第5編 第3章 他の会社に引き継ぎを
第五編 第三章 会社分割
第●章 ●
第5編 第2章 一つの会社に合併を
第1節 切り分けた事業を他の会社に引き継いでもらう
第一節 吸収分割
第1款 通則
第一款 この節を通じて言えること
事業を引き継ぐ会社との間で
- 第757条
- 株式会社や合同会社は、自社の事業を切り分けて他の会社に引き継がせることができます。
この方法を吸収分割といいます。
吸収分割をするためには、その会社と事業を引き継ぐ会社との間で事業に関する権利や義務の引き継ぎに関する吸収分割契約を結ぶ必要があります。
"吸収分割により事業を引き継ごうとする株式会社"のことを《吸収分割承継会社》といいます。
原文
(吸収分割契約の締結)
- 第七百五十七条
- 会社(株式会社又は合同会社に限る。)は、吸収分割をすることができる。この場合においては、当該会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継する会社(以下この編において「吸収分割承継会社」という。)との間で、吸収分割契約を締結しなければならない。
第2款 株式会社が事業を引き継ぐ吸収分割
第二款 株式会社に権利義務を承継させる吸収分割
株式会社が事業を引き継ぐ吸収分割では
- 第758条
- 株式会社が吸収分割により他の会社の事業を引き継ぐためには、次に掲げる事項を定めて吸収分割契約を結ぶ必要があります。
- 一
- 吸収分割により事業を引き継いでもらおうとする会社の商号と住所。
吸収分割により事業を引き継ごうとする株式会社の商号と住所。
"吸収分割により事業を引き継いでもらおうとする会社"のことを《吸収分割会社》といいます。
"吸収分割により事業を引き受けようとする株式会社"のことを《吸収分割承継株式会社》といいます。
- 二
- 吸収分割により吸収分割承継株式会社が引き継ごうとする資産や債務、雇用契約などの権利と義務について。
"吸収分割により事業を引き継いでもらおうとする株式会社"のことを《吸収分割株式会社》といいます。
吸収分割により引き継がれる会社が株式会社であったとしても、その株式会社の株式や新株予約権に関する義務、吸収分割承継株式会社の株式に関する義務については吸収分割契約で取り決めておく必要はありません。
- 三
- 吸収分割株式会社の株式も引き継ごうとする場合は、その株式に関する内容について。
吸収分割株式会社が吸収分割承継株式会社の株式を所有しているため、その自社株である株式を引き継ごうとする場合は、その株式に関する内容について。
- 四
- 吸収分割承継株式会社が吸収分割において吸収分割会社に金銭的な価値のある見返りを支払う場合は、次の内容について。
- イ
- 見返りが吸収分割承継株式会社の株式の場合、その株式の数や算定方法、種類株式を発行している場合はその種類と種類ごとの数、吸収分割承継株式会社の資本金や準備金の額。
- ロ
- 見返りが吸収分割承継株式会社の社債の場合、その社債の種類と種類別の金額の合計額や算定方法。
- ハ
- 見返りが吸収分割承継株式会社の新株予約権の場合、その新株予約権の内容と数や算定方法。
- ニ
- 見返りが吸収分割承継株式会社の新株予約権付社債の場合、その社債についての種類と種類別の金額の合計額や算定方法、その新株予約権についての内容と数や算定方法。
- ホ
- 見返りが株式や新株予約権、社債以外の財産の場合、その財産の内容と数量または金額、算定方法。
- 五
- 吸収分割の際に吸収分割株式会社の新株予約権を持つ人に対する見返りとして吸収分割承継株式会社の新株予約権を渡す場合、次の詳細について。
- イ
- 見返りとして吸収分割承継株式会社の新株予約権が渡される対象となる、吸収分割株式会社の新株予約権の内容。
新株予約権が渡される対象となる"吸収分割株式会社の新株予約権"のことを《吸収分割契約新株予約権》といいます。
- ロ
- 見返りとして渡される吸収分割承継株式会社の新株予約権の内容、数や算定方法。
- ハ
- 対象となるのが新株予約権付社債の場合は、吸収分割承継株式会社がその社債に関する債務を引き継ぐこととした上で、引き継ぐ社債の種類と種類ごとの金額の合計額やその算定方法。
- 六
- 吸収分割の見返りとして吸収分割承継株式会社の新株予約権を渡す場合、持っている吸収分割株式会社の新株予約権に対して渡される新株予約権の割当について。
- 七
- 吸収分割が有効となる日。
- 八
- 吸収分割が有効となる日に次のイベントを行う場合はその概要について。
- イ
- 全部取得条項付種類株式の一括買い取り。
吸収分割をする前から吸収分割株式会社が所有しているものは一括買い取りの対象外です。
吸収分割承継株式会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるものは対象に含まれます。
- ロ
- 剰余金の配当。
配当の対象となる財産が吸収分割承継株式会社の株式のみである場合に認められます。
吸収分割をする前から吸収分割株式会社が所有しているものは剰余金の配当の対象外です。
吸収分割承継株式会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるものは対象に含まれます。
原文
(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割契約)
- 第七百五十八条
- 会社が吸収分割をする場合において、吸収分割承継会社が株式会社であるときは、吸収分割契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
- 一
- 吸収分割をする会社(以下この編において「吸収分割会社」という。)及び株式会社である吸収分割承継会社(以下この編において「吸収分割承継株式会社」という。)の商号及び住所
- 二
- 吸収分割承継株式会社が吸収分割により吸収分割会社から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務(株式会社である吸収分割会社(以下この編において「吸収分割株式会社」という。)及び吸収分割承継株式会社の株式並びに吸収分割株式会社の新株予約権に係る義務を除く。)に関する事項
- 三
- 吸収分割により吸収分割株式会社又は吸収分割承継株式会社の株式を吸収分割承継株式会社に承継させるときは、当該株式に関する事項
- 四
- 吸収分割承継株式会社が吸収分割に際して吸収分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる金銭等を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
- イ
- 当該金銭等が吸収分割承継株式会社の株式であるときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該吸収分割承継株式会社の資本金及び準備金の額に関する事項
- ロ
- 当該金銭等が吸収分割承継株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
- ハ
- 当該金銭等が吸収分割承継株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
- ニ
- 当該金銭等が吸収分割承継株式会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
- ホ
- 当該金銭等が吸収分割承継株式会社の株式等以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
- 五
- 吸収分割承継株式会社が吸収分割に際して吸収分割株式会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該吸収分割承継株式会社の新株予約権を交付するときは、当該新株予約権についての次に掲げる事項
- イ
- 当該吸収分割承継株式会社の新株予約権の交付を受ける吸収分割株式会社の新株予約権の新株予約権者の有する新株予約権(以下この編において「吸収分割契約新株予約権」という。)の内容
- ロ
- 吸収分割契約新株予約権の新株予約権者に対して交付する吸収分割承継株式会社の新株予約権の内容及び数又はその算定方法
- ハ
- 吸収分割契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、吸収分割承継株式会社が当該新株予約権付社債についての社債に係る債務を承継する旨並びにその承継に係る社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
- 六
- 前号に規定する場合には、吸収分割契約新株予約権の新株予約権者に対する同号の吸収分割承継株式会社の新株予約権の割当てに関する事項
- 七
- 吸収分割がその効力を生ずる日(以下この節において「効力発生日」という。)
- 八
- 吸収分割株式会社が効力発生日に次に掲げる行為をするときは、その旨
- イ
- 第百七十一条第一項の規定による株式の取得(同項第一号に規定する取得対価が吸収分割承継株式会社の株式(吸収分割株式会社が吸収分割をする前から有するものを除き、吸収分割承継株式会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるものを含む。ロにおいて同じ。)のみであるものに限る。)
- ロ
- 剰余金の配当(配当財産が吸収分割承継株式会社の株式のみであるものに限る。)
事業を引き継ぐ株式会社が吸収分割の日を迎えると
- 第759条
- 吸収分割契約で決めた吸収分割の日を迎えると、吸収分割会社から吸収分割承継株式会社に所定の権利や義務が引き継がれます。
- 2
- ●789,793
- 3
- ●789
- 4
- 債権者にダメージを与える目的で、吸収分割会社が誤魔化して引き継ぎされない債権を発生させた場合、その債権者は吸収分割承継株式会社に対してその債務を履行するように請求することが認められます。
請求が認められるのは、引き継いだ財産の額が上限となります。
ただし、吸収分割をした時点で吸収分割承継株式会社側が債権者にダメージを与えていることを認識していない場合は、いきなり請求が認められるわけではありません。
"吸収分割会社が引き継ぎを誤魔化したせいで取り残された債権者"のことを《残存債権者》といいます。
- 5
- 全部取得条項付種類株式の一括買い取りや剰余金の配当により債権が解消される場合は、残存債権者の請求は認められなくなります。
- 6
- 残存債権者から新設分割設立株式会社への請求は次のケースを迎えると時効を迎えて消滅することになります。
- 吸収分割によってダメージを受けると知ってから2年以内に請求をするなり、請求の予告をしない場合。
- 吸収分割の日を迎えてから10年が経過した場合。
- 7
- 吸収分割会社が破産手続開始の決定を受けたり、再生手続開始の決定を受けたり、更生手続開始の決定を受けた場合、残存債権者は吸収分割承継株式会社に対する請求が認められなくなります。
- 8
- 吸収分割契約で決めた吸収分割の日を迎えると、次の見返りに該当する人は吸収分割契約で決められた通り、それぞれ次の立場に代わることになります。
- 一
- 吸収分割承継株式会社の株式を受け取った人は吸収分割承継株式会社の株主に。
- 二
- 吸収分割承継株式会社の社債を受け取った人は吸収分割承継株式会社の社債権者に。
- 三
- 吸収分割承継株式会社の新株予約権を受け取った人は吸収分割承継株式会社の新株予約権者に。
- 四
- 吸収分割承継株式会社の新株予約権付社債を受け取った人は吸収分割承継株式会社の新株予約権者と社債権者に。
- 9
- 吸収分割契約で決めた吸収分割の日を迎えると、吸収分割株式会社の新株予約権《吸収分割契約新株予約権》は消滅となります。
そして、吸収分割契約に従い、吸収分割承継株式会社の新株予約権者になります。
- 10
- ●789,793,799
●
原文
(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)
- 第七百五十九条
- 吸収分割承継株式会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割会社の権利義務を承継する。
- 2
- 前項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、第七百八十九条第二項(第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の各別の催告を受けなかったもの(第七百八十九条第三項(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する場合にあっては、不法行為によって生じた債務の債権者であるものに限る。次項において同じ。)は、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割会社に対して、吸収分割会社が効力発生日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
- 3
- 第一項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったものは、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割承継株式会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割承継株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
- 4
- 第一項の規定にかかわらず、吸収分割会社が吸収分割承継株式会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って吸収分割をした場合には、残存債権者は、吸収分割承継株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、吸収分割承継株式会社が吸収分割の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
- 5
- 前項の規定は、前条第八号に掲げる事項についての定めがある場合には、適用しない。
- 6
- 吸収分割承継株式会社が第四項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。効力発生日から十年を経過したときも、同様とする。
- 7
- 吸収分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、吸収分割承継株式会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない。
- 8
- 次の各号に掲げる場合には、吸収分割会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、当該各号に定める者となる。
- 一
- 前条第四号イに掲げる事項についての定めがある場合 同号イの株式の株主
- 二
- 前条第四号ロに掲げる事項についての定めがある場合 同号ロの社債の社債権者
- 三
- 前条第四号ハに掲げる事項についての定めがある場合 同号ハの新株予約権の新株予約権者
- 四
- 前条第四号ニに掲げる事項についての定めがある場合 同号ニの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
- 9
- 前条第五号に規定する場合には、効力発生日に、吸収分割契約新株予約権は、消滅し、当該吸収分割契約新株予約権の新株予約権者は、同条第六号に掲げる事項についての定めに従い、同条第五号ロの吸収分割承継株式会社の新株予約権の新株予約権者となる。
- 10
- 前各項の規定は、第七百八十九条(第一項第三号及び第二項第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第七百九十九条の規定による手続が終了していない場合又は吸収分割を中止した場合には、適用しない。
第3款 持分会社が事業を引き継ぐ吸収分割
第三款 持分会社に権利義務を承継させる吸収分割
持分会社が事業を引き継ぐ吸収分割では
- 第760条
- 持分会社が吸収分割により他の会社の事業を引き継ぐためには、次に掲げる事項を定めて吸収分割契約を結ぶ必要があります。
- 一
- 吸収分割により事業を引き継いでもらおうとする会社の商号と住所。
吸収分割により事業を引き継ごうとする持分会社の商号と住所。
"吸収分割により事業を引き受けようとする持分会社"のことを《吸収分割承継株式会社》といいます。
- 二
- 吸収分割により吸収分割承継持分会社が引き継ごうとする資産や債務、雇用契約などの権利と義務について。
吸収分割により引き継がれる会社が株式会社であったとしても、その株式会社の株式や新株予約権に関する義務については吸収分割契約で取り決めておく必要はありません。
- 三
- 吸収分割株式会社の株式も引き継ごうとする場合は、その株式に関する内容について。
- 四
- 吸収分割によって吸収分割会社が持分会社である吸収分割承継会社の社員になる場合、次の持分会社の区分に応じて、それぞれに定める事項について。
- イ
- 吸収分割承継持分会社が合名会社の場合、社員となる吸収分割会社の名称と住所、出資額。
- ロ
- 吸収分割承継持分会社が合資会社の場合、社員となる吸収分割会社の名称と住所、無限責任社員になるのか有限責任社員になるのか、出資額。
- ハ
- 吸収分割承継持分会社が合同会社の場合、社員となる吸収分割会社の名称と住所、出資額。
- 五
- 吸収分割承継持分会社が吸収分割の見返りとして吸収分割会社に金銭などで見返りを支払う場合は、次の金銭に関する内容について。
- イ
- 見返りが吸収分割承継持分会社の社債の場合、その社債の種類と種類別の金額の合計額や算定方法。
- ロ
- 見返りが社債以外の財産の場合、その財産の内容と数量または金額、算定方法。
- 六
- 吸収分割が有効となる日。
- 七
- 吸収分割が有効となる日に次のイベントを行う場合はその概要について。
- イ
- 全部取得条項付種類株式の一括買い取り。
吸収分割をする前から吸収分割持分会社が所有しているものは一括買い取りの対象外です。
吸収分割承継持分会社の持分に準ずるものとして法務省令で定めるものは対象に含まれます。
- ロ
- 剰余金の配当。
配当の対象となる財産が吸収分割承継持分会社の持分のみである場合に認められます。
吸収分割をする前から吸収分割持分会社が所有しているものは剰余金の配当の対象外です。
吸収分割承継持分会社の持分に準ずるものとして法務省令で定めるものは対象に含まれます。
原文
(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割契約)
- 第七百六十条
- 会社が吸収分割をする場合において、吸収分割承継会社が持分会社であるときは、吸収分割契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
- 一
- 吸収分割会社及び持分会社である吸収分割承継会社(以下この節において「吸収分割承継持分会社」という。)の商号及び住所
- 二
- 吸収分割承継持分会社が吸収分割により吸収分割会社から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務(吸収分割株式会社の株式及び新株予約権に係る義務を除く。)に関する事項
- 三
- 吸収分割により吸収分割株式会社の株式を吸収分割承継持分会社に承継させるときは、当該株式に関する事項
- 四
- 吸収分割会社が吸収分割に際して吸収分割承継持分会社の社員となるときは、次のイからハまでに掲げる吸収分割承継持分会社の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項
- イ
- 合名会社 当該社員の氏名又は名称及び住所並びに出資の価額
- ロ
- 合資会社 当該社員の氏名又は名称及び住所、当該社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別並びに当該社員の出資の価額
- ハ
- 合同会社 当該社員の氏名又は名称及び住所並びに出資の価額
- 五
- 吸収分割承継持分会社が吸収分割に際して吸収分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる金銭等(吸収分割承継持分会社の持分を除く。)を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
- イ
- 当該金銭等が吸収分割承継持分会社の社債であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
- ロ
- 当該金銭等が吸収分割承継持分会社の社債以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
- 六
- 効力発生日
- 七
- 吸収分割株式会社が効力発生日に次に掲げる行為をするときは、その旨
- イ
- 第百七十一条第一項の規定による株式の取得(同項第一号に規定する取得対価が吸収分割承継持分会社の持分(吸収分割株式会社が吸収分割をする前から有するものを除き、吸収分割承継持分会社の持分に準ずるものとして法務省令で定めるものを含む。ロにおいて同じ。)のみであるものに限る。)
- ロ
- 剰余金の配当(配当財産が吸収分割承継持分会社の持分のみであるものに限る。)
事業を引き継ぐ持分会社が吸収分割の日を迎えると
- 第761条
- 吸収分割契約で決めた吸収分割の日を迎えると、吸収分割会社から吸収分割承継持分会社に所定の権利や義務が引き継がれます。
- 2
- ●789,793
- 3
- ●789
- 4
- 債権者にダメージを与える目的で、吸収分割会社が誤魔化して引き継ぎされない債権を発生させた場合、その債権者は吸収分割承継持分会社に対してその債務を履行するように請求することが認められます。
請求が認められるのは、引き継いだ財産の額が上限となります。
ただし、吸収分割をした時点で吸収分割承継持分会社側が債権者にダメージを与えていることを認識していない場合は、いきなり請求が認められるわけではありません。
"吸収分割会社が引き継ぎを誤魔化したせいで取り残された債権者"のことを《残存債権者》といいます。
- 5
- 全部取得条項付種類株式の一括買い取りや剰余金の配当により債権が解消される場合は、残存債権者の請求は認められなくなります。
- 6
- 残存債権者から新設分割設立株式会社への請求は次のケースを迎えると時効を迎えて消滅することになります。
- 吸収分割によってダメージを受けると知ってから2年以内に請求をするなり、請求の予告をしない場合。
- 吸収分割の日を迎えてから10年が経過した場合。
- 7
- 吸収分割会社が破産手続開始の決定を受けたり、再生手続開始の決定を受けたり、更生手続開始の決定を受けた場合、残存債権者は吸収分割持分株式会社に対する請求が認められなくなります。
- 8
- 吸収分割契約で決めた吸収分割の日を迎えると、吸収分割会社は吸収分割契約で決められた通り、吸収分割承継持分会社の社員になります。
- 9
- 吸収分割承継持分会社が吸収分割の見返りとして吸収分割会社に吸収分割承継持分会社の社債を支払う場合は、吸収分割契約に従い、吸収分割承継株式会社の社債権者になります。
- 10
- ●789,793,799
●
原文
(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)
- 第七百六十一条
- 吸収分割承継持分会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割会社の権利義務を承継する。
- 2
- 前項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、第七百八十九条第二項(第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の各別の催告を受けなかったもの(第七百八十九条第三項(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する場合にあっては、不法行為によって生じた債務の債権者であるものに限る。次項において同じ。)は、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割会社に対して、吸収分割会社が効力発生日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
- 3
- 第一項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったものは、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割承継持分会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割承継持分会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
- 4
- 第一項の規定にかかわらず、吸収分割会社が吸収分割承継持分会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って吸収分割をした場合には、残存債権者は、吸収分割承継持分会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、吸収分割承継持分会社が吸収分割の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
- 5
- 前項の規定は、前条第七号に掲げる事項についての定めがある場合には、適用しない。
- 6
- 吸収分割承継持分会社が第四項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。効力発生日から十年を経過したときも、同様とする。
- 7
- 吸収分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、吸収分割承継持分会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない。
- 8
- 前条第四号に規定する場合には、吸収分割会社は、効力発生日に、同号に掲げる事項についての定めに従い、吸収分割承継持分会社の社員となる。この場合においては、吸収分割承継持分会社は、効力発生日に、同号の社員に係る定款の変更をしたものとみなす。
- 9
- 前条第五号イに掲げる事項についての定めがある場合には、吸収分割会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、同号イの社債の社債権者となる。
- 10
- 前各項の規定は、第七百八十九条(第一項第三号及び第二項第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第八百二条第二項において準用する第七百九十九条(第二項第三号を除く。)の規定による手続が終了していない場合又は吸収分割を中止した場合には、適用しない。
第2節 切り分けた事業を新しい会社に引き継いでもらう
第二節 新設分割
事業を引き継ぐ会社を設立して
- 第762条
- 株式会社や合同会社は、新しい会社を設立した上で、自社の事業を切り分けてその新しい会社に引き継がせることができます。
この方法を新設分割といいます。
複数の株式会社や合同会社がそれぞれ自社の事業を切り分けて、それをまとめて新しい会社に引き継がせることも認められます。
新設分割をするためには、事業を切り分けようとしている会社が事業に関する権利や義務の引き継ぎに関する新設分割計画を作成する必要があります。
- 2
- 複数の株式会社や合同会社によって新設分割を行う場合は、それぞれの会社が共同で新設分割計画を作成する必要があります。
原文
(新設分割計画の作成)
- 第七百六十二条
- 一又は二以上の株式会社又は合同会社は、新設分割をすることができる。この場合においては、新設分割計画を作成しなければならない。
- 2
- 二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をする場合には、当該二以上の株式会社又は合同会社は、共同して新設分割計画を作成しなければならない。
第2款 この節を通じて言えること
第一款 通則
第2款 株式会社を設立して行う新設分割
第二款 株式会社を設立する新設分割
株式会社を設立して行う新設分割では
- 第763条
- 株式会社や合同会社が株式会社を設立して新設分割による事業の引き継ぎを行うには、新設分割計画として次に掲げる事項を定める必要があります。
"新設分割のために設立される会社"のことを《新設分割設立会社》といいます。
- 一
- 新設分割のために設立される株式会社がどのような事業を行うつもりなのか、その商号と本社の所在地、発行可能株式総数。
"新設分割のために設立される株式会社"のことを《新設分割設立株式会社》といいます。
- 二
- 商号などの他に定款で定めておく必要のある事項。
- 三
- 設立時取締役の氏名。
- 四
- 新設分割により設立される株式会社が次のイ〜ハのいずれかに該当する場合は、それぞれに規定されている事項。
- イ
- 会計参与設置会社として新設する場合、設立時に会計参与に就任する人の氏名または法人の名称。
- ロ
- 監査役設置会社として新設する場合、設立時に監査役に就任する人の氏名。
定款に監査役が監査を行う範囲を会計に関するものだけと規定する株式会社を新設する場合も、 設立時に監査役に就任する人の氏名。
- ハ
- 会計監査人設置会社として新設する場合、設立時に会計監査人に就任する人の氏名または法人の名称。
- 五
- 新設分割のために事業を分割した会社から引き継ぐ資産と債務、雇用契約、その他の権利義務について。
"新設分割のために事業を分割した会社"のことを《新設分割会社》といいます。
"新設分割のために事業を分割した株式会社"のことを《新設分割株式会社》といいます。
- 六
- 新設分割設立株式会社が事業を引き継ぐ見返りとして引き渡す自社の株式の数またはその算定方法。
新設分割設立株式会社が種類株式を発行する場合は、見返りとして引き渡す自社の種類株式の種類ごとの数やその算定方法。
新設分割設立株式会社の資本金や準備金の額に関する事項。
- 七
- 複数の株式会社や合同会社がそれぞれ新設分割会社となる場合、新設分割設立株式会社がそれぞれの新設分割会社に見返りとして引き渡す株式をどのように割り当てるのかについて。
- 八
- 新設分割設立株式会社が事業を引き継ぐ見返りとして社債や新株予約権を引き渡す場合、その内容によりそれぞれ次の事項。
- イ
- 見返りが新設分割設立株式会社の社債の場合、その社債の種類と種類別の金額の合計額や算定方法。
- ロ
- 見返りが新設分割設立株式会社の新株予約権の場合、その新株予約権の種類と種類別の社債の金額の合計額や算定方法。
- ハ
- 見返りが新設分割設立株式会社の新株予約権付社債の場合、その社債についての種類と種類別の金額の合計額や算定方法、その新株予約権についての内容と数や算定方法。
- 九
- 複数の株式会社や合同会社がそれぞれ新設分割会社となるケースで、見返りとして社債や新株予約権を引き渡す場合、新設分割設立株式会社がそれぞれの新設分割会社に見返りとして引き渡す社債や新株予約権をどのように割り当てるのかについて。
- 十
- 新設分割株式会社の新株予約権を持つ人に対する見返りとして、新設分割の際に新設分割設立株式会社の新株予約権を渡す場合、次の詳細について。
- イ
- 見返りとして新設分割設立株式会社の新株予約権が渡される対象となる、新設分割株式会社の新株予約権の内容。
新株予約権が渡される対象となる"新設分割株式会社の新株予約権"のことを《新設分割契約新株予約権》といいます。
- ロ
- 見返りとして渡される新設分割設立株式会社の新株予約権の内容、数や算定方法。
- ハ
- 対象となるのが新株予約権付社債の場合は、新設分割設立株式会社がその社債に関する債務を引き継ぐこととした上で、引き継ぐ社債の種類と種類ごとの金額の合計額やその算定方法。
- 十一
- 新設分割の見返りとして新設分割設立株式会社の新株予約権を渡す場合、持っている新設分割株式会社の新株予約権に対して渡される新株予約権の割当について。
- 十二
- 新設分割設立株式会社が設立の日に次のイベントを行う場合はその概要について。
- イ
- 全部取得条項付種類株式の一括買い取り。
新設分割をする前から新設分割株式会社が所有しているものは一括買い取りの対象外です。
新設分割設立株式会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるものは対象に含まれます。
- ロ
- 剰余金の配当。
配当の対象となる財産が新設分割設立株式会社の株式のみである場合に認められます。
新設分割をする前から新設分割株式会社が所有しているものは剰余金の配当の対象外です。
- 2
- 新たに設立する会社が監査等委員会設置会社の場合、設立時に就任する取締役の氏名は設立時監査等委員に就任する取締役とそれ以外の取締役とを区別して決めておく必要があります。
原文
(株式会社を設立する新設分割計画)
- 第七百六十三条
- 一又は二以上の株式会社又は合同会社が新設分割をする場合において、新設分割により設立する会社(以下この編において「新設分割設立会社」という。)が株式会社であるときは、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
- 一
- 株式会社である新設分割設立会社(以下この編において「新設分割設立株式会社」という。)の目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数
- 二
- 前号に掲げるもののほか、新設分割設立株式会社の定款で定める事項
- 三
- 新設分割設立株式会社の設立時取締役の氏名
- 四
- 次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項
- イ
- 新設分割設立株式会社が会計参与設置会社である場合 新設分割設立株式会社の設立時会計参与の氏名又は名称
- ロ
- 新設分割設立株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合 新設分割設立株式会社の設立時監査役の氏名
- ハ
- 新設分割設立株式会社が会計監査人設置会社である場合 新設分割設立株式会社の設立時会計監査人の氏名又は名称
- 五
- 新設分割設立株式会社が新設分割により新設分割をする会社(以下この編において「新設分割会社」という。)から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務(株式会社である新設分割会社(以下この編において「新設分割株式会社」という。)の株式及び新株予約権に係る義務を除く。)に関する事項
- 六
- 新設分割設立株式会社が新設分割に際して新設分割会社に対して交付するその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる当該新設分割設立株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該新設分割設立株式会社の資本金及び準備金の額に関する事項
- 七
- 二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をするときは、新設分割会社に対する前号の株式の割当てに関する事項
- 八
- 新設分割設立株式会社が新設分割に際して新設分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる当該新設分割設立株式会社の社債等を交付するときは、当該社債等についての次に掲げる事項
- イ
- 当該社債等が新設分割設立株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
- ロ
- 当該社債等が新設分割設立株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
- ハ
- 当該社債等が新設分割設立株式会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのイに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのロに規定する事項
- 九
- 前号に規定する場合において、二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をするときは、新設分割会社に対する同号の社債等の割当てに関する事項
- 十
- 新設分割設立株式会社が新設分割に際して新設分割株式会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該新設分割設立株式会社の新株予約権を交付するときは、当該新株予約権についての次に掲げる事項
- イ
- 当該新設分割設立株式会社の新株予約権の交付を受ける新設分割株式会社の新株予約権の新株予約権者の有する新株予約権(以下この編において「新設分割計画新株予約権」という。)の内容
- ロ
- 新設分割計画新株予約権の新株予約権者に対して交付する新設分割設立株式会社の新株予約権の内容及び数又はその算定方法
- ハ
- 新設分割計画新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、新設分割設立株式会社が当該新株予約権付社債についての社債に係る債務を承継する旨並びにその承継に係る社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
- 十一
- 前号に規定する場合には、新設分割計画新株予約権の新株予約権者に対する同号の新設分割設立株式会社の新株予約権の割当てに関する事項
- 十二
- 新設分割株式会社が新設分割設立株式会社の成立の日に次に掲げる行為をするときは、その旨
- イ
- 第百七十一条第一項の規定による株式の取得(同項第一号に規定する取得対価が新設分割設立株式会社の株式(これに準ずるものとして法務省令で定めるものを含む。ロにおいて同じ。)のみであるものに限る。)
- ロ
- 剰余金の配当(配当財産が新設分割設立株式会社の株式のみであるものに限る。)
- 2
- 新設分割設立株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項第三号に掲げる事項は、設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役とを区別して定めなければならない。
新設分割の株式会社が設立の日を迎えると
- 第764条
- 新設分割設立株式会社の設立の日を迎えると、新設分割会社から新設分割設立株式会社に所定の権利や義務が引き継がれます。
- 2
- ●810
- 3
- ●810
- 4
- 債権者にダメージを与える目的で、新設分割会社が誤魔化して引き継ぎされない債権を発生させた場合、その債権者は新設分割設立株式会社に対してその債務を履行するように請求することが認められます。
請求が認められるのは、引き継いだ財産の額が上限となります。
- 5
- 全部取得条項付種類株式の一括買い取りや剰余金の配当により債権が解消される場合は、残存債権者の請求は認められなくなります。
- 6
- 残存債権者から新設分割設立株式会社への請求は次のケースを迎えると時効を迎えて消滅することになります。
- 吸収分割によってダメージを受けると知ってから2年以内に請求をするなり、請求の予告をしない場合。
- 吸収分割の日を迎えてから10年が経過した場合。
- 7
- 新設分割会社が破産手続開始の決定を受けたり、再生手続開始の決定を受けたり、更生手続開始の決定を受けた場合、残存債権者は新設分割設立株式会社に対する請求が認められなくなります。
- 8
- 新設分割設立株式会社が設立の日を迎えると、新設分割の見返りとして新設分割設立株式会社の株式を受け取った人がその株式会社の株主になります。
- 9
- 新設分割設立株式会社が設立の日を迎えると、次の見返りに該当する人は新設分割計画で決められた通り、それぞれ次の立場に代わることになります。
- 一
- 新設分割設立株式会社の社債を受け取った人は新設分割設立株式会社の社債権者に。
- 二
- 新設分割設立株式会社の新株予約権を受け取った人は新設分割設立株式会社の新株予約権者に。
- 三
- 新設分割設立株式会社の新株予約権付社債を受け取った人は新設分割設立株式会社の新株予約権者と社債権者に。
- 10
- 複数の株式会社や合同会社による新設分割設立株式会社が設立の日を迎えると、新設分割の見返りとして新設分割設立株式会社の株式を受け取った会社はその株式会社におけるそれぞれに割り当てられた数の株主になります。
複数の株式会社や合同会社による新設分割設立株式会社が設立の日を迎えると、新設分割の見返りとして新設分割計画で割り当てられた新設分割設立株式会社の社債を受け取った会社は新設分割設立株式会社の社債権者になります。
複数の株式会社や合同会社による新設分割設立株式会社が設立の日を迎えると、新設分割の見返りとして新設分割計画で割り当てられた新株予約権を受け取った会社は新設分割設立株式会社の新株予約権者になります。
複数の株式会社や合同会社による新設分割設立株式会社が設立の日を迎えると、新設分割の見返りとして新設分割計画で割り当てられた新株予約権付社債を受け取った会社は新設分割設立株式会社の新株予約権者と社債権者になります。
- 11
- 見返りとして新設分割の際に新設分割設立株式会社の新株予約権を渡すケースで、新設分割株式会社の新株予約権を持つ人が新設分割設立株式会社の設立の日を迎えると、その新株予約権の権利は消滅することとなり、代わりに新設分割計画で割り当てられた新設分割設立株式会社の新株予約権を手にすることとなります。
原文
(株式会社を設立する新設分割の効力の発生等)
- 第七百六十四条
- 新設分割設立株式会社は、その成立の日に、新設分割計画の定めに従い、新設分割会社の権利義務を承継する。
- 2
- 前項の規定にかかわらず、第八百十条第一項第二号(第八百十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により異議を述べることができる新設分割会社の債権者であって、第八百十条第二項(第三号を除き、第八百十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の各別の催告を受けなかったもの(第八百十条第三項(第八百十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する場合にあっては、不法行為によって生じた債務の債権者であるものに限る。次項において同じ。)は、新設分割計画において新設分割後に新設分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割会社に対して、新設分割会社が新設分割設立株式会社の成立の日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
- 3
- 第一項の規定にかかわらず、第八百十条第一項第二号の規定により異議を述べることができる新設分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったものは、新設分割計画において新設分割後に新設分割設立株式会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割設立株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
- 4
- 第一項の規定にかかわらず、新設分割会社が新設分割設立株式会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って新設分割をした場合には、残存債権者は、新設分割設立株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
- 5
- 前項の規定は、前条第一項第十二号に掲げる事項についての定めがある場合には、適用しない。
- 6
- 新設分割設立株式会社が第四項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、新設分割会社が残存債権者を害することを知って新設分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。新設分割設立株式会社の成立の日から十年を経過したときも、同様とする。
- 7
- 新設分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、新設分割設立株式会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない。
- 8
- 前条第一項に規定する場合には、新設分割会社は、新設分割設立株式会社の成立の日に、新設分割計画の定めに従い、同項第六号の株式の株主となる。
- 9
- 次の各号に掲げる場合には、新設分割会社は、新設分割設立株式会社の成立の日に、新設分割計画の定めに従い、当該各号に定める者となる。
- 一
- 前条第一項第八号イに掲げる事項についての定めがある場合 同号イの社債の社債権者
- 二
- 前条第一項第八号ロに掲げる事項についての定めがある場合 同号ロの新株予約権の新株予約権者
- 三
- 前条第一項第八号ハに掲げる事項についての定めがある場合 同号ハの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
- 10
- 二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をする場合における前二項の規定の適用については、第八項中「新設分割計画の定め」とあるのは「同項第七号に掲げる事項についての定め」と、前項中「新設分割計画の定め」とあるのは「前条第一項第九号に掲げる事項についての定め」とする。
- 11
- 前条第一項第十号に規定する場合には、新設分割設立株式会社の成立の日に、新設分割計画新株予約権は、消滅し、当該新設分割計画新株予約権の新株予約権者は、同項第十一号に掲げる事項についての定めに従い、同項第十号ロの新設分割設立株式会社の新株予約権の新株予約権者となる。
第3款 持分会社を設立して行う新設分割
第三款 持分会社を設立する新設分割
持分会社を設立して行う新設分割では
- 第765条
- 株式会社や合同会社が新たに持分会社を設立して新設分割による事業の引き継ぎを行うには、新設分割計画として次に掲げる事項を定める必要があります。
- 一
- 新設分割のために設立された持分会社が、合名会社なのか、合資会社なのか、合同会社なのか。
"新設分割のために設立された持分会社"のことを《新設分割設立持分会社》といいます。
- 二
- 新設分割設立持分会社がどのような事業を行うつもりなのか、その商号と本社の所在地。
- 三
- 新設分割設立持分会社の社員に関する次の事項。
- イ
- 社員の氏名と住所。
- ロ
- 各社員が、無限責任社員になるのか有限責任社員になるのか。
- ハ
- 各社員の出資額。
- 四
- 上記の他に定款で定めておく必要のある事項。
- 五
- 新設分割により新設分割会社から新設分割設立持分会社へ引き渡されることになる資産や債務、雇用契約、その他の権利や義務について。
- 六
- 新設分割により新設分割会社から引き渡される事業に関する権利に対して、新設分割設立持分会社がその見返りとして社債を渡す場合、その社債の種類と種類別の金額の合計額や算定方法。
- 七
- 複数の株式会社や合同会社がそれぞれ新設分割会社となる場合、新設分割設立持分会社がそれぞれの新設分割会社に見返りとして引き渡す社債をどのように割り当てるのかについて。
- 八
- 新設分割設立持分会社が設立の日に次のイベントを行う場合はその概要について。
- イ
- 全部取得条項付種類株式の一括買い取り。
新設分割をする前から新設分割設立持分会社が所有しているものは一括買い取りの対象外です。
新設分割設立持分会社の持分に準ずるものとして法務省令で定めるものは対象に含まれます。
- ロ
- 剰余金の配当。
配当の対象となる財産が新設分割設立持分会社の持分のみである場合に認められます。
新設分割をする前から新設分設立割持分会社が所有しているものは剰余金の配当の対象外です。
- 2
- 新設分割のために合名会社を新設する場合は、新設分割計画の社員に関する情報として、「社員の全員が無限責任社員になること」を規定しておいてください。
- 3
- 新設分割のために合資会社を新設する場合は、新設分割計画の社員に関する情報として、「社員の一部が無限責任社員になり、残りの社員は有限責任社員になること」を規定しておいてください。
- 4
- 新設分割のために合同会社を新設する場合は、新設分割計画の社員に関する情報として、「社員の全員が有限責任社員になること」を規定しておいてください。
原文
(持分会社を設立する新設分割計画)
- 第七百六十五条
- 一又は二以上の株式会社又は合同会社が新設分割をする場合において、新設分割設立会社が持分会社であるときは、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
- 一
- 持分会社である新設分割設立会社(以下この編において「新設分割設立持分会社」という。)が合名会社、合資会社又は合同会社のいずれであるかの別
- 二
- 新設分割設立持分会社の目的、商号及び本店の所在地
- 三
- 新設分割設立持分会社の社員についての次に掲げる事項
- イ
- 当該社員の名称及び住所
- ロ
- 当該社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
- ハ
- 当該社員の出資の価額
- 四
- 前二号に掲げるもののほか、新設分割設立持分会社の定款で定める事項
- 五
- 新設分割設立持分会社が新設分割により新設分割会社から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務(新設分割株式会社の株式及び新株予約権に係る義務を除く。)に関する事項
- 六
- 新設分割設立持分会社が新設分割に際して新設分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる当該新設分割設立持分会社の社債を交付するときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
- 七
- 前号に規定する場合において、二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をするときは、新設分割会社に対する同号の社債の割当てに関する事項
- 八
- 新設分割株式会社が新設分割設立持分会社の成立の日に次に掲げる行為をするときは、その旨
- イ
- 第百七十一条第一項の規定による株式の取得(同項第一号に規定する取得対価が新設分割設立持分会社の持分(これに準ずるものとして法務省令で定めるものを含む。ロにおいて同じ。)のみであるものに限る。)
- ロ
- 剰余金の配当(配当財産が新設分割設立持分会社の持分のみであるものに限る。)
- 2
- 新設分割設立持分会社が合名会社であるときは、前項第三号ロに掲げる事項として、その社員の全部を無限責任社員とする旨を定めなければならない。
- 3
- 新設分割設立持分会社が合資会社であるときは、第一項第三号ロに掲げる事項として、その社員の一部を無限責任社員とし、その他の社員を有限責任社員とする旨を定めなければならない。
- 4
- 新設分割設立持分会社が合同会社であるときは、第一項第三号ロに掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を定めなければならない。
新設分割の持分会社が設立の日を迎えると
- 第766条
- 新設分割設立持分会社の設立の日を迎えると、新設分割会社から新設分割設立持分会社に所定の権利や義務が引き継がれます。
- 2
- ●810
- 3
- ●810
- 4
- 債権者にダメージを与える目的で、新設分割会社が誤魔化して引き継ぎされない債権を発生させた場合、その債権者は新設分割設立持分会社に対してその債務を履行するように請求することが認められます。
請求が認められるのは、引き継いだ財産の額が上限となります。
- 5
- 全部取得条項付種類株式の一括買い取りや剰余金の配当により債権が解消される場合は、残存債権者の請求は認められなくなります。
- 6
- 残存債権者から新設分割設立持分会社への請求は次のケースを迎えると時効を迎えて消滅することになります。
- 吸収分割によってダメージを受けると知ってから2年以内に請求をするなり、請求の予告をしない場合。
- 吸収分割の日を迎えてから10年が経過した場合。
- 7
- 新設分割会社が破産手続開始の決定を受けたり、再生手続開始の決定を受けたり、更生手続開始の決定を受けた場合、残存債権者は新設分割設立持分会社に対する請求が認められなくなります。
- 8
- 新設分割設立持分会社が設立の日を迎えると、新たな持分会社の設立に出資をした新設分割会社はその持分会社の社員になります。
- 9
- 新設分割設立持分会社に引き渡される事業の見返りとして社債を引き渡す場合、新設分割設立持分会社が設立の日を迎えると、新設分割会社はその社債の社債権者となります。
- 10
- 複数の株式会社や合同会社による新設分割設立持分会社が設立の日を迎えると、新設分割の見返りとして新設分割計画で割り当てられた新設分割設立持分会社の社債を受け取った会社は新設分割設立株式会社の社債権者になります。
原文
(持分会社を設立する新設分割の効力の発生等)
- 第七百六十六条
- 新設分割設立持分会社は、その成立の日に、新設分割計画の定めに従い、新設分割会社の権利義務を承継する。
- 2
- 前項の規定にかかわらず、第八百十条第一項第二号(第八百十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により異議を述べることができる新設分割会社の債権者であって、第八百十条第二項(第三号を除き、第八百十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の各別の催告を受けなかったもの(第八百十条第三項(第八百十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する場合にあっては、不法行為によって生じた債務の債権者であるものに限る。次項において同じ。)は、新設分割計画において新設分割後に新設分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割会社に対して、新設分割会社が新設分割設立持分会社の成立の日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
- 3
- 第一項の規定にかかわらず、第八百十条第一項第二号の規定により異議を述べることができる新設分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったものは、新設分割計画において新設分割後に新設分割設立持分会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割設立持分会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
- 4
- 第一項の規定にかかわらず、新設分割会社が新設分割設立持分会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って新設分割をした場合には、残存債権者は、新設分割設立持分会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。
- 5
- 前項の規定は、前条第一項第八号に掲げる事項についての定めがある場合には、適用しない。
- 6
- 新設分割設立持分会社が第四項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、新設分割会社が残存債権者を害することを知って新設分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。新設分割設立持分会社の成立の日から十年を経過したときも、同様とする。
- 7
- 新設分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、新設分割設立持分会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない。
- 8
- 前条第一項に規定する場合には、新設分割会社は、新設分割設立持分会社の成立の日に、同項第三号に掲げる事項についての定めに従い、当該新設分割設立持分会社の社員となる。
- 9
- 前条第一項第六号に掲げる事項についての定めがある場合には、新設分割会社は、新設分割設立持分会社の成立の日に、新設分割計画の定めに従い、同号の社債の社債権者となる。
- 10
- 二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をする場合における前項の規定の適用については、同項中「新設分割計画の定めに従い、同号」とあるのは、「同項第七号に掲げる事項についての定めに従い、同項第六号」とする。
第●編 第●章 ●
第●編 第●章 ●
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