第2編 第4章 株式会社のシステム
第二編 第四章 機関
第●章 ●
第3章 新株を手に入れられる権利
第1節 株主総会と種類株主総会
第一節 株主総会及び種類株主総会等
第1款 株主総会
第一款 株主総会
株主総会で決議できること
- 第295条
- 会社法の規定に該当する事項をはじめ、組織体制、運営方法、管理方法など株式会社に関わる一切のことは株主総会で決議することができます。
- 2
- 《取締役会設置会社》では、組織体制や運営方法、管理方法などは取締役会で決議するので、会社法の規定に該当する事項や定款で定められていることが株主総会で決議することができます。
- 3
- 会社法で株主総会での決議が必要とされる事項について、取締役や執行役の裁量で決めたり、取締役会や株主総会以外の機関で決めることを認める内容を定款に記載しても、その記載は認められません。
原文
株主総会の開催
- 第296条
- 1年に1度、事業の年度が終わって一定の期間中に開催されるのが《定期株主総会》といいます。
- 2
- 定期株主総会のタイミング以外でも必要があれば随時、株主総会は開催されます。
- 3
- 通常、取締役が株主総会を開催するため株主に対して招集を行います。
原文
株主による株主総会の招集
- 第297条
- 全ての株主の議決権の3%以上の株式を6ヶ月以上前から継続的に所有している株主は、株主総会の招集をかけることができます。
株主総会の招集を行うには、取締役に対して株主総会で話し合いをして議決権を用いて承認してほしいテーマと、そのテーマを話し合ってほしい理由を伝えてください。
定款で招集できる議決権の比率を3%未満に設定したり、6ヶ月よりも前からに設定することも認められます。 - 2
- 公開会社において、株主総会の招集をかけられる株主は、全ての株主の議決権の3%以上の株式を所有している必要があります。
- 3
- 株主総会に提案された議案に関して議決権のない株式については、「全ての株主の議決権の3%」の対象としてカウントしません。
- 4
- 次のケースに該当する場合、裁判所の許可を得た上で株主総会を開催させることが認められます。
- 一
- 株主総会の招集の希望を取締役会に伝えてもなかなか株主総会の開催手続きが進まない場合。
- 二
- 株主総会の招集の希望を「取締役会に伝えた日から8週間後までの日程」で株主総会を開催する、という招集の通知が届かない場合。
“株主総会の目的である事項”、つまり株主総会で話し合われるテーマのことを《議案》といいます。
原文
株主総会の開催にあたり決めておく必要がある事項
- 第298条
- 株主総会を招集する際には次の事項を決めておく必要があります。
- 一
- 株主総会の開催日時と開催場所。
- 二
- 株主総会で話し合われる議案。
- 三
- 出席しない株主のために議決権を書面で行使できるサービスを行う場合は、そのサービスの説明。
- 四
- 出席しない株主のために議決権をデジタルで行使できるサービスを行う場合は、そのサービスの説明。
- 五
- その他、法務省令(1)で規定されている事項。
- 2
- 議案の一部だけでも議決権を持つ株主の数が1000人以上いる場合は必ず議決権を書面で行使できるサービスが行われます。
株式市場に上場していて、法務省令(2)に該当する株式会社については書面で行使できるサービスを行う必要がありません。 - 3
- 取締役会が設置されている株式会社の総会では、議案の議決権を持つ株主の数が1000人以上いる場合は必ず議決権を書面で行使できるサービスが行われます。
株式市場に上場していて、法務省令(2)に該当する株式会社については書面で行使できるサービスを行う必要がありません。 - 4
- 取締役会が設置されている株式会社では、裁判所の決定で株主総会が招集されるケースをのぞき、株主総会の開催にあたり決めておく必要がある事項は取締役会の決議が必要です。
法務省令(1):会社法施行規則第63条(招集の決定事項)
原文
株主総会の2週間前までに通知を
- 第299条
- 株主総会が開催される際にはその2週間前までに通知が出されることになっています。
株式市場に上場していない株式会社の場合は1週間前までに通知が出されることになっていますが、出席できない株主のために書面やデジタルデータでの議決権行使に対応する場合は2週間前までに通知が出されることになっています。
株式市場に上場していない株式会社で、定款に規定しておけば1週間よりも短期の通知でも株主総会が開かれることがあります。 - 2
- 次のケースに該当する場合は、通知は必ず書面で行われます。
- 一
- 出席できない株主のために書面やデジタルデータでの議決権行使に対応する場合。
- 二
- 取締役会が設置されている株式会社の場合。
- 3
- 予め株主の承諾を得ていれば、株主総会開催の通知をデジタルデータで行うことが認められます。
デジタルデータでの通知に関する株主の承諾について詳しいことは政令で規定されています。 - 4
- 書面やデジタルデータで行われる株主総会開催の通知には、総会の場所や日時の他、開催にあたり決めておく必要のある事項が記載されます。
原文
書面やデジタルで議決権行使のサービスを導入していない株式会社では
- 第300条
- 議決権を書面やデジタルで行使できるサービスを導入していない株式会社では、株主全員の同意があれば株主総会招集の手続きをすっ飛ばして株主総会を開催することが認められます。
原文
書面で参考資料や議決権行使
- 第301条
- 議決権を書面で行使できるサービスを導入している株式会社では、株主総会の開催通知の中に株主が議決権を行使する際に参考となる資料と、議決権を投票するための書類が送られます。
“株主が議決権を行使する際に参考となる資料”のことを《株主総会参考書類》といいます。
“議決権を投票するための書類”のことを《議決権行使書面》といいます。 - 2
- 株主総会の開催通知をEmailなどで対応することを認めた株主に対しては書類を送付する代わりに、電子化された参考資料を送付したり、議決権をデジタル投票できるシステムの利用を勧めることが認められます、
書面での対応に戻してほしいとの要望があれば、株式会社に切り替えてもらうことができます。
原文
デジタルで参考資料や議決権行使
- 第302条
- 議決権をデジタルで行使できるサービスを導入している株式会社では、株主総会の開催通知の中に株主が議決権を行使する際に参考となる資料が書面で送られます。
- 2
- 株主総会の開催通知をEmailなどで受け取ることを認めた株主に対しては書類を送付する代わりに、電子化された参考資料を送付することが認められます、
書面での対応に戻してほしいとの要望があれば、書面に切り替えてもらうことができます。 - 3
- 電子化した参考資料を受け取った人は議決権をデジタルで行使できるサービスを利用してください。
- 4
- 開催通知をEmailで受け取ることを認めなかった株主に対しても、株主総会の1週間前までに議決権をデジタルで行使したいとの要望があれば、デジタルに切り替えてもらうことができます。
原文
株主から取締役に議案を
- 第303条
- 株主は、自分が議決権を行使できるテーマに関して株主総会での議案にしてもらうよう取締役に要求することができます。
- 2
- 次に該当する株主は、希望する内容に関して株主総会での議案にしてもらうよう取締役に要求することができます。
- 全ての議決権の内の1/3以上の比率を持つ株主。
- 半年前から引き続き300以上の議決権を持つ株主。
定款で持ち株の比率を1/3未満に下げたり、所有期間を半年以内に引き下げることは認められます。 - 3
- 株式を公開していない株式会社の場合、その時点で300以上の議決権を持つ株主は、希望する内容に関して株主総会での議案にしてもらうよう取締役に要求することができます。
- 4
- 「全ての議決権の内の1/3以上の比率を持つ株主」について、議決権を行使できない株式は議決権としてカウントしません。
原文
株主総会で新たなテーマを議案に
- 第304条
- 株主総会の中で株主側から話し合いのテーマを新たに議案として追加してもらうよう提案することができます。
このテーマが法令や定款に違反している場合は追加の議案として認められません。
ほぼ同じ内容のテーマが過去三年以内に話し合われていて、その際の議決では10%以上の賛成を得られていない場合も追加の議案として認められません。
このケースでの議決権には議決に加われない株主が所有する株式はカウントされません。
定款で10%未満の賛成に規定していたら、その割合が認められます。
原文
今度の株主総会の議案の概要を知りたい時は
- 第305条
- 株主であれば、次回の株主総会の8週間前までに、そこで話し合われる予定の議案の概要を株式会社に問い合わせて回答を通知するよう要請できます。
ただし取締役会が設置されている株式会社の場合、問い合わせることが認められる株主は、議決権の1%以上を所有する株主か、300株以上の議決権を6ヶ月以上所有している株主に限られます。
定款で、1%未満の所有株主と設定したり、300株未満の議決権の所有株主と設定することは認められます。 - 2
- 取締役会が設定されていても、株式を公開していない株式会社の場合、6ヶ月以上議決権を所有していなくても、問い合わせの時期に所定の議決権を所有していれば問い合わせることができます。
- 3
- 株式に議決権のない株式については1%の議決権を計算する際の対象にはなりません。
- 4
- 次回株主総会で予定されている議案の数が10件以上ある場合、10件までは概要の問い合わせに対応してもらえますが、それより多い件数には対応してもらえない可能性があります。
以下に関わる内容については議案の数が複数あっても、この内容で1件の議案として扱います。 - 一
- 取締役、会計参与、監査役、会計監査人などの役員を選任することについて。
- 二
- 取締役、会計参与、監査役、会計監査人などの役員を解任することについて。
- 三
- 会計監査人を再任しないことについて。
- 四
- 同じ議案に対して違う内容の定款変更を議案とするケース。
- 5
- 10件を超えて、何件まで概要の問い合わせに対応してもらるかは取締役の事情で決まります。
ただし株主が問い合わせに際して概要を説明してもらいたい案件に優先順位をつけた場合は、その順番で対応してもらうことができます。 - 6
- 次のケースに該当すると、概要の問い合わせに対応してもらうことができません。
- 概要を問い合わせた議案マが法令や定款の規定に違反している場合。
- 過去に10%未満しか賛成を得られなかったものとほぼ同じ内容の議案がその議決から3年を経たずに提案された場合。
原文
株主総会の招集や決議に問題がないか調べるために
- 第306条
- 議決権の1%以上を有する株主と株式会社は、株主総会開催の招集手続きや決議の方法に問題がないかを調べるため、裁判所に検査役を選任することを申し立てることが認められます。
定款で、議決権の1%未満に設定することも認められます。 - 2
- 公開会社である取締役設置会社は、株主総会の議案について議決権の1%以上を6ヶ月前から有する株主と株式会社には、株主総会の開催の招集手続きや決議の方法に問題がないかを調べるため、裁判所に検査役を選任してもらうよう申し立てをすることが認められます。
定款で、6か月前よりも短い機関に設定することも認められます。 - 3
- 裁判所は、検査役の選任の申し立てに違法性などの問題があると申立を却下することがあります。
- 4
- 裁判所は、検査役の選任の際に、その報酬額についても決めることになっています。
- 5
- 検査役は、株主総会開催の招集手続きや決議の方法に問題がないか調査し、書面かデジタル情報の報告書を作成して裁判所に提出します。
- 6
- 報告書を受け取った裁判所が、その内容に不明瞭だと判断したり、裏付けが必要と判断したら、追加の調査報告を要請します。
- 7
- 検査役は裁判所に提出する報告書と同じ内容の書面またはデジタルデータによる報告書を調査対象となった株式会社に対しても提出します。
申し立てを行ったのが株式会社ではなく、株主であった場合には、その株主と株式会社に対して報告書を提出します。
原文
報告の結果、対応が必要なら
- 第307条
- 株主総会開催の招集手続きや決議の方法についての検査報告の結果、対応が必要と判断されると裁判所からその株式会社の取締役に対して次のような措置を命じられることがあります。
- 一
- 指定の期限内に株主総会を開催すること。
- 二
- 検査報告の結果を株主に対して通知すること。
- 2
- 裁判所から取締役に対して上記の措置が命じられたら、開催された株主総会の中で報告書の内容を発表してください。
- 3
- 裁判所からの措置が命じられた取締役は、報告書の内容についての調査を行い、開催された株主総会の中で行った調査の結果を発表してください、
原文
議決権の数
- 第308条重要
- 一般に、株主は1株あたり1つの議決権を有します。
定款で単元を設定している場合、1単元の株式につき1つの議決権を有します。
議決権の1/4以上を有するなど実質的に株式会社の経営権を握ることが可能なケースとして法務省令の規定に該当する株主の議決権については1株あたり1つの議決権の規定の対象外となることがあります。 - 2
- 株式会社自身が所有する自己株式については議決権は有りません。
原文
株主総会で決議となるには
- 第309条重要
- 議決権の過半数の株主が出席する株主総会で、出席した株主の議決権の過半数が賛成をすると議案は可決となり、それに満たなければ否決、となります。
定款で出席や議決権の条件を緩く規定したり、厳しく規定することも認められます。 - 2
- 次の議案を議論する場合、議決権の過半数の株主が出席する株主総会で、出席した株主の議決権の2/3以上が賛成をすると議案は可決となり、それに満たなければ否決、となります。
この場合、定款により出席数を議決権の1/3以上に規定することが認められます。
この場合、定款により議決権の2/3よりも多い割合の賛成で可決と規定することが認められます。
この場合、出席数の条件を満たし、賛成の比率を超える条件を満たした上に、定款により必ず議決権の一定数を超える賛成が必要であると規定することも認められます。 - 一
- 譲渡制限株式の譲渡を認めない場合に、株式会社が買い取りを行うかどうか、または株式会社の代わりの買取人を誰に指定するかについて。
- 二
- 特定の株主から自社株を購入するために想定している購入数や獲得予算、獲得期間を合意できるかどうかについて。
- 三
- 全部取得条項付種類株式の発行をするかどうか、あるいは譲渡制限株式を承継した人に株式の売り渡しを請求するかどうかについて。
- 四
- 株式を併合するかどうかについて。
- 五
- 株式の募集を始める前に決めておかねばならない、数量や販売価格、募集期間などの事項を認めるかどうかについて。
- 六
- 新株予約権の発行前に決めておかねばならない、プロフィールや数量、支払いの要不要、割当日などの事項を認めるかどうかについて。
- 七
- 役員や会計監査人を解任するかどうかについて。
- 八
- 425●
- 九
- 447●
- イ
- ●
- ロ
- ●
- 十
- 454●
- 十一
- 6s-8s●
- 十二
- 5h●
- 3
- 次の議案の議論をする場合、半数以上の株主が出席する株主総会で、出席した株主の議決権の2/3以上が賛成をすると議案は可決となり、それに満たなければ否決、となります。
この場合、定款により出席数を過半数に規定することが認められます。
この場合、定款により議決権の2/3よりも多い割合の賛成で可決と規定することが認められます。
種類株式発行会社の株主総会はこのケースには該当しません。 - 一
- 株式を譲渡する際に、株式会社の承認を必要とするように定款を変更するかどうか。
- 二
- 783●
- 三
- 804●
- 4
- 株式を公開していない会社で、譲渡制限株式の株主に対する待遇の違いについて定款の変更を行うかどうかのテーマで株主総会で議論する場合、全ての株主の半数以上が投票し、その3/4以上が賛成をすると議案は可決となり、それに満たなければ否決、となります。
この場合、投票数を過半数に規定することが認められます。
この場合、定款により議決権の3/4よりも多い割合の賛成で可決と規定することが認められます。
譲渡制限株式の株主に対する待遇の違いに関する定款の規定を廃止するかどうかについては、このケースに該当しません。 - 5
- 取締役会設置会社では、次の事案以外に、株主総会で話し合うテーマとして決めておいた事項しか議決をすることが認められません。
- 株主総会に提出された資料に対する詳しい調査をする人の選任や、議決権の3%以上の株主が招集した株主総会で業務や財産状況に対する調査をする人の選任について。
- 398●
原文
株主本人が出席しなくても代理人に
- 第310条
- 株主総会には株主本人が出席しなくても、代理人に議決権を行使させることが認められません。
株式会社に代理人として認めてもらうためには、代理人に関する委任状を株式会社に提出する必要があります。 - 2
- 委任状は株主総会ごとに有効なので、必要があれば毎回委任状を提出する必要があります。
- 3
- 委任状は書面の代わりにデジタルデータでも送っても有効です。
デジタルデータについて詳しいことは政令で規定されています。 - 4
- 予め株主総会開催の通知をデジタル通信で行っている株主に対しては、正当な理由がない限り株式会社にデジタルデータの委任状を拒否されることはありません。
- 5
- 株主総会に出席できる代理人の人数は株式会社によって制限されることがあります。
- 6
- 株主からの委任状やそのデジタルデータは、株主総会の閉会後3ヶ月間、株式会社の本社で保管されることになっています。
- 7
- 株主であれば、どのような委任状を受理したかを確認するため、株式会社に対して次の事項を要請することが認められます。
ただしその要請は営業時間内に行い、確認をするための目的を株式会社に伝えてください。 - 一
- 委任状を閲覧したり、コピーを取ること。
- 二
- 委任状のデジタルデータを閲覧したり、コピーを取ること。
- 8
- 株主から委任状の書面やデジタルデータの閲覧やコピーの要請を受けたら、次のケースを除き、株式会社は対応をする必要があります。
- 一
- 株主としての権利を守ったり、権利を行使するために必要な調査以外の目的で委任状を調べようとしている場合。
- 二
- 株式会社の業務の妨害や、他の株主たちとの共同の利益を害するために株式会社に要請をしている場合。
- 三
- 不当な利益を得る目的で、委任状を調べた内容を第三者に提供しようとしている場合。
- 四
- 過去2年以内に、不当な利益を得る目的で、委任状を調べた内容を第三者に提供していた場合。
原文
議決権を書面で行使するには
- 第311条
- 株式会社から郵送された議決権行使書面に必要事項を記入して、期限までに株式会社に提出すると議決権の行使が認められます。
提出の期限について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 2
- 提出された議決権行使書面の記載内容は、株主総会に出席して投票されたのと同じように議決権の数にカウントされます。
- 3
- 株主総会でカウントされた議決権行使書面は、株主総会の閉会後3ヶ月間、株式会社の本社で保管されることになっています。
- 4
- 株主であれば、議決権行使書面の記載内容を確認するため、株式会社に対して書面の閲覧やコピーの要請をすることが認められます。
ただしその要請は営業時間内に行い、確認をするための目的を株式会社に伝えてください。 - 5
- 株主から議決権行使書面の閲覧やコピーの要請を受けたら、次のケースを除き、株式会社は対応をする必要があります。
- 一
- 株主としての権利を守ったり、権利を行使するために必要な調査以外の目的で議決権行使書面を調べようとしている場合。
- 二
- 株式会社の業務の妨害や、他の株主たちとの共同の利益を害するために株式会社に要請をしている場合。
- 三
- 不当な利益を得る目的で、議決権行使書面を調べた内容を第三者に提供しようとしている場合。
- 四
- 過去2年以内に、不当な利益を得る目的で、議決権行使書面を調べた内容を第三者に提供していた場合。
原文
議決権をデジタルで行使するには
- 第312条
- 株式会社が了承しているデジタル通信を使った方法で、期限までに株式会社に提出すると議決権の行使が認められます。
提出の期限について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 2
- 予め株主総会開催の通知をデジタル通信で行っている株主に対しては、正当な理由がない限り株式会社にデジタルデータによる議決権行使を拒否されることはありません。
- 3
- 提出された議決権行使のデジタル通信の記載内容は、株主総会に出席して投票されたのと同じように議決権の数にカウントされます。
- 4
- 株主総会でカウントされた議決権行使のデジタル情報は、株主総会の閉会後3ヶ月間、株式会社の本社で保管されることになっています。
- 5
- 株主であれば、議決権行使のデジタル情報の記載内容を確認するため、株式会社に対して書面の閲覧やコピーの要請をすることが認められます。
ただしその要請は営業時間内に行い、確認をするための目的を株式会社に伝えてください。 - 6
- 株主から議決権行使のデジタル情報の閲覧やコピーの要請を受けたら、次のケースを除き、株式会社は対応をする必要があります。
- 一
- 株主としての権利を守ったり、権利を行使するために必要な調査以外の目的で議決権行使のデジタル情報を調べようとしている場合。
- 二
- 株式会社の業務の妨害や、他の株主たちとの共同の利益を害するために株式会社に要請をしている場合。
- 三
- 不当な利益を得る目的で、議決権行使のデジタル情報を調べた内容を第三者に提供しようとしている場合。
- 四
- 過去2年以内に、不当な利益を得る目的で、議決権行使のデジタル情報を調べた内容を第三者に提供していた場合。
原文
バラバラに議決権は行使できる
- 第313条
- 必ずしも全ての議決権を同じ案に投票する必要はなく、バラバラの案に議決権を投じてもかまいません。
- 2
- 取締役会設置会社の株主総会でバラバラの案に議決権を投じようとする場合、株主総会の三日前までに株式会社に対して、理由を添えて、バラバラの案に議決権を投じるつもりであることを伝える必要があります。
- 3
- バラバラの案に議決権を投じた場合、株式会社にこのやり方での投票を拒否されることがあります。
ただし、この株主が複数の人による共有株式の代表者である場合は、バラバラの案に議決権を投じても株式会社に投票を拒否されることはありません。
原文
株主から説明を求められたら
- 第314条
- 株主総会のテーマについて株主から説明を求められたら、取締役や会計参与、監査役、執行役の役職にある人は、必要な説明を行ってください。
ただし、次の場合は説明を行う必要はありません。- 求められた内容が株主総会のテーマにそぐわない場合。
- その説明をすると他の株主のみなさんの利益を著しく害することになる場合。
- 正当な理由として法務省令の規定で認められている場合。
原文
議長の役目
- 第315条
- 株主総会の秩序ある議事進行は議長の役目です。
- 2
- 株主総会で議長の命令に従わない人や秩序を見出そうとしない人は議長によって総会から退場させられることがあります。
原文
株式会社の資料や状況を調査する人を
- 第316条
- 取締役や会計参与、監査役、監査役会、会計監査人から株主総会に提出された資料について、詳しく調査を必要だと株主側が考えた場合、株主総会で決議を得て調査をする人を選任することができます。
- 2
- 議決権の3%以上の株式を6ヶ月以上前から継続的に所有している株主が招集した株主総会で株主側が株式会社の業務や財産の状況について詳しく調査を必要だと考えた場合、株主総会で決議を得て調査をする人を選任することができます。
原文
延期や続行になったら
- 第317条
- 《株主総会の延期》や《株主総会の続行》が決まった場合、先延ばしされた株主総会について、改めて話し合う事項を決め直したり、改めて株主宛に通知を送る必要はありません。
《株主総会の延期》とは、“成立に必要な出席数を満たして株主総会を開催したものの、話し合いは後日に先延ばしすると決議すること”を言います。
《株主総会の続行》とは、“成立に必要な出席数を満たして株主総会を開催して議論を始めたものの、話し合いの続きや決議を後日に先延ばしすると決議すること”を言います。
原文
話し合われた内容は議事録に
- 第318条
- 株主総会で話し合われた内容は、議事録にまとめられます。
議事録について詳しいことは法務省令に規定されています。 - 2
- 株主総会の議事録は、閉会から10年間、株式会社の本社で保管されます。
- 3
- 株主総会の議事録を複製したものは、閉会から5年間、株式会社の支店でも保管されます。
議事録の複製の代わりに、支店でデジタルデータを閲覧できるようにする場合もあります。
デジタルデータについて詳しいことは法務省令に規定されています。 - 4
- 株主や株式会社にお金を貸している人などは、株式会社の営業時間内であれば次の請求をすることが認められます。
- 一
- 株主総会の議事録の書面が保管されている場合は、その書面を閲覧したり、コピーを取ること。
- 二
- 株主総会の議事録のデジタルデータが保管されている場合は、そのデジタルデータを閲覧したり、コピーを取ること。
- 5
- 株式会社の親会社は、親会社としての権利を行使するために必要なときに限り、裁判所の許可を得れば、株主総会の議事録の閲覧やコピーを取ることが認められます。
法務省令1:会社法施行令第72条(議事録)
原文
書面やデジタルデータにより反対の意思が示されなければ
- 第319条
- 取締役や株主から提案された株主総会の議案について、株主から書面やデジタルデータにより全く反対の意思が示されなければ、株主総会で議論するまでもなく可決されたものとなります。
- 2
- 反対の意思がないことにより株主総会で議論されるまでもなく可決された議案について反対意思が示されなかった議決権を表した書面やデジタルデータは、株式会社の本店で10年間保管されます。
- 3
- 株主や株式会社にお金を貸している人などは、株式会社の営業時間内であれば次の請求をすることが認められます。
- 一
- 反対意思が示されなかった議決権を表した書面を閲覧したり、コピーを取ること。
- 二
- 反対意思が示されなかったデジタルデータを閲覧したり、コピーを取ること。
- 4
- 株式会社の親会社は、親会社としての権利を行使するために必要なときに限り、裁判所の許可を得れば、反対意思が示されなかった書面・デジタルデータの閲覧やコピーを取ることが認められます。
- 5
- 取締役や株主から提案された全ての株主総会の議案について、株主から書面やデジタルデータにより全く反対の意思が示されないことにより可決された場合は、株主総会が開催されて議論を経て閉会されたものとなります。
原文
株主全員に報告の通知をして大丈夫と同意したら
- 第320条
- 株主総会の場で取締役から報告すべき事項について、事前に報告内容を通知した上で、株主全員から「報告内容の通知を受け取ったので株主総会の場で報告を受けなくても大丈夫」という同意を得ることができたら、改めて株主総会で報告を行う必要はなくなります。
株主の同意は、書面かデジタルデータで行います。
原文
第2款 種類株主総会
第二款 種類株主総会
種類株主総会で決議できること
- 第321条
- 種類株式を発行している株式会社にて開催される種類株主総会では、会社法の規定と定款に定められている事項に限り、決議することができます。
原文
種類株式発行会社である種の株主に損害を及ぼす行為をするには
- 第322条
- 配当や議決権などのバリエーションがある種類株式発行会社で次の行為が行われると、ある種の株式の株主には損害を及ぼすリスクが想定されます。
そのため次の行為が効力を持つためには、該当する種類株主を加えた株主総会を開催して、決議を得る必要があります。
なお、該当する種類株主にはそもそも議決権が認められていない場合には、株主総会の決議を得る必要がありません。 - 一
- 次の株式発行に関する定款の変更をする場合。
- イ
- 株式の種類を追加すること。
- ロ
- 株式の内容を変更すること。
- ハ
- 発行可能な株式の総数を増やすことや、発行可能な種類株式の総数を増やすこと。
- 一の二
- 特別支配株主による株式売渡請求を承認すること。
- 二
- 株式を併合することや、株式を分割すること。
- 三
- 所有する株式の割合に応じた株主への株式無償割当てをすること。
- 四
- 既存の株主に対する優先的な配慮の上での株式募集を行うこと。
- 五
- 株主を対象とした新株予約権の募集を行うこと。
- 六
- 既存の株主に対する無償の新株予約権の割当を行うこと。
- 七
- 合併すること。
- 八
- 吸収分割をして、残る会社以外は消滅させること。
- 九
- 吸収分割をして、消滅する会社の事業や権利を他の会社が引き継ぐこと。
- 十
- 新設分割をして、消滅する会社の事業や権利を新設した会社が引き継ぐこと。
- 十一
- 株式交換をして、発行済の全ての株式を別の会社に取得してもらうこと。
- 十二
- 株式交換をして、別の株式会社の発行済の全ての株式を取得すること。
- 十三
- 株式移転をして、発行済の全ての株式を他の会社に取得させること。
- 十四
- 株式交付をして、子会社にする株式会社の株式を譲り受け、その対価として自社の株式を子会社に譲り渡すこと。
- 2
- 種類株式の内容として、その種類株式の株主に損害のリスクがある行為であっても株主総会での決議がなくても行うことができる、と定款に規定することが認められます。
- 3
- 定款の内容として株主総会での決議な無くても損害のリスクがある行為が認められるとした場合、株主総会での決議が必要なくなります。
ただし、株式の種類を追加したり、株式の内容を変更することについては、あまりにも損害が大きくなりすぎるため、株主総会での決議が必要となります。 - 4
- 発行済の種類株式に対して定款を変更して、株主総会での決議な無くても損害のリスクがある行為が認められるととするためには、該当する種類株式の株主全員の同意を得なければなりません
原文
種類株式の株主による種類株主総会での決議も
- 第323条
- 定款の種類株式に関する内容について、議案が成立するためには一般の株主総会での決議だけではなくて、この種類株式の株主による種類株主総会での決議も必要とすることが認められます。
この定款の規定に反して、株主総会で決議が得られても、種類株主総会で決議が得られなかったら、議案は通過できません
種類株主総会を開催しても決議に参加できる人が誰もいない場合は、種類株主総会を開会することはできません。
原文
種類株式の株主総会で決議となるには
- 第324条
- 種類株式の株主総会においては、その種類株式の議決権の過半数の種類株主が出席する種類株主総会で、出席した種類株主の議決権の過半数が賛成をすると議案は可決となり、それに満たなければ否決、となります。
定款で出席や議決権の条件を緩く規定したり、厳しく規定することも認められます。 - 2
- 種類株式の株主総会において次の議案を議論する場合、その種類株式の議決権の過半数の株主が出席する株主総会で、出席した種類株主の議決権の2/3以上が賛成をすると議案は可決となり、それに満たなければ否決、となります。
この場合、定款により出席数を議決権の1/3以上に規定することが認められます。
この場合、定款により議決権の2/3よりも多い割合の賛成で可決と規定することが認められます。
この場合、出席数の条件を満たし、賛成の比率を超える条件を満たした上に、定款により必ず議決権の一定数を超える賛成が必要であると規定することも認められます。 - 一
- 種類株式の発行会社における譲渡制限株式の発行に関する定款変更についてや、総会の決議により全ての株式を取得できることとする全部取得条項付種類株式の採用について。
- 二
- 種類株式の発行会社における譲渡制限株式の追加発行についてや、譲渡制限株式の追加発行に関して取締役に委任するかどうかについて。
- 三
- 種類株式の発行会社における新株予約権の発行についてや、譲渡制限株式の新株予約権の発行について。
- 四
- ある種の種類株式の株主には損害を及ぼすリスクが想定される株式の変更に関する定款の変更や、株式の併合、株式無償割当てなど。
- 五
- ●347
- 六
- ●795-4
- 七
- ●816no3-3
- 2
- 種類株式の株主総会において次の議案の議論をする場合、半数以上の株主が出席する株主総会で、出席した株主の議決権の2/3以上が賛成をすると議案は可決となり、それに満たなければ否決、となります。
この場合、定款により出席数を過半数に規定することが認められます。
この場合、定款により議決権の2/3よりも多い割合の賛成で可決と規定することが認められます。 - 一
- 譲渡制限株式の発行について。
- 二
- ●783−3、804-3
原文
一般的な株主総会の規定を同じように
- 第325条
- 一般的な株主総会に関する第1款の規定は、種類株式の株主総会でも同じように適用します。
ただし以下の規定は、種類株式の株主総会の規定を適用します。- 株主総会で決議できること。(組織体制、運営方法、管理方法など株式会社に関わる一切のこと)
- 取締役会が設置されている株式会社の株主総会で決議すること。(定款で定められていること)
- 定期株主総会は1年に1度、事業の年度が終わりの一定の期間中に開催されること。
- 必要があれば随時、株主総会は開催されること。
- 株主総会での決議となる条件について。
原文
第3款 株主総会の情報をデジタル公開
第三款 電子提供措置
取締役が株主総会を招集するなら情報はデジタルデータで公開を
- 第325条の2
- 取締役が株主総会を招集する際に次の情報はデジタルデータで提供することを定款に規定することが認められます。
この場合、定款に《電子提供措置をとる》と規定します。
提供の方法について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 一
- 株主総会参考書類。
- 二
- 議決権行使書面
- 三
- ●437
- 四
- ●444
●
原文
デジタルデータで株主総会に関する情報を公開する期間
- 第325条の3
- デジタルでの議決権行使に対応する株式会社や取締役会が設置されている株式会社で、株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することとした場合、所定の期間中は次の情報をデジタルデータとして公開し続ける必要があります。
この期間のスタートは、株主総会当日の3週間前の日か、デジタルでの議決権行使に対応する株主総会の開催通知を配信した日のどちらか早い方となります。
この期間の終了は、株主総会が閉会してから3ヶ月を経過した日までです。
この期間の開始日のことを《電子提供措置開始日》といいます。 - 一
- 株主総会の開催日時と開催場所、議案、書面やデジタルでの議決権行使のサービス情報など。
- 二
- 書面で議決権の行使ができるサービスを導入する株式会社では、株主総会の参考書類や議決権行使書面の内容。
- 三
- デジタルで議決権の行使ができるサービスを導入する株式会社では、株主総会の参考書類の内容。
- 四
- 株主からの問い合わせのあった議案についての概要。
- 五
- ●437
- 六
- ●444
- 七
- 提供したデジタルデータに変更があった場合に、変更内容の詳細について。
- 2
- 書面による株主総会の開催通知に議決権行使の書面が同封されていれば、株主総会に関する情報をデジタルデータで公開する場合であっても議決権行使に関するデジタルデータでの情報は掲載しなくてもかまいません。
- 3
- 有価証券報告書やその関係書類をデジタル公開のためのシステムによって公開している株式会社であれば、上記のデジタルデータを自社で公開する必要はありません。
有価証券報告書のデジタル公開についての詳しいことは、金融商品取引法第二十四条第一項に規定されています。
有価証券報告書のデジタル公開のためのシステムのことを《開示用電子情報処理組織》といいます。
原文
デジタルデータで株主総会に関する情報を公開するならば
- 第325条の4
- 株主総会の開催についての情報をデジタルデータで提供する場合、1週間以内に開催を通知すると定款に規定している非上場の株主総会であっても、通知期間を2週間以上にする必要があります。
- 2
- 株主総会の開催についての情報をデジタルデータで提供する場合であっても行う必要のある通知書面には、法務省令で規定されているその他の必要事項の代わりに以下の事項を記載してください。
- 一
- 開催についての情報がデジタルデータで公開されていること。
- 二
- 《開示用電子情報処理組織》で情報が公開されている場合、株主総会の開催についての情報が開示用電子情報処理組織で提供されていること。
- 三
- その他、法務省令で規定されている事項。
- 3
- 株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することについて定款に記載されている株式会社では、株主総会開催の通知について議決権行使の参考資料の書類や、議決権の投票書類、決算関係の書類を株主に対して送付する必要はありません。
- 4
- 株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することについて定款に記載されている株式会社では、株主から要請を受けた株主総会の概要の中の書面で行う必要があるとされる議決権行使に関する事項についてもデジタルデータで対応することが認められます。
原文
デジタルデータでの提供について定款に記載のある株式会社であっても
- 第325条の5
- 株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することについて定款に記載のある株式会社であっても、その株主が所定の期間中デジタルデータで公開される株主総会に関する情報について書面での提供を求めることは可能です。
ただし、予め株主総会の開催通知はデジタルデータで行われることについて承諾している株主は書面での情報提供を求めることはできません。 - 2
- 株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することとした場合であっても、株主から株主総会に関する情報を書面で提供するように求められたら、株主総会の開催に関する通知の際に書面での提供に対応してください。
“株主からデジタルデータではなく書面で株主総会に関する情報の提供を求められること”を《書面交付請求》といいます。 - 3
- 法務省令で、株主総会に関する情報をデジタルデータで提供する場合に必ずしも記載する必要はないと規定されているものについては、定款で記載しないことを記載することが認められます。
- 4
- 株主から《書面交付請求》を受けてから1年経ったら、その株主に対して「書面での株主総会に関する情報の提供は終了しますので、差し支えることがあれば期限までに連絡ください」という内容の通知することが認められます。
この期限は通知が届いてから1ヶ月以上となるよう時間的な猶予を確保してください。 - 5
- この期限内に株主から差し支えがあるという内容の連絡がなければ、書面での株主総会に関する情報の提供は終了となります。
差し支えがあるという内容の連絡があれば、書面での株主総会に関する情報の提供は継続となります。
原文
デジタルデータの公開ができなかった場合でも
- 第325条の6
- 株主総会に関する情報をデジタルデータとして公開し続ける必要がある期間中に、トラブルで公開ができない状況になったとしても、次の要件を全てクリアできれば問題なく公開されたものとみなされます。
公開内容の変更があった場合に、変更内容の公開期間が要件を満たすことができなかった場合も、次の要件を全てクリアできれば問題なく公開されたものとみなされます。 - 一
- 株式会社に予期できない原因で公開が中断した場合や、意図的に中断していない場合、公開が中断したしたことについて株式会社に正当な理由がある場合のいずれかに該当すること。
- 二
- 公開が中断したのが、公開開始から株主総会の当日を経て公開終了するまでの期間中の10%を超えていないこと。
- 三
- 公開が中断したのが、公開開始から株主総会の当日までの期間中の10%を超えていないこと。
- 四
- 公開の中断が発覚したら、どのような内容について公開が中断したのか、また中断していた期間がどれくらいかについてもデジタルデータでの情報公開を行っていること。
原文
種類株主の株主総会にも
- 第325条の7
- 種類株主総会に関する情報をデジタルデータで提供することとした場合、次の通常の株主総会に関する条文を同じように適用します。
原文
第2節 株主総会の他のシステム
第二節 株主総会以外の機関の設置
株主総会以外で株式会社に対する権限を持つシステム
- 第326条
- 株式会社には必ず取締役がすくなくとも1名、ないし2名以上置かれることになっています。
- 2
- 株式会社には定款に記載することにより次の役職を置くことができます。
- 取締役会
- 会計参与
- 監査役
- 監査役会
- 会計監査人
- 監査等委員会
- 指名委員会
“取締役”の権限や役割について詳しいことは第348条に規定されています。
“取締役会”について詳しいことは第5節 取締役会に規定されています。
“会計参与”について詳しいことは第6節 会計参与に規定されています。
“監査役”について詳しいことは第7節 監査役に規定されています。
“監査役会”について詳しいことは第8節 監査役会に規定されています。
“会計監査人”について詳しいことは第9節 会計監査人に規定されています。
“監査等委員会”について詳しいことは第9節の2 監査等委員会に規定されています。
“指名委員会”について詳しいことは第10節 指名委員会に規定されています。
原文
取締役会を設置する必要がある株式会社とは
- 第327条
- 次に該当する株式会社は取締役会を設置する必要があります。
- 一
- 公開会社。
- 二
- 監査役会設置会社。
- 三
- 監査等委員会設置会社。
- 四
- 指名委員会等設置会社。
- 2
- 株式公開している取締役設置会社や、会計参与を置かない取締役設置会社は監査役を置く必要があります。
- 3
- 会計監査人設置会社は監査役を置く必要があります。
- 4
- 監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社は、監査役を置かないでください。
- 5
- 監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社は、会計監査人を置く必要があります。
- 6
- 指名委員会等設置会社は、監査等委員会を置かないでください。
原文
社外取締役を設置する必要がある株式会社とは
- 第327条の2
- 公開会社で、資本金が5億円以上あるなどの大会社に相当し、発行する株式について有価証券報告書の提出が義務付けられている監査役会設置会社は、社外取締役を置く必要があります。
大会社の基準は第2条第1項第六号に資本金5億円以上か、または貸借対照表の負債額の合計が200億円以上と規定されています。
原文
大会社であれば監査役会と会計監査人を
- 第328条
- 公開会社である大会社は、監査役会と会計監査人を置く必要があります。
- 2
- 公開会社ではない大会社は、会計監査人を置く必要があります。
原文
第3節 役員と会計監査人について
第三節 役員及び会計監査人の選任及び解任
第1款 役員と会計監査人の決め方
第一款 選任
役員と会計監査人の決め方は
- 第329条
- 株式会社における役員とは、取締役と会計参与、監査役を指します。
役員は株主総会での決議によって決められます。
会計監査人も株主総会での決議によって決められます。 - 2
- 監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役と、監査等委員ではない取締役と区別して株主総会で決議を得てください。
- 3
- 役員ポストは株式会社ごとに定数が決められていますが、お亡くなりになったり、辞任や解任によりそのポストに空席ができたときに備えて、株主総会の議決により補欠の役員を決めておくことが認められます。
補欠の役員の議決について詳しいことは法務省令で規定されています。
原文
役員や会計監査人は委任を
- 第330条
- 役員や会計監査人が決まったら、その人は株式会社からそれぞれの職務を委任されます。
原文
取締役に就任できない人
- 第331条
- 以下に該当する《人》は取締役に就任することは認められません。
- 一
- 法人。
- 二
- ー削除ー
- 三難文
- 会社法の規定に違反して刑罰を受け、その刑期を終えた日から2年を経過していない人。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定に違反して刑罰を受け、その刑期を終えた日から2年を経過していない人。
以下の法律で規定されている罪を犯し、その刑罰としての刑期を終えた日から2年を経過していない人。- 金融商品取引法の以下の罪。
- 第197条
- 有価証券届出書、訂正届出書、発行登録書、訂正発行登録書、発行登録追補書類、有価証券報告書や公告、重要事項などの虚偽記載の罪。
- 第197条の2第一号
- 必要な届け出不受理での有価証券の募集、売出しの罪。
- 第197条の2第二号
- 有価証券の発行などに必要な届け出書類の重要事項虚偽記載の罪。
- 第197条の2第三号
- 有価証券の発行などに必要な届け出書類の未受理での発行、募集、売出しの罪。
- 第197条の2第四号
- 公開買付開始公告の義務違反の罪。
- 第197条の2第五号
- 有価証券報告書、訂正報告書、内部統制報告書、公開買付届出書、公開買付撤回届出書、公開買付報告書、大量保有報告書とこれらの添付書類の変更報告書の提出義務違反の罪。
- 第197条の2第六号
- 有価証券報告書や内部統制報告書とこれらの添付書類、四半期報告書、半期報告書、臨時報告書、自己株券買付状況報告書、親会社等状況報告書、意見表明報告書、対質問回答報告書とこれらの訂正報告、大量保有報告書とその変更報告書やその訂正報告書の重要事項虚偽記載の罪。
- 第197条の2第七号
- 公開が必要な届出書類や訂正書類などの重要事項についての虚偽内容の公開の罪。
- 第197条の2第八号
- 公開買付説明書の重要事項についての虚偽内容の交付の罪。
- 第197条の2第九号
- 公開買付けの撤回などの虚偽公告の罪。
- 第197条の2第十号
- 公開買付時における重要事項発生の際の通知義務違反の罪。
- 第197条の2第十号の二
- 未提供または未公表の特定証券情報の特定勧誘などの罪。
- 第197条の2第十号の三
- 特定投資家向け有価証券の発行者の事業年度ごとに課せられた有価証券に関する情報の公開義務違反の罪。
- 第197条の2第十三号
- デリバティブ取引やインサイダー取引における不正行為の罪。
- 第197条の2第十四号
- 公開買付けにおけるインサイダー取引規制違反の罪。
- 第197条の2第十五号
- インサイダー取引規制違反の罪。
- 第198条第八号
- 公益や投資家保護のために裁判所による禁止命令違反の罪。
- 第199条
- 内閣総理大臣による金融機関等に対する業務や財産状況に関する報告命令違反や虚偽報告の罪。
- 第200条第一号
- 金融商品取引所への必要書類の提出義務違反の罪。
- 第200条第二号
- 有価証券の募集や売出しの届け出の変更や不備に対する訂正届出書の提出義務違反の罪。
- 第200条第三号
- 有価証券の募集や売出しの際の目論見書交付義務違反、
公開買付けによらない買付け禁止違反、
公開買付けの応募株数の公告義務違反、
公開買付報告書等の提出義務違反、
公開買付届出書の公開義務違反の罪。 - 第200条第四号
- 訂正発行登録書の提出義務違反の罪。
- 第200条第五号
- 訂正報告書、四半期報告書、半期報告書、臨時報告書、親会社等状況報告書、自己株券買付状況報告書の提出義務違反の罪。
- 第200条第六号
- 有価証券報告書やその添付書類の公開義務違反の罪。
- 第200条第七号
- 公開買付開始公告の内容の内閣総理大臣による訂正命令違反の罪。
- 第200条第八号
- 公開買付開始公告の内容の訂正届出書や訂正報告書の提出義務違反の罪。
- 第200条第九号
- 公開買付説明書の交付義務違反の罪。
- 第200条第十号
- 公開買付に関わる意見表明報告書や対質問回答報告書の提出義務違反の罪。
- 第200条第十一号
- 公開買付けに関わる意見表明報告書の意見表明報告書の写しの送付義務違反の罪。
- 第200条第十二号
- 大量保有報告書や変更報告書の訂正報告書の提出義務違反の罪。
- 第200条第十二号の二
- 重要事項の訂正特定証券情報の提供義務や公表義務の違反の罪。
- 第200条第二十号
- 有価証券の相場の虚偽公示の罪、虚偽文章の作成や配布の罪、その依頼や請負の罪。
- 第200条第二十一号
- 有価証券の勧誘時などの有利誤認表示違反の罪、基準想定と異なる配当などの表示違反の罪。
- 第203条第3項
- 金融商品取引における贈賄の罪。
- 第205条第一号
- 株主に対する有価証券募集の届け出義務違反の罪、
有価証券募集の際の虚偽記載目論見書使用の罪。 - 第205条第二号
- 有価証券募集の届け出の有効期間中の残部の募集における目論見書の交付義務違反の罪。
- 第205条第三号
- 公開買付における意見表明報告書の訂正報告書の提出義務違反の罪。
- 第205条第四号
- 公開買付における公開買付届出書、公開買付撤回届出書、公開買付報告書、意見表明報告書、対質問回答報告書の不実記載の罪。
- 第205条第五号
- 内閣総理大臣による公益と投資家の保護のための資料提出義務違反や虚偽報告の罪。
- 第205条第六号
- 内閣総理大臣による公益と投資家の保護のための検査拒否の罪。
- 第205条第十九号
- 有価証券の取引等に関する報告書の提出義務違反や虚偽記載の罪、
利益関係書類の写しに不実記載についての虚偽申し立ての罪。 - 第205条第二十号
- 特定有価証券等の売付けなどの取引における禁止事項違反の罪、
広告以外で公開買付者からの対価を受けての意見公表禁止違反の罪。
- 第197条
- 民事再生法の以下の罪
- 外国倒産処理手続の承認援助に関する法律の以下の罪
- 会社更生法の以下の罪
- 破産法の以下の罪
もしくは、それぞれの刑の執行を受けなくて済むことが確定した日から2年を経過していない人。 - 金融商品取引法の以下の罪。
- 四
- 金融商品取引法、民事再生法、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律、会社更生法、破産法の罪の内、第三号に該当しない罪を犯し、その刑罰として禁錮以上の刑を終えていない人。
もしくは、禁固刑の執行猶予期間中の人や、禁固刑の執行を受けなくて済むことが確定していない人。 - 2
- 株式を公開している株式会社では、「取締役は株主でなければならない」という主旨の規定を定款に記載することは認められません。
- 3
- 監査等委員である取締役は、その会社またはその子会社において次の職務に就くことは認められません。
- 業務執行取締役
- 会社の権限を任された支配人や、そのような権限を任せられたスタッフ
- 子会社の会計参与や、会計参与が法人の場合の業務担当スタッフ
- 執行役
- 4
- 指名委員会等設置会社の取締役は、その会社で権限を任された支配人や、そのような権限を任せられたスタッフを兼ねることは認められません。
- 5
- 取締役会設置会社では、取締役の人数は3人以上としてください。
- 6
- 監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役の人数は3人以上で、社外取締役がその内の過半数としてください。
原文
成年後見人が付いている人が取締役に就任するためには
- 第331条の2
- 聞いたり、話したり、考えたり、覚えたりする能力に障害あるためコミュニケーションがとれない人だとして、裁判所の審判により成年後見人の面倒を見てもらっている人が取締役に就任するためには、成年後見人に取締役就任についての同意と承諾をしてもらう必要があります。
- 2
- 聞いたり、話したり、考えたり、覚えたりする能力に障害あるため約束や取引をする際には念押しが必要な人だとして、裁判所の審判により保佐人に念押しをしてもらっている人が取締役に就任するためには、保佐人に取締役就任についての同意をしてもらう必要があります。
- 3
- 裁判所の審判により保佐人に代理権を与えている人が取締役に就任するためには、保佐人に取締役就任についての同意と承諾をしてもらう必要があります。
- 4
- 成年後見人が承諾をしたり、保佐人に同意をしていたら、被成年後見人や被保佐人の取締役就任であっても、それが理由での取り消しは認められません。
被成年後見人については民法第7条〜第10条に規定されています。
被保佐人についての民法第11条〜第14条に規定されています。
原文
取締役の任期
- 第332条
- 取締役の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば2期目の定時株主総会が終了するまでです。
事業年度が変則となるケースでは、取締役就任から2年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。
定款で任期をこれより短く設定することは認められます。 - 2
- 株式を公開していない株式会社であれば、取締役の任期を10期目の定時株主総会が終了するまでとすることが認められます。
事業年度が変則となるケースでは、取締役就任から10年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。 - 3
- 監査等委員会設置会社で監査等委員ではない取締役の任期は、1年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。
- 4
- 監査等委員会設置会社で監査等委員である取締役の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば2期目の定時株主総会が終了するまでです。
事業年度が変則となるケースでは、取締役就任から2年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。
ただし、定款で任期をこれより短く設定することは認められません。 - 5難文
- 監査等委員である取締役が2年の任期の満了前に退任したら、補欠の取締役が就任することになります。
この取締役の任期については監査等委員であっても、2期目の定時株主総会の終了を待たず、退任した先の取締役の任期までとしてもかまいません。 - 6
- 指名委員会等の設置会社の取締役の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば1期目の定時株主総会が終了するまでです。
- 7
- 次の内容についての定款の変更を行った場合、その変更が実際に行われた時点で取締役の任期は満了となります。
- 一
- 監査等委員会や指名委員会等の設置についての定款変更。
- 二
- 監査等委員会や指名委員会等の廃止についての定款の変更。
- 三
- 全ての株式に対して譲渡制限がかけられている場合に、株式の譲渡の際に株式会社の承認を必要とする規定の撤廃をして譲渡制限解除とする定款の変更。
監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社にはこの変更は任期満了となる条件の対象とはなりません。
原文
会計参与になるための資格
- 第333条
- 会計参与になるためには、個人であれば公認会計士か税理士、法人であれば監査法人か税理士法人である必要があります。
- 2
- 監査法人か税理士法人が会計参与となる場合、担当社員を決めて株式会社に通知する必要があります。
第3項の各号に該当する人は会計参与の担当社員に就くことはできません。 - 3
- 次に該当する人は会計参与に就くことができません。
- 一
- 株式会社やその子会社の取締役、監査役、執行役、支配人その他の社員。
- 二
- 公認会計士や税理士としての業務停止の処分中の人。
- 三
- 弁護士、外国法事務弁護士、公認会計士、弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士の業務停止処分を受けている人。
不動産鑑定士の鑑定評価等業務の禁止処分を受けている人。
公職で停職処分や免職処分を受けている人。
原文
会計参与の任期
- 第334条
- 会計参与の任期は、第332条の取締役の任期についての規定を同じように適用します。
第332条の規定の内、第4項と第5項は監査等委員と取締役を兼務する場合の規定なので、会計参与については適用の対象外となります。 - 2
- 定款で、会計参与を置くという規定を廃止した場合、これまで努めていた会計参与の任期も満了となります。
原文
監査役に就任できない人
- 第335条
- 法人は監査役に就任することはできません。
第331条第1項第三号の規定に該当する刑罰を受けその刑期を終えた日から2年を経過していない人、第四号の規定に該当する刑罰として禁錮以上の刑を終えていない人も監査役に就任することはできません。
株式を公開している株式会社では、「監査役は株主でなければならない」という主旨の規定を定款に記載することは認められません。
成年後見人が付いている人が監査役に就任する場合、第331条の2を同じように適用します。 - 2
- 監査役は、その会社またはその子会社において次の職務に就くことは認められません。。
- 取締役
- 会社の権限を任された支配人
- 子会社の会計参与や、会計参与が法人の場合の業務担当スタッフ
- 執行役
- 3
- 監査役会設置会社は3人以上の監査役を置き、そのうち半数以上は社外監査役とする必要があります。
原文
監査役の任期
- 第336条
- 監査役の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば4期目の定時株主総会が終了するまでです。
事業年度が変則となるケースでは、取締役就任から4年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。 - 2
- 株式を公開していない株式会社であれば、監査役の任期を10期目の定時株主総会が終了するまでとすることが認められます。
事業年度が変則となるケースでは、監査役就任から10年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。 - 3
- 監査役が4年の任期の満了前に退任したら、補欠の監査役が就任することになります。
この監査役の任期は、4期目の定時株主総会の終了を待たず、退任した先の監査役の任期までとしてもかまいません。 - 4
- 次の内容についての定款の変更を行った場合、その変更が実際に行われた時点で監査役の任期は満了となります。
- 一
- 監査役の廃止についての定款の変更。
- 二
- 監査等委員会や指名委員会等の設置についての定款の変更。
- 三
- 監査の業務範囲を会計関係に限定することを解除する定款の変更。
- 四
- 全ての株式に対して譲渡制限がかけられている場合に、株式の譲渡の際に株式会社の承認を必要とする規定の撤廃をして譲渡制限解除とする定款の変更。
原文
会計監査人になるための資格
- 第337条
- 会計監査人は、公認会計士であるか、監査法人が務める必要があります。
- 2
- 監査法人が会計監査人となる場合、担当社員を決めて株式会社に通知する必要があります。
監査法人の社員が、株式会社やその子会社から公認会計者や監査法人としての業務を請け負っている人、あるいはその人の配偶者である場合は、担当に就くことは認められません。
またこの株式会社やその子会社の取締役、会計参与、監査役、執行役から公認会計者や監査法人としての業務を請け負っている人、あるいはその人の配偶者である場合も、担当に就くことは認められません。 - 3
- 次に該当する人は会計監査人に就くことができません。
- 一
- 公認会計士法の規定により、貸借対照表、損益計算書の監査をすることが禁じられている人。
- 二
- この株式会社やその子会社から公認会計者や監査法人としての業務を請け負っている人、あるいはその人の配偶者。
この株式会社やその子会社の取締役、会計参与、監査役、執行役から公認会計者や監査法人としての業務を請け負っている人、あるいはその人の配偶者 - 三
- 社員の半数以上が、この株式会社やその子会社から公認会計者や監査法人としての業務を請け負っていたり、この株式会社やその子会社の取締役、会計参与、監査役、執行役から公認会計者や監査法人としての業務を請け負っている監査法人。
原文
会計監査人の任期
- 第338条
- 会計監査人の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば1期目の定時株主総会が終了するまでです。
事業年度が変則となるケースでは、取締役就任から1年以内で最終となる事業年度の定時株主総会が終了するまでです。 - 2
- 任期満了にあたる定時株主総会で、解任などの決議が行われなければ、会計監査人の任期は自動的に更新されることになります。
- 3
- 会計監査人設置会社が会計監査人廃止の定款変更が行われた場合、会計監査人の任期は満了となります。
原文
第2款 役員や会計監査人を解任するには
第二款 解任
株主総会の決議による役員や会計監査人の解任
- 第339条
- 役員や会計監査人は、どんなタイミングであっても株主総会での決議によって解任されることがあります。
- 2
- 役員や会計監査人を解任されて損害を被ることになったら、株式会社に対してその損害の賠償を請求することができます。
ただし、解任について正当な理由があれば、請求を認められないことになります。
原文
監査役の判断による会計監査人の解任
- 第340条
- 会計監査人は次のケースに該当すると、監査役の判断によって解任されることがあります。
- 一
- 職務上の義務に違反したり、職務を怠ったとき。
- 二
- 会計監査人としてふさわしくない、あるまじき行為をしたとき。
- 三
- 心や体の調子を崩して、職務に支障が出ていたり、職務に絶えられない状態になったとき。
- 2
- 複数の監査役が置かれている場合、会計監査人を監査役の判断により解任させるためには、監査役全員の同意が必要です。
- 3
- 監査役の判断により会計監査人を解任したら、その後の最初の株主総会で理由を含む解任に関する報告が監査役によって行われます。
- 4
- 監査役会設置会社では、会計監査人の職務上の義務違反や不適切な行為、会計監査人の体調などの不良の場合は監査役会の判断によって会計監査人を解任することになります。
会計監査人の解任には監査役会のメンバー全員の同意が必要です。
会計監査人を解任したら監査役会から選ばれた監査役より株主総会での報告が行われます。 - 5
- 監査等委員会設置会社では、会計監査人の職務上の義務違反や不適切な行為、会計監査人の体調などの不良の場合は監査等委員会の判断によって会計監査人を解任することになります。
会計監査人の解任には監査等委員会のメンバー全員の同意が必要です。
会計監査人を解任したら監査等委員会から選ばれた監査役より株主総会での報告が行われます。 - 6
- 指名委員会が設置されている株式会社、会計監査人の職務上の義務違反や不適切な行為、会計監査人の体調などの不良の場合は監査委員会の判断によって会計監査人を解任することになります。
会計監査人の解任には監査委員会のメンバー全員の同意が必要です。
会計監査人を解任したら監査委員会から選ばれた監査役より株主総会での報告が行われます。
原文
第3款 役員人事の手続き
第三款 選任及び解任の手続に関する特則
役員人事の議決権の必要数
- 第341条
- 株主総会において役員人事の決議は、議決権を行使できる株主の過半数が決議に参加した上で、その議決権の過半数の同意を得ることにより選任や解任が認められます。
決議に参加する過半数という数は、それを超える比率で定款に規定することが認められます。
決議で同意を得る過半数という数は、それを超える比率で定款に規定することが認められます。
原文
席数を超える複数の取締役を選任するには
- 第342条
- 複数の取締役を選任することが株主総会の議題となっている場合、株主側からも取締役の候補に加えることを請求することが認められます。
この場合の株主は取締役の選任に関する議決権を持っていることが不可欠で、候補者の数が選任される取締役の席数を超える場合は次の第3項から第5項の規定に従って決めることになります。
株主側からの請求について第3項から第5項以外の規定を定款で規定しておくことも認められています。 - 2
- 株主側からの鳥島躍候補の請求については、株主総会開催日の5日前までに行う必要があります。
- 3
- 席数を超える複数の取締役を選任する場合、株主には所有する議決権✕選任する取締役の人数分の投票権が与えられます。
この投票権は選任される取締役の人数分に割り振って投票することもできますし、所定の取締役候補に集中して投票することも認められます。 - 4
- 投票を行い、候補者の中で最も各得票数が多かった人から順に取締役の席数番目の人までが取締役として選任されます。
- 5
- その他の詳細については法務省令で規定します。
- 6
- 席数を超える複数の取締役候補の中から選任された取締役を解任する場合、議決権を行使できる株主の過半数が決議に参加し、その議決権の過半数の同意を得ることは求められません。
原文
監査等委員である取締役は株主総会で口出しを
- 第342条の2
- 監査等委員である取締役は、監査等委員である取締役の人選について株主総会で口出しをすることが認められます。
- 2
- 監査等委員である取締役がその職を辞任したら、その後に開催される株主総会で辞任の報告と辞任の理由を述べることが認められます。
- 3
- 監査等委員である取締役がその職を辞任して、その後に開催される株主総会の日程が決まったら、株式会社の取締役からその日程についての連絡を受けることになっています。
- 4
- 監査等委員会に選ばれた監査等委員は、監査等委員ではない取締役の人選について株主総会で口出しすることが認められます。
原文
監査役が置かれている株式会社では
- 第343条
- 監査役が置かれている株式会社では、取締役が株主総会に監査役の人選に関する議案を提出するためには、監査役の同意を得る必要があります。
監査役が複数いる場合は、過半数の同意を得る必要があります。 - 2
- 監査役が置かれている株式会社では、監査役から取締役に対して監査役の人選に関する議案を株主総会に提出するよう、要請することが認められます。
- 3
- 監査役会が設置されている株式会社では、取締役が株主総会に監査役会の人選に関する議案を提出するためには、監査役会の同意を得る必要があります。
監査役会が設置されている株式会社では、監査役会から取締役に対して監査役会の人選に関する議案を株主総会に提出するよう、要請することが認められます。 - 4
- 監査役の解任を決議するためには、株主の過半数が決議に参加した上でその議決権の過半数の同意を得たとしても、それだけでは解任とはなりません。
原文
会計監査人の人選は監査役が議案の内容を
- 第344条
- 監査役が置かれている株式会社では、会計監査人の人事についての株主総会での議案内容は、監査役が決めることになっています。
- 2
- 複数の監査役が置かれている株式会社では、会計監査人の人事についての株主総会での議案内容は、監査役の過半数の意見によって決めることになっています。
- 3
- 監査役会が設置されている株式会社では、会計監査人の人事についての株主総会での議案内容は、監査役会が決めることになっています。
原文
監査等委員である取締役の選任を株主総会に上げるには
- 第344条の2
- 監査等委員会が設置されている株式会社では、取締役からの監査等委員である取締役の選任に関する議案は監査等委員会の同意を得なければ株主総会に提出することが認められません。
- 2
- 監査等委員会から取締役に対して、次の要請を行うことがあります。
- 監査等委員である取締役の選任について株主総会のテーマとすること。
- 監査等委員である取締役の選任についての議案を株主総会に提出すること。
- 3
- 監査等委員である取締役の解任を決議するためには、株主の過半数が決議に参加した上でその議決権の過半数の同意を得たとしても、それだけでは解任とはなりません。
原文
会計参与は会計参与の人選や辞任についての意見を
- 第345条
- 会計参与は、会計参与の人選や辞任について株主総会で口出しをすることが認められます。
- 2
- 会計参与がその職を辞任したら、その後に開催される株主総会で辞任の報告と辞任の理由を述べることが認められます。
- 3
- 会計参与がその職を辞任して、その後に開催される株主総会の日程が決まったら、株式会社の取締役からその日程についての連絡を受けることになっています。
- 4
- 監査役は、監査役の人選や辞任について株主総会で口出しをすることが認められます。
監査役がその職を辞任したら、その後に開催される株主総会で辞任の報告と辞任の理由を述べることが認められます。 - 5
- 会計監査人は、会計監査人の人選や辞任について株主総会で口出しをすることが認められます。
会計監査人がその職を辞任したら、その後に開催される株主総会で辞任の報告と辞任の理由を述べることが認められます。
会計監査人がその職を辞任して、その後に開催される株主総会の日程が決まったら、株式会社の取締役からその日程についての連絡を受けることになっています。
原文
役員の欠員時のピンチヒッター
- 第346条
- 辞めてしまったり、お亡くなりになったり、行方不明になったため役員の席が定員を割ってしまうことになったら、次の正式な役員が就任するまでの間、それ以前に退任していた元役員がピンチヒッターとして役員としての権利を行使したり、義務を負うことになります。
これは、監査等委員会が設置されている株式会社であれば監査等委員である取締役を含む取締役や会計参与も同じようにピンチヒッターが適用されます。 - 2
- 役員が定員割れしたせいでモメゴトになったら、モメゴトの当事者からの申立で、一時的なピンチヒッターとして役員に就任する人物を決めてもらうことができます。
- 3
- 一時的なピンチヒッターとしての役員を裁判所に決めてもらう際には、その人の報酬額も決めてもらうこともできます。
- 4
- 会計監査人の席が空いてしまたのに正式な会計監査人がなかなか決まらないことになったら、一時的にピンチヒッターの会計監査人を監査役に決めてもらうことになります。
- 5
- 一時的なピンチヒッターの会計監査人であっても、会計監査人になるための資格を有することが必要です。
一時的なピンチヒッターの会計監査人を解任する場合も、普通の会計監査人を解任する場合と同じ段取りが必要です。 - 6
- 監査役会が設置されている株式会社で、会計監査人の席が空いてしまったのに正式な会計監査人がなかなか決まらないことになったら、一時的にピンチヒッターの会計監査人を監査役会に決めてもらうことになります。
- 7
- 監査等委員会が設置されている株式会社で、会計監査人の席が空いてしまったのに正式な会計監査人がなかなか決まらないことになったら、一時的にピンチヒッターの会計監査人を監査等委員会に決めてもらうことになります。
- 8
- 指名委員会が設置されている株式会社で、会計監査人の席が空いてしまったのに正式な会計監査人がなかなか決まらないことになったら、一時的にピンチヒッターの会計監査人を監査委員会に決めてもらうことになります。
原文
議決権のついている株式所有者による株主総会での議決で
- 第347条難文
- 取締役決める議決権が付いている株式と、議決権が付いていない株式が設定されている種類株式を発行している場合、次の規定をそれに合わせて同じように適用します。
- 第329条第1項
- 株主総会の決議で役員や会計監査人を決める場合、議決権付き種類株式の所有者による株主総会での決議によって決められます。
- 第332条第1項
- 取締役の任期は、通常のペースで事業年度が営まれるのであれば2期目の議決権付き種類株主による定時総会が終了するまで、変則のケースでは取締役就任から2年以内で最終となる事業年度の議決権付き種類株主による定時株主総会が終了するまでです。
- 第339条第1項
- 役員や会計監査人は、どんなタイミングであっても議決権付き種類株式の所有者による株主総会での決議によって解任されることがあります。
- 第341条
- 役員人事の決議は、議決権付き種類株式の所有者である株主の過半数が決議に参加した上で、その議決権の過半数の同意を得ることにより選任や解任が認められます。
- 第344条の2第1項及と第2項
- 監査等委員会が設置されている株式会社では、取締役からの監査等委員である取締役の選任に関する議案は監査等委員会の同意を得なければ議決権付き種類株式の所有者による株主総会に提出することが認められません。
監査等委員会から取締役に対して、監査等委員である取締役の選任について議決権付き種類株式の所有者による株主総会のテーマにしたり、その件の議案を議決権付き種類株式の所有者による株主総会に提出することを要請することがあります。
- 第329条第1項
- 2難文
- 監査役を決める議決権が付いている株式と、議決権が付いていない株式が設定されている種類株式を発行している場合、次の規定をそれに合わせて同じように適用します。
- 第329条第1項
- 株主総会の決議で監査役を決める場合、議決権付き種類株式の所有者による株主総会での決議によって決められます。
- 第339条第1項
- 監査役は、どんなタイミングであっても議決権付き種類株式の所有者による株主総会での決議によって解任されることがあります。
- 第341条
- 監査役人事の決議は、議決権付き種類株式の所有者である株主の過半数が決議に参加した上で、その議決権の過半数の同意を得ることにより選任や解任が認められます。
- 第343条第1項及と第2項
- 取締役が議決権付き種類株式の所有者による株主総会に監査役の人選に関する議案を提出するためには、監査役の同意を得る必要があります。
監査役から取締役に対して監査役の人選に関する議案を議決権付き種類株式の所有者による株主総会に提出するよう、要請することが認められます。
- 第329条第1項
原文
第4節 取締役について
第四節 取締役
取締役のシゴト
- 第348条
- 取締役のシゴトは株式会社の業務を進めることです。
それ以外にシゴトについても定款で規定することが認められます。 - 2
- 複数の取締役がいる場合、シゴトのやり方や内容については取締役の過半数で決めます。
それ以外の決め方についても定款で規定することが認められます。 - 3
- 複数の取締役がいる場合、次の案件については特定の取締役にオマカセとすることは認められません。
- 一
- 《支配人》の人事について。
- 二
- 支店を開設したり、移転や閉店について。
- 三
- 株主総会を招集する際に決めておく必要がある事項について。
- 四
- 法務省令に規定されている、株式会社の業務が法令や定款に適合しているかどうかのチェック体制の整備について。
- 五
- ●423、426
- 4
- 《大会社》の取締役は、株式会社の業務が法令や定款に適合しているかどうかのチェック体制の整備をどうすか決定してください。
原文
取締役のシゴトを社外取締役に任せるには
- 第348条の2
- 社外取締役が置かれている株式会社において、取締役がシゴトをすることにより株式会社や株主にとって不利益となることが予測される場合、やむをえずそのシゴトを社外取締役に委託することが認められます。
取締役が株式会社のためにシゴトをすることにより取締役自身にとって不利益となることが予想される場合も、やむをえず社外取締役に委託することが認められます。
やむをえず社外取締役にシゴトを委託するためには、取締役会が設置されていなければ取締役の決定が、取締役会が設置されている場合は取締役会での決議が必要です。 - 2
- 指名委員会が設置されている株式会社において、執行役がシゴトをすることにより株式会社や株主にとって不利益となることが予測される場合、やむをえずそのシゴトを社外取締役に委託することが認められます。
執行役が株式会社のためにシゴトをすることにより執行役自身にとって不利益となることが予想される場合も、やむをえず社外取締役に委託することが認められます。
やむをえず社外取締役にシゴトを委託するためには、取締役会での決議が必要です。 - 3
- 社外取締役には過去十年に遡って役員や従業員としての経歴が無いことが求められますが、やむをえず社外取締役にシゴトを委託された場合にはその条件の対象外となります。
ただし、そのシゴトを業務に関わっている取締役の指揮下で携わった場合は、役員の経歴に加味されることになります。
原文
株式会社の公式な代表者
- 第349条
- 代表取締役が置かれていない場合、取締役が株式会社の公式な代表者となります。
- 2
- 複数の取締役がいるものの代表取締役は置かれていない場合、それぞれの取締役は株式会社の公式な代表者となります。
- 3
- 取締役が設置されていない株式会社では、定款の規定に従い、取締役同士の中での決議か、株主総会での決議により代表取締役を決めることができます。
- 4
- 代表取締役は、株式会社の業務に関わる全ての事項についての権限を有します。
この権限は、株式会社の業務に関する訴訟対応や判決内容まで効力が及ぶこととなります。 - 5
- 定款や代表取締役会での決議によって代表取締役の権限を制限することは可能です。
ただし、そのような制限があることを知らない相手と代表取締役が取引や契約を交わした場合、代表取締役の交わした取引や契約は認められることになります。
そのような制限があることを知っている相手と取引や契約を交わした場合、代表取締役の交わした取引や契約は無効となります。
原文
株式会社の代表者のシゴトのせいで
- 第350条
- 株式会社の最高の権限を持つ代表取締役はもちろん、株式会社を代表する地位の人が行ったシゴトのせいで他人に損害を与えたら、その損害は株式会社が賠償する責任を負います。
原文
代表取締役の欠員時のピンチヒッター
- 第351条
- 辞めてしまったり、お亡くなりになったり、行方不明になったため代表取締役の席が空いてしまうことになったら、次の正式な代表取締役が就任するまでの間、それ以前に退任していた元代表取締役がピンチヒッターとして代表取締役としての権利を行使したり、義務を負うことになります。
- 2
- 代表取締役の席が空いてしまったせいでモメゴトになったら、モメゴトの当事者からの申立で、一時的なピンチヒッターとして代表取締役に就任する人物を決めてもらうことができます。
- 3
- 一時的なピンチヒッターとしての代表取締役を裁判所に決めてもらう際には、その人の報酬額も決めてもらうこともできます。
原文
ピンチヒッターの代表取締役は株式会社の日常業務を
- 第352条
- 代表取締役が裁判所により職務取り上げの仮処分を受けてそのピンチヒッターとして代表取締役のシゴトを代行する人は株式会社の日常業務に当たってください。
日常業務の範疇を超える行為をするには、裁判所の許可を得る必要があります。
事前に仮処分の中で認められている行為であれば、裁判所の許可は必要ありません。 - 2
- ピンチヒッターの代表取締役が裁判所の許可を得ずに行った行為は無効です。
ただし、そのような許可が必要なことを知らない相手と代表取締役が取引や契約を交わした場合、ピンチヒッター代表取締役の交わした取引や契約は認められることになります。
そのような許可が必要なことを知っている相手と取引や契約を交わした場合、ピンチヒッター代表取締役の交わした取引や契約は無効となります。
原文
代表と株式会社の訴訟では別の代表者を
- 第353条
- 株式会社が取締役のメンバーに訴訟を起こされた場合、株主総会によって株式会社側の立場の代表者になってもらうことが認められます。
代表取締役は業務に関する訴訟における全権を有することになっていますが、代表取締役に訴訟を起こされた場合には、この代表取締役とは別の人に株式会社側の代表者になってもらうことが認められます。
原文
社長や副社長の肩書を持つ取締役と
- 第354条
- 代表取締役とは別の取締役に社長とか副社長といったいかにもその会社の代表者であるような肩書を与えた場合、その肩書の人と第三者で交わした取引や契約は株式会社の代表者が行ったものとして有効となります。
代表取締役とは別の社長とか副社長といったいかにもその会社の代表者のような肩書を持つ取締役のことを《表見代表取締役》といい、他にも取締役会長、CEOが該当します。
原文
取締役は法令を守って忠実に
- 第355条重要
- 取締役は法令を遵守し、定款と株主総会での決議に従ってください。
取締役は株式会社のため忠実にシゴトをしてください。
“取締役に対する株式会社への忠実にシゴトをする義務”のことを《忠実義務》といいます。
原文
取締役の好ましいとはいえない取引
- 第356条
- 取締役が次のケースに該当する好ましいとはいえない取引を行うためには株主総会において取引の要点を説明し、承認を得なければなりません。
- 一
- 株式会社と同じ内容の商売を取締役自身の利益や第三者の利益のためにする取引。
- 二
- 取締役の利益や第三者の利益のために取締役と株式会社との間で行う取引。
- 三
- 株式会社が取締役の債務を保証して行う取引、または、株式会社に損害を与える可能性のある取引。
- 2
- 株式会社の代理人であるはずの取締役が株式会社と取引を行うことは民法第108条の規定に触れることになりますが、株主総会で承認を得た場合は株式会社と取締役が行う取引であっても民法第108条の規定に触れることになりません。
原文
会社にダメージを負う状況で取締役は
- 第357条
- 取締役は株式会社にとって大きなダメージを負う状況を把握したら、直ちに株主に報告してください。
監査役設置会社では、監査役に報告してください。 - 2
- 監査役会設置会社で大きなダメージを負う状況を取締役が把握したら、直ちに監査役会に報告してください。
- 3
- 監査等委員会設置会社で大きなダメージを負う状況を取締役が把握したら、直ちに監査等委員会に報告してください。
原文
不正を疑う株主は
- 第358条
- 業務の中に不正行為や法令違反、定款に違反する状況が疑われる場合、次に該当する株主は裁判所に対して業務内容や株式会社の財産状況を調査してもらうための検査役を選任してほしいと申し立てることができます。
- 一
- 議決権を持つ全ての株主の議決権に対して3%以上の議決権を所有する株主。
定款で3%未満の比率を設定することも認められます。 - 二
- 発行済み株式の内の自己株式を除くものに対して3%以上の議決権を所有する株主。
定款で3%未満の比率を設定することも認められます。 - 2
- 不正調査の検査役選任の申立が適法と認められると、裁判所により検査役の選任が進められます。
- 3
- 裁判所は、検査役の選任の際に、その報酬額についても決めることになっています。
- 4
- 選任された検査役は必要に応じて株式会社やその子会社の財産状況を調査する権限が与えられます。
- 5
- 検査役は必要な調査を行ったら、結果報告のため書面やデジタルデータの記録を裁判所に提出してください。
- 6
- 調査報告を精査しても財産状況がつまびらかにならない場合、裁判所は検査役に対して追加調査を行うよう命じることがあります。
- 7
- 裁判所に提出した調査結果の書面やデジタルデータの記録は、検査役選任の申立を行った株主に対しても提供されることになっています。
提供の方法について詳しいことは法務省令に規定されています。
原文
不正調査の報告を受けて必要があれば
- 第359条
- 不正調査の報告を受けて、必要性が認められると裁判所から取締役に対して次の措置を命じられることがあります。
- 一
- 一定の期間内に株主総会を招集すること。
- 二
- 不正調査の報告内容を株主に通知すること。
- 2
- 裁判所から株主総会の招集を命じられた場合、不正調査の報告内容は株主総会の場で取締役から公表されることになります。
- 3
- 株主総会の場で不正調査の報告内容を公表する際には、取締役としても報告内容を確かめた上で不正調査の申立を行った株主に説明をしてください。
原文
目的外の業務を株主が止めるには
- 第360条
- 法令や定款の規定のいかんを問わず、株式会社の目的外の業務によって株式会社に大きな損失を受けるおそれがある場合、6ヶ月前から継続している株主はその業務を止めるよう担当する取締役に対して要請することが認められます。
継続期間は定款で6ヶ月前よりも短く設定することも認められます。 - 2
- 株式を公開していない株式会社では、目的外の業務によって株式会社に大きな損失を受けるおそれがある場合、株主であればその業務を止めるよう担当する取締役に対して要請することが認められます。
- 3
- 監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社では、目的外の業務によって株式会社が存続できないほどの損失を受けるおそれがある場合、6ヶ月前から継続している株主であればその業務を止めるよう担当する取締役に対して要請することが認められます。
継続期間は定款で6ヶ月前よりも短く設定することも認められます。
原文
取締役の報酬について
- 第361条
- 取締役の報酬で次に該当するものは株主総会の決議で決定します。
報酬とは金銭的なシゴトの対価であって、賞与なども含まれます。
定款で、株主総会の決議を要しない報酬について詳細を決めておくことも認められます。 - 一
- 予め金額を確定させている報酬については、その金額。
- 二
- 金額を確定させていない報酬については、具体的な算出基準。
- 三
- 報酬として株式を受け取る場合は、受け取る株式の上限数と法務省令で規定されている事項について。
- 四
- 報酬として新株予約権を受け取る場合は、受け取る新株予約権の上限数と法務省令で規定されている事項について。
- 五
- 報酬として次のイまたはロを購入するための費用としてお金を受け取る場合は、イまたはロに規定されている事項について。
- イ
- この株式会社の株式を購入するための費用の場合は、購入できる株式の上限数と法務省令で規定されている事項について。
- ロ
- この株式会社の新株予約権を購入するための費用の場合は、購入できる新株予約権の上限数と法務省令で規定されている事項について。
- 六
- 報酬として金銭以外のものを受け取る場合は、具体的に受け取るものについて。
- 2
- 監査等委員会設置会社では、取締役が受け取る報酬として決めておくことについては、監査委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して規定する必要があります。
- 3
- 監査等委員会設置会社で監査等委員である取締役の報酬について定款での規定や株主総会での決議が無い場合、監査等委員である取締役の協議を行い、取締役が受け取る範囲内で報酬を決めてください。
- 4
- 株主総会において取締役が受け取る報酬として決めておくことを議題に上げる場合、取締役から株主に対して報酬の内容がふさわしいものである理由を説明する必要があります。
- 5
- 監査等委員である取締役は、監査等委員である取締役の報酬について株主総会で意見を述べることが認められます。
- 6
- 監査等委員会によって選定された監査等委員は、監査等委員ではない取締役の報酬について株主総会で監査等委員会としての意見を述べることが認められます。
- 7
- 次に該当する株式会社の取締役会は、監査等委員ではない取締役の報酬について定款や株主総会の決議により金額や受け取る株式などが規定されている場合、個々の取締役の報酬の決め方について法務省令で規定されている事項を決める必要があります。
定款や株主総会の決議で個々の取締役の報酬の決め方が定められている場合は取締役が決める必要はありません。 - 一
- 監査役会設置会社の内、公開会社であり大会社でもあり、有価証券報告書の提出義務のある株式会社
- 二
- 監査等委員会設置会社
原文
第5節 取締役が集まって
第五節 取締役会
第1款 取締役会のシゴト
第一款 権限等
取締役会のシゴト
- 第362条
- 取締役会は、全員が取締役で構成されます。
- 2
- 取締役会のシゴトは次の通りです。
- 一
- 業務内容を決めること。
- 二
- 取締役が行ってきたシゴト内容のチェック。
- 三
- 代表取締役を決めたり、クビにすること。
- 3
- 代表取締役は取締役の中から取締役会で決定します。
- 4
- 次の行為は取締役会として行うことで、取締役の一部の人に任せっきりにすることは認められません。
- 一
- 株式会社の大事な財産を譲り渡したり、譲り受けたりすること。
- 二
- 多額の借金をすること。
- 三
- 支配人クラスの人事。
- 四
- 支店などの重要な組織の設置や変更、廃止など。
- 五
- ●676
- 六
- 取締役が定款の規定通りのシゴトをするため、法令に違反しないようにするため、そして会社や子会社が適正な業務を行うために法務省令で規定されている体制の整備。
- 七
- ●423
- 5
- 資本金5億円以上のような大会社では、適正な業務を行うための法務省令で規定されている体制整備は取締役のシゴトというより、取締役会のシゴトとなります。
原文
取締役会設置会社での取締役のシゴト
- 第363条
- 次に該当する取締役は、取締役会設置会社での取締役シゴトを執り行います。
- 一
- 代表取締役。
- 二
- 代表取締役以外で、取締役会設置会社でのシゴトを執り行うことについて取締役会で選ばれた取締役。
- 2
- 取締役会設置会社のシゴトを執り行う取締役は、少なくとも3ヶ月毎に取締役会で自分のシゴトの状況を報告しなければなりません。
原文
代表と取締役会設置会社の訴訟では取締役会が別の代表者を
- 第364条
- 取締役会設置会社が取締役のメンバーに訴訟を起こされた場合、株主総会によって代表者を決めなくても、取締役会が取締役会設置会社側の立場の代表者になってもらうことが認められます。
原文
取締役会設置会社における取締役の好ましいとはいえない取引
- 第365条
- 取締役会設置会社において取締役が次のケースに該当する好ましいとはいえない取引を行うためには取締役会において取引の要点を説明し、承認を得なければなりません。
- 株式会社と同じ内容の商売を取締役自身の利益や第三者の利益のためにする取引。
- 取締役の利益や第三者の利益のために取締役と株式会社との間で行う取引。
- 株式会社が取締役の債務を保証して行う取引、または、株式会社に損害を与える可能性のある取引。
取締役会で承認を得た場合は株式会社と取締役が行う取引であっても民法第108条の規定に触れることになりません。 - 2
- 上記に該当する取引を取締役が行った場合、むやみに遅れることなく取締役会にその事実関係や要点を報告しなければなりません。
原文
第2款 取締役会の進め方
第二款 運営
取締役会開催の呼びかけ
- 第366条
- 各々の取締役による招集により取締役会は開かれます。
取締役招集の権利を持つ取締役を定款や取締役会の決議で指定しておくことも認められます。 - 2
- 招集の権利を持つ取締役を指定していた場合であっても、他の取締役が取締役の開催が必要だと判断したら、他の取締役は招集の権利を持つ取締役に取締役会の招集を要請することが認められます。
- 3
- 要請をしたのに、5日経っても取締役の招集の通知が発信されなかったり、取締役会を2週間以内に開催するという内容の通知が発信されない場合は、その取締役にも締役会を招集することが認められます。
取締役会の“開催の呼びかけ”をすることを《招集》といいます。
原文
株主による取締役会の招集要請
- 第367条
- 取締役会設置会社において、取締役が余計なことをしでかそうとしていたり、法令や定款に違反している疑いがあるといった問題を認識したら、株主が取締役会を招集するよう要請することが認められます。
もちろん、余計なことをしでかしたり、法令や定款を違反しているといった問題を認識した場合も、株主が取締役会を招集するよう要請することが認められます。
取締役会設置会社の中でも、監査役設置会社や監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社ではこのような場合でも株主が取締役会の招集を要請することは認められません。 - 2
- 株主が取締役会の招集を要請する際には、どのようなテーマで取締役会を開催してほしいのかを明らかに伝える必要があります。
- 3
- 要請をしたのに、5日経っても取締役の招集の通知が発信されなかったり、取締役会を2週間以内に開催するという内容の通知が発信されない場合は、要請をした株主に取締役会を招集することが認められます。
- 4
- 取締役の問題を認識したために取締役会の招集を要請した株主は、それによって開催される取締役会に出席して意見を述べることが認められます。
原文
1周間前の招集の通知
- 第368条
- 取締役会の招集するには、開催日の一週間前までにその他の各取締役たちに対して通知を発する必要があります。
一週間よりも短い期間を定款で設定することも認められます。 - 2
- 取締役の全員の同意があれば、一週間前の招集の通知の有無に関わらず、任意のタイミングで取締役会を開催することが認められます。
原文
取締役会での決議
- 第369条
- 取締役会では、議決に加わることができる取締役の過半数の出席した上で、過半数の賛成により決議となります。
過半数の出席や、過半数の賛成については定款でそれよりも多い比率とすることも認められます。 - 2
- 取締役会での議案に関して特別な利害関係にあたる取締役はその議案に参加することは認められません。
- 3
- 取締役会での議事には必ず議事録を作成してください。
この議事録を書面で作成する場合、出席した各取締役はこの書面に署名をするか、名前を書いて押印をしてください。
議事録の作成については法務省令に規定されています。 - 4
- 議事録をデジタルで作成する場合、法務省令で規定される署名代わりの手続きをしてください。
- 5
- 取締役会に出席してその際に作成された議事録に対してクレームをつけなければ、その議事について賛成をしたものとみなされます。
法務省令:会社法施行規則第225条(電子署名)
原文
取締役会を開くまでもなく
- 第370条
- 決議をするために取締役たちが集まって取締役会を開くまでもなく、取締役たち全員が同意していることを書面やEメールなどのデジタルデータで意思表示をしたら、その議案は可決と認められる、ということを定款に規定できます。
ただし、監査役設置会社の場合に監査役がそれに異議を唱えたら、可決を認めることはできなくなります。
原文
取締役会の議事録について
- 第371条
- 取締役会の議事録や、取締役会を開くまでもなく取締役全員の同意を示した書類やデジタルデータは、取締役会の開催日から10年間は株式会社の本社で保存しておいてください。
- 2
- 株主は、株主としての権利を行使する目的であれば、保存している議事録や同意書類、デジタルデータについて次の請求することが認められます。
閲覧の請求は、株式会社の営業時間内に行ってください。 - 一
- 議事録書面や同意書面についての閲覧やコピーをとることに関する請求。
- 二
- 議事録データや同意デジタルデータについて法務省令で規定されている方法での閲覧やコピーすることに関する請求。
- 3
- 監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社では、議事録の書面などを閲覧するには裁判所の許可が必要で、許可された場所と時間に行うことになります。
- 4
- 債権者に対する取締役会の責任追及に必要であれば、取締役会の議事録などの閲覧やコピーをすることについて裁判所の許可を得ることが認められます。
- 5
- 親会社に対する取締役会の責任追及に必要であれば、取締役会の議事録などの閲覧やコピーをすることについて裁判所の許可を得ることが認められます。
- 6
- 監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社に対して裁判所の許可を得ようとしても、取締役会の議事録などの閲覧やコピーにより、株式会社やその親会社、子会社に重大な損害が出る場合は、許可が得られないことがあります。
親会社が裁判所の許可を得ようとしても、取締役会の議事録などの閲覧やコピーにより、子会社に重大な損害が出る場合は、許可が得られないことがあります。
法務省令:会社法施行規則第235条(縦覧等の方法)
原文
通知できれば取締役会で報告しなくても
- 第372条
- 取締役、会計参与、監査役又は会計監査人が取締役会で報告しなければならない情報について取締役から取締役会の全メンバーに対して通知することができれば、わざわざ取締役会を開いて報告を行う必要はありません。
監査役設置会社であれば、監査役から取締役会の全メンバーに対して通知することができた場合も、わざわざ取締役会を開いて報告を行う必要はありません。 - 2
- 少なくとも3ヶ月毎に取締役会で行う必要がある取締役会設置会社のシゴトについての報告については、全メンバーに通知をしたとしても必ず取締役会で報告しなければなりません。
- 3
- 指名委員会等設置会社では、取締役、会計参与、会計監査人、執行役が取締役会で報告しなければならない情報について取締役会の全メンバーに対して通知することができれば、わざわざ取締役会を開いて報告を行う必要はありません。
指名委員会等設置会社では、少なくとも3ヶ月毎に取締役会で行う必要がある執行役の報告は、全メンバーに通知をしたとしても必ず取締役会で報告しなければなりません。
原文
特別取締役会で決議する方法
- 第373条難文
- 次の2つの条件をクリアしている取締役会設置会社では、決定にスピード感を要する株式会社の財産の移動や多額の借金といった案件については、予め選ばれた3人以上の取締役に決定権を委ねる方法を、定款に規定することが認められます。
決定権を委ねられた取締役のことを《特別取締役》といい、特別取締役の内の過半数が出席した上で過半数の賛成を得られれば決議となります。
定款で、出席の割合を過半数より多く設定したり、賛成の割合を過半数より多く設定することも認められます。
指名委員会等設置会社では、特別取締役の決議ということは認められません。
監査等委員会設置会社では、取締役の過半数が社外取締役である場合や、重要な案件に関して取締役の判断に任せることを定款で規定している場合は、この規定は対象外となります。 - 一
- 取締役の人数が6人以上であること。
- 二
- 取締役の内、最低1名は社外取締役であること。
- 2
- 定款に特別取締役についての規定がある場合、それ以外の取締役は株式会社の財産の移動や多額の借金に関する取締役会には出席する必要はありません。
特別取締役だけに出席が求められる場合、取締会の招集や招集通知は特別取締役だけを対象とします。 - 3
- 特別取締役の中からさらに選ばれ得た方は、特別取締役によって行われた取締役会での決議についてその他の取締役たちに対してむやみに遅れることなく報告をしてください。
- 4
- 特別取締役以外の取締役や株主は株式会社の財産の移動や多額の借金に関する取締役会を招集することはできません。
特別取締役の全員に情報共有をしたとしても、特別取締役による取締役会を開かなければ決議は認められません。
監査等委員会設置会社であっても監査委員が特別取締役による取締役会を招集することはできません。
原文
第6節 会計参与について
第六節 会計参与
会計参与のシゴト
- 第374条
- 会計参与のシゴトは、株式会社の業績や資産に関する計算をしてその結果を次の書類にまとめ、会計参与報告を作成することにより、取締役のシゴトをフォローすることです。
- 計算書類(第435条第2項)
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 各事業年度に係る計算書類(会社計算規則第59条)
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
- 計算書類付属明細書
- 臨時計算書類(第441条第1項)
- 連結計算書類(第444条第1項)
会計参与報告について詳しくは法務省令で規定されています。 - 2
- 取締役、支配人、株式会社のスタッフは、どのようなタイミングであっても会計参与からの要請があれば、取り急ぎ次の会計に関する報告をしてください。
- 一
- 会計帳簿、収入や支出が作成されて書面。
- 二
- デジタル情報でまとめられた会計帳簿、デジタル情報でまとめられた収入や支出のデータ。
- 3
- 会計参与が設置されている株式会社の子会社は、職務上の必要により会計参与からの要請があれば、会計上の報告をしてください。
会計参与が必要だと判断したら、株式会社やその子会社に対してその業務と財産の状況を調査をすることが認められます。 - 4
- 子会社に正当な理由がなければ会計参与に対して報告や調査を断ることはできません。
- 5
- 会計参与はそのシゴトを業務停止処分中の公認会計士や税理士に任せてはなりません。
他にも資格停止中の弁護士や公認会計士、停職中の公職者らにも任せてはなりません。 - 6
- 指名委員会等設置会社における会計参与のシゴトは、第一項に挙げられた書類をまとめ、会計参与報告を作成することにより、執行役のシゴトをフォローすることです。
指名委員会等設置会社では執行役、取締役、支配人、株式会社のスタッフは、どのようなタイミングであっても会計参与からの要請があれば、取り急ぎ会計帳簿に関する報告をしてください。
原文
取締役の不正を発見したら
- 第375条
- 会計参与が職務中に取締役の不正行為や法令違反、定款違反を発見したら、取り急ぎ株主に対して報告をしてください。
監査役設置会社の場合は、監査役に報告をしてください。 - 2
- 監査役設置会社ではなくて、監査役会設置会社の場合は監査役会に報告をしてください。
- 3
- 監査役設置会社ではなくて、監査等委員会設置会社の場合は監査等委員会に報告をしてください。
- 4
- 指名委員会等設置会社の場合、会計参与が職務中に執行役や取締役の不正行為や法令違反、定款違反を発見したら、取り急ぎ株主監査委員会に対して報告をしてください。
原文
取締役会の場で会計参与としての意見を
- 第376条
- 取締役会設置会社の場合、会計参与は次の書類の承認を受けるために取締役会に出席してください。
- 計算書類、事業報告、各附属明細書
- 臨時計算書類
- 連結計算書類
取締役会の場では必要に応じて会計参与としての意見を述べてください。
監査法人や税理士法人が会計参与となっている場合はその法人のスタッフが取締役会に出席してください。 - 2
- 会計関係の書類の承認を行うための取締役会が招集される際には、会計参与に対してその1週間前までに通知をすることになっています。
定款で1週間前よりも短い期間に設定することも認められます。 - 3
- 取締役の全員の同意によって任意のタイミングで会計関係の書類の承認を行うための取締役会開催をするには、会計参与全員の同意も必要となります。
原文
会計参与と取締役との間で計算書類の見解が異なったら
- 第377条
- 会計に関わる各計算書類の作成にあたり、取締役との間で見解が異なる場合、会計参与やその法人スタッフは株主総会でその見解を述ることが認められます。
- 2
- 指名委員会等設置会社では、会計に関わる各計算書類の作成にあたり、執行役との間で見解が異なる場合、会計参与やその法人スタッフは株主総会でその見解を述ることが認められます。
原文
会計参与が作成した会計関連書類の保管場所と保管期間
- 第378条
- 次の書類はそれぞれに指定された期間中、会計参与は保管する義務があります。
保管場所について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 一
- 各事業年度の計算書類、附属明細書、それらの会計参与報告は、定時株主総会の1週間前の日から5年間。
取締役会設置会社の場合、定時株主総会の2週間前の日5年間。
株主からの反対意思が示されなかったために株主総会での議論をするまでもなく会計関連の議案が可決した場合、その議案が提案された日から5年間 - 二
- 臨時計算書類、その会計参与報告は、作成した日から5年間。
- 2
- 株主と債権者には会計参与が作成した会計関連書類の閲覧などに関する次の請求を行うことが認められます。
希望する場合は会計参与の営業時間内に請求を行ってください。
ただし、会計参与の業務時間外は請求を断ることが法務省令で認められていますので、該当する時間帯には請求を控えてください。
コピーを取ったり、データコピーを支給してもらう場合、会計参与にその費用を支払う必要があります。 - 一
- 会計関連書類が書面で作成しているケースで、その書類を閲覧すること。
- 二
- 会計関連書類が書面で作成しているケースで、その書類全部を丸々コピーしてもらったり、一部をコピーしてもらうこと。
- 三
- 会計関連書類がデジタルで作成しているケースで、そのデータを閲覧すること。
閲覧の方法について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 四
- 会計関連書類がデジタルで作成しているケースで、そのデータを会計参与が想定している方法でデータのコピーを提供してもらうこと。
- 3
- 親会社がその権利を行使するために必要であれば、親会社のスタッフは裁判所の許可を得ることにより、会計参与が作成した会計関連書類の閲覧などに関する閲覧やコピーが認められます。
コピーの場合は会計参与にその費用を支払う必要があります。
原文
会計参与の報酬は
- 第379条
- 会計参与の報酬を決めるには株主総会の決議が必要です。
定款に会計参与の報酬が決められている場合は株主総会の決議は不要です。 - 2
- 複数の会計参与がいる場合に、各会計参与の個々の報酬ではなくて報酬の総額だけが株主総会の決議や定款で決められているケースでは、各会計参与の話し合いによって報酬総額の中で分前を決めてください。
- 3
- 会計参与はその職責にふさわしい報酬について、株主総会で意見を述べることが認められます。
原文
会計参与の報酬や費用の請求
- 第380条
- 会計参与が自分の職責に関して、次のケースに該当する請求を行った場合、株式会社は請求された費用の支払いをしてください。
支払い拒否を認めてもらうには、請求内容が会計参与の職責とは無関係であることを証明する必要があります。 - 一
- 会計参与の費用の前払い請求。
- 二
- 職務に必要な費用の請求、費用に対する利息の請求。
- 三
- 会計参与が建て替えている株式会社の債務の弁済額の請求、弁済期限を迎えるまでに負担した担保の弁済額の請求。
原文
第7節 監査役について
第七節 監査役
監査役のシゴト
- 第381条
- 取締役や会計参与がちゃんとシゴトをしているかをチェックするのが監査役のシゴトです。
チェックをしたら、監査報告を作成します。
監査報告について詳しいことは法務省令で規定しています。 - 2
- 監査役は、取締役や会計参与、支配人やスタッフに対して事業に関する報告を求めることが認められます。
監査役は、その株式会社の業務状況や財務状況を調査する権限が認められます。 - 3
- 監査役のシゴトに必要であれば、子会社に対して事業に関する報告を求めることが認められます。
監査役のシゴトに必要であれば、子会社の業務状況や財務状況を調査する権限が認められます。 - 4
- 子会社に正当な理由がなければ監査役に対して報告や調査を断ることはできません。
原文
不正が見つかったら監査役から報告が
- 第382条
- 取締役の不正を見つけたとき、取締役に不正の疑いがかかっているとき、法令違反や定款違反がみつかったとき、不適切な事象があきらかになったときには、むやみに遅れることのないタイミングで監査役から取締役会に対して報告が行われます。
取締役会が設置されていない株式会社では、取締役に対して報告が行われます。
原文
監査役は必ず取締役会に出席を
- 第383条
- 監査役は取締役会に出席しなければならず、必要なときには監査役としての意見を述べてください。
スピード感を要する株式会社の財産の移動などについて決定権を委ねられた《特別取締役会》についても監査役は出席しなければなりませんが、監査役が複数いる場合はその内の何人かだけを代表として出席することは認められます。
この場合、代表は監査役同士の話し合いで決めても構いません。 - 2
- 監査役は必要があれば取締役を招集するよう、招集を担当する取締役に対して要請することが認められます。
- 3
- 要請をしたのに、5日経っても取締役の招集の通知が発信されなかったり、取締役会を2週間以内に開催するという内容の通知が発信されない場合は、その監査役にも取締役会を招集することが認められます。
- 4
- 特別取締役会については、監査役が招集を担当する取締役に対して要請をしたり、期間内に通知が発信されないからといって監査役が招集することは認められません。
原文
監査役の調査で
- 第384条
- 監査役は取締役会に提案される議案や、書類、デジタルデータなどを調査する必要があります。
調査対象となるものについて詳しいことは法務省令で規定されています。
調査の結果、法務省令違反や定款の違反、不適切な事象を見つけたら、その調査結果を株主総会で報告をしてください。
原文
株式会社に損害を与えるような取締役の行為をやめさせて
- 第385条
- 取締役が、株式会社の目指す目的とは違う行為をしたり、法令違反や定款違反の行為をしたり、またはそのような行為をするおそれがあるために株式会社に大きな損害が発生する恐れがある場合、監査役は取締役に対してその行為をやめるよう要請できます。
- 2難文
- 取締役の行為をやめさせることについて裁判所に仮処分を命じてもらっておけば、仮処分によって取締役がこうむる損害の賠償のための担保を請求させないようにすることができます。
原文
●
- 第386条
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 一四
- ●
●
原文
●
- 第387条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
●
原文
●
- 第388条
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
●
原文
●
- 第389条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 5
- ●
- 6
- ●
- 7
- ●
●
原文
第8節 ■
第八節 監査役会
第1款 ■
第一款 権限等
●
- 第390条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
●
原文
第2款 ■
第二款 運営
●
- 第391条
- ●
●
原文
●
- 第392条
- ●
- 2
- ●
●
原文
●
- 第393条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
●
原文
●
- 第394条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
●
原文
●
- 第395条
- ●
●
原文
第9節 ■
第九節 会計監査人
●
- 第396条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
- 5
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 6
- ●
●
原文
●
- 第397条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
- 5
- ●
●
原文
●
- 第398条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
- 5
- ●
●
原文
●
- 第399条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
●
原文
第9節の2 ■
第九節の二 監査等委員会
第1款 ■
第一款 権限等
●
- 第399条の2
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 4
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
●
原文
●
- 第399条の3
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
●
原文
●
- 第399条の4
- ●
●
原文
●
- 第399条の5
- ●
●
原文
●
- 第399条の6
- ●
- 2
- ●
●
原文
●
- 第399条の7
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 4
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 5
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 四
- ●
●
原文
第2款 ■
第二款 運営
●
- 第399条の8
- ●
●
原文
●
- 第399条の9
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
●
原文
●
- 第399条の10
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
- 5
- ●
●
原文
●
- 第399条の11
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
●
原文
●
- 第399条の12
- ●
●
原文
第3款 ■
第三款 監査等委員会設置会社の取締役会の権限等
●
- 第399条の13
- ●
- 一
- ●
- イ
- ●
- ロ
- ●
- ハ
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 四
- ●
- 五
- ●
- 六
- ●
- 5
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 四
- ●
- 五
- ●
- 六
- ●
- 七
- ●
- 八
- ●
- 九
- ●
- 十
- ●
- 十一
- ●
- 十二
- ●
- 十三
- ●
- 十四
- ●
- 十五
- ●
- 十六
- ●
- 十七
- ●
- 十八
- ●
- 十九
- ●
- 二十
- ●
- 二十一
- ●
- 二十二
- ●
- 6
- ●
●
原文
●
- 第399条の14
- ●
●
原文
第10節 ■
第十節 指名委員会等及び執行役
第1款 ■
第一款 委員の選定、執行役の選任等
●
- 第400条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
●
原文
●
- 第401条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
●
原文
●
- 第402条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
- 5
- ●
- 6
- ●
- 7
- ●
- 8
- ●
●
原文
●
- 第403条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
●
原文
第2款 ■
第二款 ■
●
- 第404条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
●
原文
●
- 第405条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
●
原文
●
- 第406条
- ●
●
原文
●
- 第407条
- ●
- 2
- ●
●
原文
●
- 第408条
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 4
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 5
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 四
- ●
●
原文
●
- 第409条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 一
- ●
- 二
- ●
- 三
- ●
- 四
- ●
- 五
- ●
- イ
- ●
- ロ
- ●
- 六
- ●
●
原文
第3款 ■
第三款 指名委員会等の運営
●
- 第410条
- ●
●
原文
●
- 第411条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
●
原文
●
- 第412条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第413条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第414条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
第4款 ■
第四款 指名委員会等設置会社の取締役の権限等
●
- 第415条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第416条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第417条
- ●
- 2
- ●
- 3
- ●
- 4
- ●
- 5
- ●
●
原文
第5款 ■
第五款 執行役の権限等
●
- 第418条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第419条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第420条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第421条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第422条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
第11節 ■
第十一節 役員等の損害賠償責任
●
- 第423条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第424条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第425条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第426条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第427条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第428条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第429条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第430条
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
第12節 ■
第十二節 補償契約及び役員等のために締結される保険契約
●
- 第430条の2
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
●
- 第430条の3
- ●
- 2
- ●
- 一
- ●
●
原文
第●編 第●章 ●
第●編 第●章 ●