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かみくだし「日本の法律」シリーズ
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2.株式会社 7.事業の譲渡等

第2編 株式会社について

第二編 株式会社

第7章 事業を譲渡するには

第七章 事業の譲渡等

第2編 第8章 株式会社を解散するには

第2編 第6章 株式会社の定款の変更について
事業を譲渡するためには株主総会の決議を
第467条

株式会社が次に該当する事業譲渡を行うためには、実際に事業譲渡が有効となる日の前日までに株主総会において事業譲渡の契約を承認することについて決議を得る必要があります。

"実際に事業譲渡が有効となる日"のことを《効力発生日》といいます。

事業の総てを譲渡すること。

重要な事業の一部を譲渡すること。

この場合の一部とは、帳簿価格で株式会社の総資産の20%以上のケースが該当します。

20%よりも小さい値を定款で設定しておくことが認められます。

株式会社の総資産額の算出方法は法務省令で規定されています。
二の二

子会社の株式を譲渡したり、子会社に関する持分を譲渡すること。

次のイとロの両方に該当するケースでの譲渡が対象です。

譲渡の対象となる子会社の株式や持ち分の帳簿価格で株式会社の総資産の20%以上に相当するケース。

20%よりも小さい値を定款で設定しておくことが認められます。

効力発生日の時点で譲渡対象の子会社の過半数の議決権を有していないケース。

他の会社や外国法人をはじめとする様々な法人の事業を丸ごと譲り受けること。

事業を丸ごと第三者に賃貸すること、事業経営を丸ごと第三者に委任すること、自社の事業と第三者の事業の損益をごった煮にする契約を結ぶこと、その他これらに準ずる契約を結んだり変更や解約をすること。

株式会社の成立以前から取得可能な"もの"で、それが次のロの金額に対するイの金額の比率が20%以上となる場合に、あえて株式会社が設立してからそれを取得しようとすること。

その"もの"の対価として支払った帳簿価格の合計額。

株式会社の純資産額。

株式会社の純資産額の算出方法は法務省令で規定されています。
2

他の会社などの事業を丸ごと譲り受ける場合に、譲り受ける資産の中に自社の株式が含まれている場合、事業譲渡の契約の承認を受けるための株主総会において、譲り受けることになる株式についての情報を明らかにしておくことが必要です。
原文
522
事業譲渡をするにあたって株主総会の議決がいらないケース
第468条

他の会社やその関連会社に議決権の90%以上を握られている株式会社のことを《特別支配会社》といいます。

この場合の関連会社は、100%の株式を握られている会社や、法務省令でそのケースと同等にみなされる会社のことを指します。

特別支配会社に該当する比率を議決権の90%よりも高くすることを定款に規定することは認められます。

特別支配会社に対して、事業の譲渡をする場合や、子会社の株式やその持分の譲渡をする場合、事業を賃貸したり事業を委任する場合、あるいは特別支配会社から事業を譲り受ける場合については、株主総会において事業譲渡の契約を承認することについて決議を得る必要はありません。
2

法人の事業を丸ごと譲り受ける場合に、次の二の対する一の比率が20%に満たない場合については、株主総会において事業譲渡の契約を承認することについて決議を得る必要はありません。

事業を譲り受けるにあたって支払う帳簿価格の合計額。

事業を譲る側の株式会社の純資産額を法務省令の規定に基づいて算出した金額。
3

事業を譲り受ける側の支払額比率が20%に満たない場合であっても、株主から反対の通知を受け取った場合は、効力発生日までに株主総会において事業譲渡の契約を承認することについて決議を得る必要が生じます。

この反対の通知は、株式会社から株主に対する事業譲渡に関する通知を受けたり、公告が出された日から2週間以内に行う必要があります。
原文
523
株式譲渡に反対の株主は
第469条

株主として、株式会社が事業を譲渡することに反対であれば、自分が所有している株式を適正な価格で株式会社に買い取るよう請求することが認められます。

ただし、次の一と二のケースでは買取請求が認められません。

株主総会で会社の解散の承認の決議を得たうえで、株式会社の総ての事業を譲渡するケース。

譲り受ける事業の帳簿価格の合計額が株式会社の純資産額の比率で20%に満たないために株主総会の承認を必要としないケース。
2

事業譲渡に反対意思を示して株式の買取請求に応じてもらうためには、次の状況によりそれぞれの要件に該当する株主であることが必要です。

事業譲渡をするために株主総会の決議が必要なケースでは、次のイまたはロに該当する株主が該当します。

事業譲渡をするための株主総会の開催前に、株式会社に対して事業譲渡は反対であることを株式会社に通知を行い、さらにその株主総会において事業譲渡に関する議案で反対票を投じた株主。

議決権の無い種類株式を所有しているため議決権を行使できない株主。

事業譲渡をするための株主総会の決議が必要ないケースでは、全株主が該当します。
3

事業譲渡をするためには、株主に効力発生日の20日前までに事業譲渡に関する通知をしてください。

支配会社に対しては通知の必要はありません。
4

次のケースでは、株主への事業譲渡に関する通知をする代わりに公告でもかまいません。

公開会社が事業譲渡をするケース。

事業譲渡等の契約について株主総会で承認の決議を得ているケース。
5

事業譲渡に反対をして株式の買取請求をするには、効力発生日の20日前から効力発生日の前日までの期間内に株式会社に対して何株の買い取りを希望するかを示す必要があります。
6

株券が発行されているケースで事業譲渡に反対をして株式の買取請求をする場合は、請求先の株式会社に対して株券を提出する必要があります。

もし株券を紛失していて株券を提出できない場合は、株式会社に株券喪失登録簿への登録をした上で株券なしの対応してもらう必要があります。
7

事業譲渡に反対をしていったん株式の買取請求をおこなった場合、それを取り下げるためには株式会社側の承諾が必要となります。
8

事業譲渡の計画が中止になった場合、事業譲渡に反対による株式の買取請求は無効となります。
9

事業譲渡の反対による請求によって買い取られた株式は、株主名簿の記載の対象とはなりません。
原文
524
買取価格の決め方
第470条

事業譲渡の反対による株式の買取請求において、株主と株式会社との間で買取価格の折り合いがついたら、効力発生日から60日以内にその支払をしてください。
2

事業譲渡の反対による株式の買取請求において、効力発生日から30日以上が経過しても株主と株式会社との間で買取価格の折り合いがつかなかったら、裁判所に価格決定の申し立てをすることが認められるようになります。

この申し立ては、株主側からでも、株式会社側からでも行うことが認められます。

この申し立ては、申し立てをすることが可能となった日から30日以内に行ってください。
3

効力発生日から60日以上が経過しても買取価格の折り合いがつかないのに裁判所に価格決定の申し立てが行われない場合、株式会社の承諾をえることなくても買取請求を取り下げることが認められるようになります。
4

裁判所に決めてもらった価格で株主と株式会社との間で買取価格の折り合いがついたとしても、効力発生日から60日以内にその支払が間に合わないことになるので、支払いの際に期限をオーバーした日数分の利息も合わせて支払う必要があります。

利息の金額は法定利率で算出してください。
5

裁判所に価格を決めてもらうまでの間、株式会社はとりあえず自社が公正と考える価格での支払いをしておくことが認められます。
6

事業譲渡の反対による株式の買取請求で株式の買い取りが行われても、効力発生日を迎えるまでは株主としての権利は継続します。
7

株券が発行されているケースで事業譲渡の反対による株式の買取を行う場合、株主は株式会社に株券を提出した時点でその代金を支払ってもらうことができます。
原文
525
第2編 第8章 株式会社を解散するには

第2編 第6章 株式会社の定款の変更について
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