第2編 株式会社について
第二編 株式会社
第9章 株式会社を清算してすっきりと
第九章 清算

第3編 第1章 持株会社を設立しよう
第2編 第8章 株式会社を解散するには
第1節 この章を通していえること
第一節 総則
第1款 清算を始めるには
第一款 清算の開始
清算を始めなければならないとき
- 第475条
- 株式会社が次の状況を迎えたら、清算の手続きをしなければなりません。
清算の方法について詳しいことは、この章で規定されています。 - 一
- 解散したとき。
吸収合併をした場合は清算の手続きをする必要はありません。
裁判所から破産手続開始の決定を受けたものの破産手続が終わっていない場合は清算の手続きが始められなくてもやむを得ません。 - 二
- 裁判所が「設立無効の訴え」を大筋で認る判決が確定した場合。
- 三
- 裁判所が「株式移転無効の訴え」を大筋で認める判決が確定した場合。
原文
530
清算の手続きが終わるまでは
- 第476条
- 清算の手続きが終わるまでの間、手続きのための業務を行うことに限り、株式会社として存続が認められます。
原文
531
第2款 清算を始めるために
第二款 清算の開始
第1目 清算をするためのシステムを
第一目 株主総会以外の機関の設置
清算するには清算人を
- 第477条
- 株式会社会社を清算することになったら、少なくとも1人以上の清算人をつけてください。
- 2
- 定款に規定しておくことで、清算をするにあたって、清算人会、監査役、監査役会を置くことが認められます。
- 3
- 定款に監査役会を置くことが決められている株式会社では、清算をするにあたって清算人会を置く必要があります。
- 4
- 公開会社や大会社が、解散したり裁判所の決定により清算する場合は、監査役を置く必要があります。
- 5
- 監査等委員を設置している公開会社や大会社が、解散したり裁判所の決定により清算する場合、監査等委員を務める取締役が監査役に就いてください。
- 6
- 指名委員会を設置している公開会社や大会社が、解散したり裁判所の決定により清算する場合、監査委員が監査役に就いてください。
- 7
- 株式会社が清算をすることになったら、上記の規定以外の他の取締役会や会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会、指名委員会を置くことを規定した条文は適用されません。
原文
532
第2目 清算人や監査役に就く人、辞める人
第二目 清算人の就任及び解任並びに監査役の退任
清算人の資格
- 第478条
- 次に該当する人は清算株式会社の清算人を務めてください。
- 一
- 取締役。
- 二
- 定款の規定で清算人を務めることになっている人。
- 三
- 株主総会の決議によって清算人に選ばれた人。
- 2
- 第1項で規定する人では清算人を任せられない場合、利害関係者からの申し立てにより裁判所が清算人を決めることになります。
- 3
- 裁判所によって解散命令を受けて清算することになった株式会社については、利害関係者や法務大臣の申し立てにより裁判所が清算人を決めることになります。
申し立てが無い場合、裁判所が職権で清算人を決めることになります。 - 4
- 裁判所によって設立無効や株式移転無効の判決が確定して清算することになった場合、利害関係者からの申し立てにより裁判所が清算人を決めることになります。
- 5
- 監査等委員会設置会社が解散や裁判所による無効判決の確定により清算することになった場合、定款や株主総会で選ばれた人以外に、監査等委員ではない取締役が清算人を務めてください。
- 6
- 指名委員会等設置会社が解散や裁判所による無効判決の確定により清算することになった場合、定款や株主総会で選ばれた人以外に、監査委員ではない取締役が清算人を務めてください。
- 7
- 第335条第3項の規定により、監査役会設置会社は3人以上の監査役を置き、そのうち半数以上は社外監査役とすることになっています。
しかし、監査役会を設置している監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社が解散や裁判所による無効判決の確定により清算することになった場合は、3人以上の監査役を置き、そのうち半数以上は次に該当しない人が監査役を務めてください。 - 一
- 監査役に就任以前の10年の間に、その株式会社やその子会社で次の役職についていなかった人。
- 社外取締役ではない取締役。
- 会計参与。
- 法人が会計参与の場合に、その株式会社に関する会計業務にあたった会計法人のスタッフ。
- 執行役。
- 支配人。
- 役職以外のスタッフ
- 二難文
- 監査役に就任以前の10年の間に、1度でもその株式会社やその子会社で社外取締役や監査役を務めたことがある人については、その役職の就任以前10年の間にその株式会社やその子会社で次の役職についていなかった人。
- 社外取締役ではない取締役。
- 会計参与。
- 法人が会計参与の場合に、その株式会社に関する会計業務にあたった会計法人のスタッフ。
- 執行役。
- 支配人。
- 役職以外のスタッフ
- 三
- 親会社の取締役、監査役、役員や重役、従業員、親会社や子会社の業務執行取締役。
- 8
- 清算人が決まったら、その人は株式会社から清算人としての職務を委任されます。
法人や取締役に就くことが認められない人は清算人としての職務にも就くことは認められません。
取締役会設置会社では、清算人の人数は3人以上としてください。
原文
533
清算人を解任するには
- 第479条
- 裁判所で決められた清算人は株主総会の決議によって解任することは認められません。
そうではない清算人はどのようなタイミングであっても株主総会の決議によって解任することが認められます。 - 2
- 裁判所で決められた清算人の解任を裁判所に認めてもらうためには、重要度の高い理由が必要です。
裁判所で決められた清算人の解任を裁判所に認めてもらうための申し立てを行うことができるのは次に該当する株主に限られます。 - 一
- 少なくとも6ヶ月以上前から総株主の議決権の3%以上の議決権を所有している株主。
定款の規定で、3%の比率をそれよりも小さな比率としたり、6ヶ月という期間をそれより短い期間とすることは認められます。
ただし次に該当する株主はその対象にはなりません。 - イ
- 清算人の解任に関する議案について議決権を持たない株主。
- ロ
- 解任の申立ての対象となっている清算人を務める株主。
- 二
- 少なくとも6ヶ月以上前から総ての発行済株式の3%以上の数の株式を所有している株主。
定款の規定で、3%の比率をそれよりも小さな比率としたり、6ヶ月という期間をそれより短い期間とすることは認められます。
ただし次に該当する株主はその対象にはなりません。 - イ
- 自社株を所有する株式会社。
- ロ
- 解任の申立ての対象となっている清算人を務める株主。
- 3
- 株式を公開していない株式会社において清算人の解任の申し立てをすることができる株主には、6ヶ月以上前からという期間の制限はありません。
- 4
- 清算人のピンチヒッターは元役員が務めてください。
清算人が定員割れしたせいでモメた場合、当事者は一時的なピンチヒッターとして清算人決めてもらうよう裁判所に申し立てることができます。
その際には清算人の報酬も裁判所に決めてもらうことができます。
原文
534
監査役の職を解かれるのは
- 第480条
- 次の内容で定款の変更が行われて、実際にその変更内容が有効になった時点で、清算をしている株式会社の監査役はその職を解かれることになります。
- 一
- 監査役を置くことに関する規定を廃止する定款の変更。
- 二
- 監査役が行う監査の業務範囲を会計に関するものに限定することについての規定を廃止する定款の変更。
- 2
- 清算をしている株式会社においては、監査役の任期に関する規定は適用されません。
原文
535
第3目 清算人のシゴトについて
第三目 清算人の職務等
清算人のシゴト
- 第481条
- 清算人のシゴトは次の通りです。
- 一
- 株式会社が解散した時点で仕掛中のシゴトを片付けること。
- 二
- 売上金を回収し、支払いを済ますこと。
- 三
- "株式会社に残された財産"を、受け取る権利のある人に分配すること。
"株式会社に残された財産"のことを《残余財産》といいます。
原文
536
請け負った株式会社の清算を
- 第482条
- 清算人は、請け負った株式会社の清算のシゴトを行います。
- 2
- 複数の清算人がいる場合、多数決によりシゴトの進め方を決めます。
定款に規定をしておけば、多数決以外の方法でシゴトの進め方を決めてもかまいません。 - 3
- 次の議案については、清算人の多数決や定款に規定された方法でシゴトの進め方を決めることは認められません。
- 一
- 《支配人》の人事に関すること。
- 二
- 支店や支社の設置や移転、廃止をすること。
- 三
- 株主総会の開催や議案に関する事項。
- 四
- 法令や定款の規定に則って清算のシゴトを進めるための体制づくりに関することや、法務省令で規定する清算のシゴトを適正に行うために必要な事項。
- 4
- 株式会社と清算人との間で訴訟となった場合は、株主総会によって株式会社側の代表者を決めることが認められます。
清算人に会社の代表者であるような肩書を与えた場合、第三者との間で交わした取引や契約は株式会社の代表者が行ったものとして有効となります。
清算人は法令を遵守し、定款と株主総会での決議に従い、株式会社のため忠実にシゴトをしてください。
清算人によって株式会社との間で好ましいとはいえない取引を行うには株主総会において取引の要点を説明し、承認を得なければなりません。
清算人は株式会社の痛手になりかねない事実をつかんだら、直ちに株主や監査役、監査役会に報告してください。
目的外の業務によって株式会社に大きな損失を受けるおそれがある場合、継続的な株主はその業務を止めるよう精算人に対して要請することが認められます。
清算人の報酬は株主総会で決めたり、定款で予め決めておくことが認められます。
原文
537
清算をしている株式会社の代表は
- 第483条
- 清算をしている株式会社では清算人が株式会社の代表者となります。
清算人の中から代表清算人を定めたり、清算人以外の人が代表者となることも認められます。 - 2
- 清算人が複数いる場合、清算人の一人ひとりが株式会社の代表者となります。
- 3
- 代表清算人を決めるには、清算人の中から清算人同士によって選ぶか、清算人の中から株主総会の決議によって選びます。
代表清算人を選ぶことができる清算人については、定款に規定しておくか、定款にその資格がある人を規定しておくことが必要です。
裁判所が代表清算人を指定したすることになったら、会社側で清算人を決めることはできません。 - 4
- 取締役が清算人を務めるケースで、代表取締役が清算人になると、代表取締役が代表清算人を務めることになります。
- 5
- 裁判所によって決まった清算人についても、代表清算人を務めることが認められます。
- 6
- 代表清算人は、株式会社の清算業務に関わる全ての事項についての権限を有します。
定款や代表取締役会での決議によって代表清算人の権限を制限することは可能ですが、そのような制限があることを知らない相手と代表清算人が取引や契約を交わした場合、代表清算人の交わした取引や契約は有効なものとして認められることになります。
代表清算人の席が空いてしまうことになったら、次の正式な代表清算人が就任するまでの間、それ以前に退任していた元代表取締役や元代表清算人がピンチヒッターとして権利を行使したり、義務を負うことになります。
代表清算人が裁判所により職務取り上げの仮処分を受けて、そのピンチヒッターとしてシゴトを代行する人は株式会社の日常業務に当たってください。
原文
538
清算によって負債の方が多いと判明したら
- 第484条
- 清算をしていて株式会社の財産よりも負債の方が多いことが判明したら、清算人は直ちに破産手続開始の手続きをしなければなりません。
- 2
- 破産手続開始の決定を受けて、株式会社のことを破産管財人に引き継いだら、清算人のシゴトはそこで完了となります。
- 3
- 破産手続開始の決定を受けた株式会社において、清算の際に負債の支払いを済ませていたり、株主への配当を行っていた場合、破産管財人は支払ったお金の返還を請求することが認められます。
原文
539
裁判所が決めた清算人の報酬額は
- 第485条
- 裁判所によって決められた清算人の報酬額は裁判所が決めることが認められます。
原文
540
清算人がちゃんとシゴトをしなかったら
- 第486条
- 清算人がちゃんとシゴトをしないせいで株式会社に損害を追わせたら、清算人にはその損害を賠償しなければならない責任があります。
- 2
- 清算人や第三者が株式会社と競合して利益を得ていたのに株主総会で説明をしていない場合、それが理由で裁判になったら、清算人や第三者が得ていた利益は株式会社の損害だと判断されます。
- 3
- 清算人や第三者が清算をしている株式会社と取引をしたり、清算をしている株式会社が清算人の債務保証をしたせいで、株式会社側に損害が生じた場合、それが理由で裁判になったら、次の状況に該当する清算人はシゴトを怠っていたものとみなされます。
- 一
- 取引や債務保証によって株式会社に損害を与えた清算人。
- 二
- 損害を受けることになる取引を株式会社に認めた清算人。
- 三
- 損害を受けることになる取引を株式会社に承認した清算人会で賛成をした清算人。
- 4
- 株主全員の同意を取り付けることができれば、株式会社にとって不利益な取引をさせたことに対して清算人がその責任から免れることが許されます。
原文
541
清算人が損害を与えたら
- 第487条
- 清算人が自分のシゴトで他人に迷惑をかけることがわかっていたり、シゴトの中で重大なミスを犯していたため第三者に損害を与えた場合、清算人にはその損害を賠償しなければならない責任があります。
- 2
- 清算人のシゴトについて次のケースに該当する場合、清算人にはその損害を賠償しなければならない責任があります。
その責任から免れるためには、そのシゴトをぬかり無く行っていたことを証明する必要があります。 - 一
- 清算している株式会社の株式や新株予約権、社債、新株予約権付社債の募集の際にその重要事項についてウソの通知をした場合。
募集の際に株式会社の事業などの説明資料にウソの記載や記録をした場合。 - 二
- 生産している株式会社の財産目録や貸借対照表、事務報告、附属明細書の中にウソ記載や記録をした場合。
財産目録について詳しいことは第492条第1項で、貸借対照表、事務報告、附属明細書について詳しいことは第494条第1項で規定されています。 - 三
- ウソの登記をした場合。
- 四
- ウソの公告をした場合。
原文
542
複数の清算人は連帯債務に
- 第488条
- 清算している株式会社や第三者に対する損害賠償責任を、複数の清算人で負う場合や、清算人と監査役とで負う場合は、それそれの《連帯債務》となります。
- 2
- 清算人が関わる損害賠償責任については、清算人以外の役員が連帯債務を負うことはありません。
《連帯債務》について詳しいことは民法 第三編第一章第三節第四款 連帯債務に規定されています。
原文
543
第4目 清算人会について
第四目 清算人会
清算人会のシゴト
- 第489条
- 複数の清算人がいる場合、その全員で《清算人会》を組織します。
- 2
- 清算人会のシゴトは次の通りです。
- 一
- 株式会社が解散した時点で仕掛中のシゴトをどうやって片付けるかを決めること。
- 二
- 清算人のシゴトの進め方を監督すること。
- 三
- 代表清算人を決めたり、辞めさせたりすること。
- 3
- 清算人会が組織されたら、代表清算人を決めてください。
清算人が自分たちで決めなくても、他の方法で代表清算人を決めることも認められます。 - 4
- 清算人によって決められた代表清算人は、清算人会で解職させる権限が認められます。
- 5
- 裁判所の決定によって決められた代表清算人は、清算人会で交代させたり、会食させる権限は認められません。
- 6
- 次の事項については清算人会として業務にあたる必要があります。
一部の清算人に業務を委任することは認められません。 - 一
- 重要な財産を処分したり、譲受けたりすること。
- 二
- 多額のお金を借りること。
- 三
- 支配人や重要なポストに就いているスタッフの人事に関すること。
- 四
- 支店や支社、重要な組織の設置や移転、廃止をすること。
- 五
- ●676
- 六
- 法令や定款の規定に違反しないように体制づくりや、業務を適正に行うために必要なこととして法務省令で規定されている体制整備に関すること。
- 7
- 清算人会の業務は、清算人会の中で次に該当する立場の人が執り行います。
- 一
- 代表清算人。
- 二
- 代表清算人以外の清算人で、清算人会の決議によって業務を執行する立場が認められている人。
- 8
- 清算人会のシゴトを執り行う清算人は、少なくとも3ヶ月毎に清算人会で自分のシゴトの状況を報告しなければなりません。
清算人会が置かれている株式会社で清算人との間で訴訟となった場合、清算人会を株式会社側の立場の代表者とすることが認められます。
清算人会が置かれている株式会社において、清算人が次のケースに該当する好ましいとはいえない取引を行うためには、清算人会において取引の要点を説明し、承認を得なければなりません。- 清算人自身や第三者への利益目的で行う株式会社とは競合する取引。
- 清算人自身や第三者への利益目的で、株式会社との間で行う取引。
- 株式会社が清算人の債務を保証して行う取引や、株式会社に損害を与える可能性のある取引。
清算人会で承認を得た場合は株式会社と清算人が行う取引であっても民法第108条の規定に触れることになりません。
上記に該当する取引を清算人が行った場合、むやみに遅れることなく清算人会にその事実関係や要点を報告しなければなりません。
原文
544
清算人会の招集や進め方
- 第490条
- 各々の清算人の招集により清算人会は開かれます。
清算人会招集の権利を持つ清算人を定款や清算人会の決議で指定しておくことも認められます。 - 2
- 招集の権利を持つ清算人を指定していた場合であっても、他の清算人が清算人会の開催が必要だと判断したら、招集の権利を持つ清算人に招集の要請をすることが認められます。
- 3
- 要請をしたのに、5日経っても清算人会招集の通知が発信されなかったり、清算人会を2週間以内に開催するという内容の通知が発信されない場合は、その要請をした清算人にも清算人会を招集することが認められるようになります。
- 4
- 清算人会が設置されている株式会社において、清算人の問題行動が認識されたら、株主が清算人会を招集するよう要請することが認められます。
株主が清算人会招集の要請をする際には、どのようなテーマで清算人会を開催してほしいのかを明らかに伝える必要があります。
要請をしたのに、5日経っても清算人会招集の通知が発信されなかったり、清算人会を2週間以内に開催するという内容の通知が発信されない場合は、その要請をした株主に清算人会を招集することが認められるようになります。
清算人の問題を認識したために清算人会招集の要請をした株主は、それによって開催される清算人会に出席して意見を述べることが認められるようになります。 - 5
- 清算人会では、議決に加わることができる清算人の過半数の出席した上で、さらにその過半数の賛成により決議となり、定款の規定でそれより多い比率でも認められます。
特別な利害関係にあたる清算人はその議案の参加は認められません。
清算人会では必ず議事録を作成し、書面であれば出席者の署名や記名押印を、デジタルであれば電子署名をしてください。
清算人会に出席して議事録に対してクレームをつけなければ、その議事に賛成をしたものとみなされます。
清算人会を開くまでもなく、全清算人の同意により議案可決を認める、ということを定款に規定できます。
清算人会の議事録は開催日から10年間は株式会社の本社で保存しておいてください。
株主は、権利行使目的で議事録の閲覧やコピーを取ることをが認められます。
監査役設置会社では、議事録閲覧には裁判所の許可が必要で、許可された場所と時間に行うことになります。
債権者や親会社に対する清算人会の責任追及に必要であれば、議事録の閲覧やコピーの許可を裁判所から得ることが認められます。
監査役設置会社に対して裁判所の許可を得ようとしても、議事録の閲覧やコピーにより、株式会社やその親会社、子会社に重大な損害が出る場合は、許可が得られないことがあります。
親会社が裁判所の許可を得ようとしても、議事録の閲覧やコピーにより、子会社に重大な損害が出る場合は、許可が得られないことがあります。 - 6
- 清算人や監査役が清算人会で報告しなければならない情報について取締役から取締役会の全メンバーに対して通知することができれば、わざわざ清算人会を開いて報告を行う必要はありません。
監査役設置会社であれば、清算人から清算人会の全メンバーに対して通知することができた場合も、わざわざ清算人会を開いて報告を行う必要はありません。
少なくとも3ヶ月毎に清算人会で行う必要がある清算人会設置会社のシゴトについての報告は、全メンバーに通知をしたとしても必ず清算人会で報告しなければなりません。
原文
545
第5目 取締役についての規定を置き換えて
第五目 取締役等に関する規定の適用
清算人や代表清算人、清算人会、清算人会設置会社は
- 第491条
- 清算人や代表清算人、清算人会、清算人会設置会社は、次の章や条文の規定の中で、それぞれ取締役や代表取締役、取締役会、取締役会設置会社の部分を置き換えて適用することが認められます。
原文
546
第3款 清算する株式会社の財産を把握するために
第三款 財産目録等
財産目録と貸借対照表の作成
- 第492条
- 清算人として就任したら、むやみに遅れることなく清算する株式会社の財産目録と貸借対照表を作成してください。
財産目録と貸借対照表は、株式会社が解散をした日や、裁判所によって「設立無効の訴え」や「株式移転無効の訴え」の確定判決がでた日の日付で作成してください。 - 2
- 清算人会が置かれている株式会社では、作成した財産目録や貸借対照表は清算人会の承認を受ける必要があります。
- 3
- 作成された財産目録や貸借対照表は、株主総会の場に提出されてその承認を受ける必要があります。
- 4
- 清算している株式会社では、作成された財産目録や貸借対照表をその本社において保管してください。
保管の期限は、株式会社の清算の手続きが完了してその登記がなされるまでです。
原文
547
裁判所が財産目録や貸借対照表を必要と判断したら
- 第493条
- 訴訟において裁判所が必要だと判断したら、精算している株式会社の財産目録や貸借対照表の提出を命じることが認められます。
原文
548
年度ごとに貸借対照表と事務報告を
- 第494条
- 清算人の業務が長引いて、解散したり裁判所の決定により清算することになった日の翌日から数えて2年目を迎えることになったら、1年ごとに年度を区切り、各年度の最終日時点での貸借対照表と事務報告を作成してください。
3年目以降も同様に各年度ごとに最終日時点での貸借対照表と事務報告を作成してください。
貸借対照表や事務報告には明細書も付けてください。 - 2
- 貸借対照表や事務報告、附属明細書はデジタルデータで作成してもかまいません。
- 3
- 年度ごとに作成した貸借対照表や事務報告、附属明細書は清算の手続きが完了してその登記がなされるまで本社において保管してください。
附属と附属は表記の違いだけで同じ意味のようで、法令では附属とすることが多いそうです。
原文
549
監査役には監査を、清算人会には承認を
- 第495条
- 監査役を置いている株式会社において、清算の年度ごとに作成した貸借対照表や事務報告、附属明細書は監査役の監査を受ける必要があります。
監査の方法について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 2
- 清算人会が設置されている株式会社において、清算の年度ごとに作成した貸借対照表や事務報告、附属明細書は清算人会の承認を受ける必要があります。
原文
550
貸借対照表や事務報告、附属明細書の保管について
- 第496条
- 清算している株式会社では貸借対照表や事務報告、附属明細書を株主総会の開催一週間前の日から清算の手続きが完了してその登記がなされるまで、その本社において保管してください。
- 2
- 株式会社の営業時間中であれば、株主や債権者は次の要請をすることが認められます。
ただし、コピー代などは有料です。 - 一
- 書面で作成された貸借対照表や事務報告、附属明細書の閲覧を要請すること。
- 二
- 書面で作成された貸借対照表や事務報告、附属明細書のコピーを取ること。
- 三
- デジタルデータで作成された貸借対照表や事務報告、附属明細書を閲覧すること。
閲覧の方法は法務省令で規定されています。 - 四
- デジタルデータで作成された貸借対照表や事務報告、附属明細書のデジタルコピーを取ること。
- 3
- 清算している株式会社の親会社の社員が、その権利を講師するために必要であるとして裁判所の許可が得られれば、貸借対照表や事務報告、附属明細書の閲覧やコピーを取ることについての要請をすることが認められます。
ただしコピー代などは有料です。
原文
551
貸借対照表と事務報告の株主総会への提出
- 第497条
- 年度をまたいで清算をしている株式会社では、監査役や清算人を置いているかどうかによって次に該当する貸借対照表と事務報告を定時株主総会に議題として提出するか、株主に対して情報として提供をしてください。
- 一
- 監査役に清算のための年度ごとに監査を受けている株式会社では、監査を受けた貸借対照表と事務報告。
- 二
- 清算人会を設置している株式会社では、清算人の承認を受けた貸借対照表と事務報告。
- 三
- 監査役も清算人会も設置していない株式会社では、清算の年度ごとに作成した貸借対照表と事務報告。
- 2
- 提出または提供された貸借対照表は、提示株主総会の承認を受ける必要があります。
- 3
- 提出または提供された事務報告の内容は、定時株主総会で報告する必要があります。
原文
552
裁判所から貸借対照表や事務報告の提出命令
- 第498条
- 貸借対照表や事務報告の確認が必要な人が裁判所に申立をして裁判所が妥当と判断されたら、株式会社は裁判所の職権により貸借対照表や事務報告の提出を命じられることがあります。
原文
553
第4款 債務はキレイに
第四款 債務の弁済等
公告や通知で債権者に呼びかけて
- 第499条
- 解散や裁判所の決定により清算することになった株式会社は、債権者に対して決められた期限までに債権がどうなっているかを申し出てもらうよう呼びかけてください。
呼びかけの方法は、官報に公告を出すことと、相手がわかっている債権者に対して直接通知を行うことです。
呼びかけは、清算することが決まったら、むやみに遅れることなく行ってください。
申し出の期限は、少なくとも2ヶ月以上の猶予を設定してください。 - 2
- 呼びかけの公告の中には、もし債権の申し出をしなければ清算の際の対象から除外されることになることも記載してください。
原文
554
呼びかけの期限が終わるまで
- 第500条重要
- 債権者に対する呼びかけが始まると、呼びかけの期限が終わるまで、清算をしている株式会社の弁済が中断されます。
そのせいで被る債権者の損害については、清算をしている株式会社に賠償責任が生じます。 - 2
- 呼びかけの期間中であっても裁判所の許可を得ることができれば、少額の債権、清算している株式会社が実際に残している財産が担保になっている債権、弁済しても他の債権者に対して損害を与えるおそれのない債権については、弁済をすることが許されます。
清算人が複数いる株式会社の場合、この許可を得るための裁判所への申立をするには清算人の全員が申立について同意をすることが必要です。
原文
555
確定していない債権は鑑定した上で弁済を
- 第501条
- 次のような確定していない債権であっても、清算している株式会社に対して弁済の対象とさせることができます。
- 条件が達成されるまで確定していない《条件付債権》。
- 弁済の期限が確定していない《存続期間が不確定な債権》。
- 詳細な金額が確定していない債権。
これらの債権を確定させるためには、裁判所に対して鑑定人を選任してもらうための申立をする必要があります。 - 2
- 裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、清算している株式会社は弁済をしてください。
- 3
- 裁判所が選任した鑑定人に対する報酬は、清算している株式会社が負担してください。
この鑑定人の出張費用や調査にかかる費用についても、清算している株式会社が負担してください。
原文
556
債務の弁済が終わったら株主の財産を
- 第502条
- 全ての債務の弁済が終わったら、株式会社の財産を株主の間で分配することが認められます。
債務の中でモメている案件が残った場合、その債務に相応の金額を確保しておけば、確保の分を除いた株式会社の財産を株主の間で分配することが認められます。
原文
557
呼びかけの期限が過ぎた債権者には
- 第503条
- 申し出るまでもなく精算している株式会社とは債権者として日頃から付き合いがある所は別として、普段は付き合いがないのに、債権者に対する呼びかけの期間内に申し出をしていない債権者は清算の対象リストから外れることになります。
- 2
- 申し出なかった債権者には他の債務者への弁済を済ませて残った財産からしか弁済されません。
- 3難文
- 債権者として申し出た時点で、弁済を済ませて残った財産について株主に対する分配に取り掛かっていたら、債権の弁済よりも他の株主への分配の方が優先されることになります。
分配を受け取っていない株主たちに対する持ち株比率に応じた分配をするための金額はキープされ、それでも残った金額からこの債権者への弁済という順序となります。
原文
558
第5款 残った財産を株主で分配するには
第五款 残余財産の分配
財産の分配を始めるにあたり決めておくこと
- 第504条
- 株主に対する財産の分配を始めるにあたり、清算人や清算人会が取り決めをした内容に基づき、次の事項が取り決められます。
- 一
- 現金なのかそれ以外なのかといった財産の種類について。
- 二
- 株主に対してどのように分配財産を割り当てるかのルールについて。
- 2
- 財産の分配に関して次のように条件が異なる種類株式が発行されている場合、その種類株式の条件に応じて分配財産の割当ルールを決めることが認められます。
- 一
- 残った財産の割当が無いことになっている種類株式の株主に対して、財産を割り当てないようにすること。
- 二
- 残った財産の割当の比率などの条件が異なる種類株式の株主に対して、その条件に応じて財産を割り当てるようにすること。
- 3
- 残った財産の割当は、通常の株式であろうと、種類株式であろうと、その所有数に対応して分配しなければなりません。
原文
559
残っている財産が金銭ではなかったら
- 第505条
- 清算をしたところ、残っているのが金銭以外の財産しか無い場合、株主としてはこれを金銭にしてから分配するよう要請することが認められます。
要請を受けた株式会社は、清算人や清算人会の決定を受けて、次の事項を決めておく必要があります。
金銭以外の財産を金銭にしてから分配するように要請する権利を《金銭分配請求権》といいます。 - 一
- 金銭分配請求権を行使することができる期間。
- 二
- 金銭以外の財産であるため、分配を受けるには一定数以上の株式を所有している必要がある場合は、その内容と必要な数。
- 2
- 金銭分配請求権の行使期間を定めた場合、その期限の日の20日前までに株主に対して金銭分配権の行使に関する通知をする必要があります。
- 3
- 金銭分配権を行使したら、金銭以外の財産で分配される代わりに、それに相当する金銭の支払いを受けることになります。
この場合に金銭以外の財産の換金額は次の区分によって決められます。 - 一
- 金銭以外の財産に市場価格が反映できる場合、法務省令で規定された算定方法に基づく金額。
- 二
- 金銭以外の財産に市場価格が反映できない場合、清算会社の申し立てを受けた裁判所が定めた金額。
原文
560
一定数の株式を所有していない株主には
- 第506条
- 金銭以外の財産であるために、分配を受けるには一定数以上の株式を所有している必要があると定めた場合、分配を受けることができる一定数のことを《基準株式数》といいます。
これに対して分配を受けることができない一定数のことを《基準未満株式数》といいます。
《基準未満株式数》の株主に対しては、次の方法で算出した金額(X)が支払われることになります。
X = A × B / C
(A)基準株式数の株主に対して分配される金銭以外の財産の換金額
(B)基準未満株式数の株主が所有する株式の総数
(C)株式の総数
原文
561
第6款 清算のシゴトが片付いたら
第六款 清算事務の終了等
清算のシゴトが片付いたら決算報告書
- 第507条
- 清算のシゴトが片付いたら、株式会社はむやみに遅れることなく決算報告書を作成してください。
決算報告書について詳しいことは法務省令で規定されています。 - 2
- 清算人会を設定している株式会社では、決算報告書は清算人会の承認を受ける必要があります。
- 3
- 決算報告書は清算人から株主総会に議題として提出するか、株主に対して情報として提供をした上で、承認を受ける必要があります。
- 4
- 株主総会での承認を受けた決算報告書については、清算人に落ち度があったとしても清算人は賠償責任が免除されます。
もちろん清算人が不正を行っていた場合は賠償責任を免除されることはありません。
原文
562
第7款 帳簿や資料の保管について
第七款 帳簿資料の保存
清算手続完了の登記から10年間は保管を
- 第508条
- 清算をした株式会社の帳簿や、その会社が行った事業、清算に関する重要な資料のことを《帳簿資料》といいます。
帳簿資料は株式会社の清算手続完了の登記がなされてから10年間は清算人によって保管されます。 - 2
- 利害関係者の中で清算人が帳簿資料を保管することに対して不満のある人は、裁判所に対する申し立てをしてください。
それが認められれば、清算人の代わりに帳簿資料を保管する人を選任してもらうことになります。
裁判所が帳簿資料を保管する人を選任した場合、清算人は10年間の保管義務がなくなります。 - 3
- 裁判所に帳簿資料を保管する人が選任されたら、帳簿資料は株式会社の清算手続完了の登記がなされてから10年間、選任された人によって保管されます。
- 4
- 帳簿資料保管をする人の選任手続にかかる費用は株式会社が負担してください。
原文
563
第8款 清算している株式会社には
第八款 適用除外等
清算している株式会社に適用されない規定
- 第509条
- 清算をしている株式会社は次の規定の適用の対象外となります。
- 一
- 自社株の買い取りができるケースに関する規定。(第155条)
- 二
- 会計帳簿に関する規定。(第5章第2節第2款)
-
次の規定は適用対象外ではありません。
連結計算書類に関する規定。(第5章第2節第3款)
資本金の金額に関する規定。(第5章第3節)
余剰金の配当に関する規定。(第5章第4節)
会計監査人設置会社での配当の決め方に関する規定。(第5章第5節) - 三
-
株式交換と株式移転についての規定。(●第5編第4章)
株式交付についての規定。(●第5編第4章の2)
株式交換と株式移転、株式交付の手続についての規定。(●第5編第5章) - 2
- 株式売渡請求に関する規定(第2章第4節の2)は、清算している株式会社には適用されません。
- 3
- 精算している株式会社が自社の株式を取得することが認められるのは、無償で取得するケースと法務省令で株式取得を認める規定に該当するケースのみに限られます。
原文
564
第2節 特別清算について
第二節 特別清算
第1款 裁判所に特別な清算を
第一款 特別清算の開始
厄介なケースには裁判所に清算を
- 第510条
- 次のケースに該当して株式会社の裁量では清算できる見込みが無い場合、裁判所に特別清算を申し立てるという方法があります。
実際に裁判所が特別清算を開始するには第514条に規定された条件をクリアしている必要があります。 - 一
- 株式会社を清算するにあたり、非常に厄介な状況にあるケース。
- 二
- 株式会社の全ての財産をかき集めても、債務を完済する見込みが無さそうなケース。
このような状況を《債務超過》といいます。
原文
565
特別清算開始の申し立てをすることができるのは
- 第511条
- 特別清算開始の申し立てをすることができるのは、債権者、清算人、監査役、株主です。
- 2
- 清算しようとする株式会社に債務超過の疑いが出てきたら、特別清算に切り替えるため清算人によって特別清算開始の申立てをすることになっています。
原文
566
申立てによって必要が認められると他の手続きが
- 第512条
- 特別清算開始の申立てがなされていると、債権者や清算人、監査役、株主は次の手続きや処分を中止するように申し立てをすることが認められます。
裁判所が申し立ての必要性を認めたり、裁判所が職権で必要性を認めると、次の手続や処分はいったん中止を命じられることがあります。
中止命令は、特別清算開始の申立てに対する決定がなされるまでが期限となります。
- 一
- 清算株式会社に対する破産手続。
破産手続開始の決定がなされていると手続きは中止になりません。 - 二
- 清算株式会社の財産に対してなされた強制執行や仮差押え、仮処分の手続。
《一般の先取特権》、その他一般の優先権が認められる債権に基づくものは対象になりません。
また、手続き中止の申し立てをした債権者や、その手続きを行う人に対して不当な損害を与えるおそれがある場合は、手続きは中止になりません。 - 三
- 条約の対象に該当する外国の税金を滞納していた場合に清算株式会社が受ける処分。
日本は租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律に基づいて、対象国との間で税金徴収に関する情報交換や税金徴収を協力して行うことになっています。
また、処分中止の申し立てをした債権者や、その処分を行う人に対して不当な損害を与えるおそれがある場合は、処分は中止になりません。 - 2
- ●890--5
債務を果たす上で必要な経費となる債権や、雇用や葬儀、日用品に対する債権のことを《一般の先取特権》といいます。
原文
567
特別清算開始の申し立てを取り下げるには
- 第513条
- 特別清算開始の命令が出る前であれば、特別清算開始の申し立てをした人に限り、その申し立てを取り下げをすることが認められます。
ただし破産や強制執行などの手続き、外国の税金に関する手続きの中止命令が出ているタイミングで取り下げをするには、裁判所の許可が必要となります。
また、裁判所によって清算株式会社の財産に対する保全処分が出ている場合や、裁判所によって清算株式会社が株主名簿の記載や記録の禁止処分が出ているタイミングで取り下げをする場合も、裁判所の許可が必要となります。
原文
568
特別清算開始の命令が発令されるには
- 第514条
- 株式会社に対する特別清算開始の命令が発令されるためには、申し立ての対象の株式会社が特別清算をしなければならない状況であると裁判所に認められる必要があります。
ただし次に該当する場合は、特別清算開始の命令が発令されません。 - 一
- 特別清算の手続に必要な費用が納められていない場合。
- 二
- あきらかに、特別清算をしても清算を完了できる見込みがない場合。
- 三
- あきらかに、特別清算をすると、《一般の先取特権》の債権者の利益を損ねる場合。
- 四
- 不当な目的で特別清算開始の申し立てがされた場合や、申し立ての内容があまりにもいい加減な場合。
原文
569
特別清算開始の命令が出ると手続きや処分は
- 第515条難文
- 特別清算開始の命令が出ると、次の手続きや処分はすることができなくなります。
- 破産手続開始の申立て。
- 清算株式会社の財産に対する強制執行処分。
- 清算株式会社の財産に対する仮差押え処分。
- 清算株式会社の財産に対する仮処分処分。
- 清算株式会社の財産に対する外国租税滞納処分。
- 清算株式会社の財産に対する財産開示手続。
- 第三者からの情報取得手続の申立て。
特別清算開始の命令が出ると、次の手続きや処分は中止となります。- 破産手続
- 清算株式会社の財産に対して行われている強制執行の手続き。
- 清算株式会社の財産に対して行われている仮差押えの手続き。
- 清算株式会社の財産に対して行われている仮処分の手続き。
- 清算株式会社の財産に対して行われている外国租税滞納処分。
- 清算株式会社の財産に対して行われている財産開示手続。
- 第三者からの情報取得手続。
特別清算開始の命令があっても、次の手続きや処分は中止にはなりません。- 一般の先取特権に基づく強制執行。
- 一般の優先権がある債権に基づく強制執行。
- 一般の先取特権に基づく仮差押えの手続き。
- 一般の優先権がある債権に基づく仮差押えの手続き。
- 一般の先取特権に基づく仮処分の手続き。
- 一般の優先権がある債権に基づく仮処分の手続き。
- 一般の先取特権に基づく財産開示手続き。
- 一般の優先権がある債権に基づく財産開示手続。
- 一般の先取特権に基づく第三者からの情報取得手続。
- 一般の優先権がある債権に基づく第三者からの情報取得手続。
- 2
- 特別清算開始の命令が確定したら。前項の規定によって中止となった手続や処分は、特別清算の手続きとしては無効になります。
- 3
- 特別清算開始の命令が出た日から、特別清算開始の取消しの登記をした日か、特別清算終結の登記をした日から2ヶ月経過した日までの間は、清算株式会社に対する債権の時効は成立しないことになります。
●938
原文
570
特別清算開始の命令が出ると担保権があっても
- 第516条
- 次に該当する担保権のことを《担保権の実行の手続き》といいます。
- 清算株式会社の財産に対してかけられた担保権により金銭を回収するための手続。
- 社債が償還されない場合に企業担保権により金銭を回収するための手続。
- 清算株式会社の財産に対して、一般の先取特権や一般の優先権がある債権に基づく強制執行の対象となる担保権により金銭を回収するための手続。
特別清算開始の命令が出ると、清算人や監査役、債権者、株主が申し立てを行い、裁判所が妥当と判断すると、一定の期間を決めて担保権の実行の手続きを中止するよう命じられることがあります。
ただし裁判所が債権者の全般対してメリットがないため妥当ではないと判断したり、担保権を行使しようとする人に対して不当な損害を与えるため妥当ではない判断した場合、担保権の実行の手続きの中止命令は出されません。
一方、清算人らからの申し立てが無くても、裁判所が独自に妥当と判断すると、職権により一定の期間を決めて担保権の実行の手続きを中止するよう命じられることがあります。
株式会社が発行した社債に対して会社の財産の総額を担保にかけられる担保権のことを《企業担保権》といいます。
原文
571
協定債権を所有している人の相殺が認められないケース
- 第517条
- 次のケースに該当すると、値引きに応じて債権額を決めた《協定債権》の所有者は、特別清算をしている株式会社との間で相殺をすることは認められません。
- 一
- 特別清算が始まった後に、《協定債権》を所有する人が特別清算をしている株式会社の債務を肩代わりしたケース。
- 二難文
- 支払いをする能力を失い、弁済期になってもまともに支払いをしていくことができない状態のことを《支払不能》といいます。
特別清算をしている株式会社が《支払不能》となっていたことを知りつつ、次の契約を結んで清算株式会社の債務を負担してあげていたケース。- 特別清算をしている株式会社の財産と、契約によって所有することになる《協定債権》とを相殺させる目的で、その株式会社に新たな債務を負わせる内容の契約。
- 特別清算をしている株式会社が負担する債務の肩代わりをする内容の契約。
- 三
- 特別清算をしている株式会社が《支払停止》となったことを知りつつ、さらに実際に全く支払いできない状況知っていたうえで、その株式会社の債務を肩代わりしたケース。
実は支払いができた場合は、相殺をすることが認められます。 - 四
- 特別清算開始の申し立てが行われた後に、その申し立てが行われたことを知っていたにも関わらず、その株式会社に対して債務を肩代わりしたケース。
- 2
- 第1項のニ゙号・三号・四号のケースで、債務を肩代わりした理由が次の原因に当てはまる場合は、相殺することが認められます。
- 一
- 民法をはじめとする他の法律で相殺が認められている場合。
- 二
- 支払不能であったこと、支払停止や特別清算開始の申し立てがあったことを協定債権者が知る前からあった理由により相殺をする場合。
- 三
- 特別清算開始の申立てがあった時よりも一年以上前からあった理由により相殺をする場合。
債務の完済が見込めないために特別清算をしている株式会社が、債権者に対して債務の一部を負けてもらう内容の取り決めをすることを《協定》といいます。
《協定》をした上で支払い額を決め直した債権のことを《協定債権》といいます。
《協定》について詳しいことは第9款協定を結ぼうで規定しています。
債務者が外部の支払先や関係者に対して支払いができないことが把握できるように実際に支払いをしなかったり、「支払いはしない」と知らせることを《支払停止》といいます。
原文
572
債務を負っている人の相殺が認められないケース
- 第518条
- 次のケースに該当すると、特別清算をしている株式会社に対する債務を負っている人はその株式会社とは相殺をすることが認められません。
- 一
- 特別清算開始後に他人の所有している協定債権を譲り受けたケース。
- 二
- 支払不能となっていたことを知りつつ、協定債権を取得したケース。
- 三
- 支払停止となっていたことを知りつつ、さらに実際に全く支払いできない状況であることも知っていたうえで、協定債権を取得したケース。
実は支払いができた場合は、相殺をすることが認められます。 - 四
- 特別清算開始の申し立てがあったことを知りつつ、協定債権を取得したケース。
- 2
- 第1項のニ゙号・三号・四号のケースで、協定債権を取得した理由が次の原因に当てはまる場合は、相殺することが認められます。
- 一
- 民法をはじめとする他の法律で相殺が認められている場合。
- 二
- 支払不能であったこと、支払停止や特別清算開始の申し立てがあったことをその株式会社に対する債務を負っている人が知る前からあった理由により相殺をする場合。
- 三
- 特別清算開始の申立てがあった時よりも一年以上前からあった理由により相殺をする場合。
- 四
- 特別清算をしている株式会社に対する債務を負っている人と特別清算をしている株式会社との間で契約を結んで相殺をする場合。
原文
573
共助実施決定を受ければ外国税の滞納も
- 第518条の2
- 条約対象の外国の税金滞納に対する清算株式会社が受けた処分に基づいて、特別清算の手続きによりお金を取り戻そうとする場合、国税局長や税務署長による《共助実施決定》を受ける必要があります。
《共助実施決定》について詳しいことは、租税条約等実施特例法第11条第1項に規定されています。
原文
574
第2款 裁判所の監督と調査について
第二款 裁判所による監督及び調査
裁判所の監督下で清算をすることに
- 第519条
- 特別清算開始の命令を受けたら、清算株式会社では裁判所の監督下で清算が行われることになります。
- 2
- 裁判所が必要だと判断したら、清算株式会社の業務を監督する官庁に対して、その株式会社の特別清算の手続についての意見を聞いたり、調査を依頼することが認められます。
- 3
- 清算株式会社の業務を監督する官庁は、裁判所の判断を受けずとも、その株式会社の特別清算の手続についての意見を述べることが認められます。
原文
575
裁判所からの報告命令や調査の実施
- 第520条
- 裁判所の監督下にある清算株式会社には、裁判所から清算事務についての報告や財産状況についての報告を命じたり、清算を監督していく上で必要な調査をすることが認められます。
原文
576
承認を受けた財産目録や貸借対照表は裁判所に提出を
- 第521条
- 裁判所から特別清算開始の命令が出て、株主総会で財産目録や貸借対照表の承認を受けたら、むやみに遅れることなく裁判所に提出してください。
なお、財産目録や貸借対照表がデジタルデータで作成されている場合であっても、裁判所には書面で提出してください。
原文
577
裁判所から調査命令の処分を
- 第522条
- 特別清算開始の後、清算株式会社の財産状況に関して裁判所が必要があると判断したら、職権で次の事項に関して調査委員による調査を命じる処分をすることが認められます。
この調査処分は次の人たちからの申し立てにより裁判所が必要性を判断して行うことも認められています。- 清算人。
- 監査役。
- 債権の申出をした債権者。
- 清算株式会社が把握している債権総額の10%以上を有する債権者。
- 全ての株主総会での議決権に対して3%以上の割合の議決権を少なくとも6ヶ月前から継続して所有している株主。
- 自己株式以外の発行済株式に対して3%以上の割合の株式を少なくとも6ヶ月前から継続して所有している株主。
議決権の3%以上や発行済み株式の3%以上については、定款でそれより少ないパーセンテージに設定することが認められます。
株式の所有期間の6ヶ月については、定款でそれより短い期間に設定することが認められます。 - 一
- 特別清算をすることになった事情。
- 二
- どんな事業をしていて、財政状態はどうだったのか。
- 三
- 清算株式会社の財産への保全処分が必要なのかどうか。
- 四
- 責任追求のため役員や清算人などの財産への保全処分が必要なのかどうか。
- 五
- 役員や清算人などの責任追求のための損害賠償請求権を査定するための裁判が必要なのかどうか。
- 六
- その他、特別清算を進めるために必要な事項として裁判所が指定するもの。
- 2
- 清算株式会社のなんらかの財産に対する担保によって弁済を受けられる債権者は、調査委員による調査処分の申し立てをすることは認められません。
- 3
- 清算株式会社が株式を公開していない場合、株式の所有者が容易に移ることがないので、調査処分の申し立てが認められるには株主について議決権や株式所有の期間の制約はありません。
第542条第1項において、責任追及の対象となる役員や清算人とは、発起人、設立時取締役、設立時監査役、取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人、清算人で、《対象役員等》といいます。
第545条第1項において、責任追求のための損害賠償請求権を査定するための裁判のことを《役員等責任査定決定》といいます。
原文
578
第3款 清算人について
第三款 清算人
清算人は公平で誠実に
- 第523条
- 特別清算が開始されることになったら、清算人は債権者、清算株式会社、そしてその株主の三者に対して、公平で誠実に清算のシゴトを務める義務があります。
原文
579
ちゃんとシゴトをしない清算人を
- 第524条
- 特別清算のシゴトをちゃんとやってくれなかったり、何かと重要な理由があれば、債権者や株主は裁判所に清算人に対する解任の申し立てをしてください。
申し立ての有無にかかわらず、清算人がちゃんとシゴトをしていないと判断したり、何かと重要な理由があると判断したら、裁判所は清算人を解任することが認められます。 - 2
- 清算人が解任されたら、裁判所が代わりの清算人を選任することになります。
- 3
- 清算人が解任まではされない場合であっても、裁判所が必要だと判断したら、追加の清算人を選任することあります。
原文
580
清算人の代理を立てる
- 第525条
- 特別清算のシゴトを進める上で必要があれば、清算人が自分の代理を立てることは認められます。
必要があれば、複数の代理を立てることも認められます。 - 2
- 代理を立てるためには、裁判所の許可を得ることが必要となります。
原文
581
清算の費用や清算人の報酬は前払いでも
- 第526条
- 特別清算の清算人のシゴトにかかる費用や、清算人の報酬は前払いにすることが認められます。
- 2
- 特別清算の清算人の代理のシゴトにかかる費用や、清算人の代理の報酬は前払いにすることが認められます。
原文
582
第4款 監督委員について
第四款 監督委員
裁判所の代わって監督委員が
- 第527条
- 特別清算を進める上で、清算株式会社には裁判所の許可を得なければならない行為があります。
それらの行為にはコマゴマしたものも含まれており、イチイチ裁判所がチェックするのはたいへんなので、裁判所が監督委員という役職を選任することが認められます。
監督委員には、裁判所の許可に代わる《同意》をする権限が与えられます。
裁判所の許可が必要な行為について詳しいことは第535条第1項に規定されています。 - 2
- 法人に監督委員の職を任せることも認められます。
原文
583
監督委員の監督は裁判所が
- 第528条
- 監督委員がちゃんとシゴトをしているか、については裁判所が監督します。
- 2
- 監督委員がちゃんとシゴトをしていなかったり、何かと重要な理由があれば、利害関係者は監督委員に対する解任の申し立てをしてください。
申し立ての有無にかかわらず、監督委員がちゃんとシゴトをしていないと判断したり、何かと重要な理由があると裁判所が判断したら、監督委員を解任することが認められます。
原文
584
複数の監督委員がいる場合
- 第529条
- 複数の監督委員がいる場合、職務を共同で行ってください。
裁判所の許可を得れば、各監督員が個別に業務に当たったり、別々の業務を分担して行ったりすることが認められます。
原文
585
監督員のシゴト
- 第530条
- 監督委員は、いつでも清算株式会社の清算人や監査役、支配人、スタッフに対して、事業についての報告を求める権限があります。
監督委員は、いつでも清算株式会社の業務や財産の状況を調べる権限があります。 - 2
- 監督委員の職務上必要であれば、清算株式会社の子会社に対して事業の報告を求めたり、業務や財産の状況を調べる権限があります。
原文
586
監督委員は一流のホテルマンのように
- 第531条
- 監督委員は一流のホテルマンがお客様に向き合うように、監督委員としてのシゴトに向き合ってください。
- 2
- 監督委員が三流のホテルマンのようなシゴトをしたせいで関係者に損害を被らせることになったら、賠償請求を受けることになります。
《善良な管理者の注意》、つまり《善管注意義務》について詳しいことは民法第644条に規定されています。
原文
587
監督委員のシゴトのお金
- 第532条
- 監督委員は裁判所が決めた監督委員の報酬を受け取ることができます。
監督委員のシゴトにかかる費用は前払いで受け取ることが認められます。 - 2
- 監督委員になったら、清算株式会社の債権や株式を譲り受けたり、譲り渡す際には、裁判所の許可が必要です。
- 3
- 監督委員になった後に、裁判所の許可を得ずに清算株式会社の債権や株式を譲り受けたり、譲り渡したりすると、監督委員としての報酬や費用の支払いを受けることができなくなります。
原文
588
第5款 調査委員について
第五款 調査委員
調査委員が選任されると
- 第533条
- 裁判所により特別清算に関する調査命令を出す場合、実際にこの調査を担当する調査委員が選任されます。
そして裁判所から調査委員に対して調査の内容と結果報告を行う期限が指定されます。
原文
589
監督委員の規定と同じように
- 第534条
- 法人に調査委員の職を任せることも認められます。(第527条第2項)
調査委員がちゃんとシゴトをしているか、については裁判所が監督します。(第528条第1項)
調査委員がちゃんとシゴトをしていなかったり、何かと重要な理由があれば、利害関係者は調査委員に対する解任の申し立てをして、裁判所に申し立てが認められると調査委員を解任することが認められます。(第528条第2項)
複数の調査委員がいる場合、職務を共同で行ってください。(第529条)
調査委員は、いつでも清算株式会社の清算人や監査役、支配人、スタッフに対して、事業についての報告を求める権限があり、清算株式会社の業務や財産の状況を調べる権限があります。(第530条第1項)
調査委員の職務上必要であれば、清算株式会社の子会社に対して事業の報告を求めたり、業務や財産の状況を調べる権限があります。(第530条第2項)
調査委員は一流のホテルマンがお客様に向き合うように、監督委員としてのシゴトに向き合ってください。(第530条第1項)
調査委員が三流のホテルマンのようなシゴトをしたせいで関係者に損害を被らせることになったら、賠償請求を受けることになります。(第531条第2項)
調査委員は裁判所が決めた監督委員の報酬を受け取ることができ、調査のシゴトにかかる費用は前払いで受け取ることが認められます。(第532条第1項)
委員になったら、清算株式会社の債権や株式を譲り受けたり、譲り渡す際には、裁判所の許可が必要で、裁判所の許可を得ずにそのようなことをすると、調査委員としての報酬や費用の支払いを受けることができなくなります。(第532条第2項・第3項)
原文
590
第6款 清算株式会社になると制限されること
第六款 清算株式会社の行為の制限等
特別清算開始の命令を受けると制限されること、その1
- 第535条
- 特別清算開始の命令を受けると、清算株式会社が次の行為を行う際には裁判所の許可を得ることが必要になります。
監督委員が選任されている場合は、監督員の許可を得ることが必要になります。 - 一
- 財産を手放すこと。
- 二
- お金や資産を借り受けること。
- 三
- 訴訟をすること。
- 四
- モメゴトを和解したり、仲裁を受け入れること。
仲裁をしてくれた人の提案を受け入れることを《仲裁合意》といい、詳しいことは仲裁法第2条第1項に規定されています。 - 五
- 権利を放棄すること。
- 六
- その他、裁判所に指定されていること。
- 2
- 裁判所や監督委員の許可が必要な行為に該当しても、次の基準に相当する場合には許可を得るには及びません。
- 一
- 最高裁判所規則で定められた金額の行為。
- 二
- 裁判所もあえて許可は必要ないとしている行為。
- 3
- 裁判所の許可が必要なのに、許可を得ずに行為を行ってしまっても、それは無効とされます。
ただし、行為の相手方が無効になることを知らなかった場合は、相手に対して相応の責任を負うことになります。
原文
591
特別清算開始の命令を受けると制限されること、その2
- 第536条
- 特別清算開始の命令を受けると、清算株式会社が次の行為を行う際にも裁判所の許可を得ることが必要になります。
- 一
- 事業を丸ごと譲渡すること。
- 二
- 重要な事業で、その帳簿価格が総資産の20%を超えるパートを譲渡すること。
資産の帳簿価格の計算方法については、法務省令で規定されている算出方法に基づくものとなります。
定款で、20%未満に設定することも認められます。 - 三
- 次のイとロの両方に該当するケースで、子会社の株式や持ち分を譲渡すること。
- イ
- 株式の市場価格、または株式の持ち分の帳簿価格で、総資産の20%を超える金額の相当分の譲渡のケース。
株式の持ち分の帳簿価格の計算方法については、法務省令で規定されている算出方法に基づくものとなります。
定款で、20%未満に設定することも認められます。 - ロ
- 譲渡が行われた日の時点で、清算株式会社がその子会社の議決権の過半数を有していない状況のケース。
- 2
- 裁判所の許可が必要なのに、許可を得ずに事業や子会社の株式の譲渡を行ってしまっても、それは無効とされます。
ただし、行為の相手方が無効になることを知らなかった場合は、相手に対して相応の責任を負うことになります。 - 3
- 特別清算開始の命令を受けると、事業譲渡に関する規定は適用されません。
原文
592
弁済は協定債権の比率に応じて
- 第537条
- 特別清算開始の命令を受けた清算株式会社に対して債権の値引きに応じた《協定債権》の所有者は、清算株式会社の全ての債権に対する自分の協定債権の比率に応じて弁済を受けることになります。
- 2
- 一応、裁判所の許可を得る必要はありますが、少額の協定債権については、債権額の割合のことは目をつぶって弁済を受けることが認められます。
清算株式会社の財産を担保にしている協定債権や、他の債権者への弁済にダメージを与えるおそれがほとんどないと判断される協定債権についても債権額の割合のことは目をつぶって弁済を受けることが認められます。
原文
593
清算株式会社の財産をお金に替えるには
- 第538条
- 第535条第1項第1号では、特別清算開始の命令を受けた清算株式会社が財産を手放すには裁判所の許可が必要となっていますが、強制執行に関する民事執行法などの規定にかかわらず、清算株式会社の財産をお金に替えることを清算株式会社の判断で行うことが認められています。
- 2
- 民事執行法をはじめとする強制執行に関する法令に則ることにより、清算株式会社は担保になっている財産やその売却して得たお金を担保権を持っている人への支払いに充てることが認められています。
担保による支払いが決まったら、支払いとしての担保財産の受け取りは拒否することは認められません。
担保による支払いを受ける権利を持つ人のことを《担保権者》といいます。 - 3
- 民事執行法第63条や民事執行法第129条には、やっても経費にもならない場合の強制執行はできないことについて規定されていますが、清算株式会社が民事執行法などの規定に則り、財産を手放したり、担保による支払いをする場合は、これらの規定は適用されません。
- 4
- 担保を売却してお金を得たものの、その時点で担保権を持つ人への支払額が決定していない場合、その支払いに想定される分のお金はきちんと保管しておく必要があります。
原文
594
モノを引き取る権利に期限を
- 第539条
- 民法には、支払いをしてもらえない時に機能する4つの権利…留置権(払うまで返さない権利)、先取特権(優先的に支払ってもらえる権利)、質権(貸す代わりに何かを預かる権利)、抵当権(譲り受けない不動産で担保する権利)が認められます。
これらの権利によらず、支払いが滞ってしまったら財産価値のあるモノや不動産の権利を引き取るということでの弁済方法に合意ができている場合、清算株式会社は裁判所に申し立てをして、モノを引き取る期限を設定してもらうことができます。 - 2
- 裁判所が設定した期限内にモノの引き取りが行われなかった場合、モノを引き取る権利は消滅することになります。
原文
595
第7款 きちんと清算を進めるための監督を
第七款 清算の監督上必要な処分等
勝手に財産に手を付けないように仮処分を
- 第540条
- 特別清算開始の命令が出ている清算株式会社が勝手に財産に手を付けたりしないように、財産処分禁止の仮処分を命じてもらうことができます。
この仮処分を命じてもらうためには、債権者や清算人、監査役、株主による申し立てをして、裁判所に清算の監督上必要であると認めさせることが必要ですが、場合によっては裁判所の職権で仮処分を命じることもあります。 - 2
- 特別清算開始の命令が出る前であっても、特別清算開始の申し立ての対象となっている株式会社が勝手に財産に手を付けたりしないように、財産処分禁止の仮処分を命じてもらうことができます。
この仮処分を命じてもらうためには、債権者や清算人、監査役、株主による申し立てをして、裁判所に清算の監督上必要であると認めさせることが必要ですが、場合によっては裁判所の職権で仮処分を命じることもあります。
特別清算開始の申し立てが却下された後でも、申し立てが人が即時抗告をして裁判所に清算の監督上必要であると認めさせることができれば、即時抗告の申し立ての対象となっている株式会社が勝手に財産に手を付けたりしないように、財産処分禁止の仮処分を命じてもらうことができます。●#d895jo-5 - 3
- 財産処分禁止の仮処分として債務の勝手な弁済も禁止の保全処分が出ていることを知りながら清算株式会社から債務の弁済を受けていた債権者に対しては、他の債権者らからクレームを受けて裁判になったら、弁済は無効にされる可能性があります。
原文
596
勝手に株主名簿に手を入れさせないように処分を
- 第541条
- 特別清算開始の命令が出ている清算株式会社が勝手に株主を加えたり、変更しないよう、株主名簿の記載禁止や記録禁止の処分を命じてもらうことができます。
この処分を命じてもらうためには、債権者や清算人、監査役、株主による申し立てをして、裁判所に清算の監督上必要であると認めさせることが必要ですが、場合によっては裁判所の職権で処分を命じることもあります。 - 2
- 特別清算開始の命令が出る前であっても、特別清算開始の申し立ての対象となっている株式会社が勝手に株主を加えたり、変更しないよう、株主名簿の記載禁止や記録禁止の処分を命じてもらうことができます。
この処分を命じてもらうためには、債権者や清算人、監査役、株主による申し立てをして、裁判所に清算の監督上必要であると認めさせることが必要ですが、場合によっては裁判所の職権で処分を命じることもあります。
特別清算開始の申し立てが却下された後でも、申し立てが人が即時抗告をして裁判所に清算の監督上必要であると認めさせることができれば、即時抗告の申し立ての対象となっている株式会社が勝手に株主を加えたり、変更しないよう、株主名簿の記載禁止や記録禁止の処分を命じてもらうことができます。
原文
597
勝手に役員が自分の財産に手を付けないように処分を
- 第542条
- 特別清算開始の命令が出ている清算株式会社の役員が損害賠償の請求を受けた時に備えて、勝手に自分の財産に手を付けたりしないように、財産の保全処分を命じてもらうことができます。
この処分を命じてもらうためには、清算株式会社による申し立てをして、裁判所に清算の監督上必要であると認めさせることが必要ですが、場合によっては裁判所の職権で処分を命じることもあります。
この款でいう役員とは、第423条に規定されている《取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人》と、発起人、設立時取締役、設立時監査役が相当します。 - 2
- 特別清算開始の命令が出る前であっても、特別清算開始の申し立ての対象となっている株式会社の役員が損害賠償の請求を受けた時に備えて、勝手に自分の財産に手を付けたりしないように、財産の保全処分を命じてもらうことができます。
この処分を命じてもらうためには、清算株式会社による申し立てをして、裁判所に清算の監督上必要であると認めさせることが必要ですが、場合によっては裁判所の職権で処分を命じることもあります。
特別清算開始の申し立てが却下された後でも、株式会社が即時抗告をして裁判所に清算の監督上必要であると認めさせることができれば、即時抗告の申し立ての対象となっている役員が損害賠償の請求を受けた時に備えて、勝手に自分の財産に手を付けたりしないように、財産の保全処分を命じてもらうことができます。
原文
598
勝手に役員が責任逃れをできないように処分を
- 第543条
- 特別清算開始の命令が出ている清算株式会社の役員に対して、勝手に責任逃れができないような処分を命じてもらうことができます。
この処分を命じてもらうためには、債権者や清算人、監査役、株主による申し立てをして、裁判所に清算の監督上必要であると認めさせることが必要ですが、場合によっては裁判所の職権で処分を命じることもあります。
原文
599
役員が責任逃れや不正をしていても取り消しの処分を
- 第544条
- 特別清算開始の命令を受けた株式会社の役員が責任逃れをしていた場合、その役員に対する責任逃れのための対処の取り消しを命じてもらうことができます。
特別清算開始の命令を受けた株式会社の役員が不正をしていた場合、その役員に対する不正をするための対処の取り消しを命じてもらうこともできます。
これらの取消処分は、特別清算開始の申し立てをした1年前から、特別清算開始の申し立てが行われた後のものが対象となります。 - 2
- この処分を命じてもらうためには、訴訟を起こすか、社内での処分に従わない場合に命じられることになります。
- 3
- 特別清算開始の命令が出てから2年以上経ってしまうと、役員の責任逃れや不正のための対処の取り消し命令は命じてもらうことができなくなります。
また、責任逃れの対処をしてから20年が経ってしまうと、役員の責任逃れの対処の取り消し命令は命じてもらうことができなくなります。
原文
600
役員の損害賠償請求の査定のための裁判を
- 第545条
- 特別清算開始の命令を受けた株式会社の役員の責任について損害賠償請求が必要な場合、その役員に対して損害賠償請求権の査定の裁判をしてもらうことができます。
この裁判をしてもらうためには、株式会社による申し立てをして、裁判所に清算の監督上必要であると認めさせることが必要ですが、場合によっては裁判所の職権で裁判をすることもあります。
この損害賠償請求権の査定の裁判のことを《役員等責任査定決定》といいます。 - 2
- 裁判所の職権により、役員に対する損害賠償請求権の査定の裁判を進める場合は、役員等責任査定決定を行います。
- 3
- 株式会社による損害賠償請求権の査定の裁判の申し立てがあった場合や、裁判所の職権による役員等責任査定決定が行われたら、裁判上の請求があったものとみなされて損害賠償に関する時効が止まることになります。
- 4
- 特別清算が終了すると、役員等責任査定決定の手続きも終了となります。
特別清算が終了しても、終了前に役員等責任査定決定を受けたものが無効になるわけではありません。
原文
601
第8款 債権者集会について
第八款 債権者集会
債権者集会は株式会社が招集を
- 第546条
- タイミングを問わず、特別清算を進める上で必要な際には債権者集会が開かれます。
- 2
- 清算株式会社が債権者集会を招集します。
例外として、第547条の規定されている条件に該当した協定債権者に招集が認められます。
原文
602
債権者がが招集する債権者集会
- 第547条
- 清算株式会社が把握している協定債権の10%以上を所有する協定債権者は債権者集会の招集を要請することができます。
債権者集会を招集する際には、清算株式会社に対して債権者集会で話し合うテーマと招集が必要な理由を伝えてください。 - 2
- 清算株式会社に対して担保権により弁済される見通しの債権については、債権者集会を招集する協定債権者に必要な協定債権として加算の対象にはなりません。
- 3
- 次のケースに該当する場合は、債権者集会の招集を要請した協定債権者が債権者集会を招集することが認められます。
- 一
- 債権者集会招集の要請をしても一向に債権者集会の招集の手続きがなされないケース。
- 二
- 債権者集会の要請をした日から6週間以内の日を債権者集会の開催日とした通知がなされないケース。
原文
603
債権者集会で議論されるテーマ
- 第548条
- 債権者集会の招集に当たり、招集をかけた清算株式会社または協定債権者によって次の概要とテーマが決められます。
債権者集会を招集する人のことを《招集者》といいます。 - 一
- 債権者集会の開催日時と開催場所。
- 二
- 債権者集会で議論すべきテーマ。
- 三
- 会場に行かなくてもデジタル投票が認められるようにする場合はその説明。
- 四
- その他、法務省令で規定されている事項。
- 2
- 清算株式会社が債権者集会を招集する場合は、債権額に対してどのような比率で議決権の持ち分与えられるか、議決権にどのような効力があるのかないのか、を清算株式会社が決めておく必要があります。
- 3
- 債権者集会の招集を要請した協定債権者が債権者集会を招集することになった場合は、債権額に対してどのような比率で議決権の持ち分与えられるか、議決権にどのような効力があるのかないのか、を清算株式会社に決めておくように要請してください。
この要請受けたら、清算株式会社はこれらについて決めておく必要があります。 - 4
- 清算株式会社に対して担保権により弁済される見通しの債権については、債権者集会の議決権として加算できる持ち分の対象にはなりません。
- 5
- 国税局長や税務署長による《共助実施決定》に基づく請求は債権者集会の議決とは別格で扱われます。
原文
604
債権者集会開催の通知を
- 第549条
- 債権者集会を開催するためには、債権の申し出をした協定債権者に対して、債権者集会招集の通知を書面で行う必要があります。
この通知は債権者集会の開催予定日の2週間前までに発信してください。
この通知は清算株式会社にも発信する必要があります。 - 2
- 協定債権者や清算株式会社の承諾を得ることができれば、債権者集会招集の通知をEmailなどのデジタル情報で行うことが認められます。
デジタル情報で通知を行うことについて詳細は政令で規定されています。 - 3
- 債権者集会招集の通知には、開催日時と開催場所、議論すべきテーマなど債権者集会開催のための決定事項を記載してください。
- 4難文
- 清算株式会社が次に該当する債務を把握している場合、これらの債権を有する人は協定債権者と同じように扱われます。
- 家賃や社員への給料などの一般の先取特権がある債権。
- 税金や保険料などの一般の優先権がある債権。
- 特別清算の手続を進めるにあたり清算株式会社が負うことになった債務。
- 特別清算の手続を進めるにあたり清算株式会社に費用の支払いを求める権利。
原文
605
債権者集会参考書類と議決権行使書面
- 第550条
- 協定債権者として債権者集会に招集されることになったら、招集者から《債権者集会参考書類》と《議決権行使書面》という資料が送付されます。
債権者集会参考書類には、548条2項または3号に基づいて決められた「債権額に対する議決権の持ち分比率と議決権に対するその効力」について記載されます。 - 2
- 協定債権者や清算株式会社の承諾を得て、デジタル情報で債権者集会招集の通知を行うことになった場合、債権者集会参考書類と議決権行使書面もデジタル情報でやりとりすることが認められます。
この場合であっても、紙面の送付を希望する場合は招集者に対して債権者集会参考書類や議決権行使書面を請求することができます。
原文
606
議決権行使をデジタルで
- 第551条
- デジタル情報で債権者集会招集の通知を行うことになった場合、その承諾をした協定債権者にはデジタル情報による議決権行使の対応が図られます。
- 2
- デジタル情報での債権者招集の通知には承諾していなくても、議決権行使はデジタル情報で行いたい場合は、債権者集会開催日の1週間前までに招集者に対して請求をすれば議決権行使の対応を取り計らってもらうことができます。
原文
607
債権者集会は裁判所の仕切りで
- 第552条
- 債権者集会は裁判所によって段取りが取り仕切られます。
- 2
- 債権者集会を招集する際には、548条第1項に基づいて決められた債権者集会の開催概要とテーマ、548条2項または3号に基づいて決められた「債権額に対する議決権の持ち分比率と議決権に対するその効力」について裁判所に届け出をする必要があります。
原文
608
債権者集会で不満が出たら
- 第553条
- 債権者集会の承知の通知内容の「債権額に対する議決権の持ち分比率と議決権に対するその効力」に、協定債権者から不満が出て収まりがつかない場合、裁判所にこれを決めてもらうことになります。
原文
609
債権者集会で可決と認められる条件
- 第554条
- 債権者集会で可決と認められるためには次の2つの要件を満たす必要があります。
- 一
- 議決権を行使できる出席者の過半数の人が同意すること。
- 二
- 行使された議決権の過半数が同意票として投じられていること。
- 2
- 議決の際、同意票と反対票の両方に投じた人がいる場合、出席者としては1人としてカウントしますが、同意者としては1/2人としてカウントしてください。
- 3
- 予め決められたテーマ以外のことを債権者集会の場で決議をすることは認められません。
原文
610
協定債権者の代理人に議決権を
- 第555条
- 債権者集会では協定債権者の代理人に議決権を行使させることが認められます。
代理人に議決権を行使させるためには、債権者集会の招集者に対して《委任状》を提出する必要があります。
委任状の提出は、協定債権者からの提出でも、代理人からの提出でも有効です。 - 2
- 代理人の委任状は債権者集会が開かれる毎に提出する必要があります。
- 3
- 債権者集会の招集者が認めている場合、代理人の委任状は法務省令で認められている方法であれば、デジタル情報で招集者に提出しても有効となります。
- 4
- 協定債権者が債権者集会の通知をデジタル情報で受け取ることに承諾をしていれば、正当な理由が無い限り、デジタル情報による委任状の提出が債権者集会の招集者に拒否されることはありません。
"代理権を証明する書面"のことを一般に《委任状》といいます。
原文
611
出席できなくても書面で議決権を
- 第556条
- 債権者集会に出席できなくても、書面で議決権を行使することが認められます。
- 2
- 書面によって議決権を行使するためには、法務省令で規定された期限までに必要事項を記載した「議決権行使書面」を招集者に提出してください。
- 3
- 書面で議決権を行使した人は出席者の1人としてカウントされます。
原文
612
出席できなくてもデジタル情報で議決権を
- 第557条
- 債権者集会の招集者が承諾をしている場合、デジタル情報を使った議決権行使が認められます。
デジタル情報による議決権を行使するためには、法務省令で規定された期限までに必要事項を入力した「議決権行使書面」のデジタルデータを招集者に送信してください。 - 2
- 協定債権者が債権者集会の通知をデジタル情報で受け取ることに承諾をしていれば、正当な理由が無い限り、デジタル情報による議決権の行使を拒否されることはありません。
- 3
- デジタル情報で議決権を行使した人は出席者の1人としてカウントされます。
原文
613
異なる側に議決権を投じても
- 第558条
- 債権者集会の議決において、所有している議決権を「必ずしも全て同じ側に投票しなければならない」、ということはありません。
それをする場合は、債権者集会の3日前までに理由を添えて異なる側にも投じることを通知してください。 - 2
- 自分の立場の議決権と自分以外の立場の議決権を持っている場合は異なる側に投じることが受け入れられないことは無いのですが、自分の立場の議決権しかないのに異なる側に投じた場合、債権者集会の招集者に受け入れてもらえないことがあります。
原文
614
担保権を持つ債権者をオブザーバーとして
- 第559条
- 担保権によって優先的に弁済を受けられる、次に該当する債権者をオブザーバーとして債権者集会に出席してもらい、意見を聞くことが認められます。
オブザーバー参加には、債権者集会での決議で了解されることが必要です。 - 一
- 清算株式会社のなんらかの財産に対する担保によって弁済を受けられる債権者。
- 二
- 一般の先取特権や一般の優先権のある債権を持つ債権者、清算株式会社が特別清算を進めるためにかかった経費に対する債権やその費用に対する請求権を持つ債権者
原文
615
延期や持ち越しとなった場合のテーマは
- 第560条
- 債権者集会が延期となった場合や、債権者集会で話し合いの持ち越しということで決議があった場合は、改めて債権者集会のテーマなどを決め直す必要はありません。
原文
616
開催したら議事録を
- 第561条
- 債権者集会を開催したら、招集者は必ず議事録を作成しなければなりません。
議事録に関する詳しいことは法務省令で規定されています。
原文
617
調査結果などの報告と清算の方針を
- 第562条
- 特別清算開始の命令を受け、清算株式会社の財産状況についての調査によって取りまとめられた財産目録や貸借対照表が取りまとめられたら、清算株式会社により債権者集会が招集されます。
その中で、清算株式会社の業務の見通しや財産の状況の調査結果と、財産目録や貸借対照表の要旨が報告されます。
そしてこれらの報告をもとに、清算の方針やプログラムについての意見が清算株式会社から発表されます。
なお、報告や意見をきちんと債権者に知らせることができる方法を使うのであれば、債権者集会を開催しないで周知をすることも認められます。
原文
618
第9款 協定を結ぼう
第九款 協定
債権者集会で協定を結ぼう
- 第563条
- 債務の完済が見込めないため債務の一部を負けてもらったり、期限を先送りしてもらう内容の取り決め、を結ぶことを前提に、債権者集会で話し合いを行うことになります。
この取り決めを《協定》といいます。
原文
619
協定を結ぶということは
- 第564条
- 協定を結んだ債権者は、自分の権利を負けてあげたり、遅らせてあげることに同意する取り決めを交わすことです。
ただし、担保を抑えている場合は、その権利を負けてあげたりする必要はありません。 - 2
- 協定の内容には、負けてあげる金額の基準や遅らせて上げる期日の基準を具体的に記した文章を取り交わしてください。
原文
620
協定を結ぶためには
- 第565条重要
- 協定を結ぶためには、次のケースに該当しない限り、債権者たちとの間に不平等であってはなりません。
- 他の協定債権者が自分に不利益となることに同意をしているケース。
- 他の協定債権者への影響がほとんど無いほど金額が小さい債権者に対して配慮することを決めていたケース。
- 他の協定債権者との間で差をつけても、さしたる影響が出ないケース。
原文
621
協定案の作成に参加できる債権者
- 第566条
- 次に該当する債権者が関わってくる場合、清算株式会社がまとめる協定案の作成にそれらの人も参加してもらうことが認められます。
- 一
- なんらかの財産に対する担保によって弁済を受けられる債権者。
- 二
- 一般の先取特権や、一般の優先権のある債権者。
原文
622
協定についての可決要件
- 第567条
- 債権者集会での一般的な可決要件と違い、協定については次の2つの条件をクリアしないと可決と認められません。
- 一
- 出席した議決権者の過半数が同意すること。
- 二
- 協定に関わる債権額の総額に対して、2/3以上の債権額を持つ債権者が同意すること。
- 2
- 議決の際、同意票と反対票の両方に投じた人がいる場合、出席者としては1人としてカウントしますが、同意者としては1/2人としてカウントしてください。
原文
623
協定が可決したら協定の認可の申し立てを
- 第568条
- 協定が可決となったら、清算株式会社はむやみに遅れること無く裁判所に「協定の認可」の申し立てをしてください。
原文
624
協定の認可の決定を
- 第569条
- 次のケースに該当しない限り、協定の認可の申し立てをすると、裁判所により「協定の認可の決定」となります。
- 2
- 次のケースに該当すると、裁判所により「協定の不認可の決定」となります。
- 一
- 特別清算の手続きや協定が違法であり、それが補正される見込みがないケース。
特別清算の手続きの違法性が軽微な場合は、目をつぶってもらえるケースもあります。 - 二
- 成立した協定がちゃんと実行される見込みがないケース。
- 三
- 協定が成立する際に不正が行われていたケース。
- 四
- 成立した協定が特定の債権者だけに有利で、一般の債権者には不利なケース。
原文
625
協定の認可が決定すると
- 第570条
- 「協定の認可の決定」が確定すると、協定が有効となります。
原文
626
協定を結んだからには
- 第571条
- 協定を結んだからには、清算株式会社はもちろん、協定債権者の一人ひとりがこの協定を守る義務と責任を負うことになります。
- 2
- 弁済先が決まっている担保や、清算株式会社の債務を負担してくれる保証人に対する権利、そして清算株式会社以外の人が協定債権者のために差し出した担保を、協定債権者に回すことは認められません。
- 3
- 協定の認可が可決した時点で、協定債権者の保有していた債権の内容は、協定で決まった債権の内容に変更となります。
- 4
- 例外ですが、外国租税滞納処分に関する債権については、協定により内容変更をするには、所轄する国税局長の共助の決定に基づく必要があります。
原文
627
必要があれば協定の内容の変更を
- 第572条
- 協定が決定した後でも、協定を進めていく上で必要があれば、内容の変更をすることは認められます。
その必要が生じたら、改めて債権者集会で話し合いを行い、不利益や不平等がないように配慮し、関係者の意見を聞き、要件を満たして可決を得る必要があります。
原文
628
第10款 特別清算のエンディング
第十款 特別清算の終了
特別清算を幕引きするには
- 第573条
- 次の状況で特別清算を幕引きするには、清算人や監査役、債権者、株主、調査委員が裁判所に申し立てを行い、特別清算終結の決定をしてもらいます。
- 一
- 特別清算のフローが終了したとき。
- 二
- 特別清算を進める必要がなくなったとき。
原文
629
連動して破産手続が開始に
- 第574条
- 次のような状況を迎えて、清算株式会社が破産状態だと裁判所に判断されると、裁判所の職権により破産手続開始の決定がなされます。
破産手続は破産法に基づいて対応されます。 - 一
- 協定がまとまりそうにない状況。
- 二
- 可決された協定が実行されそうにない状況。
- 三
- 特別清算を進めてしまうと、いずれの債権者にとっても利益をもたらす見込みがない状況。
- 2
- 次のような状況を迎えて、清算株式会社が破産状態だと裁判所に判断されると、裁判所の職権により破産手続開始の決定がなされることがあります。
- 一
- 協定が否決されてしまった状況。
- 二
- 可決された協定が不認可の決定を受けた状況。
- 3
- 以下の破産法の条文には、「破産手続開始」をきっかけとしてその対応を規定しています。
- 破産法第71条第1項第四号
- 破産法第71条第2項第二号
- 破産法第71条第2項第三号
- 破産法第72条第1項第四号
- 破産法第72条第2項第二号
- 破産法第72条第2項第三号
- 破産法第160条(第1項第1号はのぞく)
- 破産法第162条(第1項第2号はのぞく)
- 破産法第163条第2項
- 破産法第164条第1項
- 破産法第164条第2項(第1項を準用する場合)
- 破産法第166条
- 破産法第167条第2項
- 破産法第170条第2項(第167条第2項を準用する場合)
第1項、第2項に該当して裁判所による「破産手続開始の決定」がなされた場合、次のケースに該当する「申立」は上記の破産法の各条文中の「破産手続開始」と連動してきっかけとし機能することになります。 - 一難文
- もともと進めていた破産手続を特別清算に切り替えようとして特別清算開始の命令の確定をしてもらったため、効力を失っていた破産手続開始の申立があるケースでの「破産手続開始の申立」。
- 二
- もともと破産手続きを進めていないケースでの「特別清算開始の申立」。
- 4
- 第1項、第2項に該当して裁判所による「破産手続開始の決定」がなされた場合、特別清算のための清算株式会社への債権や清算株式会社に対する費用請求権は、破産管財人が管理する財団債権として引き継がれます。
原文
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第3編 第1章 持株会社を設立しよう
第2編 第8章 株式会社を解散するには
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