第3編 合名会社、合資会社、合同会社について
第三編 持分会社
第3章 持株会社の社員に求められること
第三章 管理

第3編 第4章 社員になるには、会社を抜けるには
第3編 第2章 持分会社の社員とは
第1節 この章全般にいえること
第一節 総則
社員のシゴト
- 第590条
- 持分会社の《社員》とは従業員のことではなく、会社の経営と運営に関する業務を執り仕切る人のことです。
このような業務は執り仕切らない社員というのも認められますが、その場合は定款に規定しておく必要があります。 - 2
- 二人以上の《社員》がいる場合、会社の経営や運営の方針は、原則として社員の過半数の意思で決定します。
このような方法以外で方針を決めることも認められていますが、その場合は定款に規定しておく必要があります。 - 3
- 日常的に行われる会社の運営については、担当する《社員》がそれぞれの方針で進めることが認められますが、シゴトが終わるまでに他の社員から指示やクレームがあった場合には、過半数の社員の意思で方針を決めてください。
原文
646
業務を執り仕切る社員を定款に規定したら
- 第591条
- 業務を執り仕切る社員を定款に規定していて、それが複数人いる場合、会社の経営や運営の方針は、原則的に業務を執り仕切る社員たちの過半数の意思で決定します。
過半数ではない方法で方針を決定するには、それを定款に規定をしておく必要があります。
日常的に行われる会社の運営については、担当の業務を執り仕切る社員がそれぞれの方針で進めることが認められますが、シゴトが終わるまでに他の社員から指示やクレームがあった場合には、過半数の社員の意思で方針を決めてください。 - 2
- 定款に二人以上の業務を執り仕切る社員を規定している場合、支配人の人事は、原則的に業務を執り仕切る社員の過半数の意思で決定します。
過半数ではない方法で人事を決定するには、それを定款に規定をしておく必要があります。 - 3
- 業務を執り仕切る社員を定款に規定していて、その社員の全員が退社した場合、その定款の規定は無効となります。
- 4
- 業務を執り仕切る社員を定款に規定したら、その社員は正当な理由がなければ辞任することは認められません。
- 5
- 業務を執り仕切る社員を定款に規定していて、解任をさせなければならない正当な理由が発生した場合、他の社員の全会一致があれば、その社員の解任が認められます。
- 6
- 上記の社員の辞任や解任にの方法とは違う方法にする場合は、それを定款に規定をしておく必要があります。
原文
647
全ての社員に業務や財産状況の調査を
- 第592条
- 業務を執り仕切る社員を定款に規定している場合であっても、全ての社員に業務や財産の状況について調査をすることが認められます。
- 2
- 「一部の社員には業務や財産の状況について調査を制限できる」という内容は定款に規定することは認められますが、事業年度が終了する時点や何か重大な事態が発生している時点まで調査の制限する内容の規定は認められません。
原文
648
第2節 業務を執り仕切る社員は
第二節 業務を執行する社員
業務を執り仕切ることになったら社員は
- 第593条
- 社員の立場で、会社の経営と運営に関する業務を執り仕切ることになったら、ビジネスマンとしてのベストを尽くす必要があります。
- 2
- 社員の立場で、会社の経営と運営に関する業務を執り仕切ることになったら、法令と定款を遵守し、持分会社のために忠実にシゴトをする必要があります。
- 3
- どのようなタイミングであっても持分会社やその社員が要請した場合、業務を執り仕切る社員は職務状況を報告する必要があります。
業務を執り仕切る社員は自分が担当する職務に区切りがついたら、その都度経過報告や結果報告をする必要があります。 - 4
- 次の民法の委任に関する規定は、会社の経営と運営に関する業務を執り仕切る社員に対しても同じように適用します。
- 業務をやり遂げる過程でお金や物、権利を受け取ったり、何か良い物を生産したら、持分会社にちゃんと引き渡してください(民法第646条)
- 業務をやり遂げるために預かったお金や物を自分のために使い込んでしまったら、返済し、使い込んだ日からの利息も返し、損害は賠償をしてください。(民法第647条)
- 特に契約を結んでいないと持分会社からの報酬は受けられず、決めていた場合でも業務をやり遂げるまで報酬は受けられません。(民法第648条)
- 成果物を引き渡すことに対して報酬を受けられる契約を結んだ場合は、成果物を引き渡した時点で報酬を請求できます。(民法第648条の2)
- 業務をやり遂げるための経費は、持分会社が負担してください。(民法第649条)
- 業務をやり遂げるための経費を建て替えた場合は、持分会社に請求してください。(民法第650条)
- 5
- 職務状況の報告についてや、民法の委任に関する規定の適用については、こららとは別の内容にすることが認められますが、その場合は定款に規定しておく必要があります。
原文
649
業務を執り仕切る社員に厳しく制限されていること
- 第594条
- 会社の経営と運営に関する業務を執り仕切る社員が次の行為を行うためには、予め定款に規定しておくか、社員全員の承認を受ける必要があります。
- 一
- この社員自身や持分会社とは無関係の人のために持分会社と競合する事業を行うこと。
- 二
- 持分会社のライバルにあたる株式会社の取締役や執行役に就任したり、ライバルにあたる持分会社の業務を執り仕切る社員になること。
- 2
- 定款の規定もなく、承認を受けることもなく、自分自身や無関係の人が事業を進めて持分会社のシゴトを横取りして利益を上げていたら、持分会社は損害を受けたとみなされます。
原文
650
業務を執り仕切る社員に強く制限されていること
- 第595条
- 会社の経営と運営に関する業務を執り仕切る社員が次の行為を行うためには、予め定款に規定しておくか、社員の過半数の承認を受ける必要があります。
- 一
- この社員自身や持分会社とは無関係の人のために持分会社からシゴトをもらったり、持分会社に商品を仕入れさせること。
- 二
- 持分会社にこの社員の債務保証をさせたり、持分会社に対して損をさせる取引を他所で社員が行うこと。
- 2
- 社員の過半数の承認を受けた場合は、社員が持分会社と取引をしたり、持分会社が社員の債務保証をすることは民法第108条で制限している自分と代理人との取引には該当しないことになります。
原文
651
自分のシゴトをちゃんとやらなかった責任は連帯で
- 第596条
- 業務を執り仕切る社員が自分のシゴトをちゃんとやらなかったせいで持分会社に損害を生じさせたら、その当人はもちろん、業務を執り仕切る他の全ての社員も連帯で損害を賠償する責任を負うことになります。
原文
652
有限責任社員であっても業務を執り仕切っていて損害を与えたら
- 第597条
- 有限責任社員は持分会社が破綻しても持分会社の債務を連帯して弁済する責任は負いません。
しかし、有限責任社員であっても業務を執り仕切っていて、そのシゴトのやり方では持分会社に損害を与えることを自覚していたのに対処を怠っていたり、重大な過失をしたまままシゴトをしていたために、他人に損害を与えてしまった場合、この社員は持分会社と連帯してその損害を賠償する責任を負うことになります。
原文
653
法人が業務を執り仕切る社員になるには人物を
- 第598条
- 持分会社の社員は法人であってもかまいませんが、業務を執り仕切る社員になるためには実際にその業務を行う人物を法人から差し向ける必要があります。
この場合は、他の社員たちに差し向ける人物の住所氏名を通知してください。 - 2
- 法人から差し向けられた人物が業務を執り仕切る社員としてシゴトをする場合、ビジネスマンとしてのベストを尽くし、法令と定款を遵守し、報告の義務を果たしてください。(第593条)
競合する事業を行ったり、ライバル企業の役員になるには社員全員の承認を受ける必要があり、持分会社からシゴトをもらったり、債務保証を受けるには社員の過半数の承認を受ける必要があります。(第594条・第595条)
シゴトをちゃんとやらなかったせいで持分会社に損害を生じさせたら、損害賠償の連帯責任を負うことになり、有限責任の社員の場合には第三者への損害賠償の連帯責任を負うことになります。(第596条・第597条)
原文
654
持分会社の代表は
- 第599条
- 会社の経営と運営に関する業務を執り仕切る社員は、持分会社の代表者となります。
あえて、社員以外の人を持分会社の代表者に指定することも認められます。 - 2
- 社員以外の人を代表に指定していないケースで、業務を執り仕切る社員が複数いる場合、それぞれの社員が持分会社の代表者になります。
- 3
- 業務を執り仕切る社員が複数いるケースでは、社員同士の中から持分会社の代表を一人に絞ることも認められます。
その場合、一人に絞られた人を定款で規定するか、一人に絞るためのルールを定款に規定しておく必要があります。 - 4
- 持分会社の代表になったら、持分会社が関わる裁判の対象者としての権限や、持分会社としての契約や取引などに関わる権限を持つことになります。
- 5
- 裁判や契約、取引に関わる代表の権限に対して、持分会社の社内で制限をつけていたとしても、そのことを知らない第三者と代表がその制限に関わる契約を結んでしまったら、その制限を有効にすることはできません。
原文
655
持分会社の賠償責任は代表に
- 第600条
- 持分会社が行ったことで第三者に損害を与えてしまったら、持分会社の代表である社員や、社員以外で代表を決めている場合はその代表が損害賠償の責任を負うことになります。
原文
656
代表が原告と被告に跨ってしまうケースでは
- 第601条
- 持分会社による社員に対する訴訟や、持分会社の社員による会社に対する訴訟では同一人物が原告と被告に跨ってしまうことがあります。
この場合は、第599条第4項の規定にかかわらず、この訴訟のための代表を指定することが認められます。
この代表を決めるためには、該当する社員を除く他の全ての社員による過半数を得た人物を指定してください。
原文
657
代表の責任を明らかにするための訴訟の代表
- 第602条
- 業務を執り仕切る社員の責任を追求するため、持分会社の社員が会社に対して裁判で責任を明らかにするよう要請したにもかかわらず、60日以内に会社側が動きを見せない場合は要請をした社員が持分会社の代表として訴訟を起こすことが認められるようになります。
この規定を適用するためには、次の2つの条件をクリアする必要があります。- その社員や第三者が不正な利益獲得を目的としていないこと
- 持分会社をおとしめて不当な損害を与えることを目的としていないこと
原文
658
第3節 民事保全法の保全命令を受けた持分会社では
第三節 業務を執行する社員の職務を代行する者
業務を代行した人や代表代行を務める人には
- 第603条
- 裁判所の決定により代表の職務執行停止の処分を受けた持分会社において、裁判所の仮処分として業務を代行した人や代表の代行を務める人は、基本的に裁判所の許可を得た行為のみを行ってください。
許可を得るまでもなく行えることとして事前に指定された行為や日常的に行われる会社の運営については、わざわざ裁判所の許可を得る必要はありません。 - 2
- 業務を代行した人や代表代行を務める人が、必要な裁判所の許可を得ていない行為は無効です。
とはいえ、それを知らないで取引や契約をしてしまった相手に対しては、フォローをする必要があります。
原文
659
第3編 第4章 社員になるには、会社を抜けるには
第3編 第2章 持分会社の社員とは
0 件のコメント:
コメントを投稿