第2編 株式会社について
第二編 株式会社
第4章 株式会社のシステム
第四章 機関

第2編 第5章 株式会社のお金の数え方
第2編 第3章 新株を手に入れられる権利
第1節 株主総会と種類株主総会
第一節 株主総会及び種類株主総会等
第1款 株主総会
第一款 株主総会
株主総会で決議できること
- 第295条
- 会社法の規定に該当する事項をはじめ、組織体制、運営方法、管理方法など株式会社に関わる一切のことは株主総会で決議することができます。
- 2
- 《取締役会設置会社》では、組織体制や運営方法、管理方法などは取締役会で決議するので、会社法の規定に該当する事項や定款で定められていることが株主総会で決議することができます。
- 3
- 会社法で株主総会での決議が必要とされる事項について、取締役や執行役の裁量で決めたり、取締役会や株主総会以外の機関で決めることを認める内容を定款に記載しても、その記載は認められません。
原文
324
株主総会の開催
- 第296条
- 1年に1度、事業の年度が終わって一定の期間中に開催されるのが《定期株主総会》といいます。
- 2
- 定期株主総会のタイミング以外でも必要があれば随時、株主総会は開催されます。
- 3
- 通常、取締役が株主総会を開催するため株主に対して招集を行います。
原文
325
株主による株主総会の招集
- 第297条
- 全ての株主の議決権の3%以上の株式を6ヶ月以上前から継続的に所有している株主は、株主総会の招集をかけることができます。
株主総会の招集を行うには、取締役に対して株主総会で話し合いをして議決権を用いて承認してほしいテーマと、そのテーマを話し合ってほしい理由を伝えてください。
定款で招集できる議決権の比率を3%未満に設定したり、6ヶ月よりも前からに設定することも認められます。 - 2
- 公開会社において、株主総会の招集をかけられる株主は、全ての株主の議決権の3%以上の株式を所有している必要があります。
- 3
- 株主総会に提案された議案に関して議決権のない株式については、「全ての株主の議決権の3%」の対象としてカウントしません。
- 4
- 次のケースに該当する場合、裁判所の許可を得た上で株主総会を開催させることが認められます。
- 一
- 株主総会の招集の希望を取締役会に伝えてもなかなか株主総会の開催手続きが進まない場合。
- 二
- 株主総会の招集の希望を「取締役会に伝えた日から8週間後までの日程」で株主総会を開催する、という招集の通知が届かない場合。
“株主総会の目的である事項”、つまり株主総会で話し合われるテーマのことを《議案》といいます。
原文
326
株主総会の開催にあたり決めておく必要がある事項
- 第298条
- 株主総会を招集する際には次の事項を決めておく必要があります。
- 一
- 株主総会の開催日時と開催場所。
- 二
- 株主総会で話し合われる議案。
- 三
- 出席しない株主のために議決権を書面で行使できるサービスを行う場合は、そのサービスの説明。
- 四
- 出席しない株主のために議決権をデジタルで行使できるサービスを行う場合は、そのサービスの説明。
- 五
- その他、法務省令(1)で規定されている事項。
- 2
- 議案の一部だけでも議決権を持つ株主の数が1000人以上いる場合は必ず議決権を書面で行使できるサービスが行われます。
株式市場に上場していて、法務省令(2)に該当する株式会社については書面で行使できるサービスを行う必要がありません。 - 3
- 取締役会が設置されている株式会社の総会では、議案の議決権を持つ株主の数が1000人以上いる場合は必ず議決権を書面で行使できるサービスが行われます。
株式市場に上場していて、法務省令(2)に該当する株式会社については書面で行使できるサービスを行う必要がありません。 - 4
- 取締役会が設置されている株式会社では、裁判所の決定で株主総会が招集されるケースをのぞき、株主総会の開催にあたり決めておく必要がある事項は取締役会の決議が必要です。
原文
327
株主総会の2週間前までに通知を
- 第299条
- 株主総会が開催される際にはその2週間前までに通知が出されることになっています。
株式市場に上場していない株式会社の場合は1週間前までに通知が出されることになっていますが、出席できない株主のために書面やデジタルデータでの議決権行使に対応する場合は2週間前までに通知が出されることになっています。
株式市場に上場していない株式会社で、定款に規定しておけば1週間よりも短期の通知でも株主総会が開かれることがあります。 - 2
- 次のケースに該当する場合は、通知は必ず書面で行われます。
- 一
- 出席できない株主のために書面やデジタルデータでの議決権行使に対応する場合。
- 二
- 取締役会が設置されている株式会社の場合。
- 3
- 予め株主の承諾を得ていれば、株主総会開催の通知をデジタルデータで行うことが認められます。
デジタルデータでの通知に関する株主の承諾について詳しいことは政令で規定されています。 - 4
- 書面やデジタルデータで行われる株主総会開催の通知には、総会の場所や日時の他、開催にあたり決めておく必要のある事項が記載されます。
原文
328
書面やデジタルで議決権行使のサービスを導入していない株式会社では
- 第300条
- 議決権を書面やデジタルで行使できるサービスを導入していない株式会社では、株主全員の同意があれば株主総会招集の手続きをすっ飛ばして株主総会を開催することが認められます。
原文
329
書面で参考資料や議決権行使
- 第301条
- 議決権を書面で行使できるサービスを導入している株式会社では、株主総会の開催通知の中に株主が議決権を行使する際に参考となる資料と、議決権を投票するための書類が送られます。
“株主が議決権を行使する際に参考となる資料”のことを《株主総会参考書類》といいます。
“議決権を投票するための書類”のことを《議決権行使書面》といいます。 - 2
- 株主総会の開催通知をEmailなどで対応することを認めた株主に対しては書類を送付する代わりに、電子化された参考資料を送付したり、議決権をデジタル投票できるシステムの利用を勧めることが認められます、
書面での対応に戻してほしいとの要望があれば、株式会社に切り替えてもらうことができます。
原文
330
デジタルで参考資料や議決権行使
- 第302条
- 議決権をデジタルで行使できるサービスを導入している株式会社では、株主総会の開催通知の中に株主が議決権を行使する際に参考となる資料が書面で送られます。
- 2
- 株主総会の開催通知をEmailなどで受け取ることを認めた株主に対しては書類を送付する代わりに、電子化された参考資料を送付することが認められます、
書面での対応に戻してほしいとの要望があれば、書面に切り替えてもらうことができます。 - 3
- 電子化した参考資料を受け取った人は議決権をデジタルで行使できるサービスを利用してください。
- 4
- 開催通知をEmailで受け取ることを認めなかった株主に対しても、株主総会の1週間前までに議決権をデジタルで行使したいとの要望があれば、デジタルに切り替えてもらうことができます。
原文
331
株主から取締役に議案を
- 第303条
- 株主は、自分が議決権を行使できるテーマに関して株主総会での議案にしてもらうよう取締役に要求することができます。
- 2
- 次に該当する株主は、希望する内容に関して株主総会での議案にしてもらうよう取締役に要求することができます。
- 全ての議決権の内の1/3以上の比率を持つ株主。
- 半年前から引き続き300以上の議決権を持つ株主。
定款で持ち株の比率を1/3未満に下げたり、所有期間を半年以内に引き下げることは認められます。 - 3
- 株式を公開していない株式会社の場合、その時点で300以上の議決権を持つ株主は、希望する内容に関して株主総会での議案にしてもらうよう取締役に要求することができます。
- 4
- 「全ての議決権の内の1/3以上の比率を持つ株主」について、議決権を行使できない株式は議決権としてカウントしません。
原文
332
株主総会で新たなテーマを議案に
- 第304条
- 株主総会の中で株主側から話し合いのテーマを新たに議案として追加してもらうよう提案することができます。
このテーマが法令や定款に違反している場合は追加の議案として認められません。
ほぼ同じ内容のテーマが過去三年以内に話し合われていて、その際の議決では10%以上の賛成を得られていない場合も追加の議案として認められません。
このケースでの議決権には議決に加われない株主が所有する株式はカウントされません。
定款で10%未満の賛成に規定していたら、その割合が認められます。
原文
333
今度の株主総会の議案の概要を知りたい時は
- 第305条
- 株主であれば、次回の株主総会の8週間前までに、そこで話し合われる予定の議案の概要を株式会社に問い合わせて回答を通知するよう要請できます。
ただし取締役会が設置されている株式会社の場合、問い合わせることが認められる株主は、議決権の1%以上を所有する株主か、300株以上の議決権を6ヶ月以上所有している株主に限られます。
定款で、1%未満の所有株主と設定したり、300株未満の議決権の所有株主と設定することは認められます。 - 2
- 取締役会が設定されていても、株式を公開していない株式会社の場合、6ヶ月以上議決権を所有していなくても、問い合わせの時期に所定の議決権を所有していれば問い合わせることができます。
- 3
- 株式に議決権のない株式については1%の議決権を計算する際の対象にはなりません。
- 4
- 次回株主総会で予定されている議案の数が10件以上ある場合、10件までは概要の問い合わせに対応してもらえますが、それより多い件数には対応してもらえない可能性があります。
以下に関わる内容については議案の数が複数あっても、この内容で1件の議案として扱います。 - 一
- 取締役、会計参与、監査役、会計監査人などの役員を選任することについて。
- 二
- 取締役、会計参与、監査役、会計監査人などの役員を解任することについて。
- 三
- 会計監査人を再任しないことについて。
- 四
- 同じ議案に対して違う内容の定款変更を議案とするケース。
- 5
- 10件を超えて、何件まで概要の問い合わせに対応してもらるかは取締役の事情で決まります。
ただし株主が問い合わせに際して概要を説明してもらいたい案件に優先順位をつけた場合は、その順番で対応してもらうことができます。 - 6
- 次のケースに該当すると、概要の問い合わせに対応してもらうことができません。
- 概要を問い合わせた議案マが法令や定款の規定に違反している場合。
- 過去に10%未満しか賛成を得られなかったものとほぼ同じ内容の議案がその議決から3年を経たずに提案された場合。
原文
334
株主総会の招集や決議に問題がないか調べるために
- 第306条
- 議決権の1%以上を有する株主と株式会社は、株主総会開催の招集手続きや決議の方法に問題がないかを調べるため、裁判所に検査役を選任することを申し立てることが認められます。
定款で、議決権の1%未満に設定することも認められます。 - 2
- 公開会社である取締役設置会社は、株主総会の議案について議決権の1%以上を6ヶ月前から有する株主と株式会社には、株主総会の開催の招集手続きや決議の方法に問題がないかを調べるため、裁判所に検査役を選任してもらうよう申し立てをすることが認められます。
定款で、6か月前よりも短い機関に設定することも認められます。 - 3
- 裁判所は、検査役の選任の申し立てに違法性などの問題があると申立を却下することがあります。
- 4
- 裁判所は、検査役の選任の際に、その報酬額についても決めることになっています。
- 5
- 検査役は、株主総会開催の招集手続きや決議の方法に問題がないか調査し、書面かデジタル情報の報告書を作成して裁判所に提出します。
- 6
- 報告書を受け取った裁判所が、その内容に不明瞭だと判断したり、裏付けが必要と判断したら、追加の調査報告を要請します。
- 7
- 検査役は裁判所に提出する報告書と同じ内容の書面またはデジタルデータによる報告書を調査対象となった株式会社に対しても提出します。
申し立てを行ったのが株式会社ではなく、株主であった場合には、その株主と株式会社に対して報告書を提出します。
原文
335
報告の結果、対応が必要なら
- 第307条
- 株主総会開催の招集手続きや決議の方法についての検査報告の結果、対応が必要と判断されると裁判所からその株式会社の取締役に対して次のような措置を命じられることがあります。
- 一
- 指定の期限内に株主総会を開催すること。
- 二
- 検査報告の結果を株主に対して通知すること。
- 2
- 裁判所から取締役に対して上記の措置が命じられたら、開催された株主総会の中で報告書の内容を発表してください。
- 3
- 裁判所からの措置が命じられた取締役は、報告書の内容についての調査を行い、開催された株主総会の中で行った調査の結果を発表してください、
原文
336
議決権の数
- 第308条重要
- 一般に、株主は1株あたり1つの議決権を有します。
定款で単元を設定している場合、1単元の株式につき1つの議決権を有します。
議決権の1/4以上を有するなど実質的に株式会社の経営権を握ることが可能なケースとして法務省令の規定に該当する株主の議決権については1株あたり1つの議決権の規定の対象外となることがあります。 - 2
- 株式会社自身が所有する自己株式については議決権は有りません。
原文
337
株主総会で決議となるには
- 第309条重要
- 株主総会では、議決権の過半数の株主が株主総会に出席した上で、さらに出席者の議決権の過半数の賛成により決議となります。
種類株式の株主総会では、その種類株式の議決権の過半数の種類株主が種類株主総会に出席した上で、さらに種類株主の議決権の過半数の賛成により決議となります
定款で出席や議決権の条件を緩く規定したり、厳しく規定することも認められます。 - 2
- 次の議案を議論する場合、議決権の過半数の株主が株主総会に出席した上で、さらに出席者の議決権の2/3以上の賛成により決議となります。
この場合、定款により出席数を議決権の1/3以上に規定することが認められます。
この場合、定款により議決権の2/3よりも多い割合の賛成で可決と規定することが認められます。
この場合、出席数の条件を満たし、賛成の比率を超える条件を満たした上に、定款により必ず議決権の一定数を超える賛成が必要であると規定することも認められます。 - 一
- 譲渡制限株式の譲渡を認めない場合に、株式会社が買い取りを行うかどうか、または株式会社の代わりの買取人を誰に指定するかについて。
- 二
- 特定の株主から自社株を購入するために想定している購入数や獲得予算、獲得期間を合意できるかどうかについて。
- 三
- 全部取得条項付種類株式の発行をするかどうか、あるいは譲渡制限株式を承継した人に株式の売り渡しを請求するかどうかについて。
- 四
- 株式を併合するかどうかについて。
- 五
- 株式の募集を始める前に決めておかねばならない、数量や販売価格、募集期間などの事項を認めるかどうかについて。
- 六
- 新株予約権の発行前に決めておかねばならない、プロフィールや数量、支払いの要不要、割当日などの事項を認めるかどうかについて。
- 七
- 役員や会計監査人を解任するかどうかについて。
- 八
- 425●
- 九
- 447●
- イ
- ●
- ロ
- ●
- 十
- 454●
- 十一
- 6s-8s●
- 十二
- 5h●
- 3
- 次の議案の議論をする場合、半数以上の株主が株主総会に出席したで、さらに議決権の2/3以上の賛成により決議となります。
この場合、定款により出席数を過半数に規定することが認められます。
この場合、定款により議決権の2/3よりも多い割合の賛成で可決と規定することが認められます。
種類株式発行会社の株主総会はこのケースには該当しません。 - 一
- 株式を譲渡する際に、株式会社の承認を必要とするように定款を変更するかどうか。
- 二
- 783●
- 三
- 804●
- 4
- 株式を公開していない会社で、譲渡制限株式の株主に対する待遇の違いについて定款の変更を行うかどうかのテーマで株主総会で議論する場合、半数以上の株主が出席した上で、さらに議決権の3/4以上の賛成により決議となります。
この場合、投票数を過半数に規定することが認められます。
この場合、定款により議決権の3/4よりも多い割合の賛成で可決と規定することが認められます。
譲渡制限株式の株主に対する待遇の違いに関する定款の規定を廃止するかどうかについては、このケースに該当しません。 - 5
- 取締役会設置会社では、次の事案以外に、株主総会で話し合うテーマとして決めておいた事項しか議決をすることが認められません。
- 株主総会に提出された資料に対する詳しい調査をする人の選任や、議決権の3%以上の株主が招集した株主総会で業務や財産状況に対する調査をする人の選任について。
- 398●
原文
338
株主本人が出席しなくても代理人に
- 第310条
- 株主総会には株主本人が出席しなくても、代理人に議決権を行使させることが認められません。
株式会社に代理人として認めてもらうためには、代理人に関する委任状を株式会社に提出する必要があります。 - 2
- 委任状は株主総会ごとに有効なので、必要があれば毎回委任状を提出する必要があります。
- 3
- 委任状は書面の代わりにデジタルデータでも送っても有効です。
デジタルデータについて詳しいことは政令で規定されています。 - 4
- 予め株主総会開催の通知をデジタル通信で行っている株主に対しては、正当な理由がない限り株式会社にデジタルデータの委任状を拒否されることはありません。
- 5
- 株主総会に出席できる代理人の人数は株式会社によって制限されることがあります。
- 6
- 株主からの委任状やそのデジタルデータは、株主総会の閉会後3ヶ月間、株式会社の本社で保管されることになっています。
- 7
- 株主であれば、どのような委任状を受理したかを確認するため、株式会社に対して次の事項を要請することが認められます。
ただしその要請は営業時間内に行い、確認をするための目的を株式会社に伝えてください。 - 一
- 委任状の書面を閲覧したり、コピーを取ること。
- 二
- 委任状のデジタルデータをデジタルデバイスを使って閲覧したり、コピーやプリントアウトをすること。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 8
- 株主から委任状の書面やデジタルデータの閲覧やコピーの要請を受けたら、次のケースを除き、株式会社は対応をする必要があります。
- 一
- 株主としての権利を守ったり、権利を行使するために必要な調査以外の目的で委任状を調べようとしている場合。
- 二
- 株式会社の業務の妨害や、他の株主たちとの共同の利益を害するために株式会社に要請をしている場合。
- 三
- 不当な利益を得る目的で、委任状を調べた内容を第三者に提供しようとしている場合。
- 四
- 過去2年以内に、不当な利益を得る目的で、委任状を調べた内容を第三者に提供していた場合。
原文
339
議決権を書面で行使するには
- 第311条
- 株式会社から郵送された議決権行使書面に必要事項を記入して、期限までに株式会社に提出すると議決権の行使が認められます。
提出の期限について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 2
- 提出された議決権行使書面の記載内容は、株主総会に出席して投票されたのと同じように議決権の数にカウントされます。
- 3
- 株主総会でカウントされた議決権行使書面は、株主総会の閉会後3ヶ月間、株式会社の本社で保管されることになっています。
- 4
- 株主であれば、議決権行使書面の記載内容を確認するため、株式会社に対して書面の閲覧やコピーの要請をすることが認められます。
ただしその要請は営業時間内に行い、確認をするための目的を株式会社に伝えてください。 - 5
- 株主から議決権行使書面の閲覧やコピーの要請を受けたら、次のケースを除き、株式会社は対応をする必要があります。
- 一
- 株主としての権利を守ったり、権利を行使するために必要な調査以外の目的で議決権行使書面を調べようとしている場合。
- 二
- 株式会社の業務の妨害や、他の株主たちとの共同の利益を害するために株式会社に要請をしている場合。
- 三
- 不当な利益を得る目的で、議決権行使書面を調べた内容を第三者に提供しようとしている場合。
- 四
- 過去2年以内に、不当な利益を得る目的で、議決権行使書面を調べた内容を第三者に提供していた場合。
原文
340
議決権をデジタルで行使するには
- 第312条
- 株式会社が了承しているデジタルデータを使った方法で、期限までに株式会社に提出すると議決権の行使が認められます。
提出の期限について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 2
- 予め株主総会開催の通知をデジタルデータで行っている株主に対しては、正当な理由がない限り株式会社にデジタルデータによる議決権行使を拒否されることはありません。
- 3
- 提出された議決権行使のデジタルデータの記載内容は、株主総会に出席して投票されたのと同じように議決権の数にカウントされます。
- 4
- 株主総会でカウントされた議決権行使のデジタルデータは、株主総会の閉会後3ヶ月間、株式会社の本社で保管されることになっています。
- 5
- 株主であれば、議決権行使の記載内容を確認するため、株式会社に対してデジタルデータの閲覧やコピー、プリントアウトの要請をすることが認められます。
ただしその要請は営業時間内に行い、確認をするための目的を株式会社に伝えてください。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 6
- 株主から議決権行使のデジタルデータの閲覧やコピーの要請を受けたら、次のケースを除き、株式会社は対応をする必要があります。
- 一
- 株主としての権利を守ったり、権利を行使するために必要な調査以外の目的で議決権行使のデジタル情報を調べようとしている場合。
- 二
- 株式会社の業務の妨害や、他の株主たちとの共同の利益を害するために株式会社に要請をしている場合。
- 三
- 不当な利益を得る目的で、議決権行使のデジタルデータで調べた内容を第三者に横流ししようとしている場合。
- 四
- 過去2年以内に、不当な利益を得る目的で、議決権行使のデジタルデータで調べた内容を第三者に横流ししていた場合。
原文
341
バラバラに議決権は行使できる
- 第313条
- 必ずしも全ての議決権を同じ案に投票する必要はなく、バラバラの案に議決権を投じてもかまいません。
- 2
- 取締役会設置会社の株主総会でバラバラの案に議決権を投じようとする場合、株主総会の三日前までに株式会社に対して、理由を添えて、バラバラの案に議決権を投じるつもりであることを伝える必要があります。
- 3
- バラバラの案に議決権を投じた場合、株式会社にこのやり方での投票を拒否されることがあります。
ただし、この株主が複数の人による共有株式の代表者である場合は、バラバラの案に議決権を投じても株式会社に投票を拒否されることはありません。
原文
342
株主から説明を求められたら
- 第314条
- 株主総会のテーマについて株主から説明を求められたら、取締役や会計参与、監査役、執行役の役職にある人は、必要な説明を行ってください。
ただし、次の場合は説明を行う必要はありません。- 求められた内容が株主総会のテーマにそぐわない場合。
- その説明をすると他の株主のみなさんの利益を著しく害することになる場合。
- 正当な理由として法務省令の規定で認められている場合。
原文
343
議長の役目
- 第315条
- 株主総会の秩序ある議事進行は議長の役目です。
- 2
- 株主総会で議長の命令に従わない人や秩序を見出そうとしない人は議長によって総会から退場させられることがあります。
原文
344
株式会社の資料や状況を調査する人を
- 第316条
- 取締役や会計参与、監査役、監査役会、会計監査人から株主総会に提出された資料について、詳しく調査を必要だと株主側が考えた場合、株主総会で決議を得て調査をする人を選任することができます。
- 2
- 議決権の3%以上の株式を6ヶ月以上前から継続的に所有している株主が招集した株主総会で株主側が株式会社の業務や財産の状況について詳しく調査を必要だと考えた場合、株主総会で決議を得て調査をする人を選任することができます。
原文
345
延期や続行になったら
- 第317条
- 《株主総会の延期》や《株主総会の続行》が決まった場合、先延ばしされた株主総会について、改めて話し合う事項を決め直したり、改めて株主宛に通知を送る必要はありません。
《株主総会の延期》とは、“成立に必要な出席数を満たして株主総会を開催したものの、話し合いは後日に先延ばしすると決議すること”を言います。
《株主総会の続行》とは、“成立に必要な出席数を満たして株主総会を開催して議論を始めたものの、話し合いの続きや決議を後日に先延ばしすると決議すること”を言います。
原文
346
話し合われた内容は議事録に
- 第318条
- 株主総会で話し合われた内容は、議事録にまとめられます。
議事録について詳しいことは法務省令に規定されています。 - 2
- 株主総会の議事録は、閉会から10年間、株式会社の本社で保管されます。
- 3
- 株主総会の議事録を複製したものは、閉会から5年間、株式会社の支店でも保管されます。
議事録の複製の代わりに、支店でデジタルデータを閲覧できるようにする場合もあります。
デジタルデータについて詳しいことは法務省令に規定されています。 - 4
- 株主や株式会社にお金を貸している人などは、株式会社の営業時間内であれば次の請求をすることが認められます。
- 一
- 株主総会の議事録の書面を閲覧したり、コピーを取ること。
- 二
- 株主総会の議事録のデジタルデータを、デジタルデバイスを使って閲覧したり、コピーやプリントアウトをすること。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 5
- 株式会社の親会社は、親会社としての権利を行使するために必要なときに限り、裁判所の許可を得れば、株主総会の議事録の閲覧やコピーを取ることが認められます。
原文
347
書面やデジタルデータにより反対の意思が示されなければ
- 第319条
- 取締役や株主から提案された株主総会の議案について、株主から書面やデジタルデータにより全員から賛成の意思表示がなされた場合、株主総会で議論するまでもなく可決されたものとなります。
- 2
- 反対の意思がないことにより株主総会で議論されるまでもなく可決された議案について反対意思が示されなかった議決権を表記した書面やデジタルデータは、株式会社の本店で10年間保管されます。
- 3
- 株主や株式会社にお金を貸している人などは、株式会社の営業時間内であれば次の請求をすることが認められます。
- 一
- 反対意思が示されなかった議決権を表記した書面を閲覧したり、コピーを取ること。
- 二
- 反対意思が示されなかった議決権を表記したデジタルデータをデジタルデバイスを使って閲覧したり、コピーやプリントアウトをすること。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 4
- 株式会社の親会社は、親会社としての権利を行使するために必要があって、反対意思が示されなかった書面やデジタルデータの閲覧やコピー、プリントアウトをするには裁判所の許可を得る必要があります。
- 5
- 取締役や株主から提案された全ての株主総会の議案について、株主から書面やデジタルデータにより全く反対の意思が示されないことにより可決された場合は、株主総会が開催されて議論を経て閉会されたものとなります。
原文
348
株主全員に報告の通知をして大丈夫と同意したら
- 第320条
- 株主総会の場で取締役から報告すべき事項について、事前に報告内容を通知した上で、株主全員から「報告内容の通知を受け取ったので株主総会の場で報告を受けなくても大丈夫」という同意を得ることができたら、改めて株主総会で報告を行う必要はなくなります。
株主の同意は、書面かデジタルデータで行います。
原文
349
第2款 種類株主総会
第二款 種類株主総会
種類株主総会で決議できること
- 第321条
- 種類株式を発行している株式会社にて開催される種類株主総会では、会社法の規定と定款に定められている事項に限り、決議することができます。
原文
350
種類株式発行会社である種の株主に損害を及ぼす行為をするには
- 第322条
- 配当や議決権などのバリエーションがある種類株式発行会社で次の行為が行われると、ある種の株式の株主には損害を及ぼすリスクが想定されます。
そのため次の行為が効力を持つためには、該当する種類株主を加えた株主総会を開催して、決議を得る必要があります。
なお、該当する種類株主にはそもそも議決権が認められていない場合には、株主総会の決議を得る必要がありません。 - 一
- 次の株式発行に関する定款の変更をする場合。
- イ
- 株式の種類を追加すること。
- ロ
- 株式の内容を変更すること。
- ハ
- 発行可能な株式の総数を増やすことや、発行可能な種類株式の総数を増やすこと。
- 一の二
- 特別支配株主による株式売渡請求を承認すること。
- 二
- 株式を併合することや、株式を分割すること。
- 三
- 所有する株式の割合に応じた株主への株式無償割当てをすること。
- 四
- 既存の株主に対する優先的な配慮の上での株式募集を行うこと。
- 五
- 株主を対象とした新株予約権の募集を行うこと。
- 六
- 既存の株主に対する無償の新株予約権の割当を行うこと。
- 七
- 合併すること。
- 八
- 吸収分割をして、残る会社以外は消滅させること。
- 九
- 吸収分割をして、消滅する会社の事業や権利を他の会社が引き継ぐこと。
- 十
- 新設分割をして、消滅する会社の事業や権利を新設した会社が引き継ぐこと。
- 十一
- 株式交換をして、発行済の全ての株式を別の会社に取得してもらうこと。
- 十二
- 株式交換をして、別の株式会社の発行済の全ての株式を取得すること。
- 十三
- 株式移転をして、発行済の全ての株式を他の会社に取得させること。
- 十四
- 株式交付をして、子会社にする株式会社の株式を譲り受け、その対価として自社の株式を子会社に譲り渡すこと。
- 2
- 種類株式の内容として、その種類株式の株主に損害のリスクがある行為であっても株主総会での決議がなくても行うことができる、と定款に規定することが認められます。
- 3
- 定款の内容として株主総会での決議な無くても損害のリスクがある行為が認められるとした場合、株主総会での決議が必要なくなります。
ただし、株式の種類を追加したり、株式の内容を変更することについては、あまりにも損害が大きくなりすぎるため、株主総会での決議が必要となります。 - 4
- 発行済の種類株式に対して定款を変更して、株主総会での決議な無くても損害のリスクがある行為が認められるととするためには、該当する種類株式の株主全員の同意を得なければなりません
原文
351
種類株式の株主による種類株主総会での決議も
- 第323条
- 定款の種類株式に関する内容について、議案が成立するためには一般の株主総会での決議だけではなくて、この種類株式の株主による種類株主総会での決議も必要とすることが認められます。
この定款の規定に反して、株主総会で決議が得られても、種類株主総会で決議が得られなかったら、議案は通過できません
種類株主総会を開催しても決議に参加できる人が誰もいない場合は、種類株主総会を開会することはできません。
原文
352
種類株式の株主総会で決議となるには
- 第324条
- 種類株式の株主総会では、その種類株式の議決権の過半数の種類株主が種類株主総会に出席した上で、さらに種類株主の議決権の過半数の賛成により決議となります。
定款で出席や議決権の条件を緩く規定したり、厳しく規定することも認められます。 - 2
- 種類株式の株主総会において次の議案を議論する場合、その種類株式の議決権の過半数の株主が出席する株主総会で、出席した種類株主の議決権の2/3以上が賛成をすると議案は可決となり、それに満たなければ否決、となります。
この場合、定款により出席数を議決権の1/3以上に規定することが認められます。
この場合、定款により議決権の2/3よりも多い割合の賛成で可決と規定することが認められます。
この場合、出席数の条件を満たし、賛成の比率を超える条件を満たした上に、定款により必ず議決権の一定数を超える賛成が必要であると規定することも認められます。 - 一
- 種類株式の発行会社における譲渡制限株式の発行に関する定款変更についてや、総会の決議により全ての株式を取得できることとする全部取得条項付種類株式の採用について。
- 二
- 種類株式の発行会社における譲渡制限株式の追加発行についてや、譲渡制限株式の追加発行に関して取締役に委任するかどうかについて。
- 三
- 種類株式の発行会社における新株予約権の発行についてや、譲渡制限株式の新株予約権の発行について。
- 四
- ある種の種類株式の株主には損害を及ぼすリスクが想定される株式の変更に関する定款の変更や、株式の併合、株式無償割当てなど。
- 五
- ●347
- 六
- ●795-4
- 七
- ●816no3-3
- 2
- 種類株式の株主総会において次の議案の議論をする場合、半数以上の株主が出席する株主総会で、出席した株主の議決権の2/3以上が賛成をすると議案は可決となり、それに満たなければ否決、となります。
この場合、定款により出席数を過半数に規定することが認められます。
この場合、定款により議決権の2/3よりも多い割合の賛成で可決と規定することが認められます。 - 一
- 譲渡制限株式の発行について。
- 二
- ●783−3、804-3
原文
353
一般的な株主総会の規定を同じように
- 第325条
- 一般的な株主総会に関する第1款の規定は、種類株式の株主総会でも同じように適用します。
ただし以下の規定は、種類株式の株主総会の規定を適用します。- 株主総会で決議できること。(組織体制、運営方法、管理方法など株式会社に関わる一切のこと)
- 取締役会が設置されている株式会社の株主総会で決議すること。(定款で定められていること)
- 定期株主総会は1年に1度、事業の年度が終わりの一定の期間中に開催されること。
- 必要があれば随時、株主総会は開催されること。
- 株主総会での決議となる条件について。
原文
354
第3款 株主総会の情報をデジタル公開
第三款 電子提供措置
取締役が株主総会を招集するなら情報はデジタルデータで公開を
- 第325条の2
- 取締役が株主総会を招集する際に次の情報はデジタルデータで提供することを定款に規定することが認められます。
この場合、定款に《電子提供措置をとる》と規定します。
提供の方法について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 一
- 株主総会参考書類。
- 二
- 議決権行使書面
- 三
- ●437
- 四
- ●444
●
原文
355
デジタルデータで株主総会に関する情報を公開する期間
- 第325条の3
- デジタルでの議決権行使に対応する株式会社や取締役会が設置されている株式会社で、株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することとした場合、所定の期間中は次の情報をデジタルデータとして公開し続ける必要があります。
この期間のスタートは、株主総会当日の3週間前の日か、デジタルでの議決権行使に対応する株主総会の開催通知を配信した日のどちらか早い方となります。
この期間の終了は、株主総会が閉会してから3ヶ月を経過した日までです。
この期間の開始日のことを《電子提供措置開始日》といいます。 - 一
- 株主総会の開催日時と開催場所、議案、書面やデジタルでの議決権行使のサービス情報など。
- 二
- 書面で議決権の行使ができるサービスを導入する株式会社では、株主総会の参考書類や議決権行使書面の内容。
- 三
- デジタルで議決権の行使ができるサービスを導入する株式会社では、株主総会の参考書類の内容。
- 四
- 株主からの問い合わせのあった議案についての概要。
- 五
- ●437
- 六
- ●444
- 七
- 提供したデジタルデータに変更があった場合に、変更内容の詳細について。
- 2
- 書面による株主総会の開催通知に議決権行使の書面が同封されていれば、株主総会に関する情報をデジタルデータで公開する場合であっても議決権行使に関するデジタルデータでの情報は掲載しなくてもかまいません。
- 3
- 有価証券報告書やその関係書類をデジタル公開のためのシステムによって公開している株式会社であれば、上記のデジタルデータを自社で公開する必要はありません。
有価証券報告書のデジタル公開についての詳しいことは、金融商品取引法第二十四条第一項に規定されています。
有価証券報告書のデジタル公開のためのシステムのことを《開示用電子情報処理組織》といいます。
原文
356
デジタルデータで株主総会に関する情報を公開するならば
- 第325条の4
- 株主総会の開催についての情報をデジタルデータで提供する場合、1週間以内に開催を通知すると定款に規定している非上場の株主総会であっても、通知期間を2週間以上にする必要があります。
- 2
- 株主総会の開催についての情報をデジタルデータで提供する場合であっても行う必要のある通知書面には、法務省令で規定されているその他の必要事項の代わりに以下の事項を記載してください。
- 一
- 開催についての情報がデジタルデータで公開されていること。
- 二
- 《開示用電子情報処理組織》で情報が公開されている場合、株主総会の開催についての情報が開示用電子情報処理組織で提供されていること。
- 三
- その他、法務省令で規定されている事項。
- 3
- 株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することについて定款に記載されている株式会社では、株主総会開催の通知について議決権行使の参考資料の書類や、議決権の投票書類、決算関係の書類を株主に対して送付する必要はありません。
- 4
- 株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することについて定款に記載されている株式会社では、株主から要請を受けた株主総会の概要の中の書面で行う必要があるとされる議決権行使に関する事項についてもデジタルデータで対応することが認められます。
原文
357
デジタルデータでの提供について定款に記載のある株式会社であっても
- 第325条の5
- 株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することについて定款に記載のある株式会社であっても、その株主が所定の期間中デジタルデータで公開される株主総会に関する情報について書面での提供を求めることは可能です。
ただし、予め株主総会の開催通知はデジタルデータで行われることについて承諾している株主は書面での情報提供を求めることはできません。 - 2
- 株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することとした場合であっても、株主から株主総会に関する情報を書面で提供するように求められたら、株主総会の開催に関する通知の際に書面での提供に対応してください。
“株主からデジタルデータではなく書面で株主総会に関する情報の提供を求められること”を《書面交付請求》といいます。 - 3
- 法務省令で、株主総会に関する情報をデジタルデータで提供する場合に必ずしも記載する必要はないと規定されているものについては、定款で記載しないことを記載することが認められます。
- 4
- 株主から《書面交付請求》を受けてから1年経ったら、その株主に対して「書面での株主総会に関する情報の提供は終了しますので、差し支えることがあれば期限までに連絡ください」という内容の通知することが認められます。
この期限は通知が届いてから1ヶ月以上となるよう時間的な猶予を確保してください。 - 5
- この期限内に株主から差し支えがあるという内容の連絡がなければ、書面での株主総会に関する情報の提供は終了となります。
差し支えがあるという内容の連絡があれば、書面での株主総会に関する情報の提供は継続となります。
原文
358
デジタルデータの公開ができなかった場合でも
- 第325条の6
- 株主総会に関する情報をデジタルデータとして公開し続ける必要がある期間中に、トラブルで公開ができない状況になったとしても、次の要件を全てクリアできれば問題なく公開されたものとみなされます。
公開内容の変更があった場合に、変更内容の公開期間が要件を満たすことができなかった場合も、次の要件を全てクリアできれば問題なく公開されたものとみなされます。 - 一
- 株式会社に予期できない原因で公開が中断した場合や、意図的に中断していない場合、公開が中断したしたことについて株式会社に正当な理由がある場合のいずれかに該当すること。
- 二
- 公開が中断したのが、公開開始から株主総会の当日を経て公開終了するまでの期間中の10%を超えていないこと。
- 三
- 公開が中断したのが、公開開始から株主総会の当日までの期間中の10%を超えていないこと。
- 四
- 公開の中断が発覚したら、どのような内容について公開が中断したのか、また中断していた期間がどれくらいかについてもデジタルデータでの情報公開を行っていること。
原文
359
種類株主の株主総会にも
- 第325条の7
- 種類株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することとした場合、次の通常の株主総会に関する条文を同じように適用します。
原文
360
第2節 株主総会の他のシステム
第二節 株主総会以外の機関の設置
株主総会以外で株式会社に対する権限を持つシステム
- 第326条
- 株式会社には必ず取締役がすくなくとも1名、ないし2名以上置かれることになっています。
- 2
- 株式会社には定款に記載することにより次の役職を置くことができます。
- 取締役会
- 会計参与
- 監査役
- 監査役会
- 会計監査人
- 監査等委員会
- 指名委員会
“取締役”の権限や役割について詳しいことは第348条に規定されています。
“取締役会”について詳しいことは第5節 取締役会に規定されています。
“会計参与”について詳しいことは第6節 会計参与に規定されています。
“監査役”について詳しいことは第7節 監査役に規定されています。
“監査役会”について詳しいことは第8節 監査役会に規定されています。
“会計監査人”について詳しいことは第9節 会計監査人に規定されています。
“監査等委員会”について詳しいことは第9節の2 監査等委員会に規定されています。
“指名委員会”について詳しいことは第10節 指名委員会に規定されています。
原文
361
取締役会を設置する必要がある株式会社とは
- 第327条
- 次に該当する株式会社は取締役会を設置する必要があります。
- 一
- 公開会社。
- 二
- 監査役会設置会社。
- 三
- 監査等委員会設置会社。
- 四
- 指名委員会等設置会社。
- 2
- 株式公開している取締役設置会社や、会計参与を置かない取締役設置会社は監査役を置く必要があります。
- 3
- 会計監査人設置会社は監査役を置く必要があります。
- 4
- 監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社は、監査役を置かないでください。
- 5
- 監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社は、会計監査人を置く必要があります。
- 6
- 指名委員会等設置会社は、監査等委員会を置かないでください。
原文
362
社外取締役を設置する必要がある株式会社とは
- 第327条の2
- 公開会社で、資本金が5億円以上あるなどの大会社に相当し、発行する株式について有価証券報告書の提出が義務付けられている監査役会設置会社は、社外取締役を置く必要があります。
大会社の基準は第2条第1項第六号に資本金5億円以上か、または貸借対照表の負債額の合計が200億円以上と規定されています。
原文
363
大会社であれば監査役会と会計監査人を
- 第328条
- 公開会社である大会社は、監査役会と会計監査人を置く必要があります。
- 2
- 公開会社ではない大会社は、会計監査人を置く必要があります。
原文
364
第3節 役員と会計監査人について
第三節 役員及び会計監査人の選任及び解任
第1款 役員と会計監査人の決め方
第一款 選任
役員と会計監査人の決め方は
- 第329条
- 株式会社における役員とは、取締役と会計参与、監査役を指します。
役員は株主総会での決議によって決められます。
会計監査人も株主総会での決議によって決められます。 - 2
- 監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役と、監査等委員ではない取締役と区別して株主総会で決議を得てください。
- 3
- 役員ポストは株式会社ごとに定数が決められていますが、お亡くなりになったり、辞任や解任によりそのポストに空席ができたときに備えて、株主総会の議決により補欠の役員を決めておくことが認められます。
補欠の役員の議決について詳しいことは法務省令で規定されています。
原文
365
役員や会計監査人は委任を
- 第330条
- 役員や会計監査人が決まったら、その人は株式会社からそれぞれの職務を委任されます。
原文
366
取締役に就任できない人
- 第331条
- 以下に該当する《人》は取締役に就任することは認められません。
- 一
- 法人。
- 二
- ー削除ー
- 三難文
- 会社法の規定に違反して刑罰を受け、その刑期を終えた日から2年を経過していない人。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定に違反して刑罰を受け、その刑期を終えた日から2年を経過していない人。
以下の法律で規定されている罪を犯し、その刑罰としての刑期を終えた日から2年を経過していない人。- 金融商品取引法の以下の罪。
- 第197条
- 有価証券届出書、訂正届出書、発行登録書、訂正発行登録書、発行登録追補書類、有価証券報告書や公告、重要事項などの虚偽記載の罪。
- 第197条の2第一号
- 必要な届け出不受理での有価証券の募集、売出しの罪。
- 第197条の2第二号
- 有価証券の発行などに必要な届け出書類の重要事項虚偽記載の罪。
- 第197条の2第三号
- 有価証券の発行などに必要な届け出書類の未受理での発行、募集、売出しの罪。
- 第197条の2第四号
- 公開買付開始公告の義務違反の罪。
- 第197条の2第五号
- 有価証券報告書、訂正報告書、内部統制報告書、公開買付届出書、公開買付撤回届出書、公開買付報告書、大量保有報告書とこれらの添付書類の変更報告書の提出義務違反の罪。
- 第197条の2第六号
- 有価証券報告書や内部統制報告書とこれらの添付書類、四半期報告書、半期報告書、臨時報告書、自己株券買付状況報告書、親会社等状況報告書、意見表明報告書、対質問回答報告書とこれらの訂正報告、大量保有報告書とその変更報告書やその訂正報告書の重要事項虚偽記載の罪。
- 第197条の2第七号
- 公開が必要な届出書類や訂正書類などの重要事項についての虚偽内容の公開の罪。
- 第197条の2第八号
- 公開買付説明書の重要事項についての虚偽内容の交付の罪。
- 第197条の2第九号
- 公開買付けの撤回などの虚偽公告の罪。
- 第197条の2第十号
- 公開買付時における重要事項発生の際の通知義務違反の罪。
- 第197条の2第十号の二
- 未提供または未公表の特定証券情報の特定勧誘などの罪。
- 第197条の2第十号の三
- 特定投資家向け有価証券の発行者の事業年度ごとに課せられた有価証券に関する情報の公開義務違反の罪。
- 第197条の2第十三号
- デリバティブ取引やインサイダー取引における不正行為の罪。
- 第197条の2第十四号
- 公開買付けにおけるインサイダー取引規制違反の罪。
- 第197条の2第十五号
- インサイダー取引規制違反の罪。
- 第198条第八号
- 公益や投資家保護のために裁判所による禁止命令違反の罪。
- 第199条
- 内閣総理大臣による金融機関等に対する業務や財産状況に関する報告命令違反や虚偽報告の罪。
- 第200条第一号
- 金融商品取引所への必要書類の提出義務違反の罪。
- 第200条第二号
- 有価証券の募集や売出しの届け出の変更や不備に対する訂正届出書の提出義務違反の罪。
- 第200条第三号
- 有価証券の募集や売出しの際の目論見書交付義務違反、
公開買付けによらない買付け禁止違反、
公開買付けの応募株数の公告義務違反、
公開買付報告書等の提出義務違反、
公開買付届出書の公開義務違反の罪。 - 第200条第四号
- 訂正発行登録書の提出義務違反の罪。
- 第200条第五号
- 訂正報告書、四半期報告書、半期報告書、臨時報告書、親会社等状況報告書、自己株券買付状況報告書の提出義務違反の罪。
- 第200条第六号
- 有価証券報告書やその添付書類の公開義務違反の罪。
- 第200条第七号
- 公開買付開始公告の内容の内閣総理大臣による訂正命令違反の罪。
- 第200条第八号
- 公開買付開始公告の内容の訂正届出書や訂正報告書の提出義務違反の罪。
- 第200条第九号
- 公開買付説明書の交付義務違反の罪。
- 第200条第十号
- 公開買付に関わる意見表明報告書や対質問回答報告書の提出義務違反の罪。
- 第200条第十一号
- 公開買付けに関わる意見表明報告書の意見表明報告書の写しの送付義務違反の罪。
- 第200条第十二号
- 大量保有報告書や変更報告書の訂正報告書の提出義務違反の罪。
- 第200条第十二号の二
- 重要事項の訂正特定証券情報の提供義務や公表義務の違反の罪。
- 第200条第二十号
- 有価証券の相場の虚偽公示の罪、虚偽文章の作成や配布の罪、その依頼や請負の罪。
- 第200条第二十一号
- 有価証券の勧誘時などの有利誤認表示違反の罪、基準想定と異なる配当などの表示違反の罪。
- 第203条第3項
- 金融商品取引における贈賄の罪。
- 第205条第一号
- 株主に対する有価証券募集の届け出義務違反の罪、
有価証券募集の際の虚偽記載目論見書使用の罪。 - 第205条第二号
- 有価証券募集の届け出の有効期間中の残部の募集における目論見書の交付義務違反の罪。
- 第205条第三号
- 公開買付における意見表明報告書の訂正報告書の提出義務違反の罪。
- 第205条第四号
- 公開買付における公開買付届出書、公開買付撤回届出書、公開買付報告書、意見表明報告書、対質問回答報告書の不実記載の罪。
- 第205条第五号
- 内閣総理大臣による公益と投資家の保護のための資料提出義務違反や虚偽報告の罪。
- 第205条第六号
- 内閣総理大臣による公益と投資家の保護のための検査拒否の罪。
- 第205条第十九号
- 有価証券の取引等に関する報告書の提出義務違反や虚偽記載の罪、
利益関係書類の写しに不実記載についての虚偽申し立ての罪。 - 第205条第二十号
- 特定有価証券等の売付けなどの取引における禁止事項違反の罪、
広告以外で公開買付者からの対価を受けての意見公表禁止違反の罪。
- 第197条
- 民事再生法の以下の罪
- 外国倒産処理手続の承認援助に関する法律の以下の罪
- 会社更生法の以下の罪
- 破産法の以下の罪
もしくは、それぞれの刑の執行を受けなくて済むことが確定した日から2年を経過していない人。 - 金融商品取引法の以下の罪。
- 四
- 金融商品取引法、民事再生法、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律、会社更生法、破産法の罪の内、第三号に該当しない罪を犯し、その刑罰として禁錮以上の刑を終えていない人。
もしくは、禁固刑の執行猶予期間中の人や、禁固刑の執行を受けなくて済むことが確定していない人。 - 2
- 株式を公開している株式会社では、「取締役は株主でなければならない」という主旨の規定を定款に記載することは認められません。
- 3
- 監査等委員である取締役は、その会社またはその子会社において次の職務に就くことは認められません。
- 業務執行取締役
- 会社の権限を任された支配人や、そのような権限を任せられたスタッフ
- 子会社の会計参与や、会計参与が法人の場合の業務担当スタッフ
- 執行役
- 4
- 指名委員会等設置会社の取締役は、その会社で権限を任された支配人や、そのような権限を任せられたスタッフを兼ねることは認められません。
- 5
- 取締役会設置会社では、取締役の人数は3人以上としてください。
- 6
- 監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役の人数は3人以上で、社外取締役がその内の過半数としてください。
原文
367
成年後見人が付いている人が取締役に就任するためには
- 第331条の2
- 聞いたり、話したり、考えたり、覚えたりする能力に障害あるためコミュニケーションがとれない人だとして、裁判所の審判により成年後見人の面倒を見てもらっている人が取締役に就任するためには、成年後見人に取締役就任についての同意と承諾をしてもらう必要があります。
- 2
- 聞いたり、話したり、考えたり、覚えたりする能力に障害あるため約束や取引をする際には念押しが必要な人だとして、裁判所の審判により保佐人に念押しをしてもらっている人が取締役に就任するためには、保佐人に取締役就任についての同意をしてもらう必要があります。
- 3
- 裁判所の審判により保佐人に代理権を与えている人が取締役に就任するためには、保佐人に取締役就任についての同意と承諾をしてもらう必要があります。
- 4
- 成年後見人が承諾をしたり、保佐人に同意をしていたら、被成年後見人や被保佐人の取締役就任であっても、それが理由での取り消しは認められません。
被成年後見人については民法第7条〜第10条に規定されています。
被保佐人についての民法第11条〜第14条に規定されています。
原文
368
取締役の任期
- 第332条
- 取締役の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば2期目の定時株主総会が終了するまでです。
事業年度が変則となるケースでは、取締役就任から2年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。
定款で任期をこれより短く設定することは認められます。 - 2
- 株式を公開していない株式会社であれば、取締役の任期を10期目の定時株主総会が終了するまでとすることが認められます。
事業年度が変則となるケースでは、取締役就任から10年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。 - 3
- 監査等委員会設置会社で監査等委員ではない取締役の任期は、1年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。
- 4
- 監査等委員会設置会社で監査等委員である取締役の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば2期目の定時株主総会が終了するまでです。
事業年度が変則となるケースでは、取締役就任から2年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。
ただし、定款で任期をこれより短く設定することは認められません。 - 5難文
- 監査等委員である取締役が2年の任期の満了前に退任したら、補欠の取締役が就任することになります。
この取締役の任期については監査等委員であっても、2期目の定時株主総会の終了を待たず、退任した先の取締役の任期までとしてもかまいません。 - 6
- 指名委員会等の設置会社の取締役の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば1期目の定時株主総会が終了するまでです。
- 7
- 次の内容についての定款の変更を行った場合、その変更が実際に行われた時点で取締役の任期は満了となります。
- 一
- 監査等委員会や指名委員会等の設置についての定款変更。
- 二
- 監査等委員会や指名委員会等の廃止についての定款の変更。
- 三
- 全ての株式に対して譲渡制限がかけられている場合に、株式の譲渡の際に株式会社の承認を必要とする規定の撤廃をして譲渡制限解除とする定款の変更。
監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社にはこの変更は任期満了となる条件の対象とはなりません。
原文
369
会計参与になるための資格
- 第333条
- 会計参与になるためには、個人であれば公認会計士か税理士、法人であれば監査法人か税理士法人である必要があります。
- 2
- 監査法人か税理士法人が会計参与となる場合、担当社員を決めて株式会社に通知する必要があります。
第3項の各号に該当する人は会計参与の担当社員に就くことはできません。 - 3
- 次に該当する人は会計参与に就くことができません。
- 一
- 株式会社やその子会社の取締役、監査役、執行役、支配人その他の社員。
- 二
- 公認会計士や税理士としての業務停止の処分中の人。
- 三
- 弁護士、外国法事務弁護士、公認会計士、弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士の業務停止処分を受けている人。
不動産鑑定士の鑑定評価等業務の禁止処分を受けている人。
公職で停職処分や免職処分を受けている人。
原文
370
会計参与の任期
- 第334条
- 会計参与の任期は、第332条の取締役の任期についての規定を同じように適用します。
第332条の規定の内、第4項と第5項は監査等委員と取締役を兼務する場合の規定なので、会計参与については適用の対象外となります。 - 2
- 定款で、会計参与を置くという規定を廃止した場合、これまで努めていた会計参与の任期も満了となります。
原文
371
監査役に就任できない人
- 第335条
- 法人は監査役に就任することはできません。
第331条第1項第三号の規定に該当する刑罰を受けその刑期を終えた日から2年を経過していない人、第四号の規定に該当する刑罰として禁錮以上の刑を終えていない人も監査役に就任することはできません。
株式を公開している株式会社では、「監査役は株主でなければならない」という主旨の規定を定款に記載することは認められません。
成年後見人が付いている人が監査役に就任する場合、第331条の2を同じように適用します。 - 2
- 監査役は、その会社またはその子会社において次の職務に就くことは認められません。。
- 取締役
- 会社の権限を任された支配人
- 子会社の会計参与や、会計参与が法人の場合の業務担当スタッフ
- 執行役
- 3
- 監査役会設置会社は3人以上の監査役を置き、そのうち半数以上は社外監査役とする必要があります。
原文
372
監査役の任期
- 第336条
- 監査役の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば4期目の定時株主総会が終了するまでです。
事業年度が変則となるケースでは、取締役就任から4年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。 - 2
- 株式を公開していない株式会社であれば、監査役の任期を10期目の定時株主総会が終了するまでとすることが認められます。
事業年度が変則となるケースでは、監査役就任から10年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。 - 3
- 監査役が4年の任期の満了前に退任したら、補欠の監査役が就任することになります。
この監査役の任期は、4期目の定時株主総会の終了を待たず、退任した先の監査役の任期までとしてもかまいません。 - 4
- 次の内容についての定款の変更を行った場合、その変更が実際に行われた時点で監査役の任期は満了となります。
- 一
- 監査役の廃止についての定款の変更。
- 二
- 監査等委員会や指名委員会等の設置についての定款の変更。
- 三
- 監査の業務範囲を会計関係に限定することを解除する定款の変更。
- 四
- 全ての株式に対して譲渡制限がかけられている場合に、株式の譲渡の際に株式会社の承認を必要とする規定の撤廃をして譲渡制限解除とする定款の変更。
原文
373
会計監査人になるための資格
- 第337条
- 会計監査人は、公認会計士であるか、監査法人が務める必要があります。
- 2
- 監査法人が会計監査人となる場合、担当社員を決めて株式会社に通知する必要があります。
監査法人の社員が、株式会社やその子会社から公認会計者や監査法人としての業務を請け負っている人、あるいはその人の配偶者である場合は、担当に就くことは認められません。
またこの株式会社やその子会社の取締役、会計参与、監査役、執行役から公認会計者や監査法人としての業務を請け負っている人、あるいはその人の配偶者である場合も、担当に就くことは認められません。 - 3
- 次に該当する人は会計監査人に就くことができません。
- 一
- 公認会計士法の規定により、貸借対照表、損益計算書の監査をすることが禁じられている人。
- 二
- この株式会社やその子会社から公認会計者や監査法人としての業務を請け負っている人、あるいはその人の配偶者。
この株式会社やその子会社の取締役、会計参与、監査役、執行役から公認会計士や監査法人としての業務を請け負っている人、あるいはその人の配偶者 - 三
- 社員の半数以上が、この株式会社やその子会社から公認会計者や監査法人としての業務を請け負っていたり、この株式会社やその子会社の取締役、会計参与、監査役、執行役から公認会計者や監査法人としての業務を請け負っている監査法人。
原文
374
会計監査人の任期
- 第338条
- 会計監査人の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば1期目の定時株主総会が終了するまでです。
事業年度が変則となるケースでは、取締役就任から1年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。 - 2
- 任期満了にあたる定時株主総会で、解任などの決議が行われなければ、会計監査人の任期は自動的に更新されることになります。
- 3
- 会計監査人設置会社が会計監査人廃止の定款変更が行われた場合、会計監査人の任期は満了となります。
原文
375
第2款 役員や会計監査人を解任するには
第二款 解任
株主総会の決議による役員や会計監査人の解任
- 第339条
- 役員や会計監査人は、どんなタイミングであっても株主総会での決議によって解任されることがあります。
- 2
- 役員や会計監査人を解任されて損害を被ることになったら、株式会社に対してその損害の賠償を請求することができます。
ただし、解任について正当な理由があれば、請求を認められないことになります。
原文
376
監査役の判断による会計監査人の解任
- 第340条
- 会計監査人は次のケースに該当すると、監査役の判断によって解任されることがあります。
- 一
- 職務上の義務に違反したり、職務を怠ったとき。
- 二
- 会計監査人としてふさわしくない、あるまじき行為をしたとき。
- 三
- 心や体の調子を崩して、職務に支障が出ていたり、職務に絶えられない状態になったとき。
- 2
- 複数の監査役が置かれている場合、会計監査人を監査役の判断により解任させるためには、監査役全員の同意が必要です。
- 3
- 監査役の判断により会計監査人を解任したら、その後の最初の株主総会で理由を含む解任に関する報告が監査役によって行われます。
- 4
- 監査役会設置会社では、会計監査人の職務上の義務違反や不適切な行為、会計監査人の体調などの不良の場合は監査役会の判断によって会計監査人を解任することになります。
会計監査人の解任には監査役会のメンバー全員の同意が必要です。
会計監査人を解任したら監査役会から選ばれた監査役より株主総会での報告が行われます。 - 5
- 監査等委員会設置会社では、会計監査人の職務上の義務違反や不適切な行為、会計監査人の体調などの不良の場合は監査等委員会の判断によって会計監査人を解任することになります。
会計監査人の解任には監査等委員会のメンバー全員の同意が必要です。
会計監査人を解任したら監査等委員会から選ばれた監査役より株主総会での報告が行われます。 - 6
- 指名委員会が設置されている株式会社、会計監査人の職務上の義務違反や不適切な行為、会計監査人の体調などの不良の場合は監査委員会の判断によって会計監査人を解任することになります。
会計監査人の解任には監査委員会のメンバー全員の同意が必要です。
会計監査人を解任したら監査委員会から選ばれた監査役より株主総会での報告が行われます。
原文
377
第3款 役員人事の手続き
第三款 選任及び解任の手続に関する特則
役員人事の議決権の必要数
- 第341条
- 株主総会において役員人事の決議は、議決権を行使できる株主の過半数が決議に参加した上で、その議決権の過半数の同意を得ることにより選任や解任が認められます。
決議に参加する過半数という数は、それを超える比率で定款に規定することが認められます。
決議で同意を得る過半数という数は、それを超える比率で定款に規定することが認められます。
原文
378
席数を超える複数の取締役を選任するには
- 第342条
- 複数の取締役を選任することが株主総会の議題となっている場合、株主側からも取締役の候補に加えることを請求することが認められます。
この場合の株主は取締役の選任に関する議決権を持っていることが不可欠で、候補者の数が選任される取締役の席数を超える場合は次の第3項から第5項の規定に従って決めることになります。
株主側からの請求について第3項から第5項以外の規定を定款で規定しておくことも認められています。 - 2
- 株主側からの鳥島躍候補の請求については、株主総会開催日の5日前までに行う必要があります。
- 3
- 席数を超える複数の取締役を選任する場合、株主には所有する議決権✕選任する取締役の人数分の投票権が与えられます。
この投票権は選任される取締役の人数分に割り振って投票することもできますし、所定の取締役候補に集中して投票することも認められます。 - 4
- 投票を行い、候補者の中で最も各得票数が多かった人から順に取締役の席数番目の人までが取締役として選任されます。
- 5
- その他の詳細については法務省令で規定します。
- 6
- 席数を超える複数の取締役候補の中から選任された取締役を解任する場合、議決権を行使できる株主の過半数が決議に参加し、その議決権の過半数の同意を得ることは求められません。
原文
379
監査等委員である取締役は株主総会で口出しを
- 第342条の2
- 監査等委員である取締役は、監査等委員である取締役の人選について株主総会で口出しをすることが認められます。
- 2
- 監査等委員である取締役がその職を辞任したら、その後に開催される株主総会で辞任の報告と辞任の理由を述べることが認められます。
- 3
- 監査等委員である取締役がその職を辞任して、その後に開催される株主総会の日程が決まったら、株式会社の取締役からその日程についての連絡を受けることになっています。
- 4
- 監査等委員会に選ばれた監査等委員は、監査等委員ではない取締役の人選について株主総会で口出しすることが認められます。
原文
380
監査役が置かれている株式会社では
- 第343条
- 監査役が置かれている株式会社では、取締役が株主総会に監査役の人選に関する議案を提出するためには、監査役の同意を得る必要があります。
監査役が複数いる場合は、過半数の同意を得る必要があります。 - 2
- 監査役が置かれている株式会社では、監査役から取締役に対して監査役の人選に関する議案を株主総会に提出するよう、要請することが認められます。
- 3
- 監査役会が設置されている株式会社では、取締役が株主総会に監査役会の人選に関する議案を提出するためには、監査役会の同意を得る必要があります。
監査役会が設置されている株式会社では、監査役会から取締役に対して監査役会の人選に関する議案を株主総会に提出するよう、要請することが認められます。 - 4
- 監査役の解任を決議するためには、株主の過半数が決議に参加した上でさらにその議決権の過半数の同意を得たとしても、それだけでは解任とはなりません。
原文
381
会計監査人の人選は監査役が議案の内容を
- 第344条
- 監査役が置かれている株式会社では、会計監査人の人事についての株主総会での議案内容は、監査役が決めることになっています。
- 2
- 複数の監査役が置かれている株式会社では、会計監査人の人事についての株主総会での議案内容は、監査役の過半数の意見によって決めることになっています。
- 3
- 監査役会が設置されている株式会社では、会計監査人の人事についての株主総会での議案内容は、監査役会が決めることになっています。
原文
382
監査等委員である取締役の選任を株主総会に上げるには
- 第344条の2
- 監査等委員会が設置されている株式会社では、取締役からの監査等委員である取締役の選任に関する議案は監査等委員会の同意を得なければ株主総会に提出することが認められません。
- 2
- 監査等委員会から取締役に対して、次の要請を行うことがあります。
- 監査等委員である取締役の選任について株主総会のテーマとすること。
- 監査等委員である取締役の選任についての議案を株主総会に提出すること。
- 3
- 監査等委員である取締役の解任を決議するためには、株主の過半数が決議に参加した上でさらにその議決権の過半数の同意を得たとしても、それだけでは解任とはなりません。
原文
383
会計参与は会計参与の人選や辞任についての意見を
- 第345条
- 会計参与は、会計参与の人選や辞任について株主総会で口出しをすることが認められます。
- 2
- 会計参与がその職を辞任したら、その後に開催される株主総会で辞任の報告と辞任の理由を述べることが認められます。
- 3
- 会計参与がその職を辞任して、その後に開催される株主総会の日程が決まったら、株式会社の取締役からその日程についての連絡を受けることになっています。
- 4
- 監査役は、監査役の人選や辞任について株主総会で口出しをすることが認められます。
監査役がその職を辞任したら、その後に開催される株主総会で辞任の報告と辞任の理由を述べることが認められます。
監査役がその職を辞任して、その後に開催される株主総会の日程が決まったら、株式会社の取締役からその日程についての連絡を受けることになっています。 - 5
- 会計監査人は、会計監査人の人選や辞任について株主総会で口出しをすることが認められます。
会計監査人がその職を辞任したら、その後に開催される株主総会で辞任の報告と辞任の理由を述べることが認められます。
会計監査人がその職を辞任して、その後に開催される株主総会の日程が決まったら、株式会社の取締役からその日程についての連絡を受けることになっています。
原文
384
役員の欠員時のピンチヒッター
- 第346条
- 辞めてしまったり、お亡くなりになったり、行方不明になったため役員の定員を割ることになったら、正式な次の役員が就任するまでの間、過去に退任した元役員に役員のピンチヒッターを務めてもらうことになります。
監査等委員会が設置されている株式会社では、普通の取締役の他、監査等委員を務める取締役や会計参与の定員を割ることになった場合も同じように過去に退任した元役員にピンチヒッターを務めてもらうことになります。 - 2
- 役員が定員割れしたせいでモメることになったら、その当事者からの裁判所に申し立てることにより、一時的な役員のピンチヒッターを決めてもらうことができます。
- 3
- 一時的なピンチヒッターの役員を裁判所に決めてもらう際には、その人の報酬額も決めてもらうこともできます。
- 4
- 会計監査人の席が空いてしまたのに正式な会計監査人がなかなか決まらないことになったら、監査役は一時的なピンチヒッターの会計監査人を決める必要があります。
- 5
- 一時的なピンチヒッターの会計監査人であっても、会計監査人になるための資格を有することが必要です。
一時的なピンチヒッターの会計監査人を解任する場合も、普通の会計監査人を解任する場合と同じ段取りが必要です。 - 6
- 監査役会が設置されている株式会社で、会計監査人の席が空いてしまったのに正式な会計監査人がなかなか決まらないことになったら、監査役会は一時的なピンチヒッターの会計監査人を決める必要があります。
- 7
- 監査等委員会が設置されている株式会社で、会計監査人の席が空いてしまったのに正式な会計監査人がなかなか決まらないことになったら、監査等委員会は一時的なピンチヒッターの会計監査人を決める必要があります。
- 8
- 指名委員会が設置されている株式会社で、会計監査人の席が空いてしまったのに正式な会計監査人がなかなか決まらないことになったら、監査委員会は一時的なピンチヒッターの会計監査人を決める必要があります。
原文
385
議決権のついている株式所有者による株主総会での議決で
- 第347条難文
- 取締役決める議決権が付いている株式と、議決権が付いていない株式が設定されている種類株式を発行している場合、次の規定をそれに合わせて同じように適用します。
- 第329条第1項
- 株主総会の決議で役員や会計監査人を決める場合、議決権付き種類株式の所有者による株主総会での決議によって決められます。
- 第332条第1項
- 取締役の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば2期目の議決権付き種類株主による定時総会が終了するまで、変則のケースでは取締役就任から2年以内で最終となる事業年度の議決権付き種類株主による定時株主総会が終了するまでです。
- 第339条第1項
- 役員や会計監査人は、どんなタイミングであっても議決権付き種類株式の所有者による株主総会での決議によって解任されることがあります。
- 第341条
- 役員人事の決議は、議決権付き種類株式の所有者である株主の過半数が決議に参加した上で、その議決権の過半数の同意を得ることにより選任や解任が認められます。
- 第344条の2第1項及と第2項
- 監査等委員会が設置されている株式会社では、取締役からの監査等委員である取締役の選任に関する議案は監査等委員会の同意を得なければ議決権付き種類株式の所有者による株主総会に提出することが認められません。
監査等委員会から取締役に対して、監査等委員である取締役の選任について議決権付き種類株式の所有者による株主総会のテーマにしたり、その件の議案を議決権付き種類株式の所有者による株主総会に提出することを要請することがあります。
- 第329条第1項
- 2難文
- 監査役を決める議決権が付いている株式と、議決権が付いていない株式が設定されている種類株式を発行している場合、次の規定をそれに合わせて同じように適用します。
- 第329条第1項
- 株主総会の決議で監査役を決める場合、議決権付き種類株式の所有者による株主総会での決議によって決められます。
- 第339条第1項
- 監査役は、どんなタイミングであっても議決権付き種類株式の所有者による株主総会での決議によって解任されることがあります。
- 第341条
- 監査役人事の決議は、議決権付き種類株式の所有者である株主の過半数が決議に参加した上で、その議決権の過半数の同意を得ることにより選任や解任が認められます。
- 第343条第1項及と第2項
- 取締役が議決権付き種類株式の所有者による株主総会に監査役の人選に関する議案を提出するためには、監査役の同意を得る必要があります。
監査役から取締役に対して監査役の人選に関する議案を議決権付き種類株式の所有者による株主総会に提出するよう、要請することが認められます。
- 第329条第1項
原文
386
第4節 取締役について
第四節 取締役
取締役のシゴト
- 第348条
- 取締役のシゴトは株式会社の業務を進めることです。
それ以外にシゴトについても定款で規定することが認められます。 - 2
- 複数の取締役がいる場合、シゴトのやり方や内容については取締役の過半数で決めます。
それ以外の決め方についても定款で規定することが認められます。 - 3
- 複数の取締役がいる場合、次の案件については特定の取締役にオマカセとすることは認められません。
- 一
- 《支配人》の人事について。
- 二
- 支店を開設したり、移転や閉店について。
- 三
- 株主総会を招集する際に決めておく必要がある事項について。
- 四
- 法務省令に規定されている、株式会社の業務が法令や定款に適合しているかどうかのチェック体制の整備について。
- 五
- ●423、426
- 4
- 《大会社》の取締役は、株式会社の業務が法令や定款に適合しているかどうかのチェック体制の整備をどうすか決定してください。
原文
387
取締役のシゴトを社外取締役に任せるには
- 第348条の2
- 社外取締役が置かれている株式会社において、取締役がシゴトをすることにより株式会社や株主にとって不利益となることが予測される場合、やむをえずそのシゴトを社外取締役に委託することが認められます。
取締役が株式会社のためにシゴトをすることにより取締役自身にとって不利益となることが予想される場合も、やむをえず社外取締役に委託することが認められます。
やむをえず社外取締役にシゴトを委託するためには、取締役会が設置されていなければ取締役の決定が、取締役会が設置されている場合は取締役会での決議が必要です。 - 2
- 指名委員会が設置されている株式会社において、執行役がシゴトをすることにより株式会社や株主にとって不利益となることが予測される場合、やむをえずそのシゴトを社外取締役に委託することが認められます。
執行役が株式会社のためにシゴトをすることにより執行役自身にとって不利益となることが予想される場合も、やむをえず社外取締役に委託することが認められます。
やむをえず社外取締役にシゴトを委託するためには、取締役会での決議が必要です。 - 3
- 社外取締役には過去十年に遡って役員や従業員としての経歴が無いことが求められますが、やむをえず社外取締役にシゴトを委託された場合にはその条件の対象外となります。
ただし、そのシゴトを業務に関わっている取締役の指揮下で携わった場合は、役員の経歴に加味されることになります。
原文
388
株式会社の公式な代表者
- 第349条
- 代表取締役が置かれていない場合、取締役が株式会社の公式な代表者となります。
- 2
- 複数の取締役がいるものの代表取締役は置かれていない場合、それぞれの取締役は株式会社の公式な代表者となります。
- 3
- 取締役が設置されていない株式会社では、定款の規定に従い、取締役同士の中での決議か、株主総会での決議により代表取締役を決めることができます。
- 4
- 代表取締役は、株式会社の業務に関わる全ての事項についての権限を有します。
この権限は、株式会社の業務に関する訴訟対応や判決内容まで効力が及ぶこととなります。 - 5
- 定款や代表取締役会での決議によって代表取締役の権限を制限することは可能です。
ただし、そのような制限があることを知らない相手と代表取締役が取引や契約を交わした場合、代表取締役の交わした取引や契約は認められることになります。
そのような制限があることを知っている相手と取引や契約を交わした場合、代表取締役の交わした取引や契約は無効となります。
原文
389
株式会社の代表者のシゴトのせいで
- 第350条
- 株式会社の最高の権限を持つ代表取締役はもちろん、株式会社を代表する地位の人が行ったシゴトのせいで他人に損害を与えたら、その損害は株式会社が賠償する責任を負います。
原文
390
代表取締役の欠員時のピンチヒッター
- 第351条
- 辞めてしまったり、お亡くなりになったり、行方不明になったため代表取締役の席が空いてしまうことになったら、次の正式な代表取締役が就任するまでの間、それ以前に退任していた元代表取締役がピンチヒッターとして代表取締役としての権利を行使したり、義務を負うことになります。
- 2
- 代表取締役の席が空いてしまったせいでモメゴトになったら、モメゴトの当事者からの申立で、一時的なピンチヒッターとして代表取締役に就任する人物を決めてもらうことができます。
- 3
- 一時的なピンチヒッターとしての代表取締役を裁判所に決めてもらう際には、その人の報酬額も決めてもらうこともできます。
原文
391
ピンチヒッターの代表取締役は株式会社の日常業務を
- 第352条
- 代表取締役が裁判所に職務取り上げの仮処分を受けてしまい、そのピンチヒッターとして代表取締役のシゴトに就く人は株式会社の日常業務に当たってください。
日常業務の範疇を超える行為をするには、裁判所の許可を得る必要があります。
事前に仮処分の中で認められている行為であれば、裁判所の許可は必要ありません。 - 2
- ピンチヒッターの代表取締役が裁判所の許可を得ずに行った行為は無効です。
ただし、そのような許可が必要なことを知らない相手と代表取締役が取引や契約を交わした場合、ピンチヒッター代表取締役の交わした取引や契約は認められることになります。
そのような許可が必要なことを知っている相手と取引や契約を交わした場合、ピンチヒッター代表取締役の交わした取引や契約は無効となります。
原文
392
代表と株式会社の訴訟では別の代表者を
- 第353条
- 株式会社が取締役のメンバーから訴訟を起こされた場合や株式会社が取締役のメンバーを訴えた場合、代表取締役とは別に、株主総会によって株式会社側の代表者を決めることが認められます。
原文
393
社長や副社長の肩書を持つ取締役と
- 第354条
- 代表取締役とは別の取締役に社長とか副社長といったいかにもその会社の代表者であるような肩書を与えた場合、その肩書の人と第三者で交わした取引や契約は株式会社の代表者が行ったものとして有効となります。
代表取締役とは別の社長とか副社長といったいかにもその会社の代表者のような肩書を持つ取締役のことを《表見代表取締役》といい、他にも取締役会長、CEOが該当します。
原文
394
取締役は法令を守って忠実に
- 第355条重要
- 取締役は法令を遵守し、定款と株主総会での決議に従ってください。
取締役は株式会社のため忠実にシゴトをしてください。
“取締役に対する株式会社への忠実にシゴトをする義務”のことを《忠実義務》といいます。
原文
395
取締役の好ましいとはいえない取引
- 第356条
- 取締役が次のケースに該当する好ましいとはいえない取引を行うには株主総会において取引の要点を説明し、承認を得なければなりません。
- 一
- 取締役自身の利益や第三者の利益のために、株式会社と競合する取引。
- 二
- 取締役の利益や第三者の利益のために、取締役が株式会社との間で行う取引。
- 三
- 株式会社が取締役の債務を保証して行う取引、または、株式会社に損害を与える可能性のある取引。
- 2
- 株式会社の代理人であるはずの取締役が株式会社と取引を行うことは民法第108条の規定に触れることになりますが、株主総会で承認を得た場合は株式会社と取締役が行う取引であっても民法第108条の規定に触れることになりません。
原文
396
会社にダメージを負う状況で取締役は
- 第357条
- 取締役は株式会社にとって大きな痛手を受けかねいない事実をつかんだら、直ちに株主に報告してください。
監査役設置会社では、監査役に報告してください。 - 2
- 監査役会設置会社で取締役が大きな痛手を受けかねいない事実をつかんだら、直ちに監査役会に報告してください。
- 3
- 監査等委員会設置会社で大きなダメージを負う状況を取締役が把握したら、直ちに監査等委員会に報告してください。
原文
397
不正を疑う株主は
- 第358条
- 業務の中に不正行為や法令違反、定款に違反する状況が疑われる場合、次に該当する株主は裁判所に対して業務内容や株式会社の財産状況を調査してもらうための検査役を選任してほしいと申し立てることができます。
- 一
- 議決権を持つ全ての株主の議決権に対して3%以上の議決権を所有する株主。
定款で3%未満の比率を設定することも認められます。 - 二
- 発行済み株式の内の自己株式を除くものに対して3%以上の議決権を所有する株主。
定款で3%未満の比率を設定することも認められます。 - 2
- 不正調査の検査役選任の申立が適法と認められると、裁判所により検査役の選任が進められます。
- 3
- 裁判所は、検査役の選任の際に、その報酬額についても決めることになっています。
- 4
- 選任された検査役は必要に応じて株式会社やその子会社の財産状況を調査する権限が与えられます。
- 5
- 検査役は必要な調査を行ったら、結果報告のため書面やデジタルデータの記録を裁判所に提出してください。
- 6
- 調査報告を精査しても財産状況がつまびらかにならない場合、裁判所は検査役に対して追加調査を行うよう命じることがあります。
- 7
- 裁判所に提出した調査結果の書面やデジタルデータの記録は、検査役選任の申立を行った株主に対しても提供されることになっています。
提供の方法について詳しいことは法務省令に規定されています。
原文
398
不正調査の報告を受けて必要があれば
- 第359条
- 不正調査の報告を受けて、必要性が認められると裁判所から取締役に対して次の措置を命じられることがあります。
- 一
- 一定の期間内に株主総会を招集すること。
- 二
- 不正調査の報告内容を株主に通知すること。
- 2
- 裁判所から株主総会の招集を命じられた場合、不正調査の報告内容は株主総会の場で取締役から公表されることになります。
- 3
- 株主総会の場で不正調査の報告内容を公表する際には、取締役としても報告内容を確かめた上で不正調査の申立を行った株主に説明をしてください。
原文
399
目的外の業務を株主が止めるには
- 第360条
- 法令や定款の規定のいかんを問わず、株式会社の目的外の業務によって株式会社に大きな損失を受けるおそれがある場合、6ヶ月前から継続している株主はその業務を止めるよう担当する取締役に対して要請することが認められます。
継続期間は定款で6ヶ月前よりも短く設定することも認められます。 - 2
- 株式を公開していない株式会社では、目的外の業務によって株式会社に大きな損失を受けるおそれがある場合、株主であればその業務を止めるよう担当する取締役に対して要請することが認められます。
- 3
- 監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社では、目的外の業務によって株式会社が存続できないほどの損失を受けるおそれがある場合、6ヶ月前から継続している株主であればその業務を止めるよう担当する取締役に対して要請することが認められます。
継続期間は定款で6ヶ月前よりも短く設定することも認められます。
原文
400
取締役の報酬について
- 第361条
- 取締役の報酬で次に該当するものは株主総会の決議で決定します。
報酬とは金銭的なシゴトの対価であって、賞与なども含まれます。
定款で、株主総会の決議を要しない報酬について詳細を決めておくことも認められます。 - 一
- 予め金額を確定させている報酬については、その金額。
- 二
- 金額を確定させていない報酬については、具体的な算出基準。
- 三
- 報酬として株式を受け取る場合は、受け取る株式の上限数と法務省令で規定されている事項について。
- 四
- 報酬として新株予約権を受け取る場合は、受け取る新株予約権の上限数と法務省令で規定されている事項について。
- 五
- 報酬として次のイまたはロを購入するための費用としてお金を受け取る場合は、イまたはロに規定されている事項について。
- イ
- この株式会社の株式を購入するための費用の場合は、購入できる株式の上限数と法務省令で規定されている事項について。
- ロ
- この株式会社の新株予約権を購入するための費用の場合は、購入できる新株予約権の上限数と法務省令で規定されている事項について。
- 六
- 報酬として金銭以外のものを受け取る場合は、具体的に受け取るものについて。
- 2
- 監査等委員会設置会社では、取締役が受け取る報酬として決めておくことについては、監査委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して規定する必要があります。
- 3
- 監査等委員会設置会社で監査等委員である取締役の報酬について定款での規定や株主総会での決議が無い場合、監査等委員である取締役の協議を行い、取締役が受け取る範囲内で報酬を決めてください。
- 4
- 株主総会において取締役が受け取る報酬として決めておくことを議題に上げる場合、取締役から株主に対して報酬の内容がふさわしいものである理由を説明する必要があります。
- 5
- 監査等委員である取締役は、監査等委員である取締役の報酬について株主総会で意見を述べることが認められます。
- 6
- 監査等委員会によって選定された監査等委員は、監査等委員ではない取締役の報酬について株主総会で監査等委員会としての意見を述べることが認められます。
- 7
- 次に該当する株式会社の取締役会は、監査等委員ではない取締役の報酬について定款や株主総会の決議により金額や受け取る株式などが規定されている場合、個々の取締役の報酬の決め方について法務省令で規定されている事項を決める必要があります。
定款や株主総会の決議で個々の取締役の報酬の決め方が定められている場合は取締役が決める必要はありません。 - 一
- 監査役会設置会社の内、公開会社であり大会社でもあり、有価証券報告書の提出義務のある株式会社
- 二
- 監査等委員会設置会社
原文
401
第5節 取締役が集まって
第五節 取締役会
第1款 取締役会のシゴト
第一款 権限等
取締役会のシゴト
- 第362条
- 取締役会は、全員が取締役で構成されます。
- 2
- 取締役会のシゴトは次の通りです。
- 一
- 業務内容を決めること。
- 二
- 取締役が行ってきたシゴト内容のチェック。
- 三
- 代表取締役を決めたり、クビにすること。
- 3
- 代表取締役は取締役の中から取締役会で決定します。
- 4
- 次の行為は取締役会として行うことで、取締役の一部の人に任せっきりにすることは認められません。
- 一
- 株式会社の大事な財産を譲り渡したり、譲り受けたりすること。
- 二
- 多額の借金をすること。
- 三
- 支配人クラスの人事。
- 四
- 支店などの重要な組織の設置や変更、廃止など。
- 五
- ●676
- 六
- 取締役が定款の規定通りのシゴトをするため、法令に違反しないようにするため、そして会社や子会社が適正な業務を行うために法務省令で規定されている体制の整備。
- 七
- ●423
- 5
- 資本金5億円以上のような大会社では、適正な業務を行うための法務省令で規定されている体制整備は取締役のシゴトというより、取締役会のシゴトとなります。
原文
402
取締役会設置会社での取締役のシゴト
- 第363条
- 取締役会設置会社においては次に該当する取締役が取締役のシゴトを執り行います。
- 一
- 代表取締役。
- 二
- 代表取締役以外で、取締役会設置会社でのシゴトを執り行うことについて取締役会で選ばれた取締役。
- 2
- 取締役会設置会社のシゴトを執り行う取締役は、少なくとも3ヶ月毎に取締役会で自分のシゴトの状況を報告しなければなりません。
原文
403
代表と取締役会設置会社の訴訟では取締役会が別の代表者を
- 第364条
- 取締役会設置会社が取締役のメンバーから訴訟を起こされた場合、代表取締役とは別に、取締役会を株式会社側の立場の代表者とすることが認められます。
この場合、株主総会での決議を必要とはしません。
原文
404
取締役会設置会社における取締役の好ましいとはいえない取引
- 第365条
- 取締役会設置会社において取締役が次のケースに該当する好ましいとはいえない取引を行うためには取締役会において取引の要点を説明し、承認を得なければなりません。
- 取締役自身や第三者への利益目的で行う株式会社とは競合する取引。
- 取締役自身や第三者への利益目的で、株式会社との間で行う取引。
- 株式会社が取締役の債務を保証して行う取引や、株式会社に損害を与える可能性のある取引。
取締役会で承認を得た場合は株式会社と取締役が行う取引であっても民法第108条の規定に触れることになりません。 - 2
- 上記に該当する取引を取締役が行った場合、むやみに遅れることなく取締役会にその事実関係や要点を報告しなければなりません。
原文
405
第2款 取締役会の進め方
第二款 運営
取締役会の招集
- 第366条
- 各々の取締役の招集により取締役会は開かれます。
取締役招集の権利を持つ取締役を定款や取締役会の決議で指定しておくことも認められます。 - 2
- 招集の権利を持つ取締役を指定していた場合であっても、他の取締役が取締役会の開催が必要だと判断したら、招集の権利を持つ取締役に招集の要請をすることが認められます。
- 3
- 要請をしたのに、5日経っても取締役会招集の通知が発信されなかったり、取締役会を2週間以内に開催するという内容の通知が発信されない場合は、その要請をした取締役にも取締役会を招集することが認められるようになります。
原文
406
株主による取締役会の招集要請
- 第367条
- 取締役会設置会社において、取締役が余計なことをしでかそうとしていたり、法令や定款に違反している疑いがあるといった問題を認識したら、株主が取締役会を招集するよう要請することが認められます。
もちろん、余計なことをしでかしたり、法令や定款を違反しているといった問題を認識した場合も、株主が取締役会を招集するよう要請することが認められます。
取締役会設置会社の中でも、監査役設置会社や監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社ではこのような場合でも株主が取締役会の招集を要請することは認められません。 - 2
- 株主が取締役会招集の要請をする際には、どのようなテーマで取締役会を開催してほしいのかを明らかに伝える必要があります。
- 3
- 要請をしたのに、5日経っても取締役会招集の通知が発信されなかったり、取締役会を2週間以内に開催するという内容の通知が発信されない場合は、その要請をした株主に取締役会を招集することが認められるようになります。
- 4
- 取締役の問題を認識したために取締役会招集の要請をした株主は、それによって開催される取締役会に出席して意見を述べることが認められるようになります。
原文
407
取締役会の1週間前の招集の通知
- 第368条
- 取締役会の招集するには、開催日の一週間前までにその他の各取締役たちに対して通知を発する必要があります。
一週間よりも短い期間を定款で設定することも認められます。 - 2
- 取締役の全員の同意があれば、一週間前の招集の通知の有無に関わらず、任意のタイミングで取締役会を開催することが認められます。
原文
408
取締役会での決議
- 第369条
- 取締役会では、議決に加わることができる取締役の過半数の出席した上で、さらにその過半数の賛成により決議となります。
過半数の出席や、過半数の賛成については定款でそれよりも多い比率とすることも認められます。 - 2
- 取締役会での議案に関して特別な利害関係にあたる取締役はその議案に参加することは認められません。
- 3
- 取締役会での議事には必ず議事録を作成してください。
この議事録を書面で作成する場合、出席した各取締役はこの書面に署名をするか、名前を書いて押印をしてください。
議事録の作成については法務省令に規定されています。 - 4
- 議事録をデジタルデータで作成する場合、法務省令で規定する電子署名をしてください。
- 5
- 取締役会に出席してその際に作成された議事録に対してクレームをつけなければ、その議事について賛成をしたものとみなされます。
法務省令:会社法施行規則第225条(電子署名)
原文
409
取締役会を開くまでもなく
- 第370条
- 決議をするために取締役たちが集まって取締役会を開くまでもなく、取締役たち全員が同意していることを書面やEメールなどのデジタルデータで意思表示をしたら、その議案は可決と認められる、ということを定款に規定できます。
ただし、監査役設置会社の場合に監査役がそれに異議を唱えたら、可決を認めることはできなくなります。
原文
410
取締役会の議事録の閲覧とコピー
- 第371条
- 取締役会の議事録の書類やデジタルデータは取締役会の開催日から10年間は株式会社の本社で保存しておいてください。
取締役会を開くまでもなく取締役全員の同意を示した書面やデジタルデータも取締役会の開催日から10年間は株式会社の本社で保存しておいてください。 - 2
- 株主は、株主としての権利を行使する目的であれば、議事録や同意書面の書類やデジタルデータについて次の要請することが認められます。
閲覧の要請は、株式会社の営業時間内に行ってください。 - 一
- 議事録や同意書面を閲覧したり、コピーを取ることの要請。
- 二
- 議事録や同意書面をデジタルデバイスを使って閲覧したり、コピーやプリントアウトの要請。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 3
- 監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社では、議事録の書面などを閲覧するには裁判所の許可が必要で、許可された場所と時間に行うことになります。
- 4
- 債権者に対する取締役会の責任追及に必要であれば、取締役会の議事録や同意書の閲覧やコピーを取ることについて裁判所の許可を得ることが認められます。
- 5
- 親会社に対する取締役会の責任追及に必要であれば、取締役会の議事録や同意書の閲覧やコピーを取ることについて裁判所の許可を得ることが認められます。
- 6
- 監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社に対して裁判所の許可を得ようとしても、取締役会の議事録や同意書の閲覧やコピーにより、株式会社やその親会社、子会社に重大な損害が出る場合は、許可が得られないことがあります。
親会社が裁判所の許可を得ようとしても、取締役会の議事録や同意書の閲覧やコピーにより、子会社に重大な損害が出る場合は、許可が得られないことがあります。
原文
411
通知できれば取締役会で報告しなくても
- 第372条
- 取締役、会計参与、監査役又は会計監査人が取締役会で報告しなければならない情報について取締役から取締役会の全メンバーに対して通知することができれば、わざわざ取締役会を開いて報告を行う必要はありません。
監査役設置会社であれば、監査役から取締役会の全メンバーに対して通知することができた場合も、わざわざ取締役会を開いて報告を行う必要はありません。 - 2
- 少なくとも3ヶ月毎に取締役会で行う必要がある取締役会設置会社のシゴトについての報告は、全メンバーに通知をしたとしても必ず取締役会で報告しなければなりません。
- 3
- 指名委員会等設置会社では、取締役、会計参与、会計監査人、執行役が取締役会で報告しなければならない情報について取締役会の全メンバーに対して通知することができたとしても、取締役会を開いて報告を行う必要があります。
指名委員会等設置会社では、少なくとも3ヶ月毎に取締役会で行う必要がある執行役の報告は、全メンバーに通知をしたとしても必ず取締役会で報告しなければなりません。
原文
412
特別取締役会で決議する方法
- 第373条難文
- 次の2つの条件をクリアしている取締役会設置会社では、決定にスピード感を要する株式会社の財産の移動や多額の借金といった案件については、予め選ばれた3人以上の取締役に決定権を委ねる方法を、定款に規定することが認められます。
決定権を委ねられた取締役のことを《特別取締役》といい、特別取締役の内の過半数が出席した上で過半数の賛成を得られれば決議となります。
定款で、出席の割合を過半数より多く設定したり、賛成の割合を過半数より多く設定することも認められます。
指名委員会等設置会社では、特別取締役の決議ということは認められません。
監査等委員会設置会社では、取締役の過半数が社外取締役である場合や、重要な案件に関して取締役の判断に任せることを定款で規定している場合は、この規定は対象外となります。 - 一
- 取締役の人数が6人以上であること。
- 二
- 取締役の内、最低1名は社外取締役であること。
- 2
- 定款に特別取締役についての規定がある場合、それ以外の取締役は株式会社の財産の移動や多額の借金に関する取締役会には出席する必要はありません。
特別取締役だけに出席が求められる場合、取締会の招集や招集通知は特別取締役だけを対象とします。 - 3
- 特別取締役の中からさらに選ばれ得た方は、特別取締役によって行われた取締役会での決議についてその他の取締役たちに対してむやみに遅れることなく報告をしてください。
- 4
- 特別取締役以外の取締役や株主は株式会社の財産の移動や多額の借金に関する取締役会を招集することはできません。
特別取締役の全員に情報共有をしたとしても、特別取締役による取締役会を開かなければ決議は認められません。
監査等委員会設置会社であっても監査委員が特別取締役による取締役会を招集することはできません。
原文
413
第6節 会計参与について
第六節 会計参与
会計参与のシゴト
- 第374条
- 会計参与のシゴトは、株式会社の業績や資産に関する計算をしてその結果を次の書類にまとめ、会計参与報告を作成することにより、取締役のシゴトをフォローすることです。
- 計算書類(第435条第2項)
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 各事業年度に係る計算書類(会社計算規則第59条)
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
- 計算書類付属明細書
- 臨時計算書類(第441条第1項)
- 連結計算書類(第444条第1項)
会計参与報告について詳しくは法務省令で規定されています。 - 2
- 取締役、支配人、株式会社のスタッフは、どのようなタイミングであっても会計参与から次の資料に対して要請を受けたら、閲覧、コピーやプリントアウト、内容についての報告に応じてください。
- 一
- 会計帳簿、収入や支出が作成されて書面。
- 二
- 会計帳簿のデジタルデータ、収入や支出のデジタルデータ。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 3
- 会計参与が設置されている株式会社の子会社は、職務上の必要により会計参与からの要請があれば、会計上の報告をしてください。
会計参与が必要だと判断したら、株式会社やその子会社に対してその業務と財産の状況を調査をすることが認められます。 - 4
- 子会社に正当な理由がなければ会計参与に対して報告や調査を断ることはできません。
- 5
- 会計参与はそのシゴトを業務停止処分中の公認会計士や税理士に任せてはなりません。
他にも資格停止中の弁護士や公認会計士、停職中の公職者らにも任せてはなりません。 - 6
- 指名委員会等設置会社における会計参与のシゴトは、第一項に挙げられた書類をまとめ、会計参与報告を作成することにより、執行役のシゴトをフォローすることです。
指名委員会等設置会社では執行役、取締役、支配人、株式会社のスタッフは、どのようなタイミングであっても会計参与からの要請があれば、取り急ぎ会計帳簿に関する報告をしてください。
原文
414
取締役の不正を発見したら
- 第375条
- 会計参与が職務中に取締役の不正行為や法令違反、定款違反を発見したら、取り急ぎ株主に対して報告をしてください。
監査役設置会社の場合は、監査役に報告をしてください。 - 2
- 監査役設置会社ではなくて、監査役会設置会社の場合は監査役会に報告をしてください。
- 3
- 監査役設置会社ではなくて、監査等委員会設置会社の場合は監査等委員会に報告をしてください。
- 4
- 指名委員会等設置会社の場合、会計参与が職務中に執行役や取締役の不正行為や法令違反、定款違反を発見したら、取り急ぎ株主監査委員会に対して報告をしてください。
原文
415
取締役会の場で会計参与としての意見を
- 第376条
- 取締役会設置会社の場合、会計参与は次の書類の承認を受けるために取締役会に出席してください。
- 計算書類、事業報告、各附属明細書
- 臨時計算書類
- 連結計算書類
取締役会の場では必要に応じて会計参与としての意見を述べてください。
監査法人や税理士法人が会計参与となっている場合はその法人のスタッフが取締役会に出席してください。 - 2
- 会計関係の書類の承認を行うための取締役会が招集される際には、会計参与に対してその1週間前までに通知をすることになっています。
定款で1週間前よりも短い期間に設定することも認められます。 - 3
- 取締役の全員の同意によって任意のタイミングで会計関係の書類の承認を行うための取締役会開催をするには、会計参与全員の同意も必要となります。
原文
416
会計参与と取締役との間で計算書類の見解が異なったら
- 第377条
- 会計に関わる各計算書類の作成にあたり、取締役との間で見解が異なる場合、会計参与やその法人スタッフは株主総会でその見解を述ることが認められます。
- 2
- 指名委員会等設置会社では、会計に関わる各計算書類の作成にあたり、執行役との間で見解が異なる場合、会計参与やその法人スタッフは株主総会でその見解を述ることが認められます。
原文
417
会計参与が作成した会計関連書類の保管場所と保管期間
- 第378条
- 次の書類はそれぞれに指定された期間中、会計参与は保管する義務があります。
保管場所について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 一
- 各事業年度の計算書類、附属明細書、それらの会計参与報告は、定時株主総会の1週間前の日から5年間。
取締役会設置会社の場合、定時株主総会の2週間前の日5年間。
株主からの反対意思が示されなかったために株主総会での議論をするまでもなく会計関連の議案が可決した場合、その議案が提案された日から5年間 - 二
- 臨時計算書類、その会計参与報告は、作成した日から5年間。
- 2
- 株主と債権者には会計参与が作成した会計関連書類の閲覧などに関する次の請求を行うことが認められます。
希望する場合は会計参与の営業時間内に請求を行ってください。
ただし、会計参与の業務時間外は請求を断ることが法務省令で認められていますので、該当する時間帯には請求を控えてください。
コピーをするために必要な費用は会計参与に支払ってください。 - 一
- 会計関連書類が書面で作成しているケースで、その書類を閲覧すること。
- 二
- 会計関連書類が書面で作成しているケースで、その書類をコピーしてもらうこと。
- 三
- 会計関連書類がデジタルで作成しているケースで、デジタルデバイスを使って閲覧したり、コピーやプリントアウトをすること。
閲覧の方法について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 四
- 会計関連書類がデジタルで作成しているケースで、そのデータを会計参与が想定している方法でデータのコピーを提供してもらうこと。
- 3
- 親会社がその権利を行使するために必要であれば、親会社のスタッフは裁判所の許可を得ることにより、会計参与が作成した会計関連書類の閲覧などに関する閲覧やコピーが認められます。
コピーをするために必要な費用は会計参与に支払ってください。
原文
418
会計参与に対する報酬は
- 第379条
- 会計参与の報酬を決めるには株主総会の決議が必要です。
定款に会計参与の報酬が決められている場合は株主総会の決議は不要です。 - 2
- 会計参与が複数いる場合に、会計参与の個々の報酬ではなくて報酬の総額だけが株主総会の決議や定款で決められているケースでは、各会計参与の話し合いによって報酬総額の中で分前を決めてください。
- 3
- 会計参与は自らの職責にふさわしい報酬について、株主総会で意見を述べることが認められます。
原文
419
会計参与の費用を認めて
- 第380条
- 会計参与が自分のシゴトに関して、次のケースに該当する請求を行った場合、株式会社は請求された費用の支払いをしてください。
支払い拒否を認められるには、請求内容が会計参与のシゴトとは無関係であることを証明する必要があります。 - 一
- 会計参与の費用の前払い請求。
- 二
- シゴトに必要な費用の請求、費用に対する利息の請求。
- 三
- 会計参与が建て替えている株式会社の債務の弁済額の請求、弁済期限を迎えるまでに負担した担保の弁済額の請求。
原文
420
第7節 監査役について
第七節 監査役
監査役のシゴト
- 第381条
- 取締役や会計参与がちゃんとシゴトをしているかをチェックするのが監査役のシゴトです。
チェックをしたら、監査報告を作成します。
監査報告について詳しいことは法務省令で規定しています。 - 2
- 監査役は、取締役や会計参与、支配人やスタッフに対して事業に関する報告を求めることが認められます。
監査役は、その株式会社の業務状況や財務状況を調査する権限が認められます。 - 3
- 監査役のシゴトに必要であれば、子会社に対して事業に関する報告を求めることが認められます。
監査役のシゴトに必要であれば、子会社の業務状況や財務状況を調査する権限が認められます。 - 4
- 子会社に正当な理由がなければ監査役に対して報告や調査を断ることはできません。
原文
421
不正が見つかったら監査役から報告が
- 第382条
- 取締役の不正を見つけたとき、取締役に不正の疑いがかかっているとき、法令違反や定款違反がみつかったとき、不適切な事象があきらかになったときには、むやみに遅れることのないタイミングで監査役から取締役会に対して報告が行われます。
取締役会が設置されていない株式会社では、取締役に対して報告が行われます。
原文
422
監査役は必ず取締役会に出席を
- 第383条
- 監査役は取締役会に出席しなければならず、必要なときには監査役としての意見を述べてください。
スピード感を要する株式会社の財産の移動などについて決定権を委ねられた《特別取締役会》についても監査役は出席しなければなりませんが、監査役が複数いる場合はその内の何人かだけを代表として出席することは認められます。
この場合、代表は監査役同士の話し合いで決めても構いません。 - 2
- 監査役は必要があれば取締役を招集するよう、招集を担当する取締役に対して要請することが認められます。
- 3
- 要請をしたのに、5日経っても取締役の招集の通知が発信されなかったり、取締役会を2週間以内に開催するという内容の通知が発信されない場合は、その監査役にも取締役会を招集することが認められます。
- 4
- 特別取締役会については、監査役が招集を担当する取締役に対して要請をしたり、期間内に通知が発信されないからといって監査役が招集することは認められません。
原文
423
監査役の調査で
- 第384条
- 監査役は取締役会に提案される議案や、書類、デジタルデータなどを調査する必要があります。
調査対象となるものについて詳しいことは法務省令で規定されています。
調査の結果、法務省令違反や定款の違反、不適切な事象を見つけたら、その調査結果を株主総会で報告をしてください。
原文
424
株式会社に損害を与えるような取締役の行為をやめさせて
- 第385条
- 取締役が、株式会社の目指す目的とは違う行為をしたり、法令違反や定款違反の行為をしたり、またはそのような行為をするおそれがあるために株式会社に大きな損害が発生する恐れがある場合、監査役は取締役に対してその行為をやめるよう要請できます。
- 2難文
- 監査役は取締役の行為をやめさせることについて裁判所に仮処分を命じてもらっておけば、仮処分によって取締役がこうむる損害の賠償のための担保を請求させないようにすることができます。
原文
425
訴訟の場合は監査役が代表に
- 第386条
- 監査役設置会社において次のケースで訴訟となった場合は、通常時の代表の決め方や株主総会や取締役会での代表の決め方に関わらず、監査役がその会社の代表となります。
- 一
- 監査役が取締役に対して訴訟を起こしたケース。
取締役が株式会社に対して訴訟を起こしたケース。 - 二
- ●849
- 三
- ●847-3
- 2
- 通常時の代表の決め方とは別に、次のケースで訴訟となった場合は監査役がその会社の代表となります。
- 一
- ●847
- 二
- ●849
- 三
- ●
- 四
- ●
●
原文
426
監査役に対する報酬は
- 第387条
- 監査役の報酬は定款に規定してください。
規定していない場合は株主総会での決議によって決めてください。 - 2
- 監査役が複数いる場合に、監査役の個々の報酬ではなくて報酬の総額だけが株主総会の決議や定款で決められているケースでは、各監査役の話し合いによって報酬総額の中で分前を決めてください。
- 3
- 監査役は自らの職責にふさわしい報酬について、株主総会で意見を述べることが認められます。
原文
427
監査役の費用を認めて
- 第388条
- 監査役が自分のシゴトに関して、次のケースに該当する請求を行った場合、株式会社は請求された費用の支払いをしてください。
支払い拒否を認められるには、請求内容が監査役のシゴトとは無関係であることを証明する必要があります。 - 一
- 監査役の費用の前払い請求。
- 二
- シゴトに必要な費用の請求、費用に対する利息の請求。
- 三
- 監査役が建て替えている株式会社の債務の弁済額の請求、弁済期限を迎えるまでに負担した担保の弁済額の請求。
原文
428
会計関係に限定されている監査役のシゴト
- 第389条
- 株式公開をしておらず、監査役会も会計監査人も設置していない株式会社では、定款で監査役の監査のシゴトの範囲を会計関係に限定することが認められます。
- 2
- 定款で会計関係の監査に限定している株式会社の監査役は、監査報告を作成してください。
監査報告について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 3
- 定款で関係関係の監査に限定している株式会社の監査役は、取締役が取りまとめた会計に関する議案や書類、その他法務省令で規定されている物件について調査を行ってください。
調査の結果は株主総会で報告してください。 - 4
- 定款で会計関係の監査に限定している株式会社の監査役には、次の書類やデジタルデータの閲覧やコピー、プリントアウトをする権限が認められます。
さらに取締役や会計参与、支配人やスタッフに対して会計に関する報告をさせる権限も認められます。 - 一
- 会計帳簿や会計に関する資料が記載されている各種書類。
- 二
- 会計帳簿のデジタルデータや、会計に関する各種デジタルデータ。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 5
- 定款で会計関係の監査に限定している株式会社の監査役が必要と判断した場合、子会社に対しても会計に関する報告をさせる権限も認められます。
さらに子会社に対して株式会社や子会社の業務や財産に関する状況について調査をすることが認められます。 - 6
- 報告や調査を求められた子会社は正当な理由がなければこれを拒否することは認められません。
- 7
- 定款で会計関係の監査に限定している株式会社では上記の範囲外のシゴトは監査役に権限が与えられていません。
原文
429
第8節 監査役会について
第八節 監査役会
第1款 監査役会のシゴト
第一款 権限等
監査役会とは
- 第390条
- 監査役会は、その株式会社の監査役の全員で構成されます。
- 2
- 監査役会のシゴトは次の通りです。
三のシゴトについては個々の監査役の判断や裁量が監査役会よりも優先されます。 - 一
- 監査報告を作成すること。
- 二
- 常勤の監査役を選出したり、解職すること。
- 三
- 監査の方針を決めること。
株式会社の業務や財産の状況に対する調査方法を決めること。
監査役のシゴトの進め方について決めること。 - 3
- 常勤の監査役は監査役会のメンバーの中から決めてください。
- 4
- 監査役会は監査役に対してシゴトの状況を報告させることが認められます。
原文
430
第2款 監査役会の進め方
第二款 運営
全てのメンバーが監査役会の招集を
- 第391条
- メンバーである全ての監査役は監査役会を招集することができます。
原文
431
監査役会を招集する段取り
- 第392条
- 監査役会を招集するには、開催日の一週間前までに他の監査役たちに開催の通知を発信する必要があります。
- 2
- 一週間前の通知ができない状況であっても、監査役の全員が同意をすれば招集の手続きをしなくても監査役会を開催することが認められます。
原文
432
監査役会の議決と議事録
- 第393条
- 監査役会の議決において監査役の過半数が賛成をすれば決議となります。
- 2
- 監査役会の議事には議事録を作成してください。
議事録が書面で作成された場合は、出席した監査役の署名または記名押印をしてください。
議事録の内容について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 3
- 議事録がデジタルデータで作成された場合は、出席した監査役の署名や記名押印の代わりに法務省令で規定する電子署名をしてください。
- 4
- 監査役会での決議に加わっていて議事録の内容に異議を求めなから、その監査役は決議を賛成したものとみなされます。
法務省令:会社法施行規則第109条
法務省令:会社法施行規則第225条(電子署名)
原文
433
監査役会の議事録の閲覧とコピー
- 第394条
- 監査役会の議事録はその株式会社の本社において10年間保管されます。
- 2
- 株主としての権利を行使するために必要がある場合、裁判所の許可を得ることにより監査役会の議事録に関して次の請求をすることが認められます。
- 一
- 監査役会の議事録が書面で作成されている場合、議事録の閲覧やコピーをとること。
- 二
- 監査役会の議事録がデジタルデータで作成されている場合、デジタルデバイスを使って閲覧したり、コピーやプリントアウトをすること。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 3
- 株式会社に対する債権者が役員の責任を追求するために必要があって監査役会の議事録の閲覧やコピーをするには裁判所の許可を得る必要があります。
親会社としての権利を行使するために必要があって監査役会の議事録を閲覧したりコピーをするには裁判所の許可を得る必要があります。 - 4
- 監査役会の議事録の閲覧やコピーを認めることで株式会社やその親会社、子会社に著しい損害を与えるおそれがある場合、裁判所の許可が認められないことがあります。
原文
434
監査役の全員に報告内容を通知すれば
- 第395条
- 取締役、会計参与、監査役、会計監査人から監査役の全員に報告内容を通知すれば、監査役会へ報告を行わずに済ますことが認められます。
原文
435
第9節 会計監査人について
第九節 会計監査人
会計監査人のシゴト
- 第396条
- 株式会社はお金の数え方に関して計算書や明細書などを作成することになっています。
会計監査人のシゴトは株式会社が作成したお金の数え方に関わる各種の書類について監査することです。
この書類には、計算書類、その附属明細書、臨時計算書類、連結計算書類があり、詳しいことは第五章で規定されています。 - 2
- 会計監査人は、会計帳簿を閲覧したり、コピーやプリントアウトをすることが認められます。
取締役や会計参与、支配人やスタッフに対して会計に関する報告を求めることが認められます。
会計帳簿の仕様については次の通りです。 - 一
- 書面で作成された会計帳簿や関連資料。
- 二
- デジタルデータで作成された会計帳簿や関連資料。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 3
- 会計監査のシゴトに必要であれば、株式会社の業務や財産の状況を調査することが認められます。
会計監査のシゴトに必要であれば、子会社に対して会計に関する報告を求めたり、業務や財産の状況を調査することが認められます。 - 4
- 報告や調査の要請を求められた子会社は正当な理由がなければ、要請を断ることは認められません。
- 5
- 会計監査人がシゴトをするにあたり次に該当する人をスタッフとして一緒にシゴトをすることは認められません。
- 一
- 公認会計士法の規定により監査をすることが禁じられている人や、株式会社側から公認会計士や監査業務を請け負っている人やその配偶者。
- 二
- 株式会社側の取締役や会計参与、監査役、執行役、支配人、従業員やスタッフとして雇われている人。
- 三
- 株式会社側から公認会計士としてのシゴトや監査法人のシゴト以外の業務を請け負っている業者。
- 6
- 指名委員会等設置会社においても会計監査人は、会計帳簿を閲覧したりコピーすることが認められており、執行役や取締役、会計参与、支配人やスタッフに対して会計に関する報告を求めることが認められます。
原文
436
不正が見つかったら会計監査人から報告が
- 第397条
- 会計監査のシゴトの中で取締役の不正を見つけたとき、取締役に不正の疑いがかかっているとき、法令違反や定款違反がみつかったとき、不適切な事象があきらかになったときには、むやみに遅れることのないタイミングで監査役に対して報告が行われます。
- 2
- 監査役のシゴトで必要があれば、会計監査人に対して監査に関する報告を求めることが認められます。
- 3
- 監査役会設置会社において取締役の不正などを見つけたときには会計監査人から監査役会に対して報告が行われます。
- 4
- 監査等委員会設置会社において取締役の不正などを見つけたときには会計監査人から監査等委員会に対して報告が行われます。
監査等委員のシゴトで必要があれば、会計監査人に対して監査に関する報告を求めることが認められます。 - 5
- 指名委員会等設置会社において執行役や取締役の不正などを見つけたときには会計監査人から監査委員会に対して報告が行われます。
監査委員のシゴトで必要があれば、会計監査人に対して監査に関する報告を求めることが認められます。
原文
437
会計監査人の異なる意見は定期株主総会の場で
- 第398条
- 株式会社側から出てきた計算書類、その附属明細書、臨時計算書類、連結計算書類の適正について監査役と意見が異なる場合、会計監査人は定時株主総会の場で会計監査人としての意見を述べることが認められます。
- 2
- 定時株主総会に会計監査人の出席を求める決議があったら、定時株主総会に出席して意見を述べてください。
- 3
- 監査役会設置会社において、株式会社側から出てきた計算書類などの適正について監査役会や監査役と意見が異なる場合も、定時株主総会の場で会計監査人としての意見を述べることが認められます。
- 4
- 監査等委員会設置会社において、株式会社側から出てきた計算書類などの適正について監査等委員会や監査等委員と意見が異なる場合も、定時株主総会の場で会計監査人としての意見を述べることが認められます。
- 5
- 指名委員会等設置会社において、株式会社側から出てきた計算書類などの適正について監査委員会やその委員と意見が異なる場合も、定時株主総会の場で会計監査人としての意見を述べることが認められます。
原文
438
会計監査人に対する報酬は
- 第399条
- 取締役が会計監査人の報酬を決めるためには、監査役の同意を得る必要があります。
一時的に会計監査のシゴトに就く人にたいしてもその報酬を決めるためには、監査役の同意を得る必要があります。
監査役が複数人いる場合、会計監査人などの報酬を決めるためにはその過半数の同意を得る必要があります。 - 2
- 監査役会設置会社では、取締役が会計監査人などの報酬を決めるためには、監査等委員会の同意を得る必要があります。
- 3
- 監査等委員会設置会社では、取締役が会計監査人などの報酬を決めるためには、監査役会の同意を得る必要があります。
- 4
- 指名委員会等設置会社では、取締役が会計監査人などの報酬を決めるためには、監査委員会の同意を得る必要があります。
原文
439
第9節の2 監査等委員会について
第九節の二 監査等委員会
第1款 監査等委員会のシゴト
第一款 権限等
監査等委員会とは
- 第399条の2
- 監査等委員会は、その株式会社の監査等委員の全員で構成されます。
- 2
- 監査等委員になるためにはその株式会社の取締役に就いていることが必要です。
- 3
- 監査等委員会のシゴトは次の通りです。
- 一
- 取締役がちゃんとシゴトをしているかを監査し、監査報告を作成すること。
会計参与設置会社では、取締役と会計参与がちゃんとシゴトをしているかを監査し、監査報告を作成すること。 - 二
- 会計監査人の人事に関する議案を株主総会に提出すること。
- 三
- 監査等委員ではない取締役の人選や報酬について株主総会で口出しすること。
- 4
- 監査等委員会のシゴトに関わるお金の請求をされたら、その請求内容がシゴトには無関係のものであることを証明しない限り、株式会社は支払いを拒否することは認められません。
請求の詳しい内容は次の通りです。 - 一
- 前払いした費用。
- 二
- 支出した費用と、支出日から支払いを受ける日までの利息。
- 三
- 債権者に対する立替金や担保の費用。
原文
440
監査等委員会の調査のシゴトについて
- 第399条の3
- どのようなタイミングであっても、監査等委員会に選ばれた監査等委員は取締役や会計参与、支配人、スタッフに対して監査等委員会のシゴトに関わる報告を求めたり、株式会社の業務や財産の状況についての調査をすることが認められます。
- 2
- 監査等委員会のシゴトに必要であれば、子会社に対して事業に関する報告を求めることが認められます。
監査役のシゴトに必要であれば、子会社の業務状況や財務状況を調査する権限が認められます。 - 3
- 子会社に正当な理由がなければ監査等委員会に対して報告や調査を断ることはできません。
- 4
- 取締役らや子会社に対して報告を求めたり調査することを監査等委員会が決めたら、監査等委員会に選ばれた監査等委員はその決定に従ってください。
原文
441
不正が見つかったら監査等委員から報告が
- 第399条の4
- 取締役の不正を見つけたとき、取締役に不正の疑いがかかっているとき、法令違反や定款違反がみつかったとき、不適切な事象があきらかになったときには、むやみに遅れることのないタイミングで監査等委員から取締役会に対して報告が行われます。
原文
442
監査等委員会から株主総会への報告
- 第399条の5
- 株主総会に取締役から提出予定の議案や、各種書類、その他法務省令で規定されているものについて監査等委員会が法令や定款の違反や不当な事項を見つけた場合、株主総会で報告することになっています。
原文
443
監査等委員も損害を与えるような取締役の行為をやめさせて
- 第399条の6
- 取締役が、株式会社の目指す目的とは違う行為をしたり、法令違反や定款違反の行為をしたり、またはそのような行為をするおそれがあるために株式会社に大きな損害が発生する恐れがある場合、監査等委員は取締役に対してその行為をやめるよう要請できます。
- 2
- 監査等委員は取締役の行為をやめさせることについて裁判所に仮処分を命じてもらっておけば、仮処分によって取締役がこうむる損害の賠償のための担保を請求させないようにすることができます。
原文
444
監査等委員会設置会社で訴訟になったときの代表者
- 第399条の7
- 監査等委員会設置会社で、取締役と株式会社との間で訴訟となった場合、株主総会によって代表者を決めなくても、次のケースに従って株式会社側の立場の代表者になってもらうことが認められます。
- 一
- 監査等委員自身が原告または被告である場合、取締役会または株主総会で決められた人。
- 二
- 監査等委員自身は原告でも被告でもない場合、監査等委員会の中から選ばれた監査等委員。
- 2
- 監査等委員に対する訴えは、株式会社を相手に起こしたこと訴訟ということになります。
- 3
- 次に該当する監査等委員会設置会社がそこに記載されている訴訟を起こす場合は、監査等委員会に選ばれた監査等委員が株式会社側の代表となります。
- 一
- ●
- 二
- ●
- 4
- 次に該当する監査等委員会設置会社がそこに記載されている請求をする場合は、監査等委員会に選ばれた監査等委員が株式会社側の代表となります。
- 一
- ●
- 二
- ●
- 5
- 次に該当するケースでは、監査等委員が株式会社側の代表者となります。
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 四
- ●
●
原文
445
第2款 監査等委員会の進め方
第二款 運営
監査等委員会を招集するには
- 第399条の8
- 監査等委員会の招集は、いずれの監査等委員も行うことが認められます。
原文
446
監査等委員会の1週間前の招集の通知
- 第399条の9
- 監査等委員会を招集するには開催日の1週間前までに各委員い対して通知をする必要があります。
定款で、これよりも短い通知期間を設定することも認められます。 - 2
- 監査等委員の全員の同意があれば、一週間前の招集の通知の有無に関わらず、任意のタイミングで監査等委員会を開催することが認められます。
- 3
- 取締役が監査等委員会から要請を受けたら、監査等委員会に出席して要請を受けた事案について説明をしてください。
原文
447
監査等委員会の決議と議事録
- 第399条の10
- 監査等委員会では、議決に加わることができる監査等委員の過半数の出席した上で、さらにその過半数の賛成により決議となります。
- 2
- 議案に関して利害関係にある監査等委員は、議決に加わることが認められません。
- 3
- 監査等委員会の議事には議事録を作成してください。
議事録が書面で作成された場合は、出席した監査等委員の署名または記名押印をしてください。
議事録の内容について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 4
- 議事録がデジタルで作成された場合は、出席した監査等委員の署名や記名押印の代わりに法務省令で規定する電子署名をしてください。
- 5
- 監査等委員会での決議に加わっていて議事録の内容に異議を求めなかったら、その監査等委員は決議を賛成したものとみなされます。
法務省令:会社法施行規則第225条(電子署名)
原文
448
監査等委員会の議事録の閲覧とコピー
- 第399条の11
- 監査等委員会の議事録はその株式会社の本社において10年間保管されます。
- 2
- 株主としての権利を行使するために必要がある場合、裁判所の許可を得ることにより監査等委員会の議事録に関して次の請求をすることが認められます。
- 一
- 書面で監査等委員会の議事録が作成されている場合、議事録の閲覧をしたり、コピーをとること。
- 二
- デジタルデータで監査等委員会の議事録が作成されている場合、デジタルデバイスを使って議事録を閲覧したり、コピーやプリントアウトをすること。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 3
- 株式会社に対する債権者が役員や会計参与の責任を追求するために必要があって監査等委員会の議事録の閲覧やコピーをするには、裁判所の許可を得る必要があります。
親会社としての権利を行使するために必要があって監査等委員会の議事録の閲覧やコピーをするには、裁判所の許可を得る必要があります。 - 4
- 監査等委員会の議事録の閲覧やコピーを認めることで株式会社やその親会社、子会社に著しい損害を与えるおそれがある場合、裁判所の許可が認められないことがあります。
原文
449
監査等委員の全員に報告内容を通知すれば
- 第399条の12
- 取締役、会計参与、会計監査人から監査等委員の全員に報告内容を通知すれば、監査等委員へ報告を行わずに済ますことが認められます。
原文
450
第3款 監査等委員会設置会社での取締役会は
第三款 監査等委員会設置会社の取締役会の権限等
監査等委員会設置会社における取締役会のシゴト
- 第399条の13
- 監査等委員会設置会社においては取締役会は次のシゴトを執り行います。
- 一
- 次の事項に従ってどのようにシゴトを進めていくかを判断すること。
- イ
- 経営の基本方針。
- ロ
- 監査等委員会がシゴトをすすめる上で必要なこととして法務省令で規定する事項。
- ハ
- 取締役が執り行うシゴトが定款や法令の規定にそって行われるための体制や、株式会社やその子会社が業務を進めていく上で必要な体制について法務省令で規定する事項。
- 二
- 取締役のシゴトの進め具合を監督すること。
- 三
- 代表取締役の人事を決めること。
- 2
- 監査等委員会設置会社においては取締役会は、経営の基本方針や体制をとるかを決定します。
- 3
- 監査等委員会設置会社においては取締役会は、取締役の中から代表取締役を決定します。
- 4
- 監査等委員会設置会社において取締役会は、重要な業務をすすめていく上で次の事項の決定を取締役に任せてはなりません。
- 一
- 重要な財産を手放したり、譲り受けたりすること。
- 二
- 高額なお金を借りること。
- 三
- 重要なポストに就いている社員の人事について。
- 四
- 支店などの重要な業務拠点の設置や変更、廃止について。
- 五
- ●676
- 六
- ●426
- 5
- 監査等委員会設置会社で社外取締役が取締役の過半数を超えている場合、重要な事案であっても監査等委員会から取締役会に決議を任されることが認められます。
ただし次の事案に関しては取締役会に議決を任すことは認められません。 - 一
- 譲渡制限株式の制限解除により譲渡を認めるかどうかについて。
- 二
- 自社株取得の合意を得るための株主総会での議案の取りまとめについて。
- 三
- 譲渡制限付き新株予約権の譲渡を認めるかどうかについて。
- 四
- 株主総会を招集のために取りまとめが必要な事案について。
- 五
- 会計監査人の人事をのぞく株主総会に提出する議案について。
- 六
- 社外取締役にシゴトを委託するかどうかについて。
- 七
- 定款や株主総会の決議により監査等委員ではない取締役の報酬が規定されている場合、報酬の決め方について。
- 八
- 取締役が行う株式会社にとっては好ましくない取引を株主総会で承認するかどうかについて。
- 九
- 取締役会招集の権利を持つ取締役をだれに指定するかについて。
- 十
- 監査等委員会設置会社で取締役と株式会社との間で訴訟となった場合に株式会社側の代表を決めることについて。
- 十一
- ●426
- 十二
- ●430-2
- 十三
- ●430−3
- 十四
- ●436--3
- 十五
- ●454--5
- 十六
- ●467
- 十七
- 合併契約の内容の決定について。
株主総会で承認の決議をする必要のない合併契約については取締役会に議決を任せることが認められます。 - 十八
- 吸収分割契約の内容の決定について。
株主総会で承認の決議をする必要のない吸収分割契約については取締役会に議決を任せることが認められます。 - 十九
- 新設分割計画の内容の決定について。
株主総会で承認の決議をする必要のない新設分割計画については取締役会に議決を任せることが認められます。 - 二十
- 株式交換契約の内容の決定について。
株主総会で承認の決議をする必要のない株式交換契約については取締役会に議決を任せることが認められます。 - 二十一
- 株式移転計画の内容の決定について。
- 二十二
- 株式交付計画の内容の決定について。
株主総会で承認の決議をする必要のない株式交付計画については取締役会に議決を任せることが認められます。 - 6
- 業務上重要なことで取締役会に任せることが禁止されていないことについては定款に規定をしておくことで取締役会に任せることが認められます。
原文
451
監査等委員は取締役会の招集を
- 第399条の14
- 取締役会の招集権を持つ人が決まっているとしても、監査等委員会設置会社においては監査等委員会に選ばれた監査等委員であれば取締役会を招集することが認められます。
原文
452
第10節 指名委員会や執行役について
第十節 指名委員会等及び執行役
第1款 委員や執行役の決め方
第一款 委員の選定、執行役の選任等
委員の選び方
- 第400条
- 指名委員会、監査委員会、報酬委員会をまとめて《各委員会》といい、これらの委員会を設置する株式会社のことを指名委員会等設置会社といいます。
各委員会は三人以上の委員によって構成されます。 - 2
- 取締役会の決議によって選ばれた取締役が各委員会の委員に就任します。
- 3
- 各委員会の委員の過半数は社外取締役が就任します。
- 4
- 各委員会の委員は次の役職や職業を兼務することが認められません。
- 指名委員会等設置会社の執行役
- 指名委員会等設置会社の子会社の執行役
- 指名委員会等設置会社の業務執行取締役
- 指名委員会等設置会社の子会社の会計参与
- 指名委員会等設置会社の子会社の会計参与の職務にあたる会計事務所のスタッフ
- 支配人
- スタッフ
原文
453
委員の職を解くには
- 第401条
- 取締役会で決議を得ることにより各委員会の委員の職を解くことが認められます。
- 2
- 各委員会の委員の人数は第400条第1項で最低限必要な人数が決められています。
委員の任期が切れたり辞職により最低限の人数を割ってしまう場合、次の委員が就任するまでこの辞めるつもりの人に一時的な委員として権利や義務を持ち続けてもらうことになります。 - 3
- 任期切れや辞職した人以外の人に一時的な委員になってもらうためには、利害に関わる人により裁判所に委員を選出してもらうことが認められます。
- 4
- 裁判所に選出された委員への報酬額は裁判所に決めてもらうことができます。
原文
454
委員会の設置には執行役を
- 第402条
- 指名委員会、監査委員会、報酬委員会を設置するには、最低1名ないし2名以上の執行役を就任させなければなりません。
- 2
- 執行役は取締役会の決議によって決められます。
- 3
- 指名委員会等設置会社における執行役の扱いは《委任》に該当します。
委任については民法第2章第10節委任に規定されています。 - 4
- 取締役に就任できない条件に該当する人は執行役にも就任することが認められません。
取締役に就任できない条件は、第331条に規定されています。
成年後見人が付いている人が執行役に就任するためには、成年後見人が付いている人が取締役に就任する場合と同じ条件が適用されます。
成年後見人が付いている人が取締役に就任するための条件は、第331条の2に規定されています。 - 5
- 株式を公開している株式会社では定款に「執行役は株主が就任すること」という条件を規定することは認められません。
株式を公開していない株式会社では定款にこの条件を規定していても問題ありません。 - 6
- 執行役を務める人は、取締役を兼務しても問題ありません。
- 7
- 執行役の任期は、選ばれてから1年目の年度を終え、それから最初に開かれる定時株主総会も終え、その後に行われる取締役会が終わるときまでです。
定款に規定することにより、この任期よりも短く設定することは認められます。 - 8
- 指名委員会、監査委員会、報酬委員会が廃止されることになったら、廃止された時点で委員の任期も終了となります。
原文
455
執行役の解任について
- 第403条
- 執行役は取締役会の決議によっていつでも解任することが認められます。
- 2
- 正当な理由もなく取締役の決議で執行役を解任されたら、株式会社に対して解任による損害の賠償を請求することが認められます。
- 3
- 任期切れや辞職により執行役に人数が必要数を割ることになったら、次の執行役が就任するまでの間は任期切れや辞職した人が引き続き執行役としての権利や義務を持ち続けてもらうことになります。
任期切れや辞職した人以外の人に一時的な執行役になってもらうためには、利害に関わる人により裁判所に執行役を選出してもらうことが認められます。
裁判所に選出された執行役への報酬額は裁判所に決めてもらうことができます。
原文
456
第2款 指名委員会、監査委員会、報酬委員会のシゴト
第二款 指名委員会等の権限等
各委員会のシゴト
- 第404条
- 指名委員会のシゴトは、取締役の人事に関する株主総会用の議案を取りまとめることです。
会計参与設置会社の場合、取締役と会計参与の人事に関する株主総会用の議案を取りまとめることです。 - 2
- 監査委員会のシゴトは次の通りです。
- 一
- 執行役、取締役、会計参与による職務の執行について監査を行い、監査結果の報告書を作成すること。
- 二
- 会計監査人の人事について株主総会に提案する議案の内容を取り決めること。
- 3
- 報酬委員会のシゴトは、執行役、取締役、会計参与一人ひとりの報酬を取り決めることです。
支配人やスタッフが執行役を兼ねているケースでは執行役の報酬に加え、支配人やスタッフとしての報酬についても合わせて取り決めをします。 - 4
- 各委員会の委員が自分のシゴトの進め方に関して株式会社に次の請求を行った場合、その請求がシゴトとは関係ないことを証明できない限り、株式会社はその請求を受け入れなければなりません。
- 一
- 費用の前払いの請求。
- 二
- 支出した費用の請求、支出した費用の利息の請求。
- 三
- 株式会社やその関係者の債務を立て替えた場合、その立替金の請求。
期限前の債務を立て替えた場合、立て替えた担保金の請求。
原文
457
監査委員会による調査
- 第405条
- 監査委員会から選ばれた監査委員は、執行役や取締役、会計参与、そして株式会社の支配人やスタッフに対して、職務に関して監査委員から報告を求めたり、業務や株式会社の財産の状況について調査をする権限が与えられます。
- 2
- 監査委員会から選ばれた監査委員は、必要に応じて株式会社やその子会社から事業報告を求めたり、業務や財産の状況について調査をする権限が与えられます。
- 3
- 監査委員から報告を求められたり、調査を求められた子会社に正当な理由があれば、報告や調査を断ることが認められます。
- 4
- 監査委員は報告や調査について監査委員会の決議が出たら、その決議に従って対応してください。
原文
458
不正や違反を見つけた監査委員は取締役会に報告を
- 第406条
- 執行役や取締役に不正の疑いや、法令違反、定款違反の事実があると判断したら、監査委員はその情報をむやみに遅れることなく取締役会に報告をしなければなりません。
原文
459
会社に損害を与えそうになったら監査委員が
- 第407条
- 執行役や取締役が会社の目的とは違うことをしようとしたり、法令違反や定款違反をしようとして会社に損害を与えることになる場合には、監査委員がそれを止めさせるよう執行役や取締役に対して請求することが認められます。
- 2
- 監査委員は執行役や取締役の行為をやめさせることについて裁判所に仮処分を命じてもらっておけば、仮処分によって執行役や取締役がこうむる損害の賠償のための担保を請求させないようにすることができます。
原文
460
訴訟の場合は監査委員会が選んだ監査委員が代表に
- 第408条
- 指名委員会等設置会社において執行役や取締役と株式会社の間で訴訟になったら、通常時の代表の決め方や株主総会や取締役会での代表の決め方に関わらず、次のケースで訴訟となった場合はそこに記載されている人が会社の代表となります。
- 一
- 監査委員が訴訟の直接的な対象者である場合、取締役会が代表となります。
- 二
- 監査委員が訴訟の直接的な対象者ではない場合、監査委員会に選ばれた監査委員が代表となります。
- 2
- 執行役や取締役が株式会社に対して訴訟を起こす場合、訴状を監査委員に送り届ければ株式会社に対して訴えを起こしたことが認められます。
- 3
- 通常時の代表の決め方とは別に、次のケースで訴訟となった場合は監査委員会が選んだ監査委員がその会社の代表となります。
- 一
- ●847-2
- 二
- ●847-3
- 4
- 通常時の代表の決め方とは別に、次のケースで株式会社に対する請求を行う場合は監査委員会が選んだ監査委員がその会社の代表となります。
- 一
- ●847
- 二
- ●847
- 5
- 通常時の代表の決め方とは別に、次のケースに該当する場合は監査委員会が選んだ監査委員がその会社の代表となります。
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 四
- ●
●
原文
461
報酬委員会で執行役や取締役の報酬を
- 第409条
- 報酬委員会は、執行役や取締役、会計参与の一人ひとりの報酬やシゴトの条件についての方針を決めてください。
- 2
- 報酬委員会が執行役や取締役、会計参与の一人ひとりの報酬を決める際には、この方針に従ってください。
- 3
- 次のようなやり方で報酬を決める場合は具体的にそれぞれ次の内容を確定させてください。
なお会計参与の報酬を決める場合は第一号のやり方、つまり一人ひとりの報酬金額を確定させるやり方にしてください。 - 一
- 報酬の金額を決めるやり方の場合、一人ひとりの報酬金額を決めてください。
- 二
- 報酬の金額を確定しないやり方の場合、どのような方法で一人ひとりの報酬金額を算出する方法を決めてください。
- 三
- 株式を報酬とするやり方の場合、報酬とする株式の数を決めてください。
種類株式を報酬とする場合、報酬とする株式の種類と数を決めてください。
この場合、法務省令で定められていることについても決めてください。 - 四
- 新株予約権を報酬とするやり方の場合、報酬とする新株予約権の数を決めてください。
この場合、法務省令で定められていることについても決めてください。 - 五
- 株式や新株予約権を換金した金銭を報酬とするやり方の場合、次のイとロの内容を決めてください。
- イ
- 株式を換金する場合、執行役によって換金する株式の数を決めてください。
種類株式を換金する場合、換金する種類株式の種類と数を決めてください。 - ロ
- 新株予約権を換金する場合、執行役によって換金する新株予約権の数を決めてください。
- 六
- 金銭以外のものを報酬とする場合、具体的なものの内容を決めてください。
原文
462
第3款 指名委員会、監査委員会、報酬委員会の進め方
第三款 指名委員会等の運営
指名委員会の招集は
- 第410条
- 指名委員会の委員は指名委員会を招集することが認められます。
原文
463
指名委員会の招集について
- 第411条
- 指名委員会、監査委員会、報酬委員会を招集するためには、委員会の開催日の一週間前までに各委員に対して委員会開催の通知をしてください。
- 2
- 各委員会の委員の全員が開催を同意している場合、一週間前までの通知がなくても委員会を開催することが認められます。
- 3
- 各委員会から執行役に対して委員会への出席要請をして説明を求めることが認められます。
出席要請を受けたら、執行役はその委員会に出席して要請を受けた内容について説明をしてください。
原文
464
指名委員会で決議となるには
- 第412条
- 指名委員会では、議決に加わることができる委員の過半数が出席した上で、さらに出席者の過半数の賛成により決議となります。
取締役会で出席数を過半数よりも多い割合に設定したり、賛成の数を過半数よりも多い賛成に設定することが認められます。 - 2
- 指名委員会のテーマに関して特別な利害関係にある委員はその議決に加わることが認められません。
- 3
- 指名委員会での議事は議事録を作成してください。
議事録について詳しいことは法務省令で規定されています。
議事録が書面で作成された場合は、出席した指名委員の署名または記名押印をしてください - 4
- 議事録がデジタルで作成された場合は、出席した指名委員の署名や記名押印の代わりに法務省令で規定されている電子署名をしてください。
- 5
- 指名委員会での決議に加わっていて議事録の内容に異議を求めなかったら、その指名委員は決議を賛成したものとみなされます。
法務省令:会社法施行規則第225条(電子署名)
原文
465
指名委員会の議事録の閲覧とコピー
- 第413条
- 指名委員会の議事録はその株式会社の本社において10年間保管されます。
- 2
- 指名委員会が設置されている株式会社の取締役は、指名委員会の議事録に関して次の請求をすることが認められます。
- 一
- 書面で指名委員会の議事録が作成されている場合、議事録の閲覧やコピーをとること。
- 二
- デジタルデータで指名委員会の議事録が作成されている場合、デジタルデバイスを使って議事録を閲覧したり、コピーやプリントアウトをすること。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 3
- 株主としての権利を行使するために必要があって指名委員会の議事録を閲覧したりコピーをするには、裁判所の許可を得る必要があります。
- 4
- 債権者が指名委員の責任追及をするため必要があって指名委員会の議事録を閲覧したりコピーをするには、裁判所の許可を得る必要があります。
親会社の社員が親会社としての権利を行使するため必要があって指名委員会の議事録を閲覧したりコピーをするには、裁判所の許可を得る必要があります。 - 5
- 指名委員会の議事録の閲覧やコピーを認めることで株式会社やその親会社、子会社に著しい損害を与えるおそれがある場合、裁判所の許可が認められないことがあります。
原文
466
指名委員の全員に報告内容を通知すれば
- 第414条
- 執行役、取締役、会計参与、会計監査人から指名委員の全員に報告内容を通知すれば、指名委員会への報告を行わずに済ますことが認められます。
原文
467
第4款 指名委員会等設置会社の取締役のシゴト
第四款 指名委員会等設置会社の取締役の権限等
指名委員会等設置会社の取締役には
- 第415条
- 指名委員会等設置会社の取締役は直接的な業務に携わることが認められていません。
指名委員会等設置会社の取締役が業務に携わることが認められるのは、法令で特別な規定がある場合に限られます。
会社法施行規則に該当する規定は見当たりません。
原文
468
指名委員会等設置会社の取締役会のシゴト
- 第416条
- 指名委員会等設置会社の取締役会のシゴトは次の通りです。
- 一
- 次に記載されている株式会社の決め事を取りまとめること。
- イ
- 経営の基本方針。
- ロ
- 監査委員会のシゴトを執り行うために必要なこととして法務省令で規定されている事項。
- ハ
- 複数の執行役がいる場合、それぞれの役割と責任、指揮命令系統の分担。
- ニ
- 執行役からの取締役会の招集がかけられた場合に、招集の対象となる取締役。
- ホ
- 執行役が法令や定款に違反することがない体制を整備するために必要なこととして法務省令で規定されている事項と、株式会社やその子会社が適正な業務を行うために必要なこととして法務省令で規定されている事項。
- 二
- 執行役をはじめとする会社スタッフたちのシゴトぶりを監督すること
- 2
- 取りまとめられた決め事は指名委員会等設置会社の取締役会によって決定事項となります。
- 3
- 指名委員会等設置会社の取締役会のシゴトは他の人に任せたり、丸投げすることは許されません。
- 4
- 指名委員会等設置会社の取締役会での決定事項に沿って行われる具体的な業務の進め方は、取締役会での決議を得た執行役に判断を任せることが認められます。
ただし次の業務については執行役に判断を任せることは認められません。 - 一
- 譲渡制限株式の制限解除の判断、譲渡制限株式を手に入れた人を株主として認めるかどうかの判断、譲渡が認められなかった譲渡制限株式の買取人の指定に関する判断。
- 二
- 自社株取得を行う場合にその数量や予算総額、取得の期間についての決定の判断。
- 三
- 譲渡制限付きの新株予約権の譲渡希望者に対する承認の判断や、譲渡制限付きの新株予約権を譲り受けた人に対してその人の権利として承認するかどうかの判断。
- 四
- 株主総会の招集の際に決めておくべき、開催日時や開催場所、議案などの事項の判断。
- 五
- 株主総会に提出する議案の内容についての判断。
- 六
- 社外取締役にシゴトを委託する際に必要となる取締役会での決議についての判断。
- 七
- 取締役が自分や第三者の利益のために行う取引を承認するかどうかの判断。
- 八
- 取締役会の招集を行う取締役を誰にするかについての判断。
- 九
- 各委員会の委員に就任する取締役を誰にするかについての判断。
- 十
- 各委員会の執行役を誰に委任するのかについての判断。
- 十一
- 株式会社と取締役らとの間で訴訟となった場合に、指名委員会等設置会会社側の代表を誰に任せるのかについての判断。
- 十二
- 代表執行役を誰にするのか、代表執行役を辞めさせるかどうかについての判断。
- 十三
- ●426
- 十四
- 補償契約の内容についての判断。
- 十五
- 役員等賠償責任保険契約の内容についての判断。
- 十六
- ●436,441,444
- 十七
- ●454-5
- 十八
- ●467
- 十九
- 合併の契約内容の判断。
- 二十
- 吸収分割の契約内容の判断。
- 二十一
- 新設分割の計画内容の判断。
- 二十二
- 株式交換の契約内容の判断。
- 二十三
- 株式移転の計画内容の判断。
- 二十四
- 株式交付の計画内容の判断。
原文
469
指名委員会等設置会社での取締役会の進め方
- 第417条
- 取締役会の招集を行う人が決まっている指名委員会等設置会社でも、指名委員会、監査委員会、報酬委員会で選ばれた委員には取締役会を招集することが認められます。
- 2
- 執行役は、取締役会への招集がかかっている取締役に対して取締役会のテーマを伝えることにより、取締役会の招集するよう要請することが認められます。
招集の要請をしたにも関わらず、要請した日から5日以内に取締役会の招集の通知をしなかったり、取締役会の日を2週間以内とする招集の通知をしない場合は、要請をした執行役自身が取締役会を招集することが認められます。 - 3
- 指名委員会、監査委員会、報酬委員会で選ばれた委員は、各委員会のシゴトの進み具合を取締役会に報告してください。
- 4
- 執行役は、自分のシゴトの進み具合を3ヶ月に1回以上、取締役会に報告してください。
取締役への報告は、他の執行役に代理を頼んで自分の執行役としての報告を任せることが認められます。 - 5
- 執行役は、取締役会から要求があったら、取締役会に出席して、取締役会が求められたテーマについて説明をしてください。
原文
470
第5款 執行役のシゴト
第五款 執行役の権限等
執行役のシゴト
- 第418条
- 執行役のシゴトは次の通りです。
- 一
- 取締役会での決議を得た執行役に任される、指名委員会等設置会社の業務の進め方を決定すること。
- 二
- 指名委員会、監査委員会、報酬委員会の業務を執り行うこと。
原文
471
痛手を受けかねない事実をつかんだら
- 第419条
- 指名委員会等設置会社が大きな痛手を受けかねない事実をつかんだら、直ちに執行役は監査委員に報告をしてください。
- 2
- 執行役は法令を遵守し、定款と株主総会での決議に従い、株式会社のため忠実にシゴトをしてください。
執行役は自分の利益のためにするような好ましいとはいえない取引を行うには取締役会において取引の要点を説明し、承認を得なければなりません。
自分の利益のためにするような好ましいとはいえない取引を執行役が行った場合、むやみに遅れることなく取締役会にその事実関係や要点を報告しなければなりません。 - 3
- 指名委員会等設置会社においては、取締役が株式会社にとって大きなダメージを負う状況を把握しても、直ちに株主に報告する必要はありません。
原文
472
代表執行役の決め方
- 第420条
- 執行役が一人しかいない場合は、その人が代表執行役を任されることになります。
執行役が複数いる場合、取締役会において執行役の中から代表執行役を任せる人を決めてください。 - 2
- 代表執行役は取締役会の議決があればいつでも辞めさせることが認められます。
- 3
- 代表執行役は、訴訟対応などを含む株式会社の業務に関わる全ての事項についての権限を有します。
民事保全法第56条に規定により代表執行役が職務執行停止の仮処分を受けたことにより、そのピンチヒッターとして代表執行役のシゴトを代行する人は株式会社の日常業務に当たってください。
代表執行役の任期が切れたり辞職することになった場合、次の代表執行役が就任するまでこの辞めるつもりの人に一時的な代表執行役として権利や義務を持ち続けてもらうことになります。
一時的な代表執行役になってもらうためには、利害に関わる人により裁判所に代表執行役を選出してもらうことが認められます。
裁判所に選出された代表執行役への報酬額は裁判所に決めてもらうことができます。
原文
473
社長でもない執行役が
- 第421条
- 指名委員会等設置会社において代表ではない執行役が社長とか、副社長といった株式会社を代表する権限を持っていると思わせる役職を提示して取引を行った場合、そうとは知らない取引相手には、その取引に責任を持って対応しなければなりません。
原文
474
執行役が目的の逸脱や違反をしそうになっていたら
- 第422条
- 指名委員会等設置会社において執行役が会社の目的を逸脱しそうだったり、法令や定款の違反をしそうだったら、株式を6ヶ月以上所有し続けている株主はそれをやめるように要請することが認められます。
6ヶ月以上という期間は定款でそれよりも少ない期間に設定することが認められます。 - 2
- 指名委員会等設置会社であっても株式を公開していない場合は、執行役が目的の逸脱や違反をしそうになっていたら、所有の期間に関わらず株主であればそれをやめるように要請することが認められます。
原文
475
第11節 役員等には損害賠償の責任が
第十一節 役員等の損害賠償責任
役員等は株式会社への損害には賠償を
- 第423条
- 取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人のことを《役員等》といいますが、言いにくいので以降は役員とします。
その役員が自分の任務を怠ったせいで株式会社が損害を与えることがあったら、役員はその損害を賠償しなければなりません。 - 2
- 取締役や執行役が、株式会社には好ましくない取引をして自分たちの利益を上げていたら、その利益の金額は株式会社の損害の金額とイコールだと考えます。
法令を遵守しなかったり、定款と株主総会での決議に従わなかったり、株式会社のため忠実なシゴトをしないで自分たちの利益を上げていた場合も、その利益の金額は株式会社の損害の金額だと考えます。 - 3
- 株式会社にとって好ましくない取引が行われたことに対して、次の行為をしていた取締役や執行役は自分の任務を怠っていたと言われてもやむを得ないものとなります。
- 一
- 自身の利益や第三者の利益のために株式会社にとって好ましくない取引をした取締役や執行役。
- 二
- 株式会社にとって好ましくない取引を株式会社が応じると決めた取締役や執行役。
- 三
- 取締役と株式会社の間で株式会社には不利益な取引をすることを取締役会の決議で賛成した取締役。
- 4
- 監査委員会の承認を受けていれば、株式会社にとって不利益な取引があったとしても、取締役や執行役が任務を怠っていたと言われることはありません。
原文
476
株主全員の同意で免責を
- 第424条
- 株主全員の同意を取り付けることができれば、株式会社にとって不利益な取引をさせたことに対して取締役や執行役がその責任から免れることが許されます。
原文
477
株式総会の決議で一部の免責を
- 第425条
- 取締役や執行役に大きな落ち度はなく、会社にとって好ましくない取引であることを想定できずに生じた不利益については株主総会での決議を得ることができれば、一部は免責を認められます。
不利益を被った株式会社が子会社ありで、その親会社がこの子会社に対して所定の強力な経営権を持つ親会社であって《特定責任》に該当する場合は、この株式会社の株主総会とその親会社の株主総会の両方で決議を得ることができれば、一部の免責が認められます。
所定の強力な経営権を持つ親会社や《特定責任》について詳しいことは●847−3で規定されています。
この免責が認められることのない額を《最低責任限度額》といい、一部の免責が認められる額の上限は次の計算式となります。
(一部の免責が認められる上限額) = (株式会社が被った不利益の額) - 《最低責任限度額》
最低責任限度額は次の一と二の合計額となります。 - 一
- (役員それぞれの1年分の報酬額)に(役職に応じた責任定数)を掛けた額の(全役員分のトータル額)となります。
報酬額の算出方法は法務省令で規定されており、責任定数は次の通り役職により決められています。
- イ
- 代表取締役、代表執行役の責任定数は「6」です。
- ロ
- 代表取締役以外で業務執行に関わる取締役、代表執行役以外の執行役の責任定数は「4」です。
- ハ
- 代表取締役以外で業務執行に関わらない取締役、、会計参与、監査役、会計監査人の責任定数は「2」です。
- 二
- 報酬の代わりに破格の利益が見込まれる新株予約権を受け取っていた場合、その価値に見合う額として法務省令の規定に基づいて算出された額の全役員分のトータル額。
- 2
- 一部の免責してもらうためには、株主総会において次の情報を明らかにする必要があります。
- 一
- 株式会社に不利益を負わすことになった事情と、賠償責任を負う必要のある金額について。
- 二
- 一部免責の対象として認めてもらいたい上限金額と、その根拠となる算出方法について。
- 三
- 一部免責を認めてもらいたい理由と免責額について、
- 3
- 監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社において、一部免責を認めてもらうための株主総会の議案を提出する前に、次の株式会社の区分に応じて決められた監査役や委員の同意を得る必要があります。
- 一
- 監査役設置会社の場合、各監査役の同意を。
- 二
- 監査等委員会設置会社の場合、各監査等委員の同意を。
- 三
- 指名委員会等設置会社の場合、各監査委員の同意を。
- 4
- 一部免責を認める決議が得られた後に、その役員に対して退職慰労金などの金銭を支払うこととするためには、株主総会の決議を得る必要があります。
一部免責を認める決議が得られた後に、その役員が持つ新株予約権を実際に株式と交換する場合や、他の人に新株予約権を譲渡する場合も、株主総会の決議を得る必要があります。 - 5
- 一部免責が認められた役員が新株予約権の証券を所有している場合は、その証券を株式会社に預託してください。
預託した新株予約権の証券を譲渡したいと思っても、株主総会の決議を得られていない場合は株式会社からの返還を要請することはできません。
原文
478
取締役の決議で定款に一部の免責を
- 第426条
- 取締役が二人以上いる監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社の場合、取締役や執行役に大きな落ち度はなく、会社にとって好ましくない取引であることを想定できずに生じた不利益に対して、特に必要があれば取締役の過半数の決議により一部の免責を認めることを定款に規定することが認められます。
この場合、不利益が生じた原因や状況、その役員のシゴトぶり、その他の事情を考慮する必要があります。
この場合も、最低責任限度額については免責が認められません。
会社に不利益をもたらした当人の取締役は決議に加わることは認められません。
取締役会設置会社であれば、取締役会の決議により一部の免責を認めることを定款に規定することが認められます。 - 2
- 監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社において、一部免責を認める定款の変更についての株主総会の議案を提出する前に、第424条第3項と同様に監査役や委員の同意を得る必要があります。
- 3
- 定款の規定に基づいて取締役の決議による不利益に対する一部の免責を認めることになったら、むやみに遅れることなく次のことを公告するか、株主に対して通知をしてください。
- 株式会社に不利益を負わすことになった事情と、賠償責任を負う必要のある金額について
- 一部免責の対象として認めてもらいたい上限金額と、その根拠となる算出方法について
- 一部免責を認めてもらいたい理由と免責額について、
同時に、「免責を認める決定に対して不服のある人は所定の期間内に異議を申し立ててほしい」ということについても公告や株主への通知をしてください。
この場合の所定の期間は少なくとも1ヶ月以上に設定してください。 - 4
- 株式を公開していない株式会社については、定款の規定に基づく一部免責を認めることになっても、株主に対する通知を行う必要はありますが、公告をする必要はありません。
- 5
- 子会社において不利益の一部免責に関する公告や通知を行った場合、所定の強力な経営権を持っている親会社でもむやみに遅れることなく子会社が不利益を負うことになった事情などについての公告や、株主への通知を行ってください。
同時に、「免責を認める決定に対して不服のある人は所定の期間内に異議を申し立ててほしい」ということについても公告や株主への通知をしてください。
この場合の所定の期間は少なくとも1ヶ月以上に設定してください。 - 6
- この強力な経営権を持つ親会社が株式を公開していないければ、不利益を被った子会社が一部免責の公告や通知を行うことになっても、株主に対する通知を行う必要はありますが、公告をする必要はありません。
- 7
- 次に該当する大株主が一部免責に関する取締役の決議に対して所定の期間内に異議を述べた場合、この免責は認められないことになります。
- この株式会社の全ての議決権の3%以上の議決権を有する株主
- 所定の強力な経営権を持っている親会社の全ての議決権の3%以上の議決権を有する株主
全ての議決権に関して、免責の対象となる役員が持つ議決権は議決の対象から外されます。
定款で3%よりも少ない割合として設定することは認められます。 - 8
- 一部免責を認める取締役の決議の後に、その役員に対して退職慰労金などの金銭を支払うことにする場合や、その役員が持つ新株予約権を実際に株式との交換を行おうとする場合、他の人に新株予約権の譲渡を行おうとする場合は、株主総会の決議を得る必要があります。
一部免責が認められた役員が新株予約権の証券を所有している場合は、その証券を株式会社に預託してください。
預託した新株予約権の証券を譲渡したいと思っても、株主総会の決議を得られていない場合は株式会社からの返還を要請することはできません。
原文
479
業務に携わらない役員には責任の上限額を
- 第427条
- 業務に携わらない取締役と会計参与、監査役、会計監査人のことを《非業務執行取締役等》といいます。
《非業務執行取締役等》は、大きな落ち度はなく、会社にとって好ましくない取引であることを想定できないところで行われた取引によって生じた不利益に対して上限額を設定する内容の契約を結ぶことが認められます。
この上限額は、次のどちらかの高額な方とします。- 定款の規定の範囲内で株式会社が予め決めた金額
- 最低責任限度額
- 2
- 責任の上限額での契約を結んだ非業務執行取締役等が、その後に業務に携わることになったら、この契約は将来に渡り無効となります。
- 3難文
- 監査役設置会社において、非業務執行取締役等の責任の範囲を決めるための株主総会の議案を提出する前に、各監査役の同意を得る必要があります。
監査等委員会設置会社において、非業務執行取締役等の責任の範囲を決めるための株主総会の議案を提出する前に、各監査等委員の同意を得る必要があります。
指名委員会等設置会社において、非業務執行取締役等の責任の範囲を決めるための株主総会の議案を提出する前に、各監査委員の同意を得る必要があります。 - 4
- 業務に携わらないはずの非業務執行取締役等が任務を怠っていたことが、株式会社が不利益を被る取引に関係をしていたことが発覚した場合、その後に行われる最初の株主総会で次の事項について開示されることになります。
- 一
- 株式会社に不利益を負わすことになった事情と、賠償責任を負う必要のある金額、一部免責の対象として認めてもらいたい上限金額と、その根拠となる算出方法について。
- 二
- 非業務執行取締役に対する責任の上限額を決めた契約の内容とその契約を締結することにした理由。
- 三
- そ非業務執行取締役が任務を怠ったせいで株式会社に被った損害の内、免責の対象となる金額。
- 5
- 非業務執行取締役等に対する責任の上限額を取り決めた契約を結んだ後に、その役員等に対して退職慰労金などの金銭を支払うこととするためには、株主総会の決議を得る必要があります。
契約を結んだ後に、その役員等が持つ新株予約権を実際に株式と交換する場合や、他の人に新株予約権を譲渡する場合も、株主総会の決議を得る必要があります。
責任の上限額を取り決めた契約を結んだ役員等が新株予約権の証券を所有している場合は、その証券を株式会社に預託してください。
預託した新株予約権の証券を譲渡したいと思っても、株主総会の決議を得られていない場合は株式会社からの返還を要請することはできません。
原文
480
自分は利益を得てるなら株式会社の不利益の責任からは
- 第428条
- 取締役や執行役と株式会社との間で行った取引で、取締役や執行役は利益を得て株式会社は不利益を被った場合、たとえ取締役や執行役のシゴト上の落ち度がなかったとしても株式会社が被った不利益に対する責任から逃れることは認められません。
- 2
- 取締役や執行役は利益を得て株式会社は不利益を被った場合、落ち度がなかったとしても免責は認められません。
監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社において、定款に一部免責を認める記載があったとしてもその責任から逃れることはできません。
非業務執行取締役等と株式会社との間で行った取引で非業務執行取締役等は利益を得て株式会社は不利益を被った場合には、一部免責を認める契約を結んだとしてもその責任から逃れることはできません。
原文
481
第三者に対する役員の損害賠償責任
- 第429条
- 問題があることを知りながら役員としての対処をおろそかにしていたり、役員のシゴトをおろそかにして重大な問題を見逃していたせいで、第三者に対する損害が発生した場合、その役員は損害を賠償しなければなりません。
- 2
- 次の人が記載されていることをしでかした場合、その人は損害を負った第三者に対して賠償をしなければなりません。
- 一
- 取締役や執行役が各号に記載されていることをしでかした場合。
- イ
- 株式、新株予約権、社債、新株予約権付社債の募集の際にウソの重要事項の通知をしでかすこと。
その募集の際の説明資料にウソの記載をすること。 - ロ
- 計算書類、事業報告、附属明細書、臨時計算書類の重要事項を偽造すること。
- ハ
- 虚偽の登記をすること。
- ニ
- 虚偽の公告をすること。
- 二
- 会計参与が、計算書類、附属明細書、臨時計算書類、会計参与報告の重要事項を偽造すること。
- 三
- 監査役、監査等委員、監査委員が、監査報告の重要事項を偽造すること。
- 四
- 会計監査人が、会計監査報告の重要事項を偽造すること。
原文
482
責任は役員で連帯して
- 第430条
- 株式会社や第三者に対する損害賠償を複数の人数の役員で負う場合は、それそれの《連帯債務》となります。
《連帯債務》について詳しいことは民法 第三編第一章第三節第四款 連帯債務に規定されています。
原文
483
第12節 役員個人で負いきれない賠償責任を
第十二節 補償契約及び役員等のために締結される保険契約
役員個人で負いきれない賠償責任を株式会社が
- 第430条の2
- そうは言っても、役員個人では賠償責任や対処のための諸費用を負担しきれない可能性がありますので、その手の賠償責任を会社が肩代わりするという契約を結ぶことが認められます。
このような肩代わりの契約のことを《補償契約》といい、この契約の内容を決めるためには、株主総会の決議を得る必要があります。 - 一
- その役員のシゴトに法令違反が疑われる状況や、賠償責任を追及される状況に対処するための費用。
- 二
- その役員のシゴトにより第三者への損害賠償をしなければならない状況によって株式会社が受けるダメージを対処するための費用。
- イ
- 役員が損害賠償をしなければならないことにより生じるダメージ。
- ロ
- 役員と第三者との間で損害賠償について和解が成立した際に和解金を支払わなければならないことにより生じるダメージ。
- 2
- 役員と株式会社の間で補償契約を結んだとしても、次に該当する費用は肩代わりの対象とはなりません。
- 一
- その役員のシゴトに法令違反や賠償責任の対処のための費用であっても、一般的にかかる金額を超える費用。
- 二
- 役員のせいで株式会社が第三者に損害賠償をするにあたり、自分の任務を怠ったことによって役員が株式会社に与えた損害を補償するための費用。
- 三
- 役員が問題があることを知りつつ発生したトラブルや役員の重大な過失によって発生したトラブルについては役員として全額を補償する必要があり、その分の費用。
- 3
- 株式会社が補償契約に基づいて役員が負担すべき損害賠償を肩代わりした後に、実は自分や第三者が不正な利益を得ることを狙っていたり、株式会社がダメージを受けることを狙っていたことが発覚したら、この役員に対して株式会社は肩代わりした全額の返還を請求することが認められます。
- 4
- 取締役会設置会社において取締役に対する補償契約に基づいて損害賠償を肩代わりすることになったら、肩代わりした株式会社側の取締役と補償を受けた側の取締役はむやみに遅れることなく、取締役会の場でその事実関係の報告をしてください。
- 5
- 執行役に対する補償契約に基づいて損害賠償を肩代わりすることになったら、肩代わりした株式会社側の取締役と補償を受けた側の執行役はむやみに遅れることなく、取締役会の場でその事実関係の報告をしてください。
- 6
- 取締役や執行役と株式会社との間で補償契約を結ぶ場合に、次の規定は適用されません。
- 株式会社と取引をするために株主総会の承認を得ることによって、取締役が株式会社と競合する取引を認めたり、取締役自身の利益のための取引を認める規定。
(第356条第1項) - 取締役が株式会社にとって好ましいとはいえない取引を行った場合は、取締役会にその事実関係や要点を報告を求める規定。
(第365条第2項) - 株式会社にとって好ましくない取引が行われたことに対して、自分に都合のいいことをしていた取締役や執行役は任務を怠っていたとみなされることに関する規定。
(第423条第3項) - 取締役や執行役が株式会社にとって好ましくない取引が行われた場合、自分のシゴトに落ち度が無かったとしてもし全面的な免責は認められないことについての規定。
(第428条第1項)
- 株式会社と取引をするために株主総会の承認を得ることによって、取締役が株式会社と競合する取引を認めたり、取締役自身の利益のための取引を認める規定。
- 7
- 民法第108条では、自分が契約相手の代理人になって自分と契約を結ぶとそれは自分が自分と契約したもの、つまり自己契約とみなされることになっています。
しかし会社の代表者である役員と株式会社が結ぶ補償契約については自己契約とはみなされず、成立するものとして認められます。
原文
484
やらかした役員の損害を保険で
- 第430条の3
- やらかした役員のせいで生じた損害を保険で補うことが認められます。
これは、株式会社が役員を対象として保険会社との間で保険契約を結びものですが、契約内容を取りまとめるためには株主総会での決議を得る必要があります。 - 2
- 保険会社と株式会社の間で、役員のやらかした責任に対処するための保険契約を結ぶ場合に、次の規定は適用されません。
- 株式会社と取引をするために株主総会の承認を得ることによって、取締役が株式会社と競合する取引を認めたり、取締役自身の利益のための取引を認める規定。
(第356条第1項) - 取締役が株式会社にとって好ましいとはいえない取引を行った場合は、取締役会にその事実関係や要点を報告を求める規定。
(第365条第2項) - 株式会社にとって好ましくない取引が行われたことに対して、自分に都合のいいことをしていた取締役や執行役は任務を怠っていたとみなされることに関する規定。
(第423条第3項) - 取締役や執行役が株式会社にとって好ましくない取引が行われた場合、自分のシゴトに落ち度が無かったとしてもし全面的な免責は認められないことについての規定。
(第428条第1項)
- 株式会社と取引をするために株主総会の承認を得ることによって、取締役が株式会社と競合する取引を認めたり、取締役自身の利益のための取引を認める規定。
- 3
- 会社の代表者である役員によって株式会社が保険会社との間で結ぶ、役員のやらかした責任に対処するための保険契約については自己契約とはみなされず、成立するものとして認められます。
原文
485
第2編 第5章 お金の数え方
第2編 第3章 新株を手に入れられる権利
0 件のコメント:
コメントを投稿