第3編 合名会社、合資会社、合同会社について
第三編 持分会社
第5章 持分会社のお金の数え方
第五章 計算等

第3編 第6章 持分会社の定款の変更について
第3編 第4章 社員になるには、会社を抜けるには
第1節 会計のルール
第一節 会計の原則
持分会社も誰が見ても納得できる会計方法で
- 第614条
- 持分会社も誰が見ても納得できる会計方法で会計を行ってください。
原文
670
第2節 会計帳簿のつけ方
第二節 会計帳簿
持分会社も正確でタイムリーな帳簿を
- 第615条
- 持分会社も、会計に関して正確でタイムリーな帳簿を作成しなければなりません。
会計帳簿は法令に則って作成してください。 - 2
- 持分会社では、《帳簿の閉鎖》を終えてから10年間はその帳簿や関連する重要な資料を保管する義務があります。
年度毎に会計帳簿への記載や修正、消去を完了して、それ以降は手を入れない状態にすることを《帳簿の閉鎖》といいます。
原文
671
会計帳簿の提出を
- 第616条
- 裁判になって訴訟相手からの申立があったり、裁判所の職権が発動されたら、持分会社に対して会計帳簿の提出を命じられることがあります。
原文
672
第3節 財産状況の計算を
第三節 計算書類
財産状況の計算をしたらその記録を保管して
- 第617条
- 持分会社が成立したら、法令に則ってその日の時点での貸借対照表を作成してください。
- 2
- 持分会社は事業年度毎にお金の出入りや状態、残高を計算して書類に取りまとめたものを作成してください。
計算書類について詳しいことは法務省令で規定されており、具体的には貸借対照表や財産状況を示すために必要で適切なものとされています。 - 3
- 計算書類は、デジタルデータとして作成してもかまいません。
- 4
- 計算書類は作成した時点から10年間、保管しなければなりません。
原文
673
社員は計算書類の閲覧やコピーの要請を
- 第618条
- 持分会社の社員であれば、会社に対して営業時間内に次の要請をすることが認められます。
- 一
- 書面で計算書類を作成している場合に、その計算書類を閲覧したりコピーを取ること。
- 二
- デジタルデータで計算書類を作成している場合に、その計算書類を閲覧したりコピーを取ること。
デジタルデータの閲覧方法については法務省令で規定されています。 - 2
- 計算書類の閲覧やコピーに関しては、第一項とは異なる内容を定款に規定することは認められます。
その場合であっても、事業年度の終了時に社員が計算書類の閲覧やコピーができるようにすることを妨げてはなりません。
原文
674
裁判所から計算書類の提出命令が
- 第619条
- 裁判所への申立により、訴訟の当事者に対して計算書類の提出が命じられることがあります。
裁判所の職権により、訴訟の当事者に対して計算書類の提出が命じられることがあります。
原文
675
第4節 資本金を減らすことが認められるケース
第四節 資本金の額の減少
資本金を減らして損失の補填に
- 第620条
- 持分会社で損失が発生して補填しなければならなくなったら、資本金を減らして補填に充てることが許されます。
- 2
- とはいうものの、法務省令で限度額が決められていて、この額を超えて資本金を減らすことは許されません。
原文
676
第5節 利益が出たら
第五節 利益の配当
利益が出たら社員の配当に
- 第621条
- 持分会社で利益が出たら、社員は配当を求めることが認められます。
- 2
- 請求方法をはじめ配当についての詳しいことは定款に規定しておくことが認められます。
- 3
- 社員の持分が差し押さえされている場合、社員への配当も差し押さえの対象となります。
原文
677
社員の利益や損害の分配の割合
- 第622条
- 定款み利益や損害をどのように分配するのかを決めていない場合は、会社への出資額の比率に応じて割合を決定します。
- 2
- 利益の分配の割合だけを決めた場合は損害が出た時も同じ割合で分配します。
損害の分配の割合だけを決めた場合は利益が出た時も同じ割合で分配します。
原文
678
有限責任社員の配当は利益が減っていたら
- 第623条
- 配当をするために算出していた持分会社の利益の額が、配当を行った日に算出した利益の額を下回って予定した配当を支払うことができなくなっていたら、すでに配当を受けていた有限責任社員たちは連帯してその穴埋め分のお金を支払う義務を負うことになります。
利益の算出方法について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 2
- 有限責任社員は、持分会社が破綻した場合の責任は 第580条第2項で出資した額を上限とすることになっています。
しかし利益が減ってしまった場合に配当を受けていた有限責任社員が連帯して責任を負う額は、減ってしまった利益の合計額を上限とします。
原文
679
第6節 出資した金銭や財産の払い戻し
第六節 出資の払戻し
出資した金銭や財産を払い戻ししてもらう
- 第624条
- 社員は、持分会社に対してすでに出資した金銭や金銭以外の財産の払い戻しを請求することが認められます。
金銭以外の財産で出資していた場合は、その価値に応じた金銭の支払いを請求することも認められます。 - 2
- 出資した金銭や財産の払い戻しの方法は、持分会社が定款に規定しておくことが認められます。
- 3
- 社員の持分が差し押さえされている場合、社員に払い戻される金銭や財産も差し押さえの対象となります。
原文
680
第7節 全社員が有限責任社員である合同会社については
第七節 合同会社の計算等に関する特則
第1款 計算書類の閲覧を認めるケース
第一款 計算書類の閲覧に関する特則
合同会社の債権者には計算書類の閲覧が
- 第625条
- 全社員が有限責任社員である合同会社に対する債権者は、過去5年分の計算書類について合同会社の営業時間内であればいつでも、次の要請をすることが認められます。
- 書面で計算書類を作成している場合に、その計算書類を閲覧したりコピーを取ること。
- デジタルデータで計算書類を作成している場合に、その計算書類を閲覧したりコピーを取ること。
原文
681
第2款 資本金の減額が認められるケース
第二款 資本金の額の減少に関する特則
払い戻しをする時は資本金の減額が
- 第626条
- 合同会社では、出資の払い戻しをする時、持分の払い戻しをする時にも資本金を減らすことが認められます。
- 2
- 出資の払い戻しをするために認められる資本金の減少額は、出資の払戻額から払い戻し当日の《剰余額》を引いた額が上限です。
出資の払戻額については第632条第2項で規定されています。
《剰余額》については第4項で規定されています。 - 3
- 持分の払い戻しをするために認められる資本金の減少額は、持分払戻額から払い戻し当日の《剰余額》を引いた額が上限です。
持分の払戻額については第635条第1項で規定されています。 - 4
- 《剰余金》は、次の値による計算式①−(②+③+④)で算出されます。
- 一
- ①資産の額
- 二
- ②負債の額
- 三
- ③資本金の額
- 四
- ④法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
原文
682
資本金を減らすことに異議を述べそうな人には
- 第627条
- 合同会社が資本金を減額することに対して、合同会社の債権者は異議を述べることが認められます。
- 2
- 合同会社が資本金を減額することになったら、次の内容を官報で公告し、その上で判明している債権者に対しては個別に通知をして必要な対応をとるよう促してください。
異議を述べることが認められる期間については、少なくとも1ヶ月以上を設定してください。 - 一
- 減額する資本金についての詳しい内容。
- 二
- 資本金の減額に対して懸念や反対の意思があれば、所定の期間中は異議を述べることについて。
- 3
- 資本金の減額に関する官報での公告とメジャーな日刊新聞での情報掲載、インターネットを利用した電子公告を行った場合は、債権者への個別の通知を省略することが認められます。
- 4
- 所定の期間内に異議がなければ、資本金の減額が債権者に認められたことになります。
- 5
- 債権者が異議を述べた場合、合同会社が資本金の減額を行うためには次の対応をとる必要があります。
- 債務を弁済すること。
- 担保を差し出すこと。
- 信託会社などに債務に相当する財産を預けること。
異議を述べた債権者があった場合でも、資本金の減額の影響による債権者へのリスクはないと判断される場合は、これらの対応をとる必要はありません。 - 6
- ここに規定する全ての手続きが完了したら、資本金の減額が実際に認められることになります。
原文
683
第3款 利益を配当に回す場合に
第三款 利益の配当に関する特則
合同会社で配当額が利益の額を超えていたら
- 第628条
- 合同会社において利益を社員への配当に回すことになったとしても、この配当額が配当当日の合同会社の利益の額を超えていたら、配当はできないことになります。
もし配当額が利益の額を超えていたら、合同会社は配当の実行を止めることが認められます。
原文
684
利益の額を超えた配当が行われたら
- 第629条
- 配当当日の利益の額よりも多額の配当を行う違反行為があったら、配当に関する業務を担当した社員は配当を受けた社員と連帯で合同会社に配当した金額相当を返金する義務を負うことになります。
ただし、利益の額を超えないように十分注意を払いながら配当業務にきちんとあたっていたことを証明したら、担当社員は返金の義務を免れることが認められます。 - 2
- 利益の額を超えた配当を行ってしまったら、配当した相当額は合同会社に必ず返金しなければなりません。
しかし、実際に利益として配当に回せる金額を合同会社への返金額から差し引くことは認められます。
これを認めてもらうためには、すべての社員の同意が必要です。
原文
685
利益の額のことを気づいていなかったら
- 第630条
- 合同会社で配当当日の利益の額よりも多額の配当を行なわれた場合に、その配当を受け取った人が利益の額を超えていたことに気づいていなかった場合、配当業務の担当社員から返金を求められたとしても、応じる義務はありません。
しかし利益の額を超えていたことを知っていて配当を受け取った場合は、返金を求められたらこれに応じなければなりません。 - 2
- 合同会社で配当当日の利益の額よりも多額の配当を行なわれたために、支払いを受けることができなかった債権者は、配当を受け取った人の配当分に対して弁済の請求をすることが認められます。
- 3
- 全員が有限責任社員である合同会社では出資額が責任の上限となっていますが、利益の額よりも多額の配当を行なった場合の返金については、それが出資額を超える額であったらその返金の責任に上限額は適用されません。
原文
686
配当をしたせいで赤字におちいったら
- 第631条
- 合同会社で配当を行ったところ、事業年度の期末になって赤字におちいったことが発覚したら、配当に関する業務を担当した社員は配当を受けた社員と連帯で赤字を解消できる金額相当を合同会社に返金する義務を負うことになります。
ただし、赤字におちいらないように十分注意を払いながらきちんと配当業務を行ったと証明できれば、担当社員は返金の義務を免れることが認められます。
赤字額のことを《欠損額》といい、《欠損額》の算出方法について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 2
- 赤字分の返金の義務を見逃すことにするには、すべての社員の同意が必要です。
原文
687
第4款 合同会社で出資の払い戻しをする場合に
第四款 出資の払戻しに関する特則
合同会社は定款を書き換えないと
- 第632条
- 合同会社の社員が出資した金銭や金銭以外の財産の払い戻しを請求するには、定款の出資額の内容を書き換える必要があります。
- 2
- 定款を書き換えて、出資した金銭などの財産の社員への払い戻しを合同会社が行うことになった場合に、次のどちらか低い方の金額が払い戻しの帳簿額を超えることになったら、この払い戻しは禁止となります。
- 払い戻しをした後の剰余金の額
- 払い戻し後に残った出資金の額
このケースに該当する場合、社員が出資金の払い戻しを請求したとしても、合同会社は請求を拒むことが認められます。
原文
688
禁止される状況になるのに、出資金の払い戻しが行われたら
- 第633条
- 第632条で禁止される状況なのに出資金の払い戻しをしてしまったら、払い戻しに関する業務を担当した社員は払い戻しを受けた社員と連帯で払い戻しを受けた金額相当を合同会社に返金する義務を負うことになります。
ただし、払い戻し額が禁止される状況にならないように十分注意を払いながらきちんと払い戻し業務を行ったことを証明できたら、担当社員は返金の義務を免れることが認められます。 - 2
- 禁止される状況なのに出資金の払い戻しをしてしまったら、払い戻された相当額を合同会社に必ず返金しなければなりません。
しかし、剰余金や出資金が不足しない程度の金額であれば、合同会社への返金額から差し引くことは認められます。
これを認めてもらうためには、すべての社員の同意が必要です。
原文
689
払い戻しが禁止になることに気づいていなかったら
- 第634条
- 合同会社で払い戻しが禁止される状況で、資本金の払い戻しを受けた人が禁止の状況であることに気づいていなかった場合、払い戻し業務の担当社員から返金を求められても、応じる義務はありません。
しかし払い戻しが禁止の状況であることを知っていて払い戻しを受けた場合は、返金を求められたらこれに応じなければなりません。 - 2
- 合同会社で払い戻しが禁止される状況で資本金の払い戻しが行われたために、支払いを受けることができなかった債権者は、払い戻しを受けた人の払い戻し分に対して弁済の請求をすることが認められます。
原文
690
第5款 退社の際に払い戻される持分の扱いについて
第五款 退社に伴う持分の払戻しに関する特則
剰余金の額を超えることに異議を述べそうな人には
- 第635条
- 出資の持分を社員に払い戻す場合に、その帳簿上の払い戻し金額のことを《持分払戻額》といいます。
合同会社から社員への《持分払戻額》が払い戻しをした日の剰余金額を超える場合、合同会社の債権者は異議を述べることが認められます。 - 2
- 持分払戻額がその日の剰余金額を超えることになったら、次の内容を官報で公告し、その上で判明している債権者に対しては個別に通知をして必要な対応をとるよう促してください。
異議を述べることが認められる期間については、少なくとも1ヶ月以上を、持分払戻額が法務省令で規定する方法で算出した合同会社の純資産額を超える場合は少なくとも2ヶ月以上を設定してください。 - 一
- 持分払戻額が剰余金額をいくら位超えるかについて具体的な内容。
- 二
- 持分払戻額が剰余金額を超えることに対して懸念や反対の意思があれば、所定の期間中は異議を述べることについて。
- 3
- 持分払戻額が法務省令で規定する方法で算出した合同会社の純資産額を超えていなければ、持分払戻額が剰余金額を超えることに関する官報での公告とメジャーな日刊新聞での情報掲載、インターネットを利用した電子公告を行った場合は、債権者への個別の通知を省略することが認められます。
- 4
- 所定の期間内に異議がなければ、社員への持分の払い戻しについて債権者に認められたことになります。
- 5
- 債権者が異議を述べた場合、合同会社が社員への持分の払い戻しを行うためには次の対応をとる必要があります。
- 債務を弁済すること。
- 担保を差し出すこと。
- 信託会社などに債務に相当する財産を預けること。
退社する社員には出資の持分の払い戻しを受けることができるためこの款のタイトルには「退社に伴う〜」とつけられたのだと思うのですが、条文中には退社の記載がありませんので退社以外の理由で行われる持分払い戻しにも適用されるということなのでしょうね。
原文
691
剰余金額を超えた持分の払い戻しが行われたら
- 第636条
- 払い戻しをした日の剰余金額を超える額による社員への持分払い戻しの違反行為があったら、払い戻しに関する業務を担当した社員は払い戻しを受けた社員と連帯で合同会社に払い戻しをした金額相当を返金する義務を負うことになります。
ただし、剰余金額を超えないように十分注意を払いながら払い戻しの業務にきちんとあたっていたことを証明したら、担当社員は返金の義務を免れることが認められます。 - 2
- 剰余金額を超えた持分の払い戻しを行ってしまったら、払い戻しをした相当額は合同会社に必ず返金しなければなりません。
しかし、剰余金額を下回る金額については合同会社への返金額から差し引くことは認められます。
これを認めてもらうためには、すべての社員の同意が必要です。
原文
692
第3編 第6章 持分会社の定款の変更について
第3編 第4章 社員になるには、会社を抜けるには
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