
裁判所が決めた清算人の報酬額は
第657条

裁判所によって決められた清算人の報酬額は裁判所が決めることが認められます。
原文
713
第3節 清算する持分会社の財産を把握するために

第三節 財産目録等

財産目録と貸借対照表の作成
第658条

清算人として就任したら、むやみに遅れることなく清算する株式会社の財産目録と貸借対照表を作成して、その内容を各社員に通知してください。

財産目録と貸借対照表は、株式会社が解散をした日や、裁判所によって「設立無効の訴え」や「株式移転無効の訴え」の確定判決がでた日の日付で作成してください。
2

清算している持分会社では、作成された財産目録や貸借対照表をその本社において保管してください。

保管の期限は、持分会社の清算の手続きが完了してその登記がなされるまでです。
3

清算している持分会社では、社員から要請を受けたら、月毎の清算状況を報告しなければなりません。
原文
714
裁判所から財産目録などの提出命令を受けたら
第659条

訴訟の対象者は、精算している持分会社の財産目録や貸借対照表の裁判所への提出命令を出すように裁判所に申し立てをすることができます。

裁判所の職権により精算している持分会社の財産目録や貸借対照表の提出命令を出すこともあります。
原文
715
第4節 債務はスッキリと

第四節 債務の弁済等

公告や通知で債権者に呼びかけて
第660条

解散や裁判所の決定により清算することになった持分会社は、債権者に対して決められた期限までに債権がどうなっているかを申し出てもらうよう呼びかけてください。

呼びかけの方法は、官報に公告を出すことと、相手がわかっている債権者に対して直接通知を行うことです。

呼びかけは、清算することが決まったら、むやみに遅れることなく行ってください。

申し出の期限は、少なくとも2ヶ月以上の猶予を設定してください。
2

呼びかけの公告の中には、もし債権の申し出をしなければ清算の際の対象から除外されることになることも記載してください。
原文
716
呼びかけの期限が終わるまで
第661条

債権者に対する呼びかけが始まると、呼びかけの期限が終わるまで、清算をしている持分会社の弁済が中断されます。

そのせいで被る債権者の損害については、清算をしている株式会社に賠償責任が生じます。
2

呼びかけの期間中であっても裁判所の許可を得ることができれば、少額の債権、清算持分会社が実際に残している財産が担保になっている債権、弁済しても他の債権者に対して損害を与えるおそれのない債権については、弁済をすることが許されます。

清算人が複数いる持分会社の場合、この許可を得るための裁判所への申立をするには清算人の全員が申立について同意をすることが必要です。
原文
717
確定していない債権は鑑定した上で弁済を
第662条

次のような確定していない債権であっても、清算している持分会社に対して弁済の対象とさせることができます。

  • 条件が達成されるまで確定していない《条件付債権》。
  • 弁済の期限が確定していない《存続期間が不確定な債権》。
  • 詳細な金額が確定していない債権。

これらの債権を確定させるためには、裁判所に対して鑑定人を選任してもらうための申立をする必要があります。
2

裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、清算している持分会社は弁済をしてください。
3

裁判所が選任した鑑定人に対する報酬は、清算している持分会社が負担してください。

この鑑定人の出張費用や調査にかかる費用についても、清算している持分会社が負担してください。
原文
718
債務を完済できないときには出資の義務を終えていない社員に対して
第663条

清算を進めたところ残った財産では債務を完済できない状況において、持分会社に対して出資の義務を終えていない社員がいる場合、その出資の仕方について定款にどのような規定がされていたとしても、持分会社はその社員に対して出資の義務を全うするように請求することが認められます。
原文
719
社員への財産の分配は弁済の後で
第664条

清算持分会社の財産を社員に分配することが認められるのは、全ての債務の弁済をしてからです。

とはいえ、弁済すべき債務の詳細が確定していない段階であっても、予想される弁済額の分をちゃんと残しているのであれば、社員への分配が認められます。
原文
720
呼びかけの期限が過ぎた債権者には
第665条

申し出るまでもなく精算している持分会社とは債権者として日頃から付き合いがある所は別として、普段は付き合いがないのに、債権者に対する呼びかけの期間内に申し出をしていない債権者は清算の対象リストから外れることになります。
2

申し出なかった債権者には他の債務者への弁済を済ませて残った財産からしか弁済されません。
3

債権者として申し出た時点で、弁済を済ませて残った財産について社員への分配に取り掛かっていたら、債権の弁済よりも他の社員への分配が優先されることになります。

分配を受け取っていない社員たちに対する出資の比率に応じた分配をするための金額はキープされ、それでも残った金額からこの債権者への弁済という順序となります。
原文
721
第5節 残余財産をどのように分配するか

第五節 残余財産の分配

分配の割合は出資額の割合で
第666条

定款の中で残余財産の分配の割合を決めていないならば、各社員が出資をした額の割合に応じて残余財産を分配してください。
原文
722
第6節 清算のシゴトが片付いたら

第六節 清算事務の終了等

清算のシゴトが片付いたら社員の承認を
第667条

清算のシゴトが片付いたら、株式会社はむやみに遅れることなく清算に関する集計結果をまとめて、社員の承認をもらってください。
2

清算人の不正行為が無い限り、集計結果を提示してから一ヶ月が経過しても社員からの異議が出て来なければ、社員の承認がもらえたものとみなされます。
原文
723
第7節 もめていない会社であれば話し合って清算を

第七節 任意清算

会社の財産の処分方法
第668条

合名会社と合資会社において、定款規定の存続理由や存続期間に該当することにより会社を解散する場合や、全ての社員の同意により会社を解散する場合、会社の財産の処分方法は会社が決めることが認められます。
2

会社が決めた財産処分方法が認められる場合、この章で規定する清算人や債務処理などの規定にとらわれずに決めることが認められます。
原文
724
清算でもめていない会社が解散したら
第669条

合名会社と合資会社において、定款規定の存続理由や存続期間に該当することにより会社を解散したり、全ての社員の同意により会社を解散した場合、解散の日から2週間以内に財産目録と貸借対照表を作成してください。

財産目録と貸借対照表について詳しいことは法務省令で規定されています。

財産目録と貸借対照表は解散した日の日付けで算出してください。
2

合名会社と合資会社において、定款規定の存続理由や存続期間に該当することにより会社を解散したり、全ての社員の同意により会社を解散したため会社側で財産の処分方法を決めた場合、これを決めた日から2周間以内に財産目録と貸借対照表を作成してください。

財産目録と貸借対照表は解散した日の日付けで算出してください。
原文
725
会社が決めた処分方法に異議があれば
第670条

第668条の規定に従ったとはいえ、清算している持分会社の財産の処分方法をその会社で決めた場合、その会社の債権者にはその処分方法に対して異議を求めることが認められます。
2

第668条の規定に従って、清算している持分会社の財産の処分方法をその会社で決めた場合、解散した日または財産処分の方法を決めた日から2週間以内に次の内容についてい官報での公告を行ってください。

その上で、把握している債権者に対しては個別に通告を行ってください。

解散して、会社で決めた方法により財産処分を行うことになったことについて。

債権者であれば、この財産処分の方法に対する異議が認められることについて。
3

●939
4

期限の内に異議が出なければ、会社の決めた財産処分の方法は承認されたものとなります。
5

期限の内に異議があったら、その債権者に対する弁済を行うか、担保を用意するか、弁済に対応できるようにその分のお金を信託会社に預けておく必要があります。
原文
726
処分方法を決めても持分を差し押さえられていたら
第671条

社員の誰かが自分の持分を差し押さえられている状況で、精算している持分会社が財産の処分方法を決めてその処分を行うためには、差し押さえをしている債権者に同意を得る必要があります。
2

社員の誰かの持分の差し押さえをしている債権者に同意を得ないで持分会社が財産の処分を行ってしまったら、その債権者は持分会社に対して社員の持分に相当する金額の支払いを要求することが認められます。
原文
727
第8節 帳簿や資料の保管について

第八節 帳簿資料の保存

清算が片付いても10年間は保管を
第672条

清算が片付いたことの登記が終わっても、それから10年間は精算した持分会社の帳簿や事業に関する重要な資料、清算に関する資料は清算人が保管を続ける必要があります。

会社の財産の処分方法は精算した持分会社が決めて解散した場合は、その会社を代表していた社員が保管を続ける必要があります。
2

予め定款で清算が片付いた後の資料などの保管する担当者を定めていた場合や、社員の過半数により保管する担当者を決めていた場合は、その人が登記後の10年間は帳簿や資料の保管を続けてください。
3

清算した持分会社の利害関係者は清算人や会社が決めた担当者に対して不満があれば、裁判所に申し立てを行うことにより、その人に代わる帳簿や資料の保管人を選んでもらうことが認められます。
4

裁判所に選ばれた帳簿や資料の保管人は登記後の10年間は帳簿や資料の保管を続けてください。
5

裁判所に帳簿や資料の保管人を選んでもらうために必要な費用は清算している持分会社が負担してください。
原文
728
第9節 社員の責任にも時効が

第九節 社員の責任の消滅時効

解散して5年経ったら
第673条

持分会社の社員には持分会社の債務を連帯して弁済する責任がありますが、会社が解散の登記をしてから5年経っても請求されない債務については時効を迎えて責任も消滅となります。
2

清算が終わっても社員に分配されない財産が残っていたら、5年の時効を迎えた後でも、持分会社に請求をすることが認められます。
原文
729
第10節 適用の対象外となる規定

第十節 適用除外等(第六百七十四条・第六百七十五条)

清算している会社には
第674条

清算をしている持株会社では次の規定は適用の対象外となります。

新たな社員を迎えたり、社員が負う責任についての規定。

次の社員が抜けることについての規定。

第5章 持分会社のお金の数え方の規定の内、次の規定。

第638条 持分会社の種類を変更するために必要な定款の変更の規定の内、次の2つの項。
  • 第1項第三号 合名会社から合同会社への変更の際の「全社員の有限責任社員化」の定款の変更義務について
  • 第2項第二号 合資会社から合同会社への変更の際の「全社員の有限責任社員化」の定款の変更義務について
原文
730
定款に規定するまでもなく
第675条

清算している持分会社の社員の方がお亡くなりになった状況では、定款に規定が無くても、その相続人が社員の持分を引き継ぐことになります。

清算している持分会社が合併により消滅した状況では、定款に規定が無くても、持分会社の合併先から差し向けられた人が持分会社の業務を引き継ぐの持ことになります。
原文
731
第4章 第1章 この章全体で言えること

第3編 第7章 持分会社を解散するには
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